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聖輪奇聞・転生記!~神を導きし救世主~  作者: 河童王子
天上天下・美猴王伝説!
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えっ?猿[去る]の?裏切りの竜姫?

水簾洞闘賊団は既に数々の魔王の城を落としていた。だが、次に向かう魔王の地は、


今までとは比べ物にならない魔王がいた。


俺様は美猴王!


俺様率いる水簾洞闘賊団は今、眼力魔王の軍隊と交戦中だった。

数万の軍隊に対し五千足らずの俺様達は、ジリジリと崖に覆われた一本道へと追い込められていた。ついに行き止まりへと追い込まれ、逃げ場のない俺様達に勝利を確信した敵兵が迫る。



「グフフッ!どうやら年貢の納め時のようだな?」


が、追い詰められていたはずの俺様達闘賊団の姿を見た敵兵達は違和感を感じたのだ。


「えっ?全員同じ顔?どう言う事?」


(まさか罠!?)



それに気付いた時、俺様達の闘賊団の姿が目の前から一体一体消えていく。

そう。それは分身!

分身が全て消えた後には追って来た敵の軍隊が取り残されていた。

戸惑う敵兵に追い討ちをかけるように、崖の上から幾人かの人影が姿を現す。



「へへへ!まんまと罠にかかったようだな?お前達全員逃げ場はねぇぜ!今だ!」



俺様の合図で空を飛ぶ雲の上から虎力大仙、鹿力大仙、羊力大仙が姿を現し、



『いよいよ我等の出番だぞぉ~!我等の秘術!』


『五雷法の術をくらえ!』


「自然を操る我等『三大仙』の秘奥義なり!」



それは、雷、風、土、炎、水の法術。

突然空が曇り出したかと思うと、凄まじい勢いで豪雨が降り荒れる。


更に水猿が参加し、


『ウキィ!雨荒れ!』


豪雨は濁流をうみ崖下の敵軍達を飲み込んでいく。



慌て、逃げ場を探し崖をよじ登ろうとする残党には、

六尾率いる気火猿と岩猿が石を投げ付けて妨害。


「俺ッチの大理~具石一号をくらえ~」



石をぶつけられ落下していく敵兵に俺様は勝利に酔う。



「アハハハハ!楽して勝つ!頭を使えばこんなもんよ!」




まさに地の利を活かした策!

数で負けている分、俺様達は奇策を弄して勝ちを得ていたのだ。

と言っても、これは全て蛟魔王が考えた策なのだ。

蛟魔王は地図を広げて牛角魔王と獅駝王にも次の策を説明していた。



「俺俺難しい事は解らないぞ?」


「獅駝王、安心しな!あんたにも解る単純な策だ!」


「で、俺は何をしたら良い?」



蛟魔王の指示に従い牛角魔王も戦場に出向く。

本当に頼りになる軍師様だぜ。


だが、この蛟魔王には曰く付きの噂があった。


一族の裏切り者…


蛟魔王。


蛟魔王は竜神族である。

竜神族とは神族、妖怪とは別に聖獣族が存在するのだが、中でも竜神族は聖獣族の高位種の一族であった。その一族は武術・法術等、戦闘に秀で、天界の神族でさえも竜神族には手を出す事が出来ない程であった。更に竜神族は天界の秘境地に独立した国を作り上げ、神界とは対立状態でもあったのだ。



かつて蛟魔王はその竜神族の将であった。

にも拘らず、蛟魔王は竜神族を裏切り、竜神族秘宝中の秘宝と噂されている『ナニカ?』を奪い去り、地上界へと逃げて来たのだと言う。


当然、竜神族からは蛟魔王に刺客が向けられた。


蛟魔王は追っ手を撃退しながら逃亡し、南の地の海中に城を造って身を潜ませた。その海底城には幾重にも強力な結解が施されており、さすがの竜神族の刺客達も立ち入る事が叶わなかったのである。


その間、蛟魔王が手にかけた同族の竜神兵は数百とも数千とも言われていた。



裏切り、略奪、


同族殺しの竜姫…


その後、忌み嫌われ恐れられた蛟魔王は地上界に先に君臨していた魔王を始末し、代わりに新たな『魔王』の称号を得て地上界に居座ったのだ。地上界の魔王になれば天界からの保護下になる事で竜神族も手を出しにくくなったのである。



牛角魔王と獅駝王が次の作戦を受けて蛟魔王の作戦部屋から出て行った後、蛟魔王は昔を思い出して溜息をついていた。



「全く…上手いように事が進み過ぎてるな…」



蛟魔王は己に向けられていた視線に気付き言い放つ。



「そろそろ出て来たらどうだい?もう誰も来ないからさ」



すると部屋の影の中から鎧を纏った武神が四人姿を現したのだ。



「完全に気配を消していたつもりでしたが我々がいる事にいつから気付いていたのですか?流石は蛟魔王と言うべきか」



その声の相手は女だった。


「…………」


「早速ですが例の申し出には受けていただけますかな?」



武神の言葉に蛟魔王は、


「悪いがまだ行けないよ」



蛟魔王は目の前の武神を凝視して行った。


「まだ行けないと言うのは、時が経てば来て頂けると解釈しても宜しいか?」



蛟魔王は黙っていた。



「あの方は寛大ですからね。貴女には後一月の猶予を与えましょう。その後に再びお迎えに参りましょう」


「一月…」


「あの方…いえ我等が主である第四魔王様は貴女がお越し下さる事を願っております。是非とも貴女の力をお貸しくださいませ」


「フン!」


「もし受け入れて頂けない場合は……」



すると武神の肌の色が変わり鱗のような紋様が浮かび上がると、ただならぬ気を発っする。



「心置きなく貴女を始末させていただく!」



それは武神の威嚇。

もし主の命令がなければ今直ぐにでも蛟魔王に襲い掛かる殺気を放つ。

この武神達の正体は竜神族なのだ。



「解ったよ!あんまり熱くなるなよ?一月後、忘れずにあんた達の主の第四魔王って奴のいる場所に出向いてやるからさ!」



すると竜神族の女達は頷き、再び影の中へと消えて行った。


この最後の言葉を残して…


『第四魔王様への貢ぎ物として、蛟魔王殿がお持ちの魔王玉を全て献上するように』と…



蛟魔王は懐に入れてある魔王玉の入った袋に目をやる。

そこには今まで戦い奪って来た魔王達の魔王玉だけでなく俺様や牛角魔王、獅駝王の魔王玉も入っている。これを奪われたら、魔王玉の持ち主である魔王達は逆らえなくなるらしい…


確か魔王玉を最初に手に入れた時に、魔王になる条件として魔王玉に自分の血を一滴垂らしたが、それが契約の証になるとは思ってもみなかったぜ!


と、そんな事より…


俺様はまだ蛟魔王の秘密を知らないでいた。



で、今俺様はと言うと?


俺様は先に向かった牛角魔王と獅駝王に追い付いていた。



「戦況はどうなっている?」


牛角魔王は先方を指差して説明する。



「どうやら敵の本陣が向かって来ているようだ!」



俺様が見ると、前方には数百万の敵軍がこちらへと向かって来ていた。

それには六尾と独角鬼王が先行していた。



「うっひゃあ~」


「怖じけづいたか?俺は正直こぇ~よ!」


「へん!俺っちは美猴王様についていくだけだい!」


「そんな事言って足が震えてるぞ?お前!」


「うるへ~!ムシャクシャ震いだぁ!」


「武者震いだろ?それ?」




他の仲間達も震え上がっていた。

無理もあるまい。

向かって来る敵軍は自軍の何十倍で、大地を埋め尽くす妖怪の大軍。


俺様は如意棒を抜き…


「ほんじゃあ~」


牛角魔王も拳を鳴らす。


「俺達が!」


獅駝王が腕を回して…


「先陣を切ってやろうかぁ!」



俺様達三魔王は先頭に立ち、仲間の軍を全員根城に控えさせ、大地を埋め尽くす程の敵軍へと向かって行く。



『バトルの始まりダァーッ!!』



次回予告


蛟魔王は裏切るのか?


だが、今は眼力魔王の本体軍五万の兵と、


仲間の軍を残して、


美猴王、牛角魔王、獅駝王の三強のみで戦おうとしていたのだ?

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