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聖輪奇聞・転生記!~神を導きし救世主~  作者: 河童王子
天上天下・美猴王伝説!
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いざ、さらば?猿は今こそ旅立つのだ!!

須菩提仙人のもとより太白金星に引き取られた美猴は?


僕は美猴…


僕はブザマにも太白金星と呼ばれる仙人に負け、須菩提爺ちゃんのもとから太白金星爺ちゃんへと預けられたんだ。


太白金星に敗れた僕は心を入れ替え、太白金星様の言い付けを何でも聞く、そりゃ素直な良き弟子となったのです。


太白爺ちゃん曰く、バックドロップで頭を強く打ったのが原因とか…



そんなかんなで?



「太白爺ちゃん!人間界ってどんな場所なんですか?」


「人間界とな?」



すると太白爺ちゃんは大きな水晶球を持ち出し、その中に映し出された地上界の姿を僕に見せてくれた。中には人間界の暮らしが映し出されていた。


「どうして人間は弱いのに争いをするのですか?」


「それは、人間が己自身を高みに上げたいからじゃな…そのためには争いが手っ取り早い訳じゃ…向上心と言えば聞こえが良いが、ただの愚か者共じゃよ」


「高みに上ってからどうするのです?」


「儂達のような神にでもなりたいのじゃろうな?永遠の命や、不思議な力…人間達には欲しくてたまらないのじゃろうて」


「ふ~ん…じゃあ、僕達には不必要な感情なんですか?」


「いやいや!向上心…つまり身体的にも精神的にも己を磨く事は人間だけでなく儂達仙人にも大切な事なんじゃぞ?用は使い道じゃ」


「何のためにですか?」


「そりゃ…正義の味方になるためじゃよ!弱き者を守り、悪しき者を倒す!それが正義の味方なのじゃ。ただ、この世界にはオヌシよりも強い者が沢山おるのじゃぞ?そんな奴達が悪に染まった時に対抗出来るよう儂達は己を磨くのじゃよ!」


「ふ~ん…己を磨くか~。だから、太白爺ちゃんは人間界に行くと必ず磨いている人間を見に行くのですね?」


「ほっ?」


「でも、どうしていつも見に行くのが女だけなのです?しかも決まって温泉郷?」




太白爺ちゃんは返答に困りつつ…


「いつか…お前にも解る時が…来よう…」


と、ごまかしていた。


ただ、僕がいつも感心するのはこの太白金星爺ちゃんは、ただのスケベな老人かと思いきや凄まじい仙術の使い手なのです。分身の術に身体を大きく小さく変えたり、肉体を岩の様に硬直させたり、飛んでいる鳥を気合いで落としたり、水や火の上を歩いたり、とにかく奇妙な術を沢山知っていたのです。


「凄いや~!」



幻術や体術に関しては少しは自信があった。

『変化の術』『身体強化の術』は須菩提爺ちゃんから教わっていたから。

須菩提爺ちゃんが基礎編なら、太白爺ちゃんは応用編って訳だな…



やがて僕は仙術を太白爺ちゃんから直々に教わり始める。

そんな充実した生活を三年間過ごしていたんだ。


僕は自分自身の毛を引き抜き宙に舞わせると、毛は自分とクリソツな分身となる。須菩提爺ちゃんから分身の術は教わっていたが、この分身は一味違うのだ。

本来の分身は幻や残像だけだが、この技は己の一部[毛]を混ぜ合わせる事で…


『百人一手!』

※ヒャクニンイッシュ



分身した自分達の突き出した手刀が、目の前にあった馬鹿デカイ岩石を砕く。

つまり、分身達が僕の意思で動くだけでなく直接攻撃を与えられるのだ。


さらに…


僕は己の手を石化させた後に超光速で降り続けると、次第に摩擦が生じて過熱し手刀が燃えだしたのだ!



『火流手』

※カルタ


燃え盛る手刀を振り払うと、炎と高熱の一撃必殺の技となり、目の前の岩石を木っ端微塵にした。


「うむ!見事じゃ」



僕は照れながら太白爺ちゃんにお辞儀をする。


「それもこれも全て太白様のお陰です。ありがとうございます!」


「うむ!精進せぃよ」



そんなある晩…


夜中だと言うのに物音がして太白爺ちゃんは目を覚ました。


(何やら倉庫から物音がするぞぃ?泥棒?一体誰が?)



太白爺ちゃんはゆっくりその物音のする方向へと向かった。



「そこにいるのは誰じゃ!?」



そこにいたのは僕こと美猴だった。



「オヌシ何をやっているのじゃ?ん?」


「…………」



太白爺ちゃんはそこで気付く。

無言の僕の手には秘伝の巻物と、隠していたはずの如意棒を手にしていた事に。


「お…お前?」


「チッ!」


「その手に持っているのは何じゃ?何をやっとるのじゃ!!」



そこで僕…いや、俺様は本性を現したのだ。



「ばれちまったら仕方ねーな!」


「美猴?」


「ふん!気安く呼ぶんじゃねーよ!ジジィ!もうお前から学ぶ事は何もねぇーんだよ!だからトンズラついでに俺様がこの巻物と、如意棒を土産に貰ってやろうと言うんだよ!」


「何と!?」


「前に話したよな?向上心だったけか?俺様は俺様なりに考えた結果、天下一…いや…世界最強最悪の大妖怪になると決めたんだ!まさに向上心だろ?」


「バッ?バッカモ~ン!」


「そんじゃ世話になったな?」



俺様は掌に集めた気を天井に向けて放つと屋根が崩れ落ち、崩れる瓦礫の中を飛び出して金斗雲に飛び乗り急上昇した。



『アバヨ!』



そう言って飛び去ったのだった。


放心状態で一人取り残された太白爺ちゃんは…


「あわわ…」



そこに近付く影があった。

それは須菩提爺ちゃんだった。

須菩提爺ちゃんは太白爺ちゃんに近寄り肩を叩くと、首を振る。

その瞳には「なぁ?無理じゃったろ?」と、言っていた。



「どっ!同情されると余計に悲しむがな!」



二人はその後無言で酒を交わす。


俺様[美猴]の事は嵐の前の静けさと思いつつ…



「これからどうなるんじゃろな?」


「蟹の味噌汁…」


「ほっ?」


「神のみぞ知るじゃな!」




その後、二人は深いため息をついたとさ。





そして、雲の上…



「強くなるための手段は覚えた!後は実践あるのみだ!」



俺様は金斗雲に乗りながら太陽を指差し叫んだのだ。



「よし!先ずは名を上げるぞーー!」



俺様の大活劇の幕が、晴れやかに上がった。


次回予告



ついに美猴が動き出した。

仙界修行編から地上界を舞台に戦乱の世に変える物語が始まるのだ!


さて、どうなる事かは蟹の味噌汁です。

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