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聖輪奇聞・転生記!~神を導きし救世主~  作者: 河童王子
天上天下・美猴王伝説!
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仙人の必需品?飛べない猿は安物の猿じゃないか~!?

須菩提仙人が五行山より拾って来たのは金色の毛の猿だった。


猿は美猴と名付けられ、逞しく育ったのだった。



へへへ!

俺様の名前は美猴!


見て解る通り猿なのだ!

しかも金色の猿だから超レアなんだぜ?


敬え!敬え!


で、今回の話だぞ?



俺様は須菩提と呼ばれる爺ちゃんと暮らしているのだけど、そいつが俺様を『仙猿』にすると言い出したからたまったもんじゃねぇや!

しかし…まぁ、何かと仙人の使う術は『使えそう』だから、俺様は素直に教わる事にしたのだ。


俺様が爺ちゃんに連れられて来た場所は、仙山の山頂にある社だった。

どうやらそこで仙人になるための儀式を行うらしいのだが?



「うむ。良く聞くのじゃぞ?これは仙衣の葉と言うのじゃ!」



爺ちゃんは山頂の社の中にあった大木から葉を一枚ちぎって持って来ると、その葉を俺様の額の上に置く。すると葉は光り輝き、でかくなって俺様の身体を包み隠したのである。



「何じゃ何じゃ?これはなんなんじゃ??」




慌てる俺様だったが、その葉はやがて形を成して俺様の身体を纏う仙衣となったのだ。



「ふふふ驚いたかの?その仙衣の葉はお前の成長に伴い成長する衣なのじゃ!天界に住む神や仙人は皆纏っているのじゃぞ?」


「!!」


「しかも纏った者の力を触媒にして、鎧や衣にもなるのじゃから一石二鳥なのじゃ!」



詳しく聞けば、たとえ破れたり破損しても、

持ち主の気を栄養にして何度でも修復出来るのだそうだ。


まさに生きる衣!


便利だぜぇ!


その次に爺ちゃんが渡したのは枝であった。



「今度は何だよ?」


「急かすでない!先ずはその枝に気を籠めて見るが良い?」


「ん?気を?」



気とは生きてる者には必ず持っている体内エネルギーらしい。

魂の力とも言う。

俺様がその小枝に気を籠めると小枝もまた光り輝いた。


「これは!?」


それは耳かき状の棒だった。



「ふふふ…ただの棒とは情けないのぉ?どれ見てるが良い!」



すると爺ちゃんは手の平に気を籠めると、そこに杖が現れる。


「これが儂の育て上げた枝じゃぞ!」



更に杖は形を変えて『剣』と変化したのだ。

爺ちゃんは手にした剣を構えると、演舞でもするかのように振り回す。

そして目の前にあった岩石を一刀両断にしたのだ。


「どうじゃ?凄いじゃろう?」



俺様は目を輝かせ…


「それ[剣]を俺様にくれぇーーー!」



俺様は爺ちゃんから剣を強引に奪うと、それは消えて無くなったのだ。



「馬鹿者!それは一度手にした持ち主以外扱えんのじゃよ!」


「チェッ!」


「お前も修行して、その枝をお前の望む武器にするのじゃな」



その武器は成長する。

これは『武魂器』と呼ばれる武神達が最初に手にする武器なのである。

この『武魂器』とは別に『神器』や『宝具』といった武器も存在するのだが、これは由緒ある武神にしか与えられないのだそうだ。


で、次に爺ちゃんは仙人には必要なアイテムの三種の神器の最後の品を俺様にくれた。


爺ちゃんが渡したのは綿のような変な繭状の物であった。

爺ちゃんは俺様に口を開けるように命じると、その綿を口に突っ込んで来たのだ。


ウッ!ウッ!ウッ!


「ゲロゲロゲロゲロ!」



口に入れた途端に腹が膨らみ、俺様は腹の中から込み上げるように口から雲を吐き出したのだ。


「どうじゃ?それが空飛ぶ…」


《バコン!》



俺様は力任せに爺ちゃんの頭を殴っていた。



「なんてもん食わせるんだぁ!ボケェー!!」



とりあえず殴り合いをした。

少し落ち着いた後、たん瘤姿の爺ちゃんが改めて説明する。

それは空を自由自在に飛び回るのに必要な移動雲であり、更には持ち主の気の質[属性]を調べるのに使われるのだそうだ。


って、先に言え!


さてと、ここで言う属性とは神族、妖怪、人間に至るまで、全ての生き者には属性があるのだ。

それは五行に伴い『火』『水』『風』『雷』『土』の属性があるのだそうだ。

で、この飛行する雲は属性に合わせて色が変わると言うのだ。


よって名前を…


『飛行気雲』と呼ぶ。


さてさて~


俺様の雲は何色なのかな?


なのかな?なのかな?


火属性だと赤い系統の色らしい。水属性は青系で、風属性は白や灰色系。

雷属性は黄色。で、土属性は少し珍しいみたいで金色の雲と言うのである。

まさにレアだ!

当然、俺様はレアモノだから金だな?金だよな?


が、目の前にある雲は透き通る透明雲だった。


「……………」


「……………」


これには爺ちゃんも予想外だったみたいだ。



「はぃ~??どうなっているんだよ!爺ちゃん?」


「はて?これは珍しい事じゃぞ??」



爺ちゃんは何かを見透かすように俺様を見ると、


「なるほどの~」


「何だよ?何なんだよ~??俺様の雲はどうなっているんだ?それに…」




俺様は雲に乗ろうとしたが、雲は俺様の重さに耐えられないで潰れて消えた。



「くもーー!消えるなぁ!死ぬなぁ~!戻ってこ~い!雲だからって雲隠れすんなぁー!!」



俺様は雲が消えて苦悶の表情で叫ぶ。


俺様は思った…



「よし!誰かから奪うか~うん!決めた!それが良い!」


「良くないわい!雲は先程の武器と衣と同じく、本人のみしか使用出来んのじゃ!」



なぁ~?

なぁんですとぉ~??


つまり俺様は飛べないのか?


そんな…


飛べない猿は安物の猿じゃないかぁーー!


嫌だ!嫌だ!嫌だ!


ただの猿なんて…安物の猿だなんて…


俺様は地面に『の』の字を書いてイジけるしかなかった。



「やれやれ…心配するでないぞ?多分、お前には儀式が必要なのじゃろう」


「儀式?」


「そうじゃよ!属性契約の儀式をな!」



属性儀式とは五行精霊との契約の事を言う。

五行精霊とは『火』『水』『風』『雷』『土』の精霊の事を指すのだが、仙人はその精霊達と契約を行い属性の術を得るのだ。



「では、早速儀式しようぜ?俺様はその精霊全部欲しいぞ!よし!全部手に入れてやるぞ!」


「それは無理じゃぞ?精霊は一人に一つが鉄則なのじゃよ。無理に二つ以上の精霊と契約しようもんなら、お前の身体がぶっ壊れるぞよ?」


「なぬ?それは嫌だ!でも欲しい!でも死にたくないし、でも欲しいぞ!」


「全く欲深い奴じゃな?安心せぃ!一つでも属性を手に入れれば他の属性の精霊からも僅かながら力を借りる事が出来るのじゃ!それで満足せぃ?」


「ぶぅ~~!」



そして俺様は須菩提の爺ちゃんの言われるがまま、儀式を行う事にした。

俺様は爺ちゃんの造った儀式の陣の上で、目を綴じて座禅を組む。



「良いか?呼吸を整えたら魂を鎮め、無心状態になるのじゃ」


「無心ってどうやるんだよ?」


「雑念を捨てて心を鎮め…あ~えっと、つまりな?何も考えないで静かにしてろと言うのじゃ!つまり馬鹿になるのじゃよ」


「こうか?」



爺ちゃんは俺様が無心状態になったのを確かめた後、



(驚いた!!一瞬にして無心状態になりおったぞ?何て集中力じゃ…こりゃ恐るべき天賦の才じゃ!無心になる事は並の修行僧でも数十年近くかかると言うのに…まさに天才!儂様天才!教えるの天才じゃ!フォッフォッフォッ!)



と、自画自賛しながらも須菩提の爺ちゃんは印を結んで念を四方八方に飛ばすと、その空間が清浄化されて行く。

すると空から五色の光の玉が降って来て、俺様の周りを囲んだ。

光の玉は俺様を見定めるように飛び回っていた。

この光こそ五行の精霊達なのである。


すると精霊達は吸い込まれるかのように俺様の中[魂]へと入って行く…



「その精霊達がお前の魂と己の魂を分け合う事で、お前は五行の力を使えるようになるのじゃよ?その代わりにお前は魂の力を僅かだけ精霊達に分け与えてやるのじゃ」



が、何も変化ないまま…


俺様も目覚めないまま…


「………?」


(はて?様子がおかしいぞぃ?)



爺ちゃんは異変に気付き俺様の魂の中を透視の術とやらで覗き見する。


「にょ?ヤバッ!」



爺ちゃんは原因に気付いたと同時に、俺様の身体に念体の指を突っ込ませて、体内[魂内]に入り込んだ精霊達を根こそぎ全部引っ張り出したのだ。


「ぜぇ…ぜぇ!危なかった…ヤバかった…危なく…」



そこに目が覚めた俺様



「おっ?どうした?儀式終わったのか?俺様にも術が使えるのか?」



その答えは…



「NOじゃ…」


「ヘッ?」



見ると周りには目を回して気絶した虫?いや?精霊達が転がっていた。




「失敗じゃ…お前には五行の術は使えんよ…残念じゃがな…」


「へっ?」



えっと…どういう事?


もしかして普段から悪い子にしているから?


自覚有り。


だからダメなの?


これじゃあ…これじゃあぁあああ!


俺様…


ただの猿じゃないかぁーーーー!!

次回予告


自信喪失の美猴。

そんな美猴を須菩提仙人が連れて行った場所とは?

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