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聖輪奇聞・転生記!~神を導きし救世主~  作者: 河童王子
唯我蓮華~破壊神と呼ばれた少年~
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破壊神討伐!?二郎神君と一騎打ち!

遮那は天界の逃亡者


遮那が目指すは捲簾のいる場所だった。


ここは天界…


天界は今、慌ただしくなっていた。

下層界から上層界へ渡るためには界層の中心に存在する瞬間移動の門があるのだが、それが何者かによって全て開かれ続けているのだ。

門を守護する門番は気絶させられ、

その侵入者は須弥山のある上層界にまで登って来たのだと言う。


その侵入者は漆黒の闘気を身に纏い、天界の空を自由に飛行する黒い雲に乗って、須弥山を目指して向かって来ていた。


直ちに天界の武神達は武装し空を飛ぶ雲に乗って出動する。

その軍勢は天界の空を埋め尽くすかの如く。


侵入者の名前は遮那と呼ばれる異国の魔神の少年であった。

遮那の身体から漆黒のオーラが渦を巻いて天界の空を突き進む。

その行く手を阻むは侵入者を討伐せんと集まって来た武神の軍勢。

だが、武神達は怯んでいたのである。

その計り知れない『力』を前にして!


幾つもの魔物退治を成し遂げ、

屈強なる天界十万の武神達が躊躇する程の闘気の圧力がそうさせていた。

一歩でも近付けば、その身を消し去られるのではないか?

と思わせる程の殺気…


遮那は全開に覇気を放っていた。

その威圧感で武神達に戦意を無くさせるためだ。


しかし…


それでも遮那の覇気を振り払い、勇猛果敢に向かって来る歴戦の武神達もいた。剣を振り下ろし、矛を突き出して向かって来る武神の攻撃を躱しつつ、遮那は身体を回転させて振り払う。直ぐに体勢を立て直し攻撃を繰り出す武神に遮那は己の拳に籠めた闘気を武神達に向け…いや?武神達の持つ武器に向けて放ったのである。


遮那の拳で砕かれ折れる武神達の武器。

流石の武神達も武器を失いたじろいだ所を、遮那は引き離すように雲を飛ばして距離を取り逃げる。だが、直ぐに追って来る武神達!さらに前方からも!

遮那は止まる事なく武神達を薙ぎ倒していた。


しかし遮那の圧倒的な力の前に一歩も動けないで取り残されていた武神達は、遮那の戦いぶりに違和感を感じていた。


(…おかしい?何か?)


それは、倒されていく仲間達に負傷者こそ出るが、死に到る者が一人もいない現実であった。

だが、その違和感に気付こうとも、口に出す者は一人もいなかった。

何故なら彼等は武神であり、天より与えられた任務に支障を出す訳にいかないからだ。

次第に立ちすくんでいた武神達も、

仲間達に刺激され一人一人遮那に対して攻撃を仕掛け始める。

流石の遮那も数万の武神に周りを囲まれた挙げ句、

殺さずに相手する事に限界を感じ始めていた…


(もう…らめら…)



指揮をあげ、戦意を取り戻しつつある武神達…


(これじゃあ…会えないらぁ…あいつに…)


遮那に限界が…


(オラが捲簾に会いに行くのを邪魔するなら…オラは…)



『うらぁああああ!なんぴ足りともオラの行く手は止めさせねぇーら!』




その瞬間、遮那から凄まじい覇気が一帯を覆うほどに爆発したのだ。

その漆黒の覇気は攻撃的で、その場にいた武神達を弾き飛ばしただけでなく、力の弱い武神達は覇気に当てられて気を失い倒れて行く。

更に今まで戦い向かって来ていた勇猛な武神達も怯ませ、戦意を失わせた。



『圧倒的な力による鎮圧』



武神達は遮那から放たれる漆黒の覇気を前に震え上がる。

少しでも近寄れば、その命を!魂を持っていかれると思わせる凄まじい圧力だった。



「近寄るなよ?今、オラに近付いたら…お前ら…狩るらよ?」



嚇し?いや、もうそんな余裕など既に無くなっていた。

身動き出来ぬ武神達を後にゆっくりと進み、

その場から立ち去ろうとした時、聞こえて来たのだ。


誰かが口にした言葉を…


『は…破壊…神だ…』



それは口々に広がっていった。


『破壊神!破壊神!破壊神!破壊神!破壊神ダァーッ!』



遮那は胸に痛みを感じつつも、

他に誰も傷つけないでこの場を切り抜ける手段が他に思い付かなかった。


「これで良いんら…」




だが、世界を守護する事を運命付けられた武神達が取る行動は一つ。

己の命を顧みずに目の前に現れた破壊の根元を討伐する事。

武神達は命を捨ててでも遮那に挑もうと気力を奮い起こそうとしていたのだ。

それは特攻とも言えよう。


「そ…そんな…」



このままでは、遮那は心中覚悟で向かって来る武神達を相手にしなくてはならなくなる。


一触即発の中…


数万の武神達の中に、光り輝きながら新たな武神が降臨したのだ。


「お…お前は!?」




その武神の姿に遮那は見覚えがあった。

それは捲簾の友人にして、武神達にとって英雄神と称えられし武神。


顕聖二郎真君。



「遮那よ鎮まれ!鎮まぬなら俺がお前を止めよう!」


「あっ…あぁ…」



だが、遮那も解っていた。

もう、誰も自分を信じてくれない事を…


もし捕まれば、投獄され記憶を消されるのが、この世の定め。



(嫌ら…オラは…捕まりたくないら…まだ!!)


『ヴゥラアアア!』



遮那は再び黒い覇気を放ち、周りの武神達が近付けないようにしたが、その覇気をものともせずに、二郎真君は白い覇気で打ち返したのだ。


凄まじい覇気のぶつかり合いの中、その戦いを囲み見ていた武神達は少しずつ退き出す。

この覇気のぶつかり合いに立っている事も困難であったからだ。



「オラの邪魔をするなやぁー!」



遮那は覇気の渦の中を飛び出し、二郎真君に向かって拳を繰り出す。

二郎真君は寸前で剣で受け止めるが、剣は遮那の一撃で粉砕されたのだ。



「オラの邪魔はするな!オラは捲簾のもとに行く!邪魔するなら、今度はお前がその剣みたいになるらよ!」


「…………」



二郎真君は砕かれた剣を見て、一瞬溜息混じりに「フッ」と笑むと…



「俺もナメられたもんだな?」



そして、掌を前に差し出し唱える。


『聖獣変化唯我独尊!』



すると二郎真君の背後から聖なる獣・哮天犬が出現し、二郎真君は哮天の鎧を身に纏い、その手に立派な剣を握りしめ構えたのだ。



『三尖両刃刀!』


「今度は本気で相手をしてやろう?かかって来い!破壊神・遮那よ!」



その瞳は決意に満ちていた。



「この…分からず屋…捲簾の友だと思ってたらが…仕方ないら…悪いらが動けなくなるくらいの怪我はしてもらうらぞ?」



二人は同時に覇気を高めて一気に爆発させ、相手に向かって突進した。

遮那の凄まじい拳の連打を、二郎真君は剣で受け止めていく。

いや?むしろ遮那の攻撃は二郎真君の持つ刀を狙っていた。


「!?」


「フフッ…俺の両刃刀三尖刀はそう簡単には折れんぞ?」


「ならばお前の身体を直接をぶん殴り、気絶させるだけらぁ!」


「やはり武器を狙っていたか?」




遮那は拳に黒い闘気を集中させると、二郎真君もまた剣に闘気を籠める。



「行くらぁー!」


「受けて立つ!」




黒い覇気に包まれた遮那と白い覇気に包まれた二郎真君が衝突した。

その衝撃は周りの武神達の目を眩ませる。


そして、その渦中のぶつかり合う二人は?


「んなぁ?」



力勝負になると思っていた遮那はその力の均衡を崩される。

一度はぶつかり合ったはずなのに、その直後に二郎真君は力を抜き衝撃の勢いを逃がしたのだ。

突然の事態に対処出来ず体勢を崩した遮那の懐に入り込み、二郎真君の突き上げた掌打が遮那の顎に炸裂した。


『昇天!』



遮那は二郎真君の掌打によって、天上高くまで弾き飛ばされる。


「うぐぅわああああ」




更に追い討ちをかけるように、飛び上がり追いかける二郎真君。

お互い急上昇しながら攻撃の手を止めずに昇っていった。


残された数万の武神達の見上げる空中高くで、再び黒と白の覇気がぶつかり合っていた。

ただし雲の上での死闘なので閃光が雷の如く迸るのを目で見る事しか出来なかった。


そして、強烈な閃光が雲から放たれ、待機する武神を飲み込むように覆ったのだ。

何が起きたかと武神達は視界を奪われながらも見上げる中、空高くから何かが落下して来た。


それは!?


傷付き、ボロボロの姿の二郎真君の姿だった。

落下して来る二郎真君を何者かが武神達の隙間を割って入り、飛び出して受け止める者がいた。

その者は美しく金髪の美神であり、その名前は武神達の中でも広く知れ渡っていた。


名をナタク。


そして、武神達は騒ぎ始めたのである。

再び見上げた先に既に遮那の姿が消えていた事に。

遮那は二郎真君との戦いの後、直ぐさまその場から逃げるように飛んで行ったのだ。


その瞳に涙を流しながら…




一方、傷付いた二郎真君と介抱するナタク。


「(ボソッ)お前、わざとだろ?」


「…ん?さてな?何の話だ?」


「わざと逃がしたのかと聞いてるんだ?」


「まぁ…真実はどうかは別として…」


「?」


「まともに戦ったら、俺でも手に負えないだろうな奴は。それに…」


「それに何だ?」


「あの子の瞳は一切濁ってはいなかった。俺は俺の見た真実に賭けてみたくなったんだ」


「…………」



二郎真君との一騎打ちを終え、飛行雲に乗り、飛び去る遮那は思い出していた。

雲の上で二郎真君とぶつかり合う中、周りに聞こえないように二郎真君がテレパシーを送って来たのを…



《今からお前が逃げる一時の時間を稼いでやる!その時を見過ごさずに逃げるんだ!》



すると、二郎真君は遮那の放った覇気を躱さずに直接受け止めたのだ。



「うぐぅわああああ!」


「んなぁ?なんらと?お前は何を?」


「こ…こうでもしなければ…面倒な誤解を受けるからな?」




そして、落下していく二郎真君は遮那に向かって叫んだのだ。



『捲簾は!捲簾は中央神殿にいる!捲簾がお前を待っているぞー!』 と…




「す…すまないら…ありがとうら…」



二郎真君は捲簾に頼まれていた。



『遮那の事を頼みます』



二郎真君は数万の武神達に囲まれ脱出不可能だった遮那を逃がすため一芝居をうったのだ。


飛び去る遮那の瞳に光が戻る。



《まだオラを信じてくれる者がいたら…》



そして、この先には…



《オラが一番信じる捲簾がいる!》



「けんれーーん!」


次回予告


二郎神君から聞いた捲簾のいる中央神殿


遮那は捲簾に出会う事が出来るのか?


そして、遮那の運命は?

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