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聖輪奇聞・転生記!~神を導きし救世主~  作者: 河童王子
唯我蓮華~破壊神と呼ばれた少年~
322/424

解かれた封印?遮那の戦い!

二郎神君と楊善、捲簾の過去


ナタクと父親との確執


そして物語は再び、遮那へ・・・


物語は再び遮那へ…


遮那は天蓬元帥としての激務に追われながらも、毎日毎日が充実した日々を過ごしていた。

少しでも己の過去を償い、誰からも認められるようになりたいと…



「捲簾!オラはもう行くらよ!」


「お待ちなさい!ほら?そんなに慌てないで下さいよ~」



遮那は今日も戦場へと赴く。

そんな彼のために捲簾は手作りのお弁当を用意してくれるのだ。


「はい!頑張ってくださいね~」


「なぁ?何か忘れてないらか?」


「えっ?あぁ!はいはい!」



目を綴じると捲簾が遮那の頭に手を置き、優しく頭を撫でる。

遮那はニヤニヤしながら外に向かって走り出したかと思うと、立ち止って捲簾に向かって手を振り、そのまま飛行雲に乗って飛んで行ったのだ。


「行ってくるらよ~」



今日は武神候補生達を連れて、魔物討伐に出る少し特別な日なのである。

と言っても、魔物も他愛のないレベルの小物で、これから武神を目指す見習い少年神達に少しでも実戦での現場経験を積ませるために行われるのだ。


遮那が到着すると既に武神候補生達が整列していた。

大人20人少年神10人の隊である。

そこに元帥である遮那が代表として挨拶をした。


各々ひそひそ話を始める。


大人達は畏敬…


少年神達は尊敬の眼差し…



この『黒き天蓬元帥』は、いろんな意味で有名になっていたのだ。



「オラがお前達の指揮を務める天蓬元帥の遮那らぁ!これからオラ達は魔物退治に出るら!魔物と言ってもランクは低い…しかし侮るなや?戦場は油断したら死ぬらや!だから心して行くらよ!」


「ハッ!!」



そして各々の雲に乗り、その地へと向かった。

その地は東方外れの山脈地帯で、噂だとこの地を中心に魔物が現れると言う。

しかし遮那達の部隊が到着した時には空も暗くなりはじめていたため、近くにテントを張り明日に備える事にした。 武神候補生達は食事やテントの準備をし、遮那は焚火をおこし周りから離れて一人で座っていた。


「今頃、捲簾何しとるらかな?」


と、そこに?


「あの…」


「ん?なんら?」



遮那の前に一人の少年神が立っていた。


「あの…僕!いつか天蓬元帥様みたいに強くなりたいんです!だけどまだ全然で…どうしたら僕は強くなれますか?」



少年は遮那よりも幼く、目を輝かせながら教えを請いていたのだ。


「!?」



遮那が戦場で話しかけられたのはこの時が初めてであった。

いつも一人で周りを避けている彼にとって、言葉をかけてくれる者等いなかったから。


それは過去の過ち…


解っていた…


だから諦めていたはずなのに。


仕方ない…


我慢すれば良い…


大丈夫寂しくなんてない…


自分には捲簾がいる。



そんな遮那にとって少年のかけた言葉は、自分自身の過ちをほんの少しだけど軽くしてくれたような気持ちになれた。

遮那は嬉しさの動揺で、苦手ながらも身振り手振り交え説明した。



「つ…強くらか?そうか!強くなるにはらな?そうら!仲間を大切にして守る様にするら!守りたい気持ちが力を与えてくれるら!」


「…守る?」


「そうら!力無き者達を凶悪な魔物から守るためには強さが必要らろ?オラ達は少しでも多くの力無き者達を守るのが役目なんら。強さとは守った分、気付いた時に身についているもんなんらよ!」


「守るための力ですか…はい!解りました!ありがとうございます!天蓬元帥様!僕は元帥様のように強く!弱き者を守れる武神になります!」



この少年がきっかけとなって、遮那の周りには他の少年神達が集まって来た。

気付くと遮那の周りには輪が出来ていたのだ。


遮那は戸惑いながらもこの状況を嬉しく感じていた。

ほんの僅かだけど周りから認められ必要とされていると実感出来たひと時だった。



一歩…初めの一歩


だが、それを面白く感じない者達もいた。


「チッ!」



それはかつて遮那が来訪し暴れていた時、身内を殺された者達。


「あの異端神め!」


「しかし、あの者のここ最近での仕事ぶりは賞賛に値するのは本当だ…それに見合った武勲も与えられている」


「貴様!あいつの肩を持つつもりか?あの者がした事を忘れたのか!!」


「いや!それは憎いに決まっているさ!しかし、今はあの者が仲間を庇い戦う姿を見ると…」


「貴様は騙されているのだ!俺はあいつに弟を殺された!」


「俺は父だ!」


「俺だって…友を…」




それは憎しみの連鎖。


「決して許さん!」



すると一人の男が会話の中に入って来たのである。



「俺に一つ考えがある…」


「考え?」



そして、その次の朝早く遮那は候補生達を連れ今回自分達に与えられた魔物捜索に向かった。



「変ら?おらんらな…妖気がまったく感じられないら?それだけ弱い魔物らか?」



そこに先に偵察に出ていた候補兵の一人が何かを見付けたと報告が入り向かう事にした。


「ここらか?確かに微からが妖気を感じるら」




そこは、洞窟…


遮那は大人の武神達のみを連れて洞窟に入るように命じて、

残りの少年神達を洞窟の外に待機させた。



「向かうらよ?皆!用心は怠るなや!」



と、そこに…


「元帥様!」


「なんら?」


「喉が渇きませんか?これをどうぞ」


「えっ?そうらな?」



別に特別喉が渇いている訳ではなかったが、相手の気遣いに断る理由もなかったので遮那は水の入った水筒を受け取り飲み干した。


「ありがとうら」


「いえ」


だが、遮那が先頭に向かうのをその武神兵は、後ろからニヤリと口元が妖しく笑んでいた。


遮那達と大人の武神達は洞窟の奥まで進んで行く。特に変わった所はないかと思われたのだが、その奥に貼り付けられていた見慣れない術札を発見したのだ。



「これは結解札ですね?でも洞窟の中に何故このような札が?」


「解らないらが何か嫌な感じがする札らな…」



それは神界では見た事のない術札であった。

遮那達は用心しつつ、その結解札を剥がしたのだ。

その直後、今まで感じられなかった妖気が洞窟一帯を充満させている事に気付いたのだ。



「何ら!この凄まじい妖気はーー!?」



貼付けられていたのは、この妖気が外に漏れないように、他の者に感づかせないようにするための結解札だった。


遮那は感づいた。

これ程手の込んだ事をする魔物の存在、それに凄まじい妖気の量。

これは自分達だけで手に負える任務ではないと。

直ぐさま遮那は周りにいる者達に撤退を命じ、洞窟から出るように伝える。


だが、既に手遅れだった。

札を剥がされ漏れ出た妖気に反応した別の罠[術札]が起動したのだ。

洞窟が突如ぐらつき、出口を塞ぐ。

そして正面に新しい道が開かれたのだ。



「くぅ!罠らったらか…お前ら!無事らか!」



遮那の声に突然の揺れに倒れていた武神達も集まって来る。


「よし!怪我人はいないらな?」



どのみち逃げ場を塞がれた以上、この先に進むしか手段がなかった。

遮那と武神兵達は陣形を取りつつ、先を進む。

先程のような特別な罠がある訳でもなかったが、洞窟の奥へ進むに連れて妖気の量が濃く重くのしかかってくる。


(この先にいるのは一体どんな化け物らか!?)



遮那率いる二十名の武神達が辿り着いた場所は洞窟の最奥であった。

そしてそこには何らかが奉られている祭壇を見付けた。

そこで祭壇の中心に描かれていた紋章を目にした時、武神兵達がざわめき始めたのだ。


「どうしたら?」


「あの紋章をご存知ないのですか?あれは蛇神の祭壇でございます!!」


「蛇神の祭壇?」


「我々神々にとって蛇は災厄の証!我等神々の者の中で最も邪悪な魂を持ちし者が魔物へと転じて堕ちた時、その者は蛇の魔神と化すのです!」


「!!」



蛇神とは天を飲み込むと言われ、疎まれた存在…

その力は一人一人が並優れた破壊力を持ち、凶暴かつ狂気、その欲は世界を飲み込みつくすと。

天界でも蛇神討伐は上級神が数人がかりで向かう一級討伐任務であった。

その話を聞いて遮那は複雑な心境になった。

己もまたこの地では異界神[魔神族]であり、同じ扱いをされていたから…


『!!』


だが、遮那にその良し悪しを考える暇なく、自分達に向けられた凶悪なる殺気に気付く。



「お前達!気をつけるらや!何かおるらぁー!」


緊張が走った。


すると一人の武神が足元に違和感を感じたかと思うと、突然強い力で足を引っ張られて殺気のする闇の中へと引きずり込まれたのだ。


「うぎゃあああああ!」



絶命的な悲鳴が…途絶えた?


何かいるのか?襲われたのか?


同時に奥から何者かの声が聞こえて来たのだ。




『ふふふ…恨…恨…恨…我々の…祭壇を土足で入り込む者は誰ぞ?…恨…恨…恨…』



冷たい冷気が洞窟を覆い始める。


「やばいら!何かやばい感じがするら!」



遮那の本能が危険を感じて鳥肌が立った。


「ぎゃあぎゃああああ!」



再び悲鳴が聞こえた!

遮那が振り向く前に別の武神兵の叫び声が次々と洞窟内に響き渡る。

何が起きていると言うのだ?


「皆は急ぎ防御結解陣を張るら!」



だが、武神兵達は震えて動けないでいた。

そう!遮那達の目の前へとゆっくり近付いて現れた魔物の姿に身体が恐怖で身動き取れなかったのだ。その場にいた全員が感じた。


本能的に決して勝つ事はもちろん逃げる事出来ない相手だと告げていたから…


遮那は現れた魔物から気を抜けないでいた。


「こいつが蛇神らか!?」



遮那達の前に現れたのは蛇の下半身に人型の胴体を持つ、見上げるほどの化け物が捕まえた武神兵を頭から喰らっていたのだ。


仲間達は畏縮し使い物にならない…


「くっ!こうなったらオラ一人でやるら!」



遮那はすかさず強力な気を洞窟の天井に向けて放つと、洞窟は崩れ落ちながらも外までの出口を作った。


「奴はオラが食い止めるら!お前達はその間に外に出て中央より救援を呼ぶらよ!」



武神達は遮那の言葉に頷き、震える足で走り去り逃げ出して行った。



「行くらぁーー!久々の全力解放らぁー!」



遮那は手加減出来る相手ではないと察知し、身体から黒い覇気を解放させた。

同時に洞窟が更に揺れだし始めたのだ。



『ほぉ~珍しいの?お前は異国の魔神か?』


「そうら!オラは天蓬元帥・遮那らぁー!」




遮那は突如現れし最強最悪の蛇神に無謀にも単身挑む。


次回予告


突如現れた最恐最悪の蛇神!


遮那は仲間を守りつつ生き残る事が出来るのか?

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