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聖輪奇聞・転生記!~神を導きし救世主~  作者: 河童王子
唯我蓮華~破壊神と呼ばれた少年~
303/424

遮那と捲簾?可笑しな共同生活?

天界を騒がせた破壊神の遮那。

だが捲簾に破れ連れて来られた場所は?


破壊神遮那が天界を荒らし回り、天界のエリート神である捲簾大将が現れ鎮め連れ去った。


遮那が捲簾大将に連れられた場所は?



(う~ん…むにゃむにゃ…ん?なんら?ここは?オラは…確か…………)


「!!」


遮那は飛び起きると、見知らぬ部屋のベッドで眠っていた。

そこは、沢山の書物が列べ置かれていて、埃一つない綺麗な部屋であった。


水の音がする?


遮那はベットから降りて、建物の外を見るとそこには湖が見えた。

湖の真ん中に橋をかけた小さな陸地にこの小家はあった。


「確か…オラは…」



遮那は思い出していた。

ふざけた異界の神に不意をつかれ、不覚にも気絶させられた事を。

突如、怒りが込み上げると立ち上がって地団駄を踏む。



「あいつは何処行ったら?絶対にぶん殴ってやるらぁ!」


《コトン!》


すると隣の部屋から物音が聞こえたのだ。


遮那は警戒して覗き込むと、そこにいたのは不覚をとった男。

男は椅子に座りながら読書をしていた。



「もう起きたのですか?今、暖かい飲み物を用意していたのですが、ちょうど良かったですね?」



遮那の気配に気付いた捲簾が話し掛けてきたのだ。


「ふざけるなや!」



遮那は椅子に座っている捲簾に飛び掛かっていた。


「そうだ!そこに食べ物もありますよ?お食べになります?」


「!!」



遮那は軌道変更し、食べ物に飛び付く。


「ガツガツ!ガツガツ!こりゃ美味いらぁ~!」


「どうやらお気に召したようですね?」



遮那は『この食い物はやらん』みたいに食べ物を死守しながら食べていた。



「あはは・・・別に取ったりしませんよ?それは貴方に用意したものですからね」



捲簾は美味しそうに食べてる遮那の姿を見てニコニコと喜んでいた。

まるで、飼い猫に餌をあげてる飼い主みたいな…


と、その時!?


「グッ!」



遮那は突然口を抑えながら苦しみ出したのだ?


「どうやら…」


「!!」


「食べ物が喉につっかえたようですね?」



『見れば解るらぁ!』と怒りつつ、遮那は苦しみながら『水!水!』と悶えていると、捲簾が飲み物を持って来て手渡していた。

遮那は涙目で素早く飲み物を奪うと一気に飲み干し、息を切らせながら落ち着かせる。


「大丈夫ですか?」


「ぜぇ…ぜぇ…死ぬかと思ったらよ~ありが……ん?」



そこで我に返った遮那はこの馴れ合いに違和感を感じる。


「何を馴れ馴れしくしているらよ!おぃ!お前!」


「はい?」


「決着をつけるらよ?表に出るらぁ!」




そう言って殺気立つ遮那に向かって…



「う~ん…仲直りしませんか?」


「しないらぁ!ふざけるなや!」



遮那は再び捲簾に襲い掛かる。


「せっかちですね?」



遮那の攻撃は最初の時と同じく空を切る。


「そんな事したら危ないですよ?」


「お前!真面目にやらねーらか!」


「真面目?私はいつも真面目ですよ?真面目の捲簾さんと言えば有名ですからね!…私の中で?」


「あ~腹がたつら!こんな奴に負けたらか?オラは?」


「そうですね…私も本気を出しても良いですが私にもご褒美が欲しいですね~」


「褒美らか?」


「はい!私が勝ったら貴方が私のお友達になるのはどうですか?」


「はっ?馬鹿らか?お前?」


「大真面目です!」


「変な奴らな…良いらよ!オラを倒したら友達でも小間使いにでも何でもするらよ!」


「約束しましたよ?では、私もご褒美のために頑張ります!」



《ゾクッ!?》



先に仕掛けるはずだった遮那が、そこで動きを止める。

野生の感と言うのだろうか?

遮那の本能が無意識に危険だと告げたのだ。



(…なんら?この冷たい空気は?殺気?この男からか!?さっきまでの雰囲気と違うら!なんかヤバイら!飲み込まれる!)



「では……逝きますよ?」




その後遮那は視界がぼやけ、意識がなくなっていった。


「ガッ!」



遮那が目を覚ますと、再びベッドの上で横たわっていたのである。



(オラ?また負けたらか?まったく記憶がないら…うっ!身体中が痛む?)




見ると身体中に無数の痣が残っていた。


「そう言えば…」



遮那は思い出していた。


(どうやら今度はかんぷなきにボコラレタようら…)



記憶を辿ると、思い出すのは捲簾に手も足も出せずに負けた記憶…

放った掌打が空を切り、いくら攻撃しても、触れる事も叶わなかった。

遮那でも反応出来ない無数の手刀が身体中を貫くように衝撃を受ける。



「最後はオラの蹴りを踏み台にして、脳天への踵落としらったな…」



遮那は悔しくて悔しくて自分自身に怒りが込み上げていた。

そこに捲簾がお茶を持って現れたのだ。



「ようやく目が覚めたようですね?おはようございます」


「……オラは負けたら!煮るなり焼くなり好きにするら!」



すると捲簾は遮那の腕を掴み、


「はて?私達は友達になったのですよ?はい!握手ですね」



そう言って遮那の手を取り握手する捲簾。


「かっ!ペェ」



一瞬戸惑いを感じた遮那は、直ぐに手を振り払い痰を吐き出して威嚇する。



「気持ち悪い事をするなや!よくもここまでやっておいて友達言えるらな?」



遮那は体中に傷を負い立つ事も出来ないのである。


「だって仕方ないじゃないですか?手加減したら貴方、友達なってくれないでしょ?しかも簡単な攻撃じゃ直ぐに回復してしまうしね?それに貴方は昔から全力出さない相手には心を開いてくれ…」


「昔?」


「あっ…何でもありません!寝惚けました~おほほ」


「変な奴らな?」


「でも約束は守ってもらいますよ?」


「勝手にするら!」


「勝手にしますね!ところで貴方のお名前は何て言うのですか?まだ、お聞きしていませんでしたよね?確か?」


「オラらか?」


「友達になって、ずっと名前を呼ばないのはどうかと思いますからね?」


「遮那ら!オラの名前は遮那らよ」


「遮那ですか…はい。解りました!私は捲簾です。宜しく遮那?」




そう言って二人は握手したのであった。

[強引に…]



「質問続きで申し訳ないのですが、遮那は何故この地に来たのですか?」


「来た理由らか?この地には父上より強い奴がいると聞いたかららよ!オラはこの世界でソイツを倒して最強伝説を作るのら!」


「…失礼ですが遮那のお父上とは?」


「ククク!聞いて驚くなよ?オラの父上とは魔神国の王たる破壊神シヴァらよ!」


「シヴァ!あの?どうりで!貴方の強さの理由が解りましたよ!納得です」


「馬鹿言うなら!オラを倒しておいて、良く言うらよ!」


「いえいえ!遮那は強いですよ?ただ…」


「ただ?ただ何ら?」


「力の使い方を知らないだけ…力の意味を…力の使い所を知らないだけですから…」


「意味解らないらよ?」


「貴方はもっともっと強くなれるって意味ですよ?」


「マジらか?そぅらか!ふん!じゃあ覚えておくらよ!オラはもっともっと強くなって、必ずお前を倒し、こんな場所から出て行ってやるら!」


「かまいませんよ?私を倒せたらね?ただ、私は強いですよ!フフ…」


「舐め腐りやがってら」


「だ・だ・し!寝込みを襲うのは止めて下さいね?イヤン!」


「ノォーー!」




そして、遮那と捲簾との奇妙な共同生活がはじまったのだ。


まぁ~特別、何をする訳でもなく、一緒に飯を食い、油断したら襲いかかり…返り討ち


一緒に散歩して…油断したら襲いかかり…返り討ち…


一緒に……繰り返し…


まぁ…そんな日常生活を送っていた。




「日ごとに奴の力が化け物じみて来たら!いや、解って来た感じら…しかし…ふふふ」



それは今朝の事…


遮那と捲簾が朝食を終えた後の話。



「遮那!食べた後は必ず後片付けしなければダメじゃないですか!」


「うるさいら!後でやるらよ!」


「今やらないと夕飯は作りませんよ?良いですね?良いのですね?」


「ぐっ!弱みを…」




仕方なく後片付けをする遮那。

朝食の後、捲簾は決まって書棚で難しそうな本を読み、疲れたら昼寝をする生活を繰り返していた。その間、遮那はいつか捲簾に一泡ふかせようと一人修行に励んでいるのが日常なのだが、今日は書物部屋に忍び込んだ。


遮那はこっそり本棚に忍び込み捲簾を待っていたのだ。

入って来たところを襲うつもりなのである。



(まだらか?捲簾の奴!オラが修行中らと思って油断しているはずら!クククッ!)



すると遮那が隠れていた場所の本棚から、一冊の本が落ちたのだ?

遮那はそれを手にすると、そこには…


「?」


それは見た事のない奇妙な文字で書かれている日記だった。



「ん?なんら?この地の神文字でも、オラの地の文字でもないらな?」


『遮那!それは!』




すると捲簾が慌てて入って来て、遮那から日記を取り上げる。


「しまったら!何もしないまま見付かってしまったら~…ん?」




見ると捲簾が悲しい目をしながら、その日記を見つめていた。


「遮那…この中身を読みましたか?」


「あっ?読むも何もオラには読めない文字らよ?お前くらい沢山本ばかり読んでると、そんな難しい文字も読めるらか?」


「そうですか…なら、良いのです…」


「何が書かれているらか?それは?」



すると捲簾は遮那を見つめながら答える。



「ふふっ。これは私の昔の仲間との思い出が記されているのですよ…」


『魂の絆で結ばれし五人の友と、愛する姫との物語…』






その捲簾の眼差しは遮那に向けられていた。


「?」


そんな事があった後、再び遮那は捲簾に戦いを仕掛けたが、やっぱり返り討ちにあった。

しかし、今日は捲簾の手に傷を負わせる事に成功したのである。


と、言ってもかすり傷だけど…


どうも捲簾は日記の件で少し集中力が欠けていたのかもしれない。

それでも遮那は返り討ちにされた傷の手当てをしながらニヤニヤしていた。



「今日はやったら~!最近、少しずつらが捲簾の動きについていけるようになって来たらよ!このままいけば…!」


『シャナー?』




すると部屋の奥から捲簾の呼ぶ声が聞こえて来たのである。


「なんら?飯の時間らか?」



遮那は食事を楽しみに捲簾のもとへ行くと、



「今日は遮那に傷を負わされた手が痛くて料理が出来ません!だから、今日は外で果実でも取って食べて下さいね?悪しからず~」



「ノォーーー!!」




天国から地獄に堕とされたような遮那であった。


撃沈…。

次回予告


捲簾の部屋にあった日記は?


『魂の絆で結ばれし五人の友と、愛する姫との物語』


これはいずれ語られる物語。


だが、今はまだ語るに早い物語。


そして遮那と捲簾の物語は続かれる。


次話は遮那の前に現れた捲簾の珍客?


彼等は?


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