表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
聖輪奇聞・転生記!~神を導きし救世主~  作者: 河童王子
唯我蓮華~破壊神と呼ばれた少年~
302/424

運命の邂逅?捲簾と遮那!

天界に来訪した破壊神!


だが、その破壊神をまだ幼い少年だった。


破壊神・遮那に天界の討伐を任された天蓬元帥・大玄が現れたのだ。



神の世界である須弥山に突如、異界より現れた破壊神の少年遮那!


少年は気のむくまま、欲求の限りの破壊行為を続けていた。


神々は軍隊を派遣するも手も足も出ず思案する中、破壊神討伐に名乗りをあげたのは信望厚い天蓬元帥・大玄であった。


神々は吉報を待ち望んでいた。

天蓬元帥・大玄の破壊神討伐の報告を。



そして、


「そんな馬鹿なぁ?ありえん!あの大玄殿が戦死なさったなどと?」


「これから、どうすれば良いのだ!?」


「このままでは、その魔神がここに来るのも時間の問題ですぞ!」


「この状況で二郎真君殿も楊善殿も…それにナタク殿もいらっしゃらないとなると?誰か良い案はないのか?もう、いっぱいいっぱいだぁ~」




全員がため息をつき、諦めかけた時だった。

一人の神官が恐る恐る提案を出したのである。



「あの方に…あの方に頼んでみたらいかがでしょうか?」


「あの方?」


「二郎真君殿、楊善殿と引けを取らない武神となると?」




その瞬間、その場にいた者達の脳裏に浮かぶ顔があった。


しかし…



『無理だろうなぁ~あの方は~だって、あの方…自由だから~』




皆、同時に遠くを見る眼差しで諦めかけた時だった。



「それに、あの方は何処にいるか解らないですしね?」


「お待ちください!それがですね?あの方をこの近辺の村で目撃したとの噂を聞いたのです!」


「マジか!?うむ。あの方か…おぉ!あの方なら、あるいは!しかし、見つけた所で動いて下さるだろうか…」


「このまま手を拱いている訳にもいきませぬ。早速、あの方の捜索!近辺を手当たり次第探してみましょう!」


「神が神頼みとはな…」





場所は変わる事、木の上で寝転がっていた遮那。



「あいつ倒しても倒しても、何度も何度も向かってきやがって!結局、一度も命ごいをしなかったらよ?しかし、あんな奴がいるようなら、この地もまだまだ捨てたもんじゃないらな!」



遮那は天蓬元帥・大玄との一騎討ちの事を思い出していた。

かつてない強豪との死闘に傷つきながらも、歓喜していたのだ。


既に空も暗くなり、星を眺めながら遮那は…


「明日も晴れると良いらなぁ~」



そのまま遊びに疲れた子供のように眠りについたのだった。


次の日…


今日も遮那は黒い雲に乗って暴れ回っていた。


武神達が何度も討伐に来たが相手にもならない…



「強い奴はおらんらか?アハハ!弱いら~弱すぎらぁ~」



すると遮那に向かって何かが飛んで来たのだ?


「!!」



遮那は飛んで来たモノを受け止めると…


「なんら?」


かぶりつき食べたのである。

それは、天界の果物。


手にした果物を食べ終えた遮那の目の前には、雲に乗った武神達が現れ、その中心に髪の長い男が雲に乗り果物を食べながら自分を見ていた。



「お前らか?これを投げた奴は?」


すると、その男は…


「それ美味しいでしょ?」


「ご馳走様ら!で?オメェ~は何者らぁ?」


「う~ん…美味しい」


男も果物を口にしていたのだ。


「無視すんならぁ!お前は誰らと聞いているらぁ」


「おっと?これは失礼!私の名前は捲簾と言います。お見知りおきを~ねっ?」



その者、この破壊神たる遮那に臆する事なくニコニコと笑みを見せ果物を食べていた。


「あっ?あれれ?もっと欲しかったですか?」



胸元から新たに果物を取り出し手渡そうとする捲簾と名乗る神に対して遮那は、苛立ちつつ拳を握るとその拳に黒い神気が集中する。



「オラをナメてるらか?ナメてるんらか?ナメたらか?ふざけるなやぁー!」



遮那は猛速度で飛び出して捲簾に向かって殴り掛かったのだ。


「グシャッ!」と、鈍い音がして遮那の拳には赤い液体が付いた。



「なんら!?」


それは甘い香りのする液体だった。

遮那が殴ったのは捲簾が手にしていた果物だったのだ。

果物は砕け、拳からピチャピチャと果汁が垂れる。



「おわっと?危ないですね~!せっかくの果物が潰れてしまったじゃないですかぁ~?食べ物を粗末にしたらいけませんよ!めっ!」



(いつの間に躱したららか?確かにアイツの顔面を捉えて殴ったつもりらったのに?)


「なぁ~ろ!」


「ニコニコ」






場所は再び神殿。


神殿では神官達が二人のやり取りを水晶石にて覗き見ていた。



「しかし、まさかあの捲簾様が簡単に承知してくださるなんて…驚きましたよ」


「あの方は天界神の中でも異質な存在。かつて天才中の天才と呼ばれ、あの二郎真君殿や揚善殿の御友人…なのに、エリート神の集まる中央神殿にも行かずに一人隠居生活をおくっているのだそうだ」


「本当にあの方は解りませんな…。しかし、あの方が稀にみる天才である事は間違いありません!」


「あぁ…それは間違いないだろうなぁ…まさに天才と何たらは紙一重?いや、神一重かな?なんちゃって…」




静まり返る宮殿…


その空気を変えるように…



「見てください!二人が再び動き出しましたよ!」


再び、水晶石を覗き込む神官達であった。





場所は再び遮那と捲簾のいる天界の上空。


「お前!絶対に泣かしてやるらぁ~」


「お~!それは、怖いですね?私、泣かされちゃいますか?うるうる!」



何処までも余裕な捲簾に対して、小ばかにされたと感じた遮那は怒り心頭であった。


「うらうら!うららぁ!」



遮那は顔を真っ赤にさせて力任せに捲簾に攻撃を仕掛けるが、

一向に当たらず全て紙一重で躱されている。

当たった!と、思ったら全て幻影?残像?

まるで空気を相手に戦っているようであった。



「くそ!あら?ゃあ!こなくそら~」


やはり、遮那の攻撃はすべて空を切る。次

第に焦りを感じる遮那は、目の前にいるはずの捲簾に対して、

今まで感じた事のない感情を抱きはじめる。


(なんなんら?こいつは?何故、当たらないらよ)


「ファイトですよ!頑張って!そこ!そこ!あと、少し!あ、惜しい~惜しい!もう、ちょい!あ~もう?」


「かぁー!何を応援しているらかぁ?おちょくるなぁやぁー!」



頑張る遮那を応援する捲簾に対して、更に怒りが増していく。



「失礼な!私はいつもマジマジです!真顔で言い切ります!」


「オラ!完全にあったま来たらぁーーー!!」



遮那の身体から黒い神気が高まっていく。

黒い神気は渦を巻きながら遮那を包みこんだ後、その掌から上空に放たれ八つに枝分かれした。


『八又の黒鞭らぁー!』



黒い神気はまるで、鞭の様に捲簾に襲い掛かる。

捲簾は残像で躱すと、その黒い神気の鞭が大地をえぐりながら消滅させた。


まさに破壊者!!



「うららぁー!」


「う~ん…これは少々怒らせ過ぎてしまったようですね~物凄い力ですね」



捲簾は真顔になると待機させていた武神達を退くように命じた後、



「これじゃあ、キリがないですね…ほれ?」



持っていた最後の果実を軽く遮那に向けて放り投げたのだ。

その果実は八つの黒い鞭の隙間を縫うように落下し、遮那の頭に当たった。


「イタッ!」


冷静さを失った遮那の頭に果物が当たった事で我に返った一瞬の隙をつき、遮那の間合いに入った捲簾が…


「あぐぅわ!」


遮那の首筋に当て身をくらわせたのである。

遮那はそのまま捲簾の胸の中に倒れこむように気を失ったのだ。



それを見ていた武神達は…


「やったぞ!さすが捲簾様だ!!あの狂暴な魔神を仕留めたぞ!」



武神達が集まって来る。


「さぁ!早速トドメを!」



再び目覚めて暴れる事を焦る武神達に対して捲簾は首を振って言った。



「はて?私はこの者を殺したりはしませんよ?」


「はっ??」


「なっ?何を?ならば私達が!」


「ダメですよ?この少年は私が貰います」


「何をおっしゃられているのです!?おふざけになるのはお止め下さい!」


「しかしですね?この少年を捕らえたのは私ですよ?よって、この者をどうするかの権限は私にあると思いますが?」


「そんな言い分が通じると思いですか!その者がどれだけ危険かご存知ですよね?」



すると捲簾は首を傾げ溜息をついた後に…



「…仕方ないですね」


「解って戴けましたでしょうか?」


「はい!では、この者を起こしますので、後はお任せしますね?」


「何と??」


「どうぞ!後はお任せしますね~」




捲簾は遮那を起こそうと、気絶して眠っている遮那の頬を軽くひっぱたいたのだ。


「うにゅうにゅ…」


「ひぃ!!」


せっかく眠っている遮那が目覚めたら、また手に負えなくなる。



「あれ?起きないですね?では、もう一度!」


「待った!待った!お止め下さい!」


「いや…しかしですね~」


「この者は!我々の仲間を危めた者なのですよ!」


「…………」


「皆!」



武神達が一斉に眠っている遮那に向けて抜刀し向ける。


「覚悟!」



武神達が飛び掛かろうとした、その時だった。

一帯に冷たい殺気が立ち込め、武神達は凍ったように動けなくなったのだ。



「ウグッ…身体が動けな…い!?」



その殺気の持ち主は捲簾であった。



「だから、手も足も出ない者に手を出すのはどうかと思いますがね~?そうは思いませんか?」



捲簾は軽く先頭の武神の肩を叩くと、

丁寧な言葉と裏腹に冷たいくらいの殺気が伝わって来たのである。

武神達は…まるで動けない自分達をこのまま殺してしまっても文句はないのか?

と言っているように感じた。


肩を叩かれた武神のリーダーは腰を抜かしたかの様にへたりこむ。



「わっ!解りました!この破壊神の処遇は全て捲簾様にお任せします!」



捲簾は賛同[?]してくれた武神達の殺気を解くと、

周りの武神達も気が抜けたようにへたりこみ座り込んでいく。

一瞬にして1000人もの強者を動けなくさせる捲簾の殺気は、

まさに底知れぬ力を秘めていたのだ。



「貴方達が叱られないように、上の方には私から上手く言っておきますから安心してくださいね?では!」



そう言って捲簾は眠っている遮那を担ぎ、雲に乗って飛んで行ったのだ。




残された武神達…


「あれが噂に聞く捲簾大将か…聞いた噂では腑抜けのエリートだとか言われているが、とんでもない!」


「天界の三大エリート!武才・二郎真君殿!天才・揚善殿!そして…神才の捲簾大将!」


「他のお二方に比べると、これといった武勇伝もないし、噂が空回りしていたかと思っていたが…とんでもない。目の当たりにしてはっきりした!あの方は同格のエリート神だ!」


「しかし、捲簾大将殿はあの化け物をどうするつもりなんですかね?」


「わからん…しかし情けない話だが、今あの魔神を抑えつけていられるのは、事実あの方だけなのだからな…」




武神達を残し、飛んで行く捲簾は遮那を横目で見ると…



(ようやく、私のもとに来てくれたのですね?長かった…本当に…)







『友よ…』

次回予告


謎の男、捲簾の登場に遮那は戸惑うばかり。


なんとか捲簾を倒そうと遮那の努力劇が始まる?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ