仏滅!?動き出す神々!!
カミシニと神々との最終聖戦が始まる。
しかし、動かぬ神々もいた?
その神々は今・・・!?
これは救世主が失いし後の世界
世界は何事もなかったかのように少しずつ変わっていく。
人間達は誰もまだ気付いてはいなかった。
世界は今、狙われているという事を!!
しかも、崇拝するべき人々を救済すると信じられた神々によって…
かの地に、今…
三体の魔物が迫っていた。
その者達は蚩尤により生み出された魔物であった。
「あの方の気配はこちらからだ!」
「しかし、まさか一度死んだ俺達が再び蘇るとはな?」
「どうやら蚩尤の気配が消えたお陰で、俺達の理性が保てるみたいだ!急ぐぞ!」
その者達は鎧を纏いし魔物であった。
だが、何か目的があるようだ?
「あそこだ!あの洞窟の中から僅かだが気配を感じるぞ!」
「待て!」
洞窟に飛び込もうとした仲間を呼び止めると、目の前に白装束の少年が宙に浮いていたのだ。
『お前達?何者だ?まぁ、良いか!今から死ぬ輩が名乗る必要はない!』
瞬間、二体の魔物が少年の閃光の如き剣の一降りで、躱す事も許されないまま身体を斬られる。
『蜀王!呉王!』
仲間を斬られた残りの魔物に向かって、少年は休む暇を与えずに剣を振り下ろして来たのだ。魔物は咄嗟に己の剣を抜き、その一撃を受け止める。
『ほぉ?よく僕の剣を受け止めたな?魔物にしては腕がたつ!』
(似ている?)
魔物はその時、襲い掛かって来た少年の瞳を見た時に、ある人物の姿と被って見えたのだ。
が、我に返った魔物はその少年の攻撃を弾き返し、そのまま探し求める者の気配のする洞窟の中へと飛び込んで行ったのである。
『逃がさない!』
白装束の少年が魔物を追おうとするが、その行く手を先程斬られた魔物が阻む。
「魏王は追わせんぞ!」
「魏王!先に行けぇ!」
二体の魔物の身体は既に再生していた。
『驚異的な再生力だな?だが、小癪な魔物風情が僕を阻むか?』
二体の魔物は魏王と呼ばれる魔物を先に行かすと、少年に向かって襲い掛かる。
「今、この魏王が参りますぞ!」
が、そこに今度は美しい金髪を靡かせた青年が待ち構えていたのである。
『邪魔をするなぁー!』
威嚇する魔物に怯む事なく、青年は指先から勾玉を出現させ、魔物に向けて投げ付ける。
『ウッ!グゥワアア!』
魔物は勾玉に身体中を貫かれ、闇を纏った勾玉に飲み込まれるように消えていった。
『どうやら、始末したようだな?月読!』
『はい!あんまり私達の居場所を知られるのは面倒臭いですからね~』
その二人はヤマトタケルと月読であった。
『ヤマトタケルさん?それはそうと三蔵君の持つ救世主の力は奪えなかったですが、これからどうします?』
『ふっ…問題ない!僕達には失われし世界より持ち得た救世の魔眼に匹敵する力。星をも滅ぼす惑星眼があるからな?どうとにもなるさ!』
『本当に危ない品物ですね~』
『だが、直に始まる神々の戦いに勝利するには必要になるだろ?最後に勝利するのは奥の手を持つ僕達だ』
するとヤマトタケルは、洞窟の奥にある紅色の水晶を見つめ…
『悔しいだろ?だが、お前には何も出来ない!だから変な奴達を招くような事は二度とするなよな?』
その水晶の中には、紅色の髪の少年が封じられ閉じ込められていた。
その動かぬ少年の瞳から何かが光って見えた。
それはまるで涙のように見えた。
そして、場所は変わり別の地にも…
『やられてもうたわ!』
偽関西弁の男が隠れ家である寺の中へと入って行く。
その者は、ここに来る途中二人の仲間をファミレスに置いて来ていた。
『拙者達を置いて行くとはどういうつもりなのだ?孔宣殿は?まさか、ファミレスに取り残されるとは…』
『あの人は何を考えてるか解らないから、私解らな~い!そんな事より武蔵~何か食べようよ?』
『お前は勝手に食ってなさい!』
『了解!明子食べ~す!店員さ~ん!パフェ!パフェ!』
目の前には食べきれないくらいのパフェがズラリと並んでいた。
笑顔で食べる少女と男は注目を浴び店内を騒がせていた。
そして一人孔宣は寺の奥にある隠し扉を開き、さらに奥へと入って行く。
そこには光り輝くナニカが存在していた。
強烈なエメラルドグリーンの光に包まれた大孔雀!?
『何や?怒ってるんかい?そやかて仕方ないやろ?それにアンさんなら、一人で簡単に世界をどうこう出来るんやろ?だぁ~から、慌てなさんな!
まぁ、今はまだ力を温存すれば、良い!
それまでに、全ての段取りはワイがするさかい心配せえな?
後は熟すのを待つだけやしな?』
そして、孔宣は振り返り言ったのである。
『あんさんには世界を滅ぼす【理由】と【権利】があるんや…
そのためにワイは力を貸す!それが恩義やさかい!任したれや!』
そして再び孔宣はその場から消えたのだ。
そして更に他の地にも暗躍する神の存在があった。
銀髪を靡かせた魔神ロキである。
『救世主の魔眼を手に入れられなかったのは計算外だったなぁ~!だけど、まだ手段はある!直にヘルの奴から連絡が来るはずだ!その時こそ、オレ様が世界を手に入れる!なぁ?お前達?オレ様こそ支配者に相応しいと思わないか?』
ロキの前には銀髪の長身の男と、更に大柄な蛇の入れ墨をした男が控えていた。
フェンリルと呼ばれる大狼と、ヨルムンガンドの大蛇の邪神。
目の前にいるのはその二人の人型の姿であった。
そして、娘がもう一人?
かつて、蛇神島より連れて来られた千亜と呼ばれる娘であった。
『クククッ!これから世界は面白くなるぞ~!だが、その前にあの邪魔物だけは消さないとな?』
暗躍…暗躍…暗躍…
また、遠く離れたこの異国【ヨーロッパ】の地でも?
そこではヴァルハラと呼ばれる闘技場にて、幾多の人間の戦士達が鍛え上げた力を競い合っていた。腕を競い合いお互いが相手を殺すまで続ける死闘。
だが死んだはずの人間達は再び甦り、また戦いを繰り返しているのだ?
この地では過去に死んだ英雄や武人の魂を集めて来ては不死の人形に魂を籠め、これから始まるであろうラグナロクに備えて最強の兵を育て上げるために競わせていたのだ。
それを見ているヴァルキリーと呼ばれる女神達と、フレイア…
『あの男、直に連続一億人切りだな?』
『なかなかの力を持った魂ですね?間違いなくオーディン様も喜ばれましょう』
『決まりだな!奴が新たなエインヘリャルだ!』
エインヘリャルとは、この闘技場の中でも選りすぐりの武人の魂に与えられる称号であり、主神であるオーディンに認められれば新たな肉体と神に匹敵する力を与えられるのである。
フレイアはその人間の魂を連れて、アースガルドの中でも最も高い所にあるグラズスヘイムと呼ばれる神の住まう地へ参った。
そこには既に選りすぐりの神兵達が揃い踏みしていた。
赤髪の大男・雷神トール!
美しき神のフレイ!
片腕のテュール!
名剣グラムを携えたジークフリート…
更には、かつてロキを葬ったヘイムダル!
そして、既にエインヘリャルの称号を手に入れた猛者達であった。
その中心には二羽の烏が止まっている王座にて大神が座していた。ツバ広帽で隠した隻眼、杖のように手にしたグングニルと呼ばれる槍を手にしていた。長い白髭のこの大神こそアースガルドを統べるオーディンと呼ばれる主神であった。
『フレイアよ?その者が新たなエインヘリャルなのか?』
『ハイ!オーディン様!』
『腕は間違いないのだな?』
フレイアは新たにエインヘリャルとして呼んだ男に腕を振るうように命じる。
二人のエインヘリャルが剣を手にし、新たなエインヘリャルの前に出る。
今、オーディンの前で腕前を競いあうのだ。
『一体のエインヘリャルを相手に二体のエインヘリャルとな?』
『……………!』
二体のエインヘリャルは同時に新たなエインヘリャルに向かって襲い掛かる。
が、一刀両断!!
新たなエインヘリャルの男は、その者達を一刀で斬り伏せたのだ!!
その見事な一撃に、オーディンは…
『見事じゃ!お前の名を申せ!』
新たなエインヘリャルの男はオーディンの前に跪き、己の生前の名を名乗る。
『字は雲長!名は関羽!我の願いを叶えるため、オーディン殿に仕える事を所望する!』
『ウム!褒美は叶えようぞ?そのために儂の下で働くが良い!』
そう言うと、オーディンの掌から光が飛び出して関羽の中に入って行く。
『おおお!力が漲ってくるようだ!』
ひざまずき頭を下げる関羽を見下ろしつつ、オーディンの前には既に数え切れぬ程の配下が並び立っていた。オーディンは立ち上がり…
『人でもあり、神でもありる救世主…
儂は強き魂を持った人間に、神の力を与える事が出来る!
ラグナロクから世界を救う救世主を儂が作り上げ、ラグナロクを乗り越えた先には儂こそが未来永劫の支配者となるのだ!
そのためには邪魔な異国神達を全て消し去り、この世界を我が手中に治めようぞ!』
そこに一人の武神がオーディンに申す。
『先ずは、あの裏切り者のロキの始末ですね?』
『任せられるか?ヘイムダルよ?』
『お任せあれ!我が主君!』
恐るべき神の軍隊を率い、世界を手中に納めようとするオーディンの野望…
だが、人知れず既に動き出していた者がまだ存在していた。
それは、西暦2000年に天使が落とした十一柱の巨大水晶…
天使達は水晶の力によりこの人間界に現れた。
だが、それは卑弥呼の母である修羅姫が破壊した事で終決したのだが、実は蛇神島には、もう一柱残されていたのだ。
そこから誰にも気付かれずに既に世に放たれていた天使が、ある計画を進行していたのである。
その計画とは?
この神が起こす災いが、後に『人間』達に及ぼす影響こそ世界の終幕の引き金になっていようとはまだ、誰も知る事はなかった。
一方、場所は代わり闇に包まれた世界が広がる?
亡者達がうごめくこの世界は死者が行着く場所。
地獄と呼ばれる世界であった。
そこに男が一人、闇の続く一本道を歩いている。
俗に言う悪魔…
いや、その醸し出すオーラは、並々ならぬ上位悪魔である事は見て取れた。
するとその悪魔を覗き見る者が、ニヤリと笑っていたのである。
『用があるなら、出て来い?俺は見世物じゃないぞ!』
見られている事に苛立ちを感じ怒鳴る悪魔に、気付かれた方の悪魔が姿を現した。
そこには無数の『蝿』が集まって来て、新たな悪魔の姿へと変わっていく。
『あらあら?気付かれた?気付いてた?いつから?人(悪魔)が悪いな~?気付いていたなら早く声かけてくれよ~!僕は照れ屋だから自分からは声かけにくいの知ってるだろ?ルシファー君?』
『また、お前か…』
どうやら二人には面識があるようであった。ルシファーと呼ばれた悪魔はその悪魔をめんどくさがっていたが、一方の悪魔は気にせずに喋り出す。
『それにしても地獄も今や騒がしくなったね?冥王ハデスが何者かにやられちまって消えたに、あの噂が広まってるのだから仕方ないかな?』
独り言のように喋る悪魔を無視して、先を急ぐルシファー…
『ルシファー君も聞いてるだろ?SATANの秘宝の話は?』
一瞬、反応したルシファーに気付いた悪魔は、
『やっぱりルシファー君の目的もSATANの秘宝か~!』
SATANの秘宝とは、かつて悪魔世界の頂点に君臨していた悪魔の王の持つ秘宝。
だが、天界のミカエル率いる天使達により、どこぞに封印されていたのだが、ここ最近になって、その封印が解かれSATANが復活したと言うのである。
しかも、そのSATANが地獄の何処かにある秘宝を探していると言うのだ。
『それは、無限の力を手に入れられるアイテムだとか、全ての悪魔達を自分の意のままに操れる宝具とか言われてるよね?ルシファー君は何だと思う?』
『…………』
『今じゃソレを巡って、有力な悪魔達が戦争初めちまって、マジ騒がしいのなんの!』
『お前はどうなんだ?お前も狙っているのだろ?』
『エッ?無理無理!僕には無理っしょ?僕は傍観者でありたいんだよ?ふふふ。それに72柱の連中なんて悪魔の軍勢を組織して血眼になってんの!傑作じゃない?僕としては、レヴィアタンやアザゼル君なんかが来ると思うけど、ルーキーのミシャンドラも侮りがたいと言うか~』
『ふん!地獄王国の最高君主のベルゼブブが良く言うな?』
『あらあら?僕を過剰評価してくれてるんだ?嬉しいなぁ!ありがと……!』
その瞬間、ルシファーが漆黒の刃をベルゼブブに向けて突き刺した。
が、その刃は同時に出現させたベルゼブブの漆黒の刃が受け止めたのだ。
『やはりくせ者だな?いずれお前とも殺しあいたいもんだな?』
『怖いなぁ~止めてよ~!僕は君が嫌いじゃないんだよ?』
すると二人は刃を引き戻し、再び歩き出す…
二人が目差すはSATANがいると言われている地…
『そもそもSATANが何者なのかも謎ってのが奇妙な話だ。今まで、その姿を見た者が一人もいないと言うのだからな…』
『実はルシファー君だったり、僕だったとかってオチはないよね?地獄の王って柄でもないし!アハハ!』
『ほっとけ!俺はそのSATANって奴を魔界の王と認めてはいない!俺がソイツを見付けて王座から引きずり落とし、そのSATANの秘宝って奴を奪い取ってやろう!』
『頑張ってちょ?では、僕は高見の見物と洒落込もうかな?』
この後、地獄、冥界、魔界と呼ばれる暗黒世界が…
かつてない戦界時代へと突入するのであった。
(俺がSATANの秘宝を手に入れ、天界の奴達を奈落の底に堕としてやるぞ!それまで待っていろよ!ミカエル!)
だが、そんな戦争の真っ只中…
唯一地獄にも救いがあった。
地獄が戦乱の世に陥った時、何処ともなく現れる救世主伝説があったのだ。
そして、再び場所が変わっていく…
ここは、逆に光に覆われた美しき世界…
《ジャンナ》
天国と呼ばれる世界である。
そこには今、天使達が集まり地上の世界を覗き見ていた。
『やはり、未来は変わらないみたいだな?』
『仕方ありません…所詮、人間の力では荷が重過ぎただけの事…』
『やはり人間を滅ぼすしか道はないのでしょうか?』
それは天使ウリエル、ガブリエル、ラファエルであった。
『このままでは、時を待たずに世界は滅びます!愚かしき人間のために…』
女の天使であるガブリエルは世界を愛おしむように、悲しげな表情をしていた。
『それも全ては…』
それは西暦2000年の大戦の前の話…
ミカエル率いる天使達が総動員で、ある地に集まって来たのである。
そこは、エデンの園と呼ばれていた。
その園の中心には、厳重に結解が張られている巨大な扉が存在していたのだ。
『まさか、封じられし扉が開かれているなんて…』
驚愕するミカエルにラファエルは、
『間違いありません!この扉にかけてあった封印の暗号式が全て解かれています…』
『ありえない!この扉の暗号は三億以上のトラップ・キー結解で保護されていたはず!解かれるなんて事あるはずがないわ!』
『しかし、現に扉は開かれ、中に封じられし者達が世に出てしまった…』
『このままでは、間もなく世界は終わるぞ!!』
慌て騒ぐ天使達をミカエルは制したのである。
『馬鹿者!世界の管理者たる我々がうろたえるな!』
ミカエルは言った。
『アレが完全に復活するには、まだ時がある!そのために目覚めるに必要な元を断つしかないのだ!』
『しかし人間の魂に宿り転生する奴をどうやって見つけると言うの?ミカエル!それはまさか!人間を全て消し去ると言う事でしょうか!?それは、絶対になりまん!』
『ラファエルよ…世界の未来と、人間達の生存を天秤にかけて導かれる答えは一つしかあるまい…これが世界を救うために必要な唯一の手段なのだ』
『ラファエルが人間びいきなのは知っているわ?私達だって好き好んで人間達を消し去りたい訳じゃないの!しかし人間達の持つ魂は、アレを目覚めさせる引き金になりかねないのだから…』
ガブリエルはミカエルに賛同し、ラファエルをなだめるしかなかった。
それが、あの大戦のキッカケになった第一章…
『ミカエルは、己が罪を背負う事で世界の未来を救おうとしたにも拘わらず、愚かな地上の蛮神共に邪魔をされた…』
『それに、救世主の力を持つ人間の存在!』
『私達も一度はその救世主に賭けてみたが、やはり無駄だったようだな…』
『それもこれも何者かが扉を開き、あの魂を解放させてしまったのが原因だ』
『今はやれる事をするしかあるまい!生憎、まだ完全に覚醒はしていないはずだからな…』
『我々は一刻も早く、再び地上に舞い降りなければなるまい…』
(そして今度こそ、人間達の魂を全て浄化せねばならないのだ!)
だが、ミカエル達は地上に降りる事が叶わなかったのである。
何故なら、彼達は『ある者』が目覚めないように監視していなければならなかったから…
ミカエルの後ろには、オーロラに似たカーテンで覆われたベットが置かれていた。
そこに眠っている『者』こそ、ミカエル達が最も畏れるべき元凶であった。
ソレはミカエル達が西暦2000年の戦いの後に、突如目の前に姿を現し、『時』が来たら目覚めると言って、眠りについた。
ミカエルは眠っているソレに、手出しが出来なかった…
いや、出せなかったのである。
力の差が次元を越えていたから…
逆に、下手に手を出して起こしてしまえば、そこで世界が消える可能性もあったのだから…
眠りにつきしソレは…
願っていた…
《…ハヤク…ムカエニ…キテ…》
それは、誰?
(何処?)
場所は変わり、人間界…
そこは日本と呼ばれる国の中にある、何処にでもありそうな一軒家…
「お兄ちゃん!起きて!朝だよ?もう!また、パソコンやりながら寝ちゃてるし!」
妹に起こされて、少年は目を覚ました。
(う~ん…)
少年はパソコンの電源がついたままで、眠っていたのだ。
「あ…また、寝オチしちゃたか…」
(でも、今回のゲームも僕を満足させてくれなかった…)
少年は起き上がると、妹に連れられて朝飯を食べに部屋から出て行った。
(また、昔たまたま見付けたゲームみたいのやりたいなぁ…)
……………………。
(あのゲーム…名前、何て言ったっけ?)
「早く起きて朝ごはんだよ!」
妹の呼ぶ声に仕方なく少年は起き上がり、部屋を出て階段を降りて行く。
すると、少年が出て行った後、パソコンの画面が勝手に乱れはじめたのだ。
その画面には?
『天国の扉』
と、表示されていた。
が、直ぐにその画面は消え、文字が打たれていく?
《マッテイマス…》
天国の扉?
この少年が、何か関係していると言うのか?
それは、まだ先の話。
いや、今にも動き出そうとしている聖戦が俺を巻き込み起ころうとしていた。
大海を小さな舟が?
俺はメソポタミアの最高神のエンリルと少年ギルと一緒に海を渡り、太平洋の真ん中を舟で移動していた。俺はこれから世界中に散らばる神々連合の一員として、宿敵カミシニとの生存を賭けた大戦へと赴いたのだ。
俺はスサノオ…
日本国の最高神だ!
『こんな海のド真ん中で、どうするつもりだ?』
舟は海の真ん中で止まると、エンリルが見渡す限り何もない海に向かって覇気を放ったのだ。すると目の前の景色が歪み、そこには光り輝く王宮が出現した。
『此処が我々の本拠地になるムー大陸だ』
『失われし大陸か?それを復元し、戦場の地としたか?』
『世界の命運を賭けた戦いには相応しい場所だろ?』
そして、俺達は大陸の中へと入って行く。
大陸には神族らしき各地の武神達が戦いの準備をしていた。
俺達は大陸の中央にある太陽の宮殿へと向かって行く。
そこには…
『各世界の神族最強の面子が勢揃いか…』
直ぐに解った。
肌身にビリビリ感じるほど凄まじい神気を持った連中がうじゃうじゃいやがる。
『あぁ!我がメソポタミアが誇る最高神の太陽神シャマシュに月神シン。それに、英雄神マルドゥク!』
『マルドゥク!』
ギルが突然走り出すと、そこには精悍なる若者が立っていた。
若者はギルの頭を撫でながら…
『ギル!戻って来ていたのか?では、エンリル兄さんも?』
『はい!一緒です!』
するとマルドゥクと呼ばれる若者が近付いて来て、俺に挨拶する。
『私はマルドゥク!宜しくお願いします!貴方の噂はかねがね父やエンリル兄さんから聞いていました!』
『ああ、宜しく頼む!俺はスサノオだ!』
俺とマルドゥクは握手を交わした。
ちなみにマルドゥクはエンリルの弟であり、水神エアの息子らしい。
そもそもこの大戦のキッカケになったのも、俺達ヤオヨローズがカミシニのリーダーであるアライヴをアマテラス姉の命と引き換えに封印出来たのが始まり。
さらに補足すれば、そのカミシニのリーダーであるアライヴは今、この太陽の宮殿に封じ込められているのだ。
『貴方達の功績が、今まで我々神々にとって脅威であったカミシニ達を一網打尽にする手段を与え、各地の神々が重い腰をあげ動く理由にもなったのです!感謝します!』
『俺は大した事してねぇよ』
だが、そのカミシニのリーダーを奪還するべくカミシニの集団が幾度と大陸に入りこんだのらしいが、全て返り討ちにしたと言うのだから驚きだ…
しかも、俺がかつて死闘を繰り広げたデッドマンと呼ばれる副リーダーをも返り討ちにし、この塔に封じる事に成功したのだと言う。
だが、そのツケは大きかった…
かつて共に戦いし天空神アヌと、水神エアの命を引き換えにしての勝利だった。
『私は亡き父のためにも、必ずカミシニ達を全滅させるつもりです!』
全く頼もしい奴だ…
そこに邪悪な煙りを纏う鏡を方足に装着し、その先が蛇の足先をした神と、正反対に清浄なオーラに身を包み羽のある蛇神の鎧を纏った神が現れた。
『ギャハッ!早く戦わせろぉ!カミシニは俺一人で皆殺しにしてやるぜぇ!ギャハッ!』
『意気込む気持ちは解りますが焦るのは禁物ですよ?』
『あぁ?誰に口聞いてんだ?カミシニを始末した後は、次はテメェだからな?覚えておけぇ!ギャハッ!』
『その時はお互い全力で戦いましょうね?』
二人は因縁のある関係なのだが、カミシニと言う共通の敵を相手に手を組んだのだ。
『あいつ達は何者だ?』
『アステカ神である想像神ケツァルコアトル殿に、邪神テスカトリポカ殿です。テスカトリポカ殿は、あんな調子で周りの皆さんに喧嘩を売るもんですから困り果てているのです…アハハ…』
すると、テスカトリポカが地獄耳のごとく俺達の所に向かって来たのだ。
『おぃ?マルドゥク!俺様が何だって?あぁ?喧嘩売っているのか?ギャハッ!』
『私は…そういうつもりでは…』
『英雄神だか何だか知らないが、お坊ちゃまは引っ込んでおけ!』
何かムカつく野郎だな?
『喧嘩なら俺が買うぜ?俺はあんまり気が長い方じゃないんでね?』
『何だ?お前は?見ない顔だな?田舎神か?俺を知らないでナメた口を聞いてるなら、その身体に叩きこんでやるぜ?ギャハッ!』
『やれるもんなら、やってみやがれ!ギャハ野郎!』
流石に温厚な(?)俺も頭に来た。
お互いの神気が激しくぶつかり、一触即発の中…
『二人共!ちょっと!待っ……』
その時!!
『止めなさい!二人共!』
俺達を止める声が響き渡ったかと思うと、突然力が抜けたかのように俺達は膝をついたのだ。
(何?今の声の主の仕業か?)
見上げると、宮殿の階段の最上階から…黄金の土偶が宙に浮きながら現れたのだ。
(はっ?何?)
そこにマルドゥクが説明してくれた。
『あの方は古代インカ神である太陽神インティ様です!』
すると、インティの身体が真っ二つに割れたかと思うと、その中から幼い少女が現れたのだ。
『お止めなさい!二人共!直にここは戦場になります!貴方達の有り余る力はカミシニ達の方にぶつけてくださいね?』
インティの言葉に、仕方なく俺もテスカトリポカも身を引いた。
しかし、何て言霊の力だ?
この俺の…いや?この場にいる全員の身動きを止めるなんて…
『アハハ!少女に説得されているなんて情けないですね?テスカトリポカ!アハハハハ!』
『黙れギャハッ!』
インティが再び口を開く。
『間もなくカミシニ達の大群が、この大陸に向かって空や海、地上からと押し寄せて来ます。皆さん!相手は吸血鬼だけではありません!吸血鬼と同じく人狼のカミシニや、半魚人のカミシニの目撃談も入って来ました!それに注意しなければならないのがマスタークラスにハイマスタークラス!更に上の賢者クラス、そして倶利伽羅の力を持ちし『KINGマスター』です!しかし、私達は神である以上負ける訳にはいかないのです!』
インティの言葉に、その場にいる神々が身を引き締めていく。
『で、一つ聞いても良いか?』
『何でしょう?』
『お前達はどうやって、あのデッドマンを倒したんだ?』
『…………』
『正直、俺も奴には手こずったぜ?』
『正確に言えば生け捕りにしたのです』
『そっちのが驚きだ!どうやって捕獲し閉じ込めているんだよ?』
『それは…』
『それは?』
『私達には協力者がいるのです!』
『協力者だと?』
そこに一人の男が姿を現したのだ。
同時に神々がざわめき殺気出した。
『てめぇは!?』
そこに現れたのはクローリー!!
『どうも~皆さんお久しぶりです?以前、皆さんと殺しあったカミシニのクローリーで~す!』
その瞬間、俺だけでなく神々が刀を抜き、クローリーに向かって攻撃を仕掛け…
『待ちなさい!彼は客人です!』
インティの制止に俺達は躊躇するも、
『ふざけるな!ソイツが何者か知らぬわけでもあるまい?ソイツはカミシニの頭脳であり、アルカナの魔王と呼ばれるクローリーだぞ!』
『彼のお陰でデッドマンを拘束出来たとしたら?何より我々はカミシニを知らな過ぎる。カミシニを倒すにはカミシニを知らなければなりません!』
『関係あるか!』
『頭を冷やしなさい!彼はカミシニからの亡命者。彼は我々と共にカミシニを滅ぼす事に協力してくれるのです!』
『騙されているんだよ!』
だが、インティが部下に命ずると、ありとあらゆる武器を運んで来たのだ。
その武器は?
『カミシニに有効な武器です』
『何だと?』
カミシニには神の力は勿論、神の武器が通じない。
唯一通用するのは太陽神の力のみ。
それも本来の力の半減程度なのだ。
『この武器はカミシニの力を持ち、更に神の力を融合させる事でカミシニに通用する武器となるのです』
『それで神のプライドを捨てろって事かよ?』
『我々は貴方と違うのです。カミシニに一矢報いるためには我々神もプライドを捨て、悪魔の力を使わなければなりません!それが私達の勝利を!失った仲間達の弔いをする唯一の…最後の手段なんです。それにカミシニのデッドマンを捕えたのもこの武器のお陰なんですよ?』
俺には返す言葉がなかった。カミシニの力を持つ俺には…。そう。たとえ力を持った神々が集ったとしても力が通用しなければ無駄死にするだけなのだから…
『私はもう戦いに飽き飽きなんですよ~!好きな事をして、好きな実験して、好きな漫画を読んでいたいのですよ~?だから神を狩るなんて血生臭い事はもうポィしたいのです。わたしは~そのために…』
そのために?
『我々カミシニに神々を殺すように強制するカミシニの王が邪魔なんですよ~はい!』
確かにクローリーって奴の事は神々にも有名であった。
道化のクローリー…
何を考えているか解らない意味不明なカミシニ。
カミシニの仲間内からも気味悪がられていた事はクシナダからも聞いていた。
侮れない異端者。
だが、俺はあのクローリーって奴はどうも信じられなかった。
野郎は必ず俺達を裏切るに違いない!
俺がそうは、させねぇ!
俺がクローリーの奴を見張るしかねぇな…
そして、さらにインティは驚くべき事を告げたのだ。
『私達はカミシニを相手に恐れる事はありません!私達は絶対に負けはしません!何故なら私達には神を導きし救世主がついているのだから!』
…何?神を導きし救世主だと?
すると、インティの傍らに先程から見かけなかったギルが正装をして現れる。
まさか!?
『神であって、人であり、人であって、神でもある。
そう!このギルガメッシュこそ、真の神を導きし救世主なのです!』
一斉に神々が興奮したかのように、雄叫びをあげ歓声をあげる。
はぁ?どういう事だ?
ギルの奴が神を導きし救世主だと!?
そんな状況の中、大陸に迫りし者達がいた。
『ちょっと!転生!まだ着かないの?』
『そうですね~私の眼鏡に入るだけでも五万以上はいますね~?』
それは空を飛ぶ巨大な蝙蝠の背中に乗った、カミシニの転生と輪廻であった。
『世界各地にいるカミシニ全てに召集かけましたからね?【来なきゃ殺しますよ?】ってメッセージ付けたら、皆さん喜んで集まってくれましたよ!』
『あ、そう…』
『それに我がマスター(アライヴ)を、いつまでも寝たきりのままにしている訳にもいきませんからね?』
『でも、こいつ達雑魚ばかりじゃない?』
《雑魚とは何よ!私だっているわよ!》
『はぁ~?』
それは、輪廻の持つ香水の中に入っているホムンクルスの声であった。
『あんた…使えないじゃん?』
《キィッーー!!失礼しちゃうわ!!》
『まぁ、新たに賢者クラスに昇格した者達もいますし、大丈夫じゃないですか?』
『あの不気味な奴?確かに奇妙な力使えるのは美味しいけどね!』
その者とはクローリーが二人に連行させたカミシニの女だった。
冥土マリア…
メイド服の不思議な女。
その能力は過去に死んだカミシニの強者達を甦らす力!
ネクロマンサーなのだ。
マリアは神々に殺されたカミシニの猛者を甦らせ、この戦場に参戦させたのだ。
『あら?昔、見た連中がいるわ?』
『懐かしい顔ぶれですね?』
転生と輪廻の後に続く巨大な蝙蝠の頭上には、冥土マリア合わせ七人のカミシニがいた。
『あれが新しい七賢者なわけ?』
『そのようですね~』
『ふ~ん』
『何人か復活を遂げて少々若返っているみたいですね?けど頼もしい限りです』
『まぁ、最後は私とあんたで全滅させれば良いのだけどさ』
『わぉ!張り切ってますね?輪廻!でも、あんまし神達を甘く見ない方がいいですよ?今回の相手は最高神レベルの強者ばかり!あのデッドマンさんですら返り討ちにされてしまったのですからね?油断大敵です!』
『あんたに言われるまでもなく、解ってるわ!』
『フフッ…なら、良いです』
その時、新たな存在に二人は気付く。
『あんたらだけで楽しまないで、私も入れなよ?』
今まで二人に気配を感じさせず、二人の背後にその者はいた。
その者は金色の髪を靡かせ、仮面を被った女のカミシニであった。
その仮面の内に見えるエメラルドグリーンの瞳は転生と輪廻を見下ろす。
先に反応したのは輪廻だった。
輪廻は直ぐさま飛び出し、
『お姉~様ぁ~』
その者に抱き付いたのだ。
そして転生は女カミシニに対いて呟く。
『嫉妬…最初のカミシニ…ですね…』
最初のカミシニ?
嫉妬のジェラ?
彼女は古き一番最初のカミシニであり、リーダーのアライヴよりも格上とされていた。
『アライヴが神に捕まったんだってな?』
『はい。ジェラ姉様』
『全くだらしないねぇ…せっかくカミシニのリーダーにしてやったんだから、しっかりしなよ』
転生はニコリと微笑みジェラに答える。
しかし主を悪く言われて多少感情に殺気が見て取れる。
『アライヴ様は必ず私が連れ戻します』
『あんた?殺気ビンビンだよ?』
『申し訳ありません。私、嘘が苦手なもので…』
『ちょっと!転生!お姉様に失礼よ?』
輪廻と違い転生はジェラに好意的ではなかった。
転生にとってのリーダーはアライヴだけなのだから。
『まぁ、良いわ?別に嫌いじゃないよ?殺気にまみれた男は?あはは!』
余裕で笑う妖しい女。
ジェラは周りを見回すと、
『見知らぬ連中に面白そうなのがいるね?』
『えっと、あいつらは~』
『新たな七賢者ですね?確か名前は…』
『良いよ?今から死ぬ連中に名前はいらないよ』
ジェラは腰にぶら下げた鞭を手にすると、七賢者に向かって鞭を打ったのだ!
鞭は七賢者に向かって伸びていく!
ジェラの鞭は飛行する巨大蝙蝠を無惨に切り裂いた…
そして乗っていた七賢者は?
『ほぉ~』
『ふ~ん』
七賢者は一人も欠ける事なく、転生達の乗る巨大蝙蝠に飛び移っていたのだ。
『控えさせていただきます。初のお目にかかりますジェラ様!我等、七賢者の…』
『良いよ?私が名付け親になってやるよ!』
すると、ジェラは七賢者の一人一人に新たな名前を与えたのだ。
涅槃 六道 浄土 帰依 無想 冥土、戒律、
『お前達はこれからそう名乗りな?良いね?』
七賢者は顔を見合せながら頷いた。
『お姉様はいつも名付けるんだから~』
『しかし名は人を強く表すと言いますが、あの者達の個性をしっかり見極めてますね…』
『私達の名前もお姉様の趣味だし~!・・・ん?』
輪廻はジェラを見ると、ジェラは面白い玩具を見付けたように七賢者の一人を指差し命じる。
『お前、私直属の配下になりな?良いね?』
ジェラが名指ししたのは七賢者の無想だった。
無想は無言でジェラの背後につき、膝を付く。
すると無想の後に99人の部下が姿を現した。
『我等百名、貴女の配下にくだります』
無想の瞳は左右の色が違かった。
薄白い肌に髪は銀色の…まるで妖精のような集団だった。
その腕にはNo1と刻まれた刺青が見えた。
そして他の七賢者もまた一癖二癖ある者達…
ジェラは冥土マリアの前に近寄ると問う。
『面白い能力だな?一度、死んだカミシニを甦らすなんてな?まさにチートだよ?誰でも甦らす事が出来るのかい?』
『…………』
『ジェラ姉様が聞いてるんだから、ちゃんと答えなさいよ!』
『私が甦らす事が出来るのは500年以内に死んだ者で、生きる事に未練がある者達だけです』
それはクローリーの隠れ家での事だった。
『さぁ?マリア君。彼を呼びさましなさい!』
クローリーの目の前で冥土マリアは死者のカミシニを甦らせる儀式を行った。
それは世界各地で起きた!
大地から血が浮かび上がって集まっていき、世界各地の死者のカミシニが次々と甦ったのだ。
それは蚩尤が率いていたカミシニの能力を持つ部下達も同じだった。
次々と生き返り、世界各地へと解き放たれたのだ。
ただ例外もあった。
卑弥呼に水晶の中へ封じられた蚩尤は目覚める事はなかった。
そして、
『君が甦ってくれて嬉しいよ?古き友人だから一番に目覚めて欲しかったんだ。それに君の頭脳を私に貸して欲しい』
クローリーの前には…
あのホーエンハイムが立っていた。
『君は何故私を甦らせた?死者の生死をも弄ぶ君が他に私に何を望むのだ?私はもう天命を全うし眠りにつきたかったというのに!』
『それがね?君の力がどうしても必要だったんだよ?いや?君にしか出来ないと思っている』
クローリーは言った。
倶利伽羅の王の一人が自分の手の内にある。
だが、一度死んだ彼はいくら甦らそうとしても目覚めないのだと?
まるで生き返る事を自らの意思の力で阻んでいるかのようだと?
だが、倶利伽羅の力を持つこの者を捨てるのは惜しい。
どうしても手に入れたいのだと…
『君に出来ない事が私に出来…』
が、ホーエンハイムは自分の目を疑った…
『まさか…お前!』
その王とは…
(…ぜ…ゼロなのか?)
・・・・・・・・・。
『生き返る意思のない者は生き返れません』
『そうか?まぁ良いよ?戦う意思のない弱者は不要だよ』
そして集いしカミシニの軍隊を率いて、神達の待つ神都へと進軍する。
『この者達の中から我と同じ倶利伽羅の王に成長出来る事を切に願うよ?あはははは!』
倶利伽羅の王…
カミシニを支配する最高の王の証。
現在、アライヴ、デッドマン、転生、輪廻…それに嫉妬のジェラが存在する。
(※実はクローリーとバサラ)
倶利伽羅の王はカミシニの力を覚醒させた者にのみ出る特別な力。
その者には必ず、身体のどこかに竜のような刺青が浮き出すのだ。
だが、その数は十二人と言われていた。
転生は眼鏡の曇りを拭き取ると、
『では、神狩りの時間です…』
今、まさにかつてない神々とカミシニ達との生き残りを賭けた戦いの火蓋が切って落とされようとしていた。
だが、この戦いは…
実はある強大な力を持ちし者の手により、仕組まれていたという事は…
まだ、誰も知らない…
《さぁ…私の掌で回るが良い…神もカミシニも、全て私を楽しませる道化に過ぎないの…
これは啓示なり!決められし未来で、生き残れる種族は一方のみ…
クスッ…さぁ、足掻いてみなさい?神とカミシニよ!
我こそ超越者なり…
混沌の…………》
この戦いもまた、世界の存亡に関わるのか?
暗躍する者の正体とは?
ギル少年は本当に救世主なのか?
更にクローリーの思惑は?
未だ目覚めぬカミシニのリーダーアライヴは?
また、デッドマンは?
そして、スサノオはこの聖戦より生きて戻れるのか?
この戦いの行方もまた、いずれ語られる物語…
世界は今、混沌に向かっていた。
次回予告
三蔵「おいおい!俺がいない場所で勝手に物語勧めるんじゃねえよ!」
声「大丈夫じゃない?」
三蔵「はっ?誰、お前?」
声「なんとかなるわよ?多分さ?万が一何か不都合起きるようなら・・・」
三蔵「ようなら?」
声「私がぶん殴ってやるんだから~!」
三蔵「お前は一体、誰なんだよ~??」




