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聖輪奇聞・転生記!~神を導きし救世主~  作者: 河童王子
神を導きし救世主!
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地獄の業火!光と闇の狭間で・・・

絶望の末、ついに三蔵の魂は闇に導かれる。


そして三蔵の身体は漆黒の炎に包まれたのだ。


俺は三蔵…


三蔵三蔵三蔵三蔵三蔵三蔵三蔵三蔵三蔵三蔵三蔵三蔵三蔵三蔵三蔵三蔵三蔵三蔵三蔵三蔵三蔵三蔵三蔵三蔵三蔵三蔵三蔵三蔵三蔵三蔵三蔵三蔵三蔵!!



俺は絶望の果てに…

謎の声の誘惑に身を任せて、俺である事を棄てた。

俺の魂が闇に沈み、その先で無意識に発した言葉は…


『転生変化唯我独尊…』



その直後、壁に張り付けにされていた俺の身体が漆黒の炎に包まれたのだ。

突然の炎に驚いたのは蚩尤の方であった。



『何だ?この炎は?まさか三蔵に不動明王の力が蘇ったと言うのか!?』



蚩尤は身体から触手を伸ばすと尖端が硬化し、黒き炎に包まれた俺に向けて突き刺す。

俺は無抵抗に張り付けにされたままだった。

身動き出来ない状態で数本の触手が俺の胸に突き刺さる。

カミシニの能力は神力は無効化されてしまうのだ。



『ふっ…取り越し苦労だったか?』



が、見ると蚩尤の触手が焼き焦げて消滅しているではないか?



『何だと!?これは不動明王の炎なんかではない!この黒き炎の邪悪な力は何だ!?』



邪悪な神気を発する黒き炎は蚩尤の触手に絡み付くように燃え移る。

まるで蚩尤の身体に食らいつくように。


『ヒィイ!』



蚩尤は自らの触手を切り離すと触手は黒焦げになって消滅した。


「黒き炎…」



同時に黒き炎に心当たりがある事を思い出したのだ。

俺の身体は黒い炎の渦に包まれ、身体中に血のような赤い紋様が浮かび上がる。

そこには黒い炎に包まれた漆黒の鎧を纏った武神(俺)が立っていた。



『フゥーーーー!!』



蚩尤は変わり果てた俺の姿に驚愕し、身動き出来ないでいた。


『おっ・・・お前の!?その姿は!』



その姿を見た蚩尤は思い出したのだ。



『お…俺は遠い昔、俺が産まれし時代で見た事がある!だが、有り得ない…有り得やしない!お前があの…あの…!!』




すると蚩尤の身体から再び触手が伸びて分裂すると、新たな魔物が二体現れる。

それは炎を纏った神狼と氷を纏った神狼であった。



『俺は銅角!』


『俺は獄狼!』



二体の魔物は今までの魔物とは別格の妖気を持っていた。

俺は無言で振り上げた掌から漆黒の炎の剣が現れる。

俺は襲い掛かる二匹の魔物に剣を振り下ろすと、漆黒の刃から放たれた黒い炎が二匹の魔物を一瞬にして消し去ったのだ。断末魔をあげて消える魔物。さらに、その黒炎は蚩尤の周りを囲み逃げ場を奪っていく。


『まさか本当に?黒き炎は地獄の炎…かつて、その地獄の炎を操る魔神がいた。そいつは…俺がいた時代の最高神が一人……』



蚩尤は怯えていた…


それほど、俺の姿に畏怖していたのだ。

蚩尤は過去に俺のこの姿と出会っていたのだ?



『お前があの…地獄の王…閻魔天だと言うのかぁああ!!』




断末魔に近い蚩尤の叫びを無視するかのように俺は獄炎の剣で脳天から両断していた。


『アギャアアアアア!』



『お前は俺を知っているのか?ならば解るだろ?俺を前にしたら、行く先は地獄だと!』



蚩尤の身体は漆黒の炎に飲み込まれ消滅した。

がっ?灰が集まって来て蚩尤の身体は徐々に再生していく?



『良いぜ?何度でも甦ればよいさ?そしたら俺が何度でも殺して!殺して!殺してやる!自分自身の再生力を呪い、生き返る度に幾度と八つ裂きにされる苦しみを知れ!俺がお前に無限地獄を味合わせてやろう』


「ナメるな!閻魔の姿を模したからと俺をみくびるな!」



蚩尤は六本の腕にカミシニの血で造った武器を出現させる。



「カミシニの血に対して神の力は無効!!その姿もろとも消滅させ…」



その瞬間、漆黒の閃光が煌めいた?

同時に蚩尤の六本の腕が地に落ちたのだ。


『えっ?』


『たとえ如何なる力を持った武器を持とうとも、使い手が武器に頼った実力では宝の持ち腐れだ!』



腕の付け根から血が噴き出し、悶絶する蚩尤。


『うぎゃあああ!』



たとえカミシニの血を持っていようとも、再生力があろうとも怪我をすれば痛みは生じる。しかも俺の瞳には再び力が発動していたのだ。


金色の魔眼の力が!?

それは閻魔の野郎が俺の潜在能力から引き出したのか?


そんな蚩尤を俺は無慈悲に一刀両断に斬り裂き黒い炎が奴の身を焦がした。


それでも再生する蚩尤。


降り下ろす俺の刃!


何度も何度も!


繰り返し殺し続けていく残虐な俺に蚩尤は…



『ウギャアア!熱い!熱い!苦しい!痛い!止めろ!止めてくれぇー!』



恐怖に泣き叫んだのだ。

圧倒的な力の差は、逆に俺の方が邪悪な存在に見えるくらいだった。

逃げ惑う蚩尤は頭を抱えながら、涙を流して疼くまっていた。


泣き叫べ…


恐怖しろ!


俺は薄ら笑いを浮かべながら、蚩尤を幾度と幾度と殺し続ける。



『こんなもんじゃない!こんなもんじゃ!足りやしねぇ!』



その姿はまるで獣?


いや、鬼か悪魔か?


どうでもよい…


俺はただコイツを殺して!殺して!殺し続けて、この胸の渇きを…

怒りを!悲しみを!ぶつけ続けるだけだ!


甦る蚩尤の顔を掴み、見下ろしながら潰す…

再び甦る奴の首をもぎ取り、蘇る度に残虐さが増していった。


早く再生しろよ?

早く殺させろ!

早く!早く!早く!

殺させろよぉおおお!!



三千院の仇!大徳の仇!


バサラの仇!蛇塚やアータル!総本山の仲間達の…


そして卑弥呼…法子…


キサマは俺が愛した者達を奪った仇なんだからなぁ!




俺の魂は次第に汚れ、薄黒く闇に染まっていく…


このまま闇に染まり…


俺の方が無限地獄に堕ちても構わない…


俺は…俺はぁーーーー!!


その時だった。


再び甦る蚩尤に俺は剣を突き刺し串さしにする。

すると、次第に蚩尤の身体が小さくなっていったのだ?

まるで、子供のように…

何だ?そりゃ?そんなんで俺が躊躇すると思うか?


見た目に騙されると思うか?

しかし俺が再び剣を突き刺そうとした時、俺の頭の中に何かが流れ込んで来たのだ。


これは!?


それは幼い蚩尤が父親らしき魔神に殴られ、身体を幾度と傷付けられるビジョンだった。


虐待?


『忌まわしき子供!貴様は生まれるべきではなかったのだ!』



父親の言葉に、幼き蚩尤は泣きながら怯えていた。


「ごめんなさい!ごめんなさい!許して!許して!お願いします!何でもするから僕を殺さないで…(お父様…)」


…ガァ!


その時、俺は幼い蚩尤と、かつての幼い自分自身とが被って見えたのだ。


蚩尤!


お前は俺と同じく虐待にあっていたのか?


一瞬、俺に情がわく…が、直ぐに頭を振り…



『コイツは仇だぁ!三千院やバサラ!大徳達を殺したんだぞぉ!』



震え怯える蚩尤に、再び剣を構え振り上げるが、そこで俺は止まっていた。


それでも…それでも俺に止めろと言う…のか…?


今のは、お前が見せたビジョンなのか?


俺は涙を流し、振り返った先には…




『なぁ?卑弥呼…』



そこには、幽体の卑弥呼が立っていた。

そして卑弥呼は俺に頷いた。


『出来ねぇ!』



俺の怒りは止まらなかった。



『無理だ!コイツ(蚩尤)はやってはいけない事をしたのだぞ?理由なんか関係ない!コイツは生かしてはいけねぇ!ここで死ぬべきなんだぁ!』



再び振り上げる剣…

だが、血溜まりに映る俺と蚩尤の姿は…


『!!』


かつて俺を虐待していた父親と自分の姿と、被って見えた。


俺は…俺は…


俺は膝をつき、地面をたたき付け叫んだ。



『俺はどうしたら良いのだぁ!俺には許せねぇ!俺にはそんな慈愛なんて持ち合わせてなんかいねぇ!そうじゃなきゃ…死んで逝った奴達にどうやって償えば良いんだ?解らねぇ…解らねぇよぉーーー!うわぁあああああ!』



次第に俺は止まらずに溢れ出す涙を抑え、泣き叫ぶ。

すると、俺の背中に温もりが伝わって来たのだ?


優しく暖かい光が…


俺が幾度と死にかけ、苦しい時に…


いつも陰ながら守り、癒してくれていた卑弥呼の光が俺を抱きしめたのだ。



卑弥呼…


俺は涙を流しつつ瞳を綴じて、その温もりの先にある卑弥呼の手に自分自身の手を被せながら、卑弥呼の存在を感じる…



『なぁ…卑弥呼?俺はどうしたら良い…?


俺はもう疲れたよ…


俺も、お前達と一緒に連れて逝ってくれないか?』





だが、卑弥呼は優しく首を振った。

卑弥呼の光は俺を包み込むように抱きしめ俺の魂を癒していく。

闇に染まった魂に光を注ぎ込む。

気付くと俺の姿は、元の姿へと戻っていた。



『俺に許せと言うのだな?それが、お前の望みなのだな?』



頷く卑弥呼に…


『解った…』



俺は卑弥呼の願いを受け入れたのだ。




『そんな勝手な真似は許さんぞ?お前は俺に身を明け渡したのだろ?お前の身体は既に俺のものだ!』


「!!」



その声の主は俺?いや?


閻魔三蔵だった。



「悪いが返して貰うぞ?俺はもう迷わねぇー!俺は俺だ!!」


『フン!ならば力ずくで奪い返すのだな?人間であるお前に出来るものならな!』


「あぁ…やってやるぜぇーーー!!」



俺の光の覇気と閻魔三蔵の闇の覇気がぶつかり合う。

だが、奴の力は俺の力を上回っていた。

次第に闇の覇気が俺に迫り来る。

俺は両手を前に突きだし闇の覇気を押し止めた。

だが、その力は俺の身体を蝕み始めていく。

徐々に身体が黒く…染まり始めたのだ。



「負けられねぇ…」



その時、俺は自分の手に温もりを感じた?

俺は直ぐに解った。

俺の隣に卑弥呼がいる!

卑弥呼は俺の手に己の手を添えると、金色の光を放ったのだ。



「三蔵…貴方は私が守ります!」


「ありがとうよ?卑弥呼…共に力を合わせよう」



俺達の放つ金色の光は押し寄せる閻魔三蔵の闇の覇気を押し返していく。



『いっけぇえええ!』『ハァアアアア!』



光は闇を消し去り、目の前の閻魔三蔵の身体が消えたのだ。


『………』



えっ?その時、俺は消え行く閻魔三蔵が呟いた言葉を聞いた。


奴は言った…


『お前逹に未来を託すぞ…』



俺は思った…


奴もまた…救世主だったのかもしれない…と…




気付くと俺は再び己の身体に戻っていた。

すると卑弥呼が俺から離れて光になって浮かんだのだ。

その先には蚩尤がいた?


「卑弥呼?」



卑弥呼の光は怯えてうずくまる蚩尤の元に向かうと、蚩尤の隣には見知らぬ少年の霊が立っていた。そして卑弥呼の記憶が俺に告げたのだ。



それは大徳が死に際に伝えたかった事…


蚩尤にトドメをさすのを躊躇した理由…


それは蚩尤の魂の中に、この少年の魂の存在に気付いたから…


この少年はかつて蚩尤に喰われた特種体の少年…


蚩尤は昔、その少年の持つ特別な能力を手に入れるために少年を襲った。


少年を喰らう事で能力を奪ったのだ。


この少年の能力とは、超再生を持つ不死身の力だと思われていた。

蚩尤ですらそう疑わず、その能力を見誤っていた

だが、違ったのだ。


さらにそれは、バサラの死に際に見たビジョンで、その能力の片鱗を知る事になった。

幾度と甦る蚩尤の能力…


バサラが死に際に解放した倶利伽羅の力で一度は消滅したにもかかわらず、蚩尤は完全復活をした。だが、蚩尤の能力は同じく自滅したバサラの身体をも再生させた。

それはバサラと蚩尤が同じ妖精遺伝子を持つがために、同じ生命として能力が誤作動を生じたため…三千院は戦いの最中にその能力に気付き、己の死に際に卑弥呼へテレパシーを送っていた。


蚩尤は決して死なない…


不死の蚩尤の身体の秘密とは、その少年の能力…


『時戻し』


魂が死を察知した時、本人の意識とは無関係に自分自身の肉体を1分前へと戻すのだ。

つまり再生とは異なる能力なのである。


だから、絶対に殺しても殺せない…


それでは、どうしたら?


卑弥呼は怯える蚩尤の前に跪くと、優しく抱きしめる。


『なっ?何を?』


『もう怖がらないで?もう貴方を苦しめるものは何処にもいません…』


『俺はお前を殺したのに?何故だ?何故…』



すると蚩尤の側には先程の少年の霊も立っていた。



『僕は君の中でずっと見ていた…君は確かに道を間違った…けど、いつもその求める先にあったもの…それは僕達人間と同じ愛への渇望だったんだね?』




産まれながら邪悪な存在として両親に忌み嫌われ、孤立していく幼少時代の蚩尤は、いつしか道を踏み外していった。


誰かに求められたい…

誰かに自分自身を見てもらいたい…

自分自身の存在に気付いて欲しい…


それはいつしか力を求め権力を手に入れる方向へと向いていった。

強さを渇望するのもまた虐待からのトラウマから逃れるがためだ。

が、それは逆に自分自身をより一層孤立させていく事になった。


次第に自分自身が何を求めていたかも解らないまま不老不死となり…


生き地獄を自ら歩み始める事となった…



(俺も道を踏み外していたら、小角や皆に出会えなければ蚩尤のようになっていたかもしれない…)



卑弥呼は、そんな蚩尤と少年を抱き寄せると…

三人の魂は光に包まれながら硬直していき、彫刻のような水晶石と化したのだ。


「ひ…卑弥呼…」



俺は拳を握りしめながら立ち上がると、振り返り卑弥呼が俺に告げたもう一つの危機に向かって足を向けていた。


この総本山には蚩尤だけじゃない…


もう一つ…


別の脅威が迫っていたのだと知ったから!




俺は必ず…


必ず救ってみせる…


だから、安心して眠ってくれ?


卑弥呼・・・


お前の魂はいつも俺と共にあるから…


次回予告


三蔵「卑弥呼よ?俺が来る前にお前の身に何が起きたのだ?


お前ほどの者が安々と蚩尤の手にかかるはずがない・・・


教えてくれ?俺はたとえ、どのような真実であろうと受け止めてやるから!」

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