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聖輪奇聞・転生記!~神を導きし救世主~  作者: 河童王子
神を導きし救世主!
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不動寺院の後継者?そして、悪夢の始まり!

スサノオとクシナダの元を去った三蔵と光明が次に向かった先は?


そこは、三蔵が過去に因縁があった地であった。


俺は三蔵だ…


俺は光明を連れて、とある場所の大層立派な寺にまで来ていた。

俺は、その階段を一歩一歩踏み締めながら幼き日の過去を思い出していた。


(再び足を運ぶ事になろうとはなぁ…)


俺は昔、此処に来た事があった。


その時は、小角と晴明と一緒に…


だが、帰る時は俺一人だった。


一人逃げるようにこの石階段を降りて行ったのを思い出す。




そう、俺はこの場所で…


この寺にて、恩師たる小角を殺してしまった地…


悲しみと後悔しかない…


ここは、そんな場所だった。



寺の門まで着くと、そこには【不動寺院】と書かれていた。


何も変わってはいない・・・


俺達は寺に着くなり、丁重に扱われ中にある客間に案内された。



「あの?三蔵様?一体何が始まるのでしょうか?」


「うん?ああ…直に解るだろう」



そう言った直後に、この寺の主がやって来たのである。



「お待たせして申し訳ございませんでした!三蔵様」



その者は現在、この寺を任されている男であった。


名を『不動大尊』


あの卑弥呼と三千院の父である不動鷹仁が、あの明王の契約にて死ぬ前に書き残していた遺書にて、跡を継がせた男であった。

この男、実力は鷹仁のお墨付きらしいのだが、上に立つ事よりも支える方が向いていると…

この重い役割からどうやったら抜け出せるかと考えた挙げ句、かつて鷹仁ではなく不動明王と契約した少年[つまり俺]に難癖付けて押し付けようとしたのだ。

それがいつしか情報が入り混じり、誤情報が下の者達に伝わり…

鷹仁と小角を殺した犯罪者として俺を討伐する事になっていたのである。

そうとも知らずに俺は、命を狙われ追われる少年時代を送ったのだ。


「…………」


一度会ったら殴るつもりだったのだが、一応俺は座主と言う総本山の頭だから大人気ないな。

役に立っていない、名ばかりの座主だが…



「三蔵殿が直接おいで下さると連絡があった上、全ての用事をキャンセルして参りました!」


「そうか…」


俺は冷たい視線を送っていた。



「三蔵殿~!あんまり恐い顔しないでくださいよ~!昔の事は昔!水に流しましょう……」



…言い終える前に、一発頭を殴ってやった。


「うぐゎあ!!」


悪い奴ではないのだが、調子の良さが腹が立つ。


「で、本題に入ろう」


「はい…」



大尊は光明の姿を見ると、



「その少年が話に聞いた不動明王の化身様なのですね?」


「あぁ!頼めるか?」


「お任せ下さい!不動寺院を任す者が不動明王の化身とあれば、これ以上の理由付け…いや、相応しい者はおりませぬ!」



すると俺と不動大尊の会話の内容に何か疑問を感じ、自分自身が話に関係していると感付いた光明が割って入る。


「ちょっ!さっきから話を聞いていれば、どういう事なんですか?僕に何を任せるって??全然話が解らないですって!」



そして俺は光明に伝えたのだ。


「光明よ!お前は今から、この不動寺院を仕切る長になるのだ!」


「エッ?エッ?エッ?そんな無茶ぶりなぁ~!」



俺はあわてふためく光明の耳元に顔を近付けると、ひそひそ話をしたのである。



「…良く考えても見ろよ?お前がこの寺を戴いてしまえば、孤児院の友達やマザーを養っていけるんだぞ?雨を凌げる住家がタダで手に入るのだぞ?てか、食うに困らないのだぞ?どや!」


「どや!と言われても…突然の事で…僕にはどうして良いのか」


「大丈夫だ!心配する事は何もない!それに、この大尊の奴がお前にいろいろ教えてくれるからな?お前はただ…責任者になれば良いだけだ」


「責任者になるだけって…」


「これは命令だ!さもなくば…」


(この大尊の奴が俺に任せようと、しつこいからな…そもそも俺が座主である事は極秘事情だから理由も言えないし、これ以上責任者なんてまっぴらごめんだ)


「…つまり、マザーに恩返し出来るぞ?マザー喜ぶぞ?マザーの喜ぶ顔を見たいだろ?なっ?なっ?なっ?」


「強引な…」



光明は暫く考えた後、俺に頷き頭を下げながら…



「ふつつか者ですが、どうぞ宜しくお願い致します!」


「お任せ下さい!光明殿!これからは私、大尊が貴方をサポート致しますぞ」


「では、早速マザーと子供達を呼ぶ手筈をしないとな?」


「はい!宜しくお願い致します!」



これで、問題解決だな…


良かった!良かった!


その後、マザー達が到着するまでの間、俺は光明に修業をつけてやっていた。



「過剰に力を出さずとも良い。お前の中の不動明王の力と、お前自身の魂を一体化する事をイメージするのだ!」


「はい!」


『ナウマク・サマンダ・バザラ・ダン・カン!』



その直後、光明の身体から炎が噴き出し包まれたかと思うと、姿が明王の姿へと変化したのだ。



『それが明王変化だ!光明!』



「おぉ!まさしく我が寺の本尊!不動明王のお姿ではないか!」



驚く大尊を横目に、俺もまた驚いていた。

まさか、本当に『明王変化』を身につけるとはな~

流石は不動明王の転生者と言うべきか?


後は、俺との『分魂の術』だけだな…


『分魂の術』とは光明の持つ不動明王の力を俺に分け与える術である。

それが成されれば、再び俺に不動明王の力が手に入るのだ。


だが、そっちの方は思った以上に成果を見せなかった。


光明から不動明王の魂が抜け出して、俺に近付く直前で弾き飛ばされるように光明の中へと戻されてしまうのである。



(何故だ?まさか、俺は不動明王に嫌われているのか!?そんな馬鹿なぁー!)



と、悪戦苦闘している俺なのだが他の連中はどうやったのだか?








その頃、場所は変わり…


再び中国遺跡調査に向かっていた大徳とバサラ


「まさか、こんな事が!」


「どうする?総本山に戻るか?それとも進むか?」


「向かおう…このまま戻れば、直に………」




一体、二人の目の前で何が起きているのか?


俺は知らないでいた…


更に、これから起きる惨劇の火蓋が切って落とされようとしていたなんて…


最初に気付いたのは、光明であった。



「三蔵様!いかがなされたのですか!?」


「ん?どうした?」


「どうしたって…」



その時、俺は気付いた。

俺の目から無意識に流れる涙を?


「何だこりゃ?」


その直後だった!

突然、寺が揺れ始めたのだ。


「地震かぁ!?」


「そのようです!」



同時に慌てて大尊が俺達のいる道場に入って来て、俺に向かって叫ぶ。



「三蔵殿!大変でございます!空を見て下さい!」


「空をだと?空に何が起きていると言うのだ?」



俺と光明が寺から飛び出して、空を見上げたのだ。


「あれは!?」


「一体、何が起きているのだ!」



空には妖気を纏った巨大などす黒い雲が立ち込め、一直線上に何処かに向かって進んでいるようであった。


「あの方角は、まさか?」


とても嫌な予感がした。

そして、数人の修行僧が俺達の所に集まって来て、直ぐさま報告が入る。



『大変でございます!そ!そお!総本山がぁ!総本山が何処からか現れたのか解らない魔物の大群に襲撃を受けているとの事でございます!』







…何だと?


今、何と言ったのだ?


総本山に何が起きているって?


総本山では今、卑弥呼と法子がいるのだぞ?




「光明、俺は今から総本山に戻る!」


「なら僕も!」



だが、俺は光明を制止し一人で向かった。


「さ…三蔵様…」



俺は己の足に気を集中させると、全身に気が覆われる。


『ウォオオオオオ!』



そして、一瞬でその場から飛び上がり消えたのだ。


俺は翔けるように、総本山に向かって行く…





『待ってろよ!皆ぁああああ!』


次回予告


三蔵「一体、総本山に何が起きたというのだ?皆は無事なのか?

卑弥呼!法子!

ナウマク・サマンダ・バザラ・ダン・カン!

俺が行くまで待っていろよぉぉおお!」



次話より、怒涛の三蔵編最終章!!

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