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聖輪奇聞・転生記!~神を導きし救世主~  作者: 河童王子
神を導きし救世主!
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久しぶりの再会?かつての戦友!

謎の少年ギル、そして彼が予知した未来には三蔵と卑弥呼の娘の死を見ていた。


その頃、三蔵は?


俺は三蔵だ!


俺は今、不動明王の転生者である少年の光明と一緒に旅をしていた。


と、言うのも…


俺は不覚にも三千院から明王分魂の術を学ばずに旅に出てしまったからなのだ。

転生者に出会えばどうにでもなると思い込んでいたぜ…不覚だ。




それはそうとして話は遡る事、俺が月読を倒した(逃がしたが…)後から続けよう。

俺達は戦いの余波で崩壊し、崩れ落ちる孤児院を眺めていた。


冷や汗が頬を流れる。


「すまないなぁ…マザー?」


「いえ、子供達が無事でいた事が一番の幸いです。三蔵様」


「だが、これでは生活がままならないだろう?せめて住める場所があれば」




そこで俺は閃いた。

俺はペンとメモ紙をマザーから借りると、そこに俺の知る友人の寺の住所と紹介状を書き記し、マザーに持たせたのだ。


「紹介状を書いた。ここに行けば、後の事は安心出来るはずだ」


「何から何まで、本当にありがとうございます。三蔵様!何てお礼をすれば良いか…」



だが、マザーの目は悲しい目をしていた。

何故なら、この戦いで生き存えた子供達は、長く生きられない運命に変わりないからだ。

カミシニの血と神の血は反発し、強力な力を手に入れる代わりに寿命を縮めてしまうのだ。


マザーは唯一、その特種なケースで今まで生きて来たが、代わりに今度は力を失った。

それでも自分の血を研究し、投薬を造り、子供達がカミシニの血に汚染されないようにして来たが、それも子供達の成長に連れ限界にまで来ていたのである。

少しでも子供達には長く生きて、幸せを感じて欲しいと願い今日まで研究していたのだ。



「少しでもこの子達のために生きていこうと思います」


「そうか…そもそも俺と、そのガキ達…じゃくて!子供達とは同じような境遇だからな。言ってみれば父親みたいなもんだ!そもそも俺も神の力と(今は消えてるが…)カミシニの血を合わせもって……」


(アッ!)


俺は自分自身の言葉から肝心な事を思い出した。

そして、マザーの肩を掴み


「子供達を助ける手段があったぞぉー!!」



と、突然の俺が叫んだから、目を丸くするマザーに俺は説明した。


『神転血』なる術を!


それはカミシニの血を反転させる裏技的な秘術で、その血の呪いを受ける事なく力のみを手に入れるのだ。だが、それには八百万の神[ヤオヨローズ]のクシナダしか使えない特別な秘術。


…そんな訳で俺は新たな旅を始めたのだった。


今、向かっている目的地はかつての戦友がいる。

そう!あのスサノオのいるヤオヨローズの隠し拠点。



(そういえば、健御雷とヤオヨローズ紅蓮隊の連中は他のヤオヨローズの生き残りを探すべく先に旅に出たんだったな)



「三蔵!世話になったな?スサノオの奴に会ったら宜しく伝えてくれや?」


「あぁ!伝えておいてやるよ!」



で、俺もその後間もなく光明を連れて旅に出たのだ。



「三蔵師匠?そのスサノオさんは私と同じ神の転生者なのですか?」


「まぁな?」


「そうなんですか…何か会うのが楽しみです!」



さて、この光明なのだが…

旅の間、暇だった事もあり、修業をつけてやっていた。

正直、恐ろしいくらいの吸収力だった…

教えた法術や武術を、難無く身につけていく。

天才?三千院か晴明並か?

それに、最初会った時とは違い、見違えるほど俺に従順になっていたのである。


ガキは調子良いなぁ…


俺がガキの時は、もっと…


悪ガキだったかな~?



さてさて、俺は定期的に光明の魂[不動明王]と対話を試みたが、全然『分魂』出来なかった。


(…何故だ?対話ではないのか?他に必要な契約が必要だとも言うのか?三千院の送って来た式神から聞いた話だと、大徳やバサラは既に契約を果たしたと聞いたが?まさか俺、素質ない?)



すると、光明が俺に聞いてきた。


「ところで、どうして歩きなのですか?」


「修業のためだ!」


「さすが三蔵師匠!もう一つ質問なんですが、どうして同じ町や同じ道を行ったり来たりしているのですか?」


「修業のためだ!」


「さすが三蔵師匠!もう一つ質問なんですが、どうして地図を見ないのですか?」


「読めな…いや、その、つまり、修業だ!」


「お師匠様!さすが過ぎます!」



…………………。



「そういえば光明よ?俺の事は三蔵…様で良いぞ?師匠と呼ばれると、何故かこちょばゆいからな?」


「そうですか?では、三蔵様!」


「うむ」



昔、小角が俺に同じ事を言ってた事を思い出した。

弟子は師に似るとは、この事だと悟る俺であった。


で、俺と光明は…


スサノオのいる地へと辿り着いたのだった。






そこは、岩手県遠野…


俺と光明は人が入り込めないような深い山道を登っていた。


「三蔵様?この山に何があるのですか?」



光明の問いに俺は足を止めて、前方に見える大木を指差した。

そこには特別な俺達にしか解らないであろう、外界から閉ざされるように結解が張られていたのだ。俺は昔、スサノオに教えられた印を思い出す。



「結解ですね?では、ここが?」


「うむ」


俺は結解解除の印を結ぶと目の前にあった結解に穴が開き、俺と光明はその中へと入った。



「驚かないのだな?」


「えぇ…マザーの孤児院にも似たようなのがありましたから…」


「そうだったな…」



しまった…

俺が壊したのだった。


そのためにヤオヨローズ愚連隊の連中や月読が入り込んだった。

俺は動揺を隠すように平静を装った。



その時だった!

突如、俺と光明に向かって攻撃的な殺気が向けられたのだ。


「さ…三蔵様!?この殺気は?」



何者かの放たれた殺気は凄まじい重圧で俺達を押し潰し、光明は立っているのもやっとの状態であった。俺は光明に視線で殺気の方向を知らせると、その方向に向けて殺気を打ち消す気当たりを放ち返した。

一瞬静まり返った後、大木の向こう側からその主がこちら側の様子を窺っていたのだ。


(来るか!?)


相手の姿は見えないが、その気から手にした剣を構えているのが解った。

俺も掌に力を集中させ、『降魔の剣』を出現させる。

一瞬の静けさの後、俺達の気から解き放たれた一匹の鳥が大木から飛び去った羽音と同時に、俺と殺気の主は同時に飛び出していた。


殺気の主の凄まじい突進の勢いで手にした剣を振り払って来ると、俺も負けじと剣を振り払い返す。それは俺達の視界をも塞ぐ大木をもお構いなしであった。俺達の振り払った剣は大木を切断し消し飛ばしつつ、その威力は弱まる事なくぶつかり合った。


「!!」


凄まじい衝撃が身体中を巡り、同時にその余波は俺達を中心に弾けた。

大木が俺達を中心に轟音を立てて倒れ、爆風の中、吹き飛ばされないように大木にしがみつく光明は俺の戦いを目に焼き付けていた。


「すっ…凄い!これが三蔵様の力なのか?」



俺と攻撃して来た主は剣を引くと同時に、再び斬激を繰り出す。

お互いの剣が弾かれ、再び突き出し、振り払い、ぶつかり合う!


(グッ!痺れるぜぇ~)



だが、相手もまた俺の力に驚きを感じていた。


『てめぇ?何者だ?どうやってこの結解の中に入って来れた?何が目的だ?話によっては俺がお前をぶち殺す!』



そいつは大徳に負けぬ程のガタイで、俺を見下ろしていた。

だが、俺はそいつの声を聞いて確信したのである。


間違いない…


この声!この力量!


このムカつく台詞!



「久しぶりだな?スサノオ!」



スサノオの奴は突然名前を呼ばれて攻撃の手を止める。



「あん?誰だ?てめぇは?お前みたいな奴に知り合いなんか…」


「ひでぇな?三蔵だよ!三蔵!忘れるなよ?戦友をよ」


「…さんぞう?」


『…………………』



俺達の間に沈黙が…


そして、走馬灯の如く昔の記憶が巡り、辛く激しく壮絶だった戦いの記憶が廻る。



「三蔵だと?てめぇ?マジにあの三蔵かぁ?」



スサノオは剣を収め近付いて来ると、俺達はお互い握手を交わしたのだった。


本当に久しぶりだ…


それにしても…



「お前、変わらないな?いや、全然?」



確かにスサノオの容姿は昔見た姿と何一つ変わってはいなかった。


転生者だからか?


が、スサノオは逆に俺に言ってきたのである。




「お前、老けたな?どうりで気付かなかった訳だ!アハハハハハ!」


「うるせぇ!」


「あの~三蔵様?この方がスサノオさんでしょうか?」


「あぁ!悪い?そうだったな…光明。こいつがスサノオ!八百万の神の転生者だ」




その時、スサノオは驚いた表情で俺に言った。



「そいつ…お前のガキか??」


「ちゃうちゃう!こいつは俺の弟子みたいなもんだよ?まぁ、確かに俺は既に妻子持ちだがな?」


「ハハハ!驚いた…あの三蔵がなぁ…」



が、その後に俺の妻がかつてのスサノオと戦友であり、殴り合いを繰り広げた修羅姫の娘だと知った時の驚きの表情は今でも笑える。



「驚く事ばかりだ…」


「まぁな?俺もいろいろ戸惑ってばかりだよ」


「あのぉ~」



ん?あぁ…!!そうだったな…

俺達はクシナダに術を施して貰えるように、ここへ来たのだったな?

すっかり、忘れてだぜ…

わすれるなよ?

俺・・・



「スサノオ!懐かしい所悪いが、今日はクシナダに頼みがあって来たのだ。クシナダはいるか?」


「あぁ!あいつも久しぶりにお前に会えて嬉しいと思うぜ?」




そう言うと、スサノオは俺と光明を連れて自分の住家へと案内した。


クシナダか・・・懐かしい。


次回予告


三蔵「それにしてもマザーには何か懐かしい感じがしたな~

俺と何か因縁じみた感覚がしていたのだが」


光明「きっと、三蔵様と同じく神とカミシニの血が混ざっているからでは?」


三蔵「そうか?そうなんだろうな?やっぱり?」



この会話が原因で真実は闇に包まれたのだった。

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