表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
聖輪奇聞・転生記!~神を導きし救世主~  作者: 河童王子
神を導きし救世主!
278/424

王様の我が儘?金剛夜叉明王・紫亜!

烏枢沙摩明王の契約者である八神夜叉彦はバサラに何を願うのか?


金剛夜叉明王・紫亜登場!


俺はバサラ…


俺は今、烏枢沙摩明王の契約者である八神夜叉彦に連れられて、その息子である金剛夜叉明王の転生者のいる場所へと向かっていた。


それにしても、夜叉彦が烏枢沙摩明王と金剛夜叉明王を子供に持つ親になろうとは…



「ふっ…正直、俺も驚いたさ!俺から一度は失った明王と、新たに手に入れた明王が自分の子供として現れたのだからな!」



夜叉彦は車に乗り、出た腹の肉を摘みながら言った。


「で、俺は何処に連れて行かれるのだ?」


そう…


俺も正直驚いた。


夜叉彦が俺に土下座をした時には…



夜叉彦が言うには、金剛夜叉明王の転生者である息子は、かつて神だった記憶を残しているだけでなく自分自身を『王』と名乗り、父親である夜叉彦ですら手が負えないと言うのだ。



「俺は総本山を降りた後、妻の寺の資金を元手にこの会社を立ち上げてな?今じゃ成り金の大金持ちだよ!アハハ…」


「?」


「その後、暫くして産まれたのが…」


『金剛夜叉明王の転生者である息子の紫亜シア



「紫亜は産まれて直ぐに言葉を話しただけでなく、直ぐに強力な神力に目覚め、父親である俺を手足のように使いやがるんだ!全く、父親として情けない…」


「パシリか…」


「歳を重ねるに連れて我が儘も増し、もう手に負えない!しかも、お前が来る事を俺に教えたのも息子だよ?」


「…………」



神の記憶を残した子供か…

転生者には稀に産まれて直ぐから記憶を残している者もいると聞くが、少し厄介だな…



そして、俺が連れて来られた場所は東京ドームの地下にある隠し施設だった。

そこには、遺跡と見間違うほどの柱や彫刻が施されていた。


「ここは?」


「息子の命令だよ!どうも転生前に住んでいた王宮に似せたいらしい…」



確かに何処かの王様が住んでいるような雰囲気だ…


そして、王室の間らしき場所にそいつはいた。

黄金で出来た豪華な椅子に座って、褐色の肌をした気品のある少年が俺を見下ろしている。



『お前か?夜叉彦が言う契約者と言うのは?』



紫亜の存在感は確かに人間離れしていた。

夜叉彦の奴は「父親を呼び捨てしないで…」と涙目になっていた。

俺も言葉を選びつつ答えた。



「用件だけ言う。お前の中にある明王の力を俺に分けて貰いに来た」


すると、


『貴様!王に無礼であろう?』



紫亜の振り下ろした掌から、凄まじい神気の重圧が俺達を押し潰す。


『ほぅ~貴様、本当に人間か?』



俺は重圧に押し潰される事なく、立ち上がったのだ。


多分、妖精遺伝子…


いや、俺に流れるカミシニの血が神の力を無効化させてくれたのだろう。


『!!』



瞬間、俺は紫亜の視界から消えて、その背後を取ったのだ。

その手には黒い短刀を握り、紫亜の首筋に当てた。


『!?』



だが、そこに紫亜はいなかった?

見上げると、紫亜は飛び上がり俺に向けて手にした黄金の槍を投げ付けて来たのだ。


(躱せない!!)


そう思った瞬間、飛んできた黄金の槍は何者かによって弾かれたのだ。

見ると、夜叉彦がクナイを投げて黄金の槍を弾いたのだ。


「バサラ!加勢するぞ!」



夜叉彦は烏枢沙摩明王の真言を唱えると、その姿が明王と化す。



「ふふふ…既に娘とは契約は果たしていたのだよ!(おねだりには高くついたが…)」


『どういうつもりだ?夜叉彦?逆らうつもりか?』


「お父さんを呼び捨てにしてはいけません!」


『味方が現れた途端に強気になったものだな?』


(確かに、これ以上ない味方だ…)



そのように意気込む夜叉彦を見て俺は黙っていた。


「それにしても…」


「ん?」


「その腹で、明王変化はブザマだな…」


「うるさい!」



そこに紫亜が割って入る。



『フン!父親だと?ふざけるなよ、人間!お前は私の召し使いだろうが?そもそも私をこのような地下に連れて来て、出られないように結解の中に閉じ込めて良く父親とぬかすな?』


「どういう事だ?お前は実の子供を監禁しているのか?」


「バカヤロー!あんな危ない子供を外に出してみろよ?世の中大変な事になっちまうだろうが!」


「なるほど…」



とにかく、あの少年を何とかせねばな…


「行くぞ!夜叉彦!」


「おぅさ!」



夜叉彦は構えると印を結ぶ。


『忍法・木の葉分身!』



夜叉彦の足元から木の葉が渦を巻き吹き荒れて、

その葉一枚一枚が夜叉彦の姿へと変わっていく。


紫亜は凄まじい覇気で、無数の分身を一瞬にして消し去り、夜叉彦もまた壁に吹き飛ばされた。



『フン!そのような手品で、私を止められないのは解っているだろ?』


「あぁ!だが、この技は繋ぎに過ぎないから問題ないさ!」


『?』



そこに、俺が紫亜に向かって突進する。


『速いな…だが、私にとっては虫と同じ!』



紫亜が手を払うと、凄まじい波動が俺の姿を消し去ったのである。


『!!』


が、それは夜叉彦の作り出した俺の分身だった。


(…あの銀髪の男は何処にいった?)


紫亜は気配を探るように辺りを見回す。


「ここだ!」


『!!』


俺は紫亜の頭上から現れて、急降下する。


『馬鹿め!的になるだけだぞ!』



紫亜が黄金の槍を投げつけると俺は次々と手刀で打ち落とした。


(あの男、やはり神の力を無効化させるのか?)



そして俺が紫亜の眼前にまで来た、その時!


『ナメるなよ?人間がぁーー!』



紫亜の身体から黒いオーラが立ち込めて、

目の前の俺に向かって噴き出すように弾き飛ばしたのだ。


「ぐっ…ぐぅう!」



俺は吹き飛ばされながらも、身体を翻し壁を蹴り着地して威力を抑えた。


何て凄まじい力なんだ!?

これが本当に子供の力なのか?

子供の姿をした神の力なのだな。


そこに、壁に潰されて動けない夜叉彦が叫ぶ!


「もう少しだ!もう少しで………」



もう少しで、どうなると言うのだ?

その時俺は、紫亜の異変に気付いたのである。

身体をふらつかせ、額を抑えていた。


そうか!


本来持つ神の力を全開に使うためには、あの幼い子供の器では堪えきれないと言う事か!

つまり成長が己の力で許容範囲を超えたと言う事。

俺はすかさず紫亜の背後に移動し、その隙に…


『おっ…おま!!』



紫亜の頭にゲンコツをしたのだった。


紫亜はふらつきながらも俺に向かって反抗しようとしたので…


更にゲンコツを二発目…


もう一回いっとくか?


三発目で紫亜は気絶してくれた。


思ったより、素直な子供じゃないか…うん。



「もう良い!紫亜が馬鹿になる!」


「そうか?」


慌てて俺の拳を止める夜叉彦に俺は振り上げた拳を下ろした。


「相変わらず容赦ないな?お前…」



その後、目覚めた紫亜は素直に俺と明王の契約を行ってくれた。



『何か悪い夢を見ていたようです…』




紫亜は目覚めた後、以前とは想像出来ないほど素直な子供になっていたと言う。


ふっ…終わり良ければ、全て良しだな。


後に、この出来事が『二重人格の紫亜』と恐れられる問題児になるとは俺の知る事ではなかった。とにかく一件落着のようだな。







別れも告げずに去る俺に、夜叉彦は「二度と来るなよ~」と手を振り見送る中、

俺は総本山に戻ったのだった。


総本山では、既に大徳が契約を果たして俺の帰りを待っていた。

俺と大徳はその足で総本山の三千院の待つ寺院に呼ばれる。

そこには卑弥呼様もおいでだった。



「後は三蔵を待つだけになったな」


「ふむ」


「で、三千院?俺達に新たな任務とは何だ?」



すると三千院は言った。


「戻って早々悪いのだが、お前達二人には再び中国遺跡の調査に向かって欲しいのだ」


中国遺跡だと?



「何か起きたのか?」


「詳しくはまだ解らぬのだが、中国総本山から伝達かあり、新たな遺跡が出現したと連絡があったのだ」


「何だと!?遺跡は俺達が完全に壊したはずだろ?その他にも同様の遺跡があったと?」


「それをお前達に調査して来て貰いたいのだ。頼めるか?」


「問題ない」



本来なら三蔵が戻り次第、再び五人で出向く予定でいた。

しかし事が事だけに急ぐ必要もあった。


「三蔵が戻り次第、私達も駆け付けます。無理はしないで下さいね?」


「解りました。卑弥呼様!」



そして旅支度を終えた俺と大徳は、


「では、バサラ!向かおうか?」


「あぁ!」



再び中国へと向かう事になったのだ。




中国遺跡に一体、何が起きたのか?


俺達はまだ知らない…

次回予告


無事に大徳とバサラは明王の転生者との再契約に成功した。


そこに、まさかの中国遺跡の話?


一体、何が?


そして、大徳とバサラが中国遺跡に旅立った時


総本山にも新たな事件が??

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ