表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
聖輪奇聞・転生記!~神を導きし救世主~  作者: 河童王子
神を導きし救世主!
265/424

鬼のいる孤児院?

三蔵は結解に阻まれた謎の森の中にある孤児院を見つけ、


ちゃっかりと入り込んだのだった。

俺は三蔵だ…


俺は今、カミシニの研究所だった孤児院にいる。

そこで二人のカミシニの女から、この隠れ孤児院のいきさつを聞いていた。


お茶を飲みながら…


そこに現れたマザーと呼ばれる女。

顔も歳もミイラのように包帯で巻かれていてよくは解らなかったが、俺と同じくらいか?

気配から悪意は感じなかった。


「貴女は?」


するとマザーと呼ばれる女は、俺を見るなり硬直していた。


「あの?」


マザーは気を取り直し、俺にお辞儀をし挨拶をする。


「私は…此処ではマザーと呼ばれています。この孤児院の責任者院長しております」


「そうですか…あの、以前何処かで会った事がありましたか?先程俺の顔を見て驚かれていたようだが?」


「いえ…すみません。昔、火事で失った私の子供に面影が似ていたもので…」


「そうでしたか…」


「驚かれたでしょう?私のこの包帯もその時に…見苦しく感じられたのなら申し訳ございません」


「いえ!そんな事はありません」



マザー…

この孤児院の院長…

この女性は、この研究所でクローリーの助手を古くからやっていたらしい。

当然、カミシニであり、実際の年齢は見た目からは推測出来ないだろう。

そしてクローリーがこの研究所を放棄し、実験体である赤子ごと研究所に火を放った際に、一人炎の中に飛び込み、全ての赤子を救い出したのだ。

それを見ていたクローリーは、



「どういうつもりか知らないけど、そんなにその失敗作が気にいっているなら差し上げますよ?貴女は今まで私によく仕えてくれましたからね?ただ…」


『勝手な真似をした事は許せないな~!』



と、炎の中から赤子を抱いて出て来たマザーに向かって…


「うっ…あっ!」


掌から出現させた血の剣を投げ付けて、マザーの心臓を貫いたのだ。

が、マザーは生きていた。


「その程度じゃ死にませんよね?貴女の処分はこれで終わりです。良かったですね~?私が慈悲深くて~オホホホ!」



だが、そのクローリーの血の剣はマザーの再生力を低下させ、その火傷の痕は残り、包帯姿を余儀なくされたと言う。それだけ言い残して立ち去ったクローリー。


後に中国遺跡に向かって俺と戦うわけなのだが…


マザーはクローリーが去った後の研究所を建て直し、マザーに賛同して残ってくれた二人のカミシニの女と共に孤児院を始めたのだ。


ちなみにカミシニの姉ちゃん達の名前はアリスとテレスと言うらしい。


残念ながら携帯は持っておらず、聞き出す事は出来なかった…って、オィ!俺!


「三蔵様?」


「へっ?」



するとマザーは俺に頼み事があると懇願して来たのだ。


先ず一つ。


それはこの研究所が今、何者かによって狙われているというのだ…


来る時に現れた鬼か?


クローリーは立ち去る際に、この孤児院周辺に特殊な結界を張ったのだ。

この森に入った者は決して出る事が出来ないという。

しかも入って来た生き物を鬼へと変える細工をしているらしく、孤児院からマザー達を出させないのだ。そのため、マザー達はこの地から脱出する事が叶わないのだという。


って、ちょっと待て?


そういえば、俺?この森に入ってから何度か出ようと試みたが、出来なかったぞ?まさか?俺も閉じ込められたのか??


俺は方向音痴だからかと…




更に次に子供達の異変?

孤児院の子供達は今、不完全な状態なのだと言う。


実験途中で放棄された子供達は成長するにつれて神とカミシニの力を覚醒させるのだが、その力を暴走させ本当の化け物と化してしまうのだ。


既に三十人近くいた子供達も、今は九人僅か…


マザーとアリスにテレスは、そんな子供達の暴走を監視する役目も担っていた。


暴走し、鬼化した場合…


自ら助け出したはずの子供達の魂の火をその手で消さなくてはならないのだ。

放っておけば、鬼と化して暴走した子供が孤児院の子供を襲うから…



俺は今、アリスに連れられて実験体だった子供達のもとに向かっていた。

そして俺は教室と書かれた部屋に入る。


中に入ると、そこは静かな空間だった。

ガキ共がいるなら、騒がしいのが普通かと思っていたのだが…

何だ?この静けさは?


確かに子供達はそこにいた。

机に座り、こちらを見ていた…


ただ静かに…

その目には精気と言うモノが感じられなかった。


無気力に…


子供達はいた。


まるで人形のような置かれた生きる屍だった。


アリスに紹介された突然の来客である俺に対しても無関心なほど。



「アリス…このガキ…じゃなくて子供達は何かされているのか?洗脳とか?薬とか?」


「いえ…この子供達は…生きる事を諦めてしまったのです…」



アリスさんは涙を流して教室から出てしまったのだ。

俺はアリスさんを追いかけ肩を掴む。


「しっかりしろ!どういう意味だ?」


「もう…私、我慢出来ないのです!これ以上死んでいく子供達を見ていくのが…これなら、最初から死なせてあげてた方が!」



そう言うと、俺の胸で泣き出したのだ。

子供達は気付いている。


自分達が普通でない事を…


いずれ、自分達は化け物へと姿を変えて…


友達を…先生達を…


マザーを食い殺してしまうと…





それは、数年前の出来事であった。

今いる子供達よりも歳が上だった子供達が、突然変異したのだ。

牙や爪が伸び、肉は皮膚を裂き、鬼のような化け物へと。

変異した子供は化け物となって、近くにいた友達を食い殺していく。

二人目の子供が喰われている最中…

残されていた子供達は、その現場を見ていた。


震えながら…泣き叫びながら…


その後、騒ぎに気付いたマザー達によって、その化け物は始末された。


マザーは泣いていた…


自分の手で殺してしまった子供と、襲われた子供のために…

無力な自分を責めながら…



その惨劇の暫くした後、再び化け物へと変わった子供がいた。


そんな事を繰り返し…



「私には…私にはもう…堪えられない…あの子達が死んでいく姿を見るのは…あの子達から笑顔が消えて、生きる事に絶望し、抜け殻のようになっていく姿を見るのは…」



俺は…


「それでも、諦めてはいけない…」


「貴方には解らないのです!生きる事を諦めた子供達の気持ちなんか!」



俺に対して感情をぶつけるアリスに告げた。



「俺もまた…同じ苦しみを味わい…それでも生きて来たのだから…」


「えっ?」


『俺が救ってやるよ…俺が救われたようにな…』




それだけ言うと、俺は再び子供達のもとに向かった。

そして教壇に立って、無気力なガキ達を見る。


ん?


すると俺を睨みつけるガキがいた…


あのガキは間違いない!

ここに来た時に会ったガキだ!


「戻れと言ったはずだよ?おじさん!よっぽど早死にしたいようだね?あのまま戻れば、僕達より長生き出来たのにな?」


「ふん!悪いが俺の手相は生命線が長いんだぜ?」


「馬鹿な奴だ!」


「なっ?」



大人に対して生意気な奴だ!

そう言えば、俺の身近に現れるガキはムカつく生意気な奴達ばかりだったな…

俺がガキの頃は、それはもう素直で…素直で…手のかからないガキだったような気がする。


しかし、奇妙だ…


このガキからは精気を感じるぞ?

他のガキ達と違い、生きる事を諦めた目をしていない?

何か強い意志を感じる?


その後、アリスさんが俺にガキ達の事を一人一人説明してくれた。


ガキ達は今、九人…

男のガキが五人に、女のガキが四人…

見た目普通のガキ達のように見えるのだが、その血にはカミシニの力が備わっている。

その力が成長するに連れて覚醒すると、先ず最初に些細だが一人一人独特な力を持ちはじめるのだ。その力が制御出来ず暴走した時にガキ達は化け物へと変貌する。


そしてアリスは俺に告げた。


「先程の男の子…光明君…あの子は…」


「!!」


「今、一番覚醒する可能性があるのです…」



それは、あのガキが力に目覚めたから…炎を操る力に目覚めたからだと言う。

最初は指に小さな火を燈す程度だったらしいのだが、日に日に力は火から炎へと力を増していく。やがて力は増して化け物と化した仲間達を斬るほどに。

そして、アリスは更に俺に話したい事があると告げた。


「その話の続きは…」



そう言って去って行く?

夜分遅くに、俺はアリスの部屋に向かっていた。


いやいや!夜這いじゃないぞ?


アリスが言ったのだ。


例の話の続きは他の誰にも聞かれたくないから、夜中に自分の部屋に訪れて欲しいと…


俺はドキドキしながら…


いや、ドキドキなんかしてないぞ?断じて!


俺は期待しながら…


いやいや!期待なんかもしてないぞ?断じて!


アリスの部屋の前に立つ…


(どうするかなぁ…)



(俺は妻子持ちだ!大丈夫!変な事はない!だが、万が一って事も??アリスは長らくこの地から出られずにいたため、久しぶりに二枚目な逞しい俺のような男が訪れたために、まさか?欲情して!!!俺は、どうしたら?いやいや!どうするもなにもないから!)



俺は決心してアリスの部屋のノブに手を置くと…


(ん?開いてる?無用心だな?いや、俺が来るからか?)



俺は胸の高まりを抑えつつ部屋の中に入ったその時俺は自分の目を疑った。

部屋の中で、アリスが血だらけになって倒れていたのだ。

俺は駆け寄り、アリスを抱き起こす…


「アリス!一体誰が!?」



すると、アリスは…


「…あぁ…あ…」



そして力が抜けるように息を引き取ったのだ。


『鬼が出た…』



俺が振り向くと、そこには音もなく子供達が集まって来ていた。


…いつの間に?


そこにマザーとテレスが駆け寄る。


「キャアアアア!」


「貴方達は部屋に戻りなさい!」



テレスの悲鳴に驚く子供達。

マザーの指示に従い、子供達は静かに自分達の部屋に戻って行く。

この孤児院には間違いなく外部から侵入した形跡もなかった。



鬼のいる孤児院か…


次回予告



三蔵「くそぉおお!一体、誰がアリスを?もう少しでお子様放送禁止展開に突入出来・・・」


ヤバい・・・卑弥呼が千里眼で俺を見ていたら、殺される・・・


「とにかく!アリスさんを殺した奴を俺の名推理で見つけ出し、ぶん殴ってやるぜ!ナウマク・サマンダ・バザラ・ダン・カン!


思考フル回転だ!!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ