悪魔の研究?謎の孤児院!!マザー登場!
明王のの転生者を求め福井県にまで来ていた三蔵は、そこで謎の結解のある森を見つけ入って行く。そこで・・・
俺は三蔵だ…
俺は金の錫杖を手に修行僧の身なりで旅をしていた。
目的地は福井にいる明王の転生者を見付け出すためだった。
俺は卑弥呼が魔眼と水晶で見付けた地に出向いていた。
まさか卑弥呼でも探れない強力な結解があって、そこに明王の転生者がいたとは驚きだ。
そこで幾重にも結解が張られている森を見付け、その中へと入って行ったのだが、次第に道が消えて行き、俺は完全に森の中で道に迷ってしまったのだ。
「何処だ?ここは?全く方向がわからん…」
まぁ、普段から方向音痴だから迷うのには慣れているので、取り敢えず一服しようと休憩する。
この森、確かに異様な力を感じる?
しかも、嫌な気配を感じやがるぜ…
この気配は間違いない!
この気配は…
俺が感じている嫌な気配の答えを言う前に俺に対して向けられた殺気を感じた。
「上か!!」
俺は立ち上がり見上げた先には、木の枝の上に人影が立っていた。
そいつは俺を見下ろし睨みつけていた。
そいつは、十歳くらいのガキだった。
ガキは俺に向かって言った。
「ここから出ていけ!さもないと、あんた死ぬよ?」
俺は…
「死ぬとは物騒だな?それよりお前は何者だ?迷子か?」
ガキは無言で俺の後ろを指差す。
後ろ?
その瞬間、俺の背後から三メートル近くある鬼が飛び出して来たのだ!
鬼だと?全然、気配がしなかったぞ!
そうか!この結解が妖気を消しているのか?
俺は向かって来た鬼に対して、錫杖で殴り付けようとした瞬間…
「すっこんでな!オジサン!」
木の上から飛び降りて来たガキが、俺の下をすり抜けて鬼に向かって行ったのだ。
「ばっ!バカヤロー!ガキのお遊びじゃ……お遊びじゃ??」
そのガキは掌に異様な力を集中させると炎が燈りだし、炎の剣へと変化した。
あれは、間違いない…
不動明王の炎の剣?降魔の剣じゃないか?
ガキは炎の剣を手に、巨大な鬼を一刀両断にしたのだ。
炎の中に消えていく鬼を見届ける俺にガキは言った。
「あんた修行僧みたいな格好しているようだけど?素人がでしゃばるんじゃない」
なっ?誰が素人だって!?
いや、ここは大人になろう…ガキにマジになっても…
「とにかく!早くこの森から出て行け?オ・ジ・サ・ン!」
そう言うと、ガキは俺の道を塞ぐように火炎放射を放ったのだ。
炎は威嚇のためで俺には傷一つなく、炎が消えた後にはガキの姿は完全に消えていた。
茫然とする俺だった。
まるで煙りにまかれたみたいだ…
「こんな事をしている場合じゃなかった!つうか、あのガキ!大人をナメるな!」
俺は印を結び瞳を綴じながらガキの気配を探る。
いたぞ!
俺はその先に向かって追いかけた。
暫くしてガキは、森の奥に隠された建物の中へと入って行く。
それは何かの施設?いや、孤児院か?
ガキは済ました顔で、他の孤児院のガキ達の中に混ざっていった。
「また、危ない事してたの?」
「危なくなんてない。皆は心配しなくて良い。僕が皆を守るから」
「怪我は?いつも任してごめんな?」
「気にするな。力がある僕がやらなきゃ…それに、今日は変なオジサンが森に紛れて来たのを追い払っただけだから…」
そんな会話中の子供達の前に、大人の女が入って来たのである。
多分、この孤児院の先生だと思われるが…
女は例のガキが教室に戻って来たのを見ると、何か畏怖するような目で見る。
そこに別の先生らしき女が、教室の中にいる女先生を呼びに来たのだ。
二人の女先生は院長室と書かれている部屋に入ると、そこには…
俺が茶をすすっていた。
「貴方は一体!?」
「突然入って来て、どうしたら良いか解らなくて…私」
困り果て、俺を不審者扱いする二人に俺は自己紹介をした。
「俺は三蔵。わけあって旅をしている修行僧だ。なのだが、この森に入って来た途端に道に迷ってしまってな?ようやくこの孤児院にまでたどり着いたのだよ」
二人の女は顔を見合わせ…
「だって、森には化け…」
そう言いかけた時、もう一人の女が止めた。
確かに今、『化け物』と言おうとしたのだろう。
この森の秘密を知っているようだな?
どうやら、何か訳ありのようだが…
しかも、この女先生…
二人とも美人だ…
はっ!危ない!危ない!
俺には妻子がいた!
危なく目移りする所だった。
卑弥呼の奴、千里眼で覗いてないだろうな?
くわばらくわばら…
そこで俺は真面目な顔付きになって話す。
「この地には強力な結解が張られているな?それにお前達…」
『カミシニだな?』
カミシニとは神を殺す血を持ち、神を殺す能力を持った忌まわしき一族である。
そうなのだ。
この森の中から感じた異様な感じは、このカミシニと呼ばれる連中のものだったのだ。
そして、目の前にいる二人の女先生もカミシニなのだ。
そもそもカミシニには俺達人間の持つ気みたいなもんは存在しないのだが、俺にもカミシニの血が流れているため身近にまで接近すれば解るのだ。
俺の問いに二人のカミシニ女は突然、身体を震わせていた。
そして…
「お願いします!私達を見逃してください!助けてください!」
なっ??
一体全体どういう事なんだ?
カミシニが命乞いとは驚いた。
俺は戸惑いつつも、このカミシニである二人の女先生の話を聞く事にしたのだ。
それは遡る事、今から十年くらい前…
全てのカミシニ達に召集命令がくだされたのだそうだ。
それはカミシニを統べるリーダーの命令であった。
理由はこの国の東京にて神々との全面戦争が起きると言う事なのだが…
はて?十年前って…
その時、ここをアジトにしていたカミシニの科学者[錬金術者]がいたのだが、その男は此処で悪魔のような実験をしていたのだ。
それは人工的に最強のカミシニを造りだす実験…
この実験所で行われていたのは、神の転生者にカミシニの血を融合させ、神の力とカミシニの力の両者を持った化け物を、造りだそうとしていたのだ。
そのために世界中から産まれたばかりの神の転生者の赤子をさらっては、その実験に使っていたのだと言う。
そもそも神の力とカミシニの力は合い反する力…
どれ程の赤子が実験の被害者になった事か…
この実験を行っていたカミシニの錬金術師は、リーダーである王の命令に背いての研究であったために、密かに隠れ家である施設を作り行っていた。王の命令は全ての神の殲滅。
神にカミシニの力を与える事は言語道断であったからだ。
だが、その実験は途中放棄にて終わった。
理由は既に存在していたから?
神とカミシニの両者の力を持つ存在がいたから。
それは敵対していた神の中にいた。
スサノオに、アマテラス!
それに月読の存在…
錬金術師のカミシニは既に存在していた彼等を知り、今まで行っていた実験に対して興味を失い冷めていく。
それから戦争が終わった後、その科学者は一度戻って来たのだが…
『私は今から中国に参りますので、此処の実験はポィしま~す!しかも、その中国にて面白い実験素材を拾いましてねぇ~!百体の鬼神を融合しても壊れない魂!まさに私の実験の一つ!魔神・百鬼夜行を完成出来るのですよ~!はぃ!そんな訳で、この実験所はいらないので~す!』
と、この二人の助手であった女達に実験途中であった神の転生者であろう人間の子供達の後片付け[廃棄処分]を命じ、この研究所から去ったのだそうだ。
この話を聞いていて気付いた事…
「それはクローリーの野郎か?」
女達はその名前を聞くなり怯えだした。
やはり、そうか…俺はその東京で起きた戦いにも、中国での奴の実験体であった鬼神[晴明]とも関わりがあったのだ。
「で、どうしてこの研究所は残って、ガキ達は生きているのだ?」
女達は言った…
「子供達を殺すなんて出来なかった」と…
どうやら、カミシニにも人の情があるのだと知った。
そこに、もう一人の女が部屋に入って来たのだ。
『部外者が入って来たというのは本当ですか?』
その女は顔だけでなく、身体中を包帯で撒かれた女だった。
その包帯女に対して二人のカミシニ女は…
『マザー!いらしたのですか?』
マザー?
この女は一体何者なのだ?
次回予告
三蔵「さて、この先はどんな展開が待っているのだろうな?」
少年「ふん!変なオヤジが入って来ていたけど・・・
きっと、助からないな・・・」




