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聖輪奇聞・転生記!~神を導きし救世主~  作者: 河童王子
転生記~始まりの伝説編~
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三蔵一行!戦いの果てに・・・

三蔵と金蝉子の壮絶なる激闘!


孫悟空、八戒、沙悟浄の決断!


三蔵一行の生死は?


小さな荷馬車がゆっくりと小さな細道を移動していた。

その荷馬車を押しているのは?


三匹の妖怪達。

俺様孫悟空と、八戒に沙悟浄の姿であった。

俺様達は金蝉子との激闘の後、崩壊する建物の中、傷付いた三蔵を抱えて命からがら脱出して来たのだった。だけど・・・


沈黙だけが続く。


「うっ…うっ…」


沙悟浄の奴は泣くのを堪えていた。


「泣くな!河童よ!泣いたら…」

「そうだ!俺様達は泣いてはいけない…泣いたら…三蔵が…」


その時、荷馬車の中で横たわる何かが転がる音がした?


それは・・・

身体中に術札を巻き付けられた三蔵の姿であった!

まるで動く気配がない。

それは変わり果てた三蔵の成れの果て?

すると荷馬車が揺れ三蔵の顔に被せてあった白い布が落ちたのだ。


「気をつけやがれ!あんまり揺らすと…!」


俺様は三蔵の顔から落ちた白い布を、再び三蔵の顔に被せてやったのだ。


へぇん!

馬鹿野郎…まるで寝顔の様だぜ?

三蔵・・・


「さ…猿…」

「孫悟空兄貴…」


涙ぐむ俺様に、一発のゲンコツが落ちた??



「き…貴様らぁー!勝手に俺を…殺すなぁーー!」



それは拳を振り上げている三蔵の姿であった。

ナハハ?どうやら俺様達が騒いでいるから、寝た子が起きちまったようだな?


そうなんだ・・・

三蔵は生きていたのだ!



「わっ!悪かったよ!あんまり怒ると…」

「イテテ…」

「孫悟空兄貴があんまり悪ふざけするから~!大丈夫ですか?三蔵様?」


沙悟浄が三蔵を支えながら手当をしていた。

三蔵は身体中に走る激痛に身体を丸めている。


そりゃそうだ・・・

あんな戦いをして、それだけの怪我をしているのだからな。


そう。あの時・・・

崩れ落ちる霊感大王の屋敷から抜け出す間も、本当にヤバかったんだぜ?


崩れ落ちる霊感大王の館の中、瀕死の三蔵に駆け寄る俺様と八戒に沙悟浄。

俺様達三人も既に動く体力なんて残ってはいなかった。


だけど、そんな事は言っていられねぇ!

三蔵の命が今にも消えそうなんだ・・・

どうする?

どうしたら良い?


くそぉー!

俺様には何も出来ねぇのかよ?

その時、沙悟浄の奴が率先して前に出たのである。


「私がやります!私にやらせてください!」

「何?」

「どうするつもりら?」

「私が…三蔵様に直接気を注ぎ込む治癒術を行います!」

「馬鹿か!俺様達の気を人間に注ぎ込んだら、逆に三蔵が死ぬわ!」

「いくら三蔵の旦那が人間離れしているからと言っても…無理は無理らよ!」


そうなのだ。

俺様達と三蔵は違うのだ。

俺様達妖怪の身体を流れているのは妖気と呼ばれる物、それに対して三蔵のような人間には霊気が流れているのだ。異なる気には反発が起きる事があるのだ。


「だから…」


そう言うと沙悟浄は三蔵に近付き、気を送り込み始めたのだ!

止めろ!人間に気を!

俺様達妖怪の持つ『妖気』を注ぎ込んだら、人間の身体は耐えられずに死んじまうんだよ!

沙悟浄は俺様の忠告を無視して、三蔵に気を注ぎ込む。


「馬鹿野郎!止めやがぁれぇ!」

「待つらぁ!」


止めに入る俺様を八戒が押さえたのだ?


「放せ!八戒!」


このままじゃ、三蔵がとちくるった沙悟浄に殺されちまう!

ん?何だ??

その時、俺様の目の前で沙悟浄の姿に異変が起きていたのである?


「お前?その姿?」


俺様の目の前で沙悟浄の姿が変わっていく?

緑の皮膚が肌色に?

クチバシや水掻きが消えていく?

その姿はまるで人間の姿だった。


「そう言えば兄貴達にはまだ見せていませんでしたよね?私、半分人間なんですよ?だから、霊気を使うと人間の姿に変わってしまうのです!」


沙悟浄は今まで見た事のない真剣な眼差しで、一心不乱に三蔵に霊気を注ぎ込んでいた。


沙悟浄・・・助かるのか?三蔵は?



「なぁ沙悟浄?お前こんな特技があったんだな?」


「…いえ、初めてです…」


「はっ?」


「さっき霊感大王に私がやられた時に、三蔵様が私にしてくださった事を試してみるのです!」



試すって?いや!今は信じるしかねぇ!

このまま何もしないで後悔するより、一%でも三蔵が助かる確率があるのなら俺様は賭けてみたい!

信じてみたいのだ!

頼むぜぇ!沙悟浄!


「オラ達に何か出来る事はあるらか?」


「では、お二人は私の背中から妖気を送ってくれませんか?私の身体の中で妖気を霊気に変換して、三蔵様に送り込みます!実は、わ…私…もう…あんまり力残っていませんので~」


「分かったぜぇ!」

「任せるらよ!」


後になって知った事だが、沙悟浄は天界に住んでいる間に『神気』にも抵抗力が備わっていたらしい。

その事で微量ながら神気も使えると言うのだからビックリだ!

そうか!

だから弱小妖怪である沙悟浄が、金蝉子の神気の中でも無事にいられたのだな?


俺様と八戒は自分達の残りわずかな妖気を沙悟浄から三蔵へと注ぎ込んだのだ。


「はあああああ!」



生きて・・・生きてくれ!

三蔵ぉーーー!


俺様達は崩れて来た瓦礫から三蔵を庇う様に力を送り続けた。





再び荷馬車を運ぶ俺様達。


ヘヘヘ・・・

そのお陰で今、こうやって三蔵が俺様達の目の前にいるのだ。


「まったく…お前達は…俺がいないと勝手な事ばかりしやがってぇ!」


三蔵もまた気付いていた。

三蔵が意識を取り戻した時、崩れ落ちて押し潰す瓦礫の下敷きになりながらも、俺様達が円陣を組むように肩を組み、自分を守りながら気絶していた姿を目にしていたから。



(まったく…勝手な事を…これじゃあ、どっちが助けたか分からないだろうが!馬鹿者共がぁ!)


「どうした?三蔵?突然ニヤけて?」


《パコン!》


三蔵は照れ隠しで俺様を殴った。


すると、


「ん?どうした?お前達?」



ニへヘェ~

今度は逆に俺様達三人が三蔵を見てニヤついたのだった。


「ヘヘヘ…だってよ~ヘヘヘ…なぁ?」

「オラ達と三蔵の旦那は…なぁ~?」

「クスクス…と…と…と…ですよね?」


「と…だと?『と』がどうしたのと言うのだ?」



突然、三蔵の脳裏に金蝉子との戦いの記憶が蘇る。


(俺は何て恥ずかしい事を!!)


『友』と言ったのか?


三蔵は顔を赤面させていた。



「お前達何も言うなよ?う…うるせぇ!黙れ!静かにしろ!」


「ん?」


三蔵の背中から怒りの?いや、照れ隠しの炎がほとばしる!


「忘れろ!忘れやがれぇ!忘れちまえ!貴様達全員俺の下僕ダァーッ!それ以上でも、それ以下でも何でもなぁーい!」


俺様達三人に炎が燃え移る。


「その記憶!俺の炎で消し去ってやる!」


「そっ?そんなぁ~??うぎゃあああああああああああ」




と、無事に助かった俺様達を離れた場所から見て、不敵に笑う者がいた。



(ふふふ…)


それは美しき神、金蝉子の姿であった。


「お前達は必ず迎えに行く。それまでに納得出来る強さを手に入れてみせよ!」



《ガサッ…》


そんな金禅子の背後から気配を消して忍び寄る者がいた。

その気配に気付いた金蝉子は、


「いつまで、そこにいるつもりだ?」


すると、背後に忍び寄り近付いて来た存在は金蝉子にその姿を現したのだ。


「ふふふ…やはり気付いていましたか?」


「私に何か用か?恵岸行者よ!」


金蝉子の背後から忍び寄った男の正体は恵岸行者であった。

ちなみに恵岸行者は以前にも登場したが、天界にて沙悟浄の世話をしていた仙人である。


「気配は完全に消していたつもりでしたが、お気づきでしたか?お久しぶりですね?金蝉子」


その温厚かつ天然じみた人柄より、周りの神や仙人からも争いの似合わぬ好感度の良い印象を与える恵岸行者。


「お前とは親善試合以来だったかな?」


「そうですね…」


「釈迦の弟子である私と、観世音菩薩の弟子であるお前…」


「ええ…勝負は貴方の勝ちでしたね?」


「師の立場を考慮しての敗戦ですか?」



それは恵岸行者の師の観世音菩薩もまた、釈迦如来の弟子でもあった。



「私達の師が師弟の間柄とはいえ、本気を出せなかったのは辛いな?」


「私はあんまり勝敗にはこだわっていませんから気にはしていませんよ?」


「まったく…お人よしな奴よ…」


「それより…私も貴方に聞きたい事があります」


「何かな?」


「何故、あの者達に近付いたのですか?」


「フッ…それは釈迦からの命令だと言っておこうか…」


「釈迦如来様の?」


「そうだ…私は釈迦には頭が上がらないからな!」


「そうですか。では、もう一つ聞きたい…そんな貴方が何故」


恵岸行者の顔から笑みが消えた?



『何故弟子である貴様が!師である釈迦如来様を手にかけたのだ!金蝉子!』



突如、疾風が吹き荒れて恵岸行者の姿を覆い隠していく。

そして次に現れた恵岸行者の姿は、鎧を纏った武神の姿であった。


普段の優しく温厚な姿とは違う、この恵岸行者の勇ましい姿。

これが武神としての、もう一つの彼の姿なのだ!



「観音菩薩様の命にて、お前を討伐する!今度は手加減せぬぞ!金蝉子よ!」



恵岸行者が抜刀し、金蝉子に斬り掛かる。


「悪いが…お前の相手をしている暇はない!」


「!!」


恵岸行者の刀は金蝉子の身体を摺り抜けたのだ?

そして金蝉子は陽炎の様に歪み消えていく!


「陽炎分身」


「クッ!逃がすか!何処に消えた金蝉子!」



だが、金蝉子の気配は完全にその場から消えていた。


一人残された恵岸行者は、


「必ず…必ず見つけ出すぞ…我が命にかけて!」



空を見上げて叫んだのだった。






そんな事があったなんて、つゆしらず・・・

俺様達は三蔵の無事な姿に安堵しつつも、怒鳴り散らされていた。




そして様々な謎と因縁が交差するこの世界で、俺様と三蔵、八戒と沙悟浄の旅はこれからもまだまだ続くのだった。






転生記


第一部  終幕


次回予告




八戒「あれ?今話でこの転生記は最終話らったらか?」


孫悟空「馬鹿言ってんじゃねえよ!」


沙悟浄「そうですよ!最後に一部が終幕となってましたからね」


孫悟空「そう言う事だ!」


八戒「二部からは展開どうなるらか?見せ場とかよ?」


沙悟浄「それが凄いのなんのって!新たな登場キャラにドラマとピンチの数々!見せ場テンコ盛りなんですよ~」


八戒「そう言えば、オラに喧嘩売る天界の武人とかいるらしいらな?」


沙悟浄「それに女妖怪のボスの鉄扇ちゃんや、あの凶悪盗賊の金角に銀角も登場するんですって!」


孫悟空「それなら太白のじっちゃんや、かつての義兄弟の牛角魔王も登場するみたいだぜ!それに言って良いのか?実は俺様の最強変化が見られるんだぜ!より格好良い俺様に驚け!がっはははははは!」


沙悟浄「ネタバレし過ぎじゃないですか?」


三蔵「安心しろ!」


沙悟浄「三蔵様!御身体大丈夫なのですか?」


三蔵「心配するな!先の展開など・・・」


太白金星「蟹の味噌汁じゃよ!」


沙悟浄「はっ?いや!その前に貴方は何者ですか?」


太白金星「フオッフオッフオッ!それもこれも蟹の味噌汁・・・いんや?神のみぞ知るじゃよ!」


孫悟空「うわあ!後書き乗っ取られた!とにかく!これから先の物語も楽しみにしてくれよな!」


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