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聖輪奇聞・転生記!~神を導きし救世主~  作者: 河童王子
神を導きし救世主!
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救世主として・・・

親ばか三千院の実態を知る前話?


月日は三蔵が来て9年が経っていた。


孤独だった俺に仲間が出来て、妻や子供まで出来た…


幸せと言うのか?


そうかもしれないなぁ…


救世主としての人生が始まってから、九年の月日が経っていた。


俺は三蔵…


俺は今、退魔を生業としている総本山の道場にいる。

俺は呼吸を整え、目の前に立っている相手に集中していた。



相手の名は、蛇塚軍斗


俺達は少しずつ接近し、間合いを取りながら相手の僅かな動きを警戒する。

先に動いたのは蛇塚だった。

蛇塚の突き出した手を払いつつ、逆に攻撃を仕掛ける俺!


(先に掴まれたら終わりだ!)


が、俺達の攻防を先に制したのは蛇塚だった。

俺の袖に指を引っ掻け、無理には引っ張らずに最小限の力で俺の重心の軸を崩された。


(!!)


気付いた時には俺の身体は宙に浮いていた。


(空気投げ!)


「この勝負!俺のか…」


…ちだ!と言い終える前に、俺は蛇塚の油断の隙をつき空中で身体を回転させて、その勢いのまま蛇塚の襟を掴み投げ返したのだ。

蛇塚は一回転し投げられたが、冷静に反応し受け身を取った。

そして、俺から距離を取るように後方に飛び退いた。



そこで、三千院の声が道場に響いた!


「次、大徳!」


すると、俺の目の前に二メートル近くある男が立ち上がる。



男の名前は、大徳力也


「フム。参る!」



大徳は空手の構えで拳に力を籠める。

その瞬間、轟音とともに俺の間合いに入り込み拳を繰り出して来たのだ!


(くっ…)


俺は大徳の拳を左上段受けで流し、逆に右拳を繰り出す。

大徳は上体を反らしながら躱すと、そのまま回し蹴りを仕掛ける。

俺も大徳の蹴りに合わせるように、上段蹴りで受け止めた。

お互いの蹴りは激突し、凄まじい衝突音が道場に響き渡ったのだ。


更にお互いの繰り出す拳を躱し、放ちの連打の攻防が続いた。

重く鋭い拳から繰り出される凄まじい連打の中…

俺は僅かに大徳の脇が開いたのを見逃さずに、更に一歩前に踏み出し掌手を突き出す。

俺の掌手は大徳の鍛えぬかれた腹筋にヒットし、突き抜けるような衝撃を与えた。

ふらつく大徳は俺に笑みを見せると、そのまま後退っていく。


そこに再び三千院が叫ぶ。


「次!バサラ!」


俺は真上から殺気を感じて、その場から飛び退いた。

俺の今いた場所には天井より攻撃を仕掛けて来た者が落下して来た。

そいつは銀色の髪に、左右の瞳の色が違う中性的な男


名前をバサラ


バサラは背中から二本の短刀を抜くと同時に、俺に攻撃を仕掛ける!


(速い!)


その動きは瞬き一つで、完全に見失ってしまうだろう。

俺は掌に気を集中させると、気は長く伸びていき金色の錫杖へと形を変える。

俺は錫杖を手に、バサラから繰り出される斬激を薙ぎ払い返していく。

素早いバサラの動きに合わせるように、俺の動きも次第に速くなっていき、お互いの残像が道場に幾つも現れる。


「見事!」


俺の錫杖の突きがバサラの首元で止まっていた。

バサラはそのまま後方に飛び、控える。


最後に俺の目の前には三千院が立っていた。



「素晴らしい上達だぞ?三蔵!技の蛇塚!力の大徳!速さのバサラに対し、互角以上の戦いを見せるとは!だが、最後の私をどう撃退するか私達に見せてみよ!」



俺は三千院と激突した…


そう。俺は今…


仲間達との修練の成果を見せ合っていたのだ。


救世主として、存分な力を得るために…


数時間後…



「フム。三千院と互角に渡り合えるようになるまでに成長するとはアッパレだ!」


「ふざけた成長ぶりですよ?三蔵の野郎!」


「ふふっ…頼もしくなったものだ」



大徳、蛇塚、バサラは素直に感心していた。

しかし俺は…


「俺はまだまだだよ!」


解っていた。

まだ自分自身が未熟であり力が足りない事を…


確かに昔に比べて力は格段と上がってはいる。

だけど世界を救う救世主としてはまだまだ足りないと理解しているから。


「皆!これからも俺にいろいろ教えてくれ!」


「良い心構えだ三蔵!より修練に励むのだぞ?」



俺は三蔵…


ここに来て十年…


29歳になっていた。



俺は名目上座主という立場であり、総本山の首領である。

俺は自分の瞑想の間にて座禅を組みながら考えていた。


すると、俺の背後から気配を感じた。


(またか…)


その気配の主は恐る恐る俺に近付き、再び戻っては襖の陰に隠れる。

それを数回と繰り返していた。

まるで、それを楽しむかのように…



(何が面白いのだ?あれか?いないいないバァー!って奴か?ダルマさんが転んだって奴か?)



すると、その気配の主は俺の正面に立ち、俺の顔を覗き始めた。

俺は気付かないフリをしながら、目を綴じていた。

すると、何を思ったのか?その主は俺の顔に手を伸ばして来たのである。


俺は目を見開いた。


俺の正面で目が合い固まっている主は、目を見開いてビックリした様子を見せると、逃げるように立ち去って行った。


はぁ~


えっ?今の主が誰かって?


そういえば紹介してなかったか?


ごほん!


えっと…今のはだな…


俺と卑弥呼の子供で…


娘の…名を法子と言うのだ。


『三蔵 法子』


歳は九歳…。


娘が大きくなって、父親である俺に興味を抱いてくれてるのは正直嫌じゃない…

むしろ、こちょばゆい嬉しさもある。


だが、解らない…

父親って何をするもんなんだ?


世間一般の父親てのは稼ぎに出て、休みの日には家族サービスが業務だろう。

だが、俺の場合は職業(?)がら、そういう訳にもいかない…


だって、救世主だし…


てか、救世主は職業なのか?

道で聞かれたら、『私は救世主です』なんてぬかしたら…ただの危険人物だ。


学校で父親の職業聞かれた娘が『お父さんは救世主です!』なんて言ったらイジメの対象だろう。まぁ、娘がイジメに合ったら…俺と蛇塚が学校と悪ガキに成敗を…


おっと?大人げないか?

いやいや?父親として当然だろ?

多分な?


しかし、そんな救世主の父親を持つ娘ってどんな気分なんだ?


そもそも、俺自身家族てのがよく解らない。


そういえば三千院が唯一妻子持ちだったな…


今度、聞いて見るか?


いや、あいつは参考にはならない…


大徳の話じゃ、なんかとんでもない家庭教師の下、相当の英才教育を息子に押し付けているとか…息子…グレるぞ?


そういえば大徳は結婚しないのか?

昔の好きだった女以外に二度と恋はしないと言っていたが、頑な奴だ…


逆に蛇塚の奴は結婚したがってはいるが、出会いがないとほざいていたな…

なのに、身体の不自由な妹さんの代わりに、子供の世話をしているとか…

たまに、うちの法子の世話も頼んでいるから有り難くもあるが、損な立ち回りである。


バサラ…


あいつは結婚が似合わないなぁ…

てか、女に興味あるのか?


蛇塚が昔、バサラも卑弥呼に好意を持っていたとか言っていたが、まさか…


…ないよな?


てか、マジにバサラは歳が謎のままである。


と、完全に集中力ゼロの俺の後ろに、いつの間にか卑弥呼が立っていた。


「卑弥呼か?」


卑弥呼は笑みを見せ、俺の隣に腰を降ろすと…

いつものテレパシーで俺に告げた。



《三蔵は三蔵のままで良いのですよ?大丈夫…貴方は法子がこれから生きて行く未来のために、この世界を守ってください。それが、あの子のためでもあるのですから…》


「解っている」



俺は卑弥呼の肩に腕を回し、自分に引き寄せた。


「そして、お前のためにな?」


《三蔵…》





この日の夜はとても月が綺麗だった。


俺は救世主…


神を導き、世界を救う宿命を背負いし者…


名を三蔵と言う。


次回予告


三蔵「コメディー色が多かったここ最近までの話


しかし、次の話から新たな新章が始まるぜ?


ナウマク・サマンダ・バザラ・ダン・カン!


次の主役は卑弥呼だ!」

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