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聖輪奇聞・転生記!~神を導きし救世主~  作者: 河童王子
神を導きし救世主!
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生き残った意味?そして時は世界は動き出した・・・

修羅姫はミカエルにより魔眼を潰される寸前、娘に、その魔眼の能力の全てを送り飛ばしていた。


そして現れた明王。


西暦2000年の戦いが今、決着する。


俺は鷹仁…


俺の目の前では、世界の命運をかけた戦いが繰り広げられていた。

天使の大群を連れたミカエル率いる四大天使と、突如光の中から現れた明王。


そんな中、俺は全身大火傷で立っているのもやっとの状態…


そして、今まで天使達と死闘を繰り広げていた修羅姫は、瞳[魔眼]を潰され、全身の骨が砕け、両手両足もおしゃかになっていたのである。

だが、そんな状況下でも修羅姫は、ミカエルにより魔眼を潰される寸前、遠く離れた日本にいる俺と修羅姫との間に産まれた娘に、その魔眼の能力の全てを送り飛ばしていたのだ。




「全く…情けない…憐れだよな…我も…


一度は己の手で殺そうとした我が娘に、我の力を明け渡す事になるなんて…


この世界の救世主として産まれた事…


星[地球]の巫女として、その力[魔眼]を手にした我…


それは、我にとって生きる意味だった。


己の存在理由であった…


だが、娘が産まれた事で、その全てを引き継がすと解った時に、

我は…我の存在理由が解らなくなった…


怖くなったのじゃ…


それは…


母が!祖母が!


長く続きし卑弥呼一族の全ての女がしてきた事…


宿命…


後に続く子孫にその力を繋げるだけの定め…


解っている事だった。


だが…嫌じゃあ…


我はそんな決められた歯車の一部となる人生は嫌なんじゃ…


だから、我は『卑弥呼』の名で呼ばれるのが嫌じゃった。

いつの頃か、我を『修羅姫』などと呼ぶ者達が現れ、我も気に入り、その名を呼ばせていた…


我は我なんだよ!


我は長く続いた卑弥呼一族の中でも、ずば抜けた力と美貌を兼ね備えて産まれて来た。


我は特別だと思った…


我こそ救世主に間違いないないと…


卑弥呼一族の歴史に終止符を付けるのは、我しかおらぬと!


世界の救世主になるために我は存在していると!


だが、そんな自信が不安へと変わったのだ…


我に娘が産まれた…



『娘に全てを奪われる?』



一度はそのジレンマから娘に嫉妬し、怒りを!殺意をも感じた…


この我の娘が、新たな救世主になると言う事なのか?


嫌だ!嫌だ!嫌だ!


それは、我の存在が母上達の運命と同じく、歴史の中の歯車の一部だったと証明してしまう事なのだぞ?ならば、我は娘を殺してでも、我の存在理由を奪い返してやる!


そう思った…


だが、娘には我と同じような魔眼がなかったのだ…


アハハ…つまり、それは…


娘には力が必要ないと言う事か?


我が救世主として証明された事なのだ!


そう思ったのに!


くそぉ!今になって…解ったよ…


この世界の命運をかけた戦いに、娘はまだ若すぎた…


戦う力が養うには早過ぎたって訳か?


だから…我に力が残ったまま、我が救世主代理として星[地球]に選ばれたのだよな?


仮初めの救世主としてな…


だが、結局はその力も娘に明け渡す事になった…


全く、道化だよ…


我の人生は…


だがな?道化だろうと、仮初めの救世主であろうと…


我にも意地があるんだよ!


我を信じて死んでいった馬鹿者達…


未来を託していった奴達が、我の背中を押すのだよ…



『この地球を頼むと…』



だから、我は…まだ、戦わなきゃいけないんだよぉーー!」







俺は修羅姫の歎きを黙って聞いていた。


修羅姫…


お前って奴は…


俺は満身創痍の状態で自分自身の弱みを、本音を語る修羅姫に熱くなるものを感じた。


……俺は?


俺は一体何のために存在しているのだ?


この戦いで死んでいった数多くの戦士達の中…


俺は、まだ生き残っている。


何故だ?


こんな無力な俺が生きていて、意味があるのか?



そんな中、空中ではミカエル達天使達と、現れた明王達が死闘を繰り広げていた。



『ミカエルよ!この世界の命運をかける戦いに、我達と共に傷付きながらも戦ったお前が!何故世界を滅ぼそうとするのだ!』



不動明王とミカエルの剣がぶつかり合いながら、お互いは言葉を交わしていた。



『何を言っている?異界の神を名乗る者よ!私は貴様を知らぬ!共に戦った事などあるものかぁ!私の心を乱す心理戦なら無駄だぞ?』


『お前が忘れていようが、その魂は忘れてはいないはずだ!ミカエル!』



この神々の間に何があったのか、人間の俺には到底解る事はないだろう…

解るはずがない…だが、一つだけ解った事があった。


俺の目の前で、動かない身体を引きずり…


眼を潰されながらも、その闘志は消えてない修羅姫が隣にいる。



「…鷹仁よ?まだ、そこにいるか?」


「あぁ…」


「今、お前に我がこの戦いに終止符をつける所を見せてやるよ!」


「?」



すると修羅姫の口から、天使達の不死の秘密が明かされたのである。



「あの天使達は全て虚像…偽りの天使達だ!いや、戦ってみた感触からしてコピーみたいなものか?あの天使達はいくら倒しても蘇り、再生していく…不思議とは思わないか?

いくら神とて、そんな芸当されては反則だろう?我は考えてみた…何か別の力が作用しているのではないかと?そして、ムカつく事に奴達に眼をつぶされて、初めて気付いたのだ…

いや?五感を失い魂が感じたと言った方が良いな?天使達の魂が、全て同じ一点に繋がっている事に…」




修羅姫は見えないはずの目で見ていた方向?


そこに、あったのは?


巨大水晶!


次元の穴が開いた時に降って来た巨大水晶?


巨大水晶から発する不思議な力で天使達は無限に再生され、複製された肉体で戦っていた。



「恐らく天使達本体は、この世界に入っては来れない理由があるのだろうな?そして複製体に戦わせて、本体は何処かで高見の見物って訳か?全く、ふざけた連中だよ!

だが、それも終わりにしてやるよ!大天使よ!」



修羅姫は残された力を振り絞っていた。



「微かだが、我の魂の中には魔眼の力が僅かに残っているみたいだ…その力を使い、世界中に散らばている12ヶ所の水晶全てを破壊する。これが、救世主として生きてきた我の最後の仕事だよ!」



修羅姫は世界中に散らばった水晶の力を感じ、狙いを定めていた…

が、修羅姫の感知能力は既に限界を超えていたのだ。



(狙いが…定まらない…水晶を壊すだけの力を保ったままだと、狙いに集中力が欠けてしまう…

一か八か?いや!絶対に外す訳にはいかな…ぃ……『!!』)




解ったよ…


何もかもが…


確かに怖いくらいに決められた運命かのようだ…


まるで人の運命を知る超越した何者かによって、計算されていたかのようだ…


俺のような力ない男が、このような戦場に立ち…


俺のような男が…


知らず知らずに、こんなスゲェ女と同じ道を歩いていた…


それもこれも、全てはこの日の…



この『時』の…


この『瞬間』のためだったのだと…


俺は動かない修羅姫の身体を自分の身体に引き寄せて、俺の前に座らせる。



「おぃ?おぃ?マジに欲情したのか?おぃ?マジに?」



頬を赤らめる修羅姫の壊れた腕を支え、両手を握って俺は言った。



「修羅姫!お前は攻撃にのみ集中しろ!」


「鷹仁?何をするつもりだ?」



俺は己の魂を修羅姫と同化させていく…

まるで、自分の身体と修羅姫の身体が一つになったような感覚になった。

修羅姫の奴も、俺のやる事に気付いたみたいで集中し始める。



お前の腕が動かなくとも、俺にはお前の腕を支える腕がある…


お前の眼が見えないのなら、俺がお前の眼となろう…


俺には、そのための『眼』があるのだから!



『魔眼・鷹の眼!』



そうさ!俺が存在する理由は、全てはこの一発をお前と打ち噛ますためだったのだからな!

俺は修羅姫と魂を同調させながら、鷹の眼を使い、世界中に広がる水晶を見る。



世界中で仲間達がまだ戦っていた…


今、終わらせてやるぞ!


そして全ての水晶に狙いが定まった時!


俺と修羅姫は同時に叫んだのだ…





『今だあーー!!』




その力は放たれた。

俺と修羅姫から放たれた光は空高く飛んだ後、十二ヶ所へと飛散していく…

それは世界中に散らばっていた水晶に直撃し、消滅させたのだ。



『クウッ!何者かが水晶を!?』



同時に天使達が出て来た空中に浮かぶ次元の穴も消えていき、天使達も次元の穴に吸い込まれるかのように消えていった。








終わった…


そして、時がゆっくりと動き出す…


何も知らない人間達が、いつもの日常を過ごし新たな世紀を迎える中…


西暦2000年に起きたこの聖戦に幕が閉じたのだ。



次回予告


三蔵「こんな事があったなんて・・・」


三千院「だが、この戦いの後にも・・・」


三蔵「何が?」


三千院「それは・・・」


三蔵「それは?」


三千院「次回に話そう!」



ズコッ!!

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