四大天使と戦場の修羅姫!
小角のピンチに、人類のピンチに現れたのは?
最終兵器?の修羅姫だった。
俺は鷹仁…
アハハ…来やがった…
天使達の圧倒的なる力の前に、我々人間達は為すすべがなかった。
そして、善戦虚しく小角が敗れ去り、目の前で処刑されようとしたその時…
アイツは現れたのだ!
修羅姫!
「さ~てと!お前達の相手をしようかのう?お前達は我を濡らせてくれるかな?」
また、下品な事を…だが、何故か安心する。
修羅姫!
俺の…いや?世界の救世主よ!
修羅姫はミカエルと対峙していた。
その身体から有り余る霊力が修羅姫の身体を覆い包み、その身体は宙に浮いていた。
本当に人間か?
いや、これから神と戦うのであれば、あれくらいが調度良いのかもな…
だが、本当に勝てるのか?
その時である。
ミカエルに仕えていた力天使が、修羅姫の背後から現れたのだ。
そして修羅姫に掴みかかろうと腕を伸ばした。
あっ…危な…!!
が、そんな俺の心配は無用だった。
修羅姫は背後に現れた力天使に裏拳を食らわしただけで、力天使は意識を吹き飛び地上に落下していった。
すると今度は五体の力天使が修羅姫を囲み、一斉に襲い掛かって来たのだ。
『雑魚は引っ込んでおれぇー!』
修羅姫から放たれた気当たりが、五体の力天使を弾き飛ばした。
まさに一撃!一撃で五体の力天使を始末したのだ。
「どうじゃ?少しは人間もやるだろ?天使よ!次は親玉であるお前が相手してくれんかなぁ?歯ごたえなさすぎて、我も来た意味がないからなぁ~。それとも、臆病風に吹かれたか?天使長ミカエルよ!」
修羅姫の挑発に対し、ついにミカエルが動く。
『人間の女よ?人間にしてはやるようだが、あんまり調子に乗ると早死にするぞ?』
「ふん!遅かれ早かれ人間達を全て葬るつもりなんだろ?だったら、足掻かせて貰わなきゃ損だと思ってな」
『足掻いてどうにかなると思うか?人間の女よ?』
「試してみろや!その身体でなぁ!」
修羅姫とミカエルとの間に、激しい覇気がぶつかり合い大地を揺らした。
そんな中、傷付いている俺の回りには見えない壁が守ってくれていたのだ。
修羅姫の結界か?
まるで、これから始まる自分の戦いを俺に見届けていろと言っているみたいだ…
「良いだろう!見届けてやるよ!お前の戦いの全てをこの俺がな!だから、絶対に勝てよ!修羅姫!」
修羅姫とミカエルの距離は、少しずつ迫る。
この緊張感の中を、まるで何もないかのように一歩一歩近付いていく。
そして二人の制空権(攻撃射程距離)へと入った時、二人は同時に動いた。
ほんの僅か先に動いたのはミカエルで、手にした剣が修羅姫の顔面に突き出される。
修羅姫は冷静に首を傾け剣を躱しつつ、手にした数珠をミカエルに投げつける。
すれ違い、二人は同時に距離を取ると、修羅姫の数珠は分散しミカエルを囲んでいた。
『!!』
「さて、私の数珠操魔弾を躱せるかな?」
修羅姫の数珠には強力な気が籠められており、自在に操つりながらミカエルを包囲すると、同時にミカエルの身体を貫かんと迫りくる。
『………』
ミカエルは向かって来た数珠に対し、剣を光速に振り払い粉砕した。
まるで余裕。
修羅姫は解っていたかのように新たな武器に念を籠めていた。
『三鈷杵』
※サンコショ
三鈷杵とは両端が三つに分かれた金属製の仏具で、仏神の武器に用いられる神具。
「我の三鈷杵の一撃を受け止めてみよ!ミカエルよ!」
修羅姫が飛び上がりミカエルに三鈷杵を振り落ろすと、ミカエルは剣で受け止める…
『!!』
修羅姫の一撃にミカエルは雷に打たれたかのような衝撃を受けた。
『ハァー!』
ミカエルはそのまま剣を払い、修羅姫との間に距離を取ったのだ。
俺は二人の戦いを一瞬の瞬きもしないで見上げていた。
修羅姫…
本当に凄い奴だ…
神を相手にして、引けを取らないなんて…
するとミカエルが冷静に口を開く。
『なるほど…人間とは思えぬ力をお前に感じる。悪鬼のそれとも違うようだが、お前は何者だ?』
その問いに…
「人間だよ!お前達が滅ぼそうとしている人間だよ!どうだ?人間も捨てたもんじゃなかろう?ミカエルよ」
俺は思った…
お前は本当に人間なのか?と…
『次はどうするつもりだ?もう少し私を楽しませてくれるのだろうな?』
「これは余裕だな?流石に神と言うべきか?だが、我もまだまだ遊び足りぬぞ!」
その時だった。
『ミカエルよ!いつまで遊んでいられるのか?』
『まったく、ミカエルの遊び好きには困ったものだ!我々は既に仕事は終わらせたと言うのに…』
『人間と言えど、時間をかけて弄ぶのはどうかと思いますよ?いっそう苦しませぬように消して差し上げれば良いのに…』
ミカエルの背後から凄まじい神気が三つ?
冗談じゃないぜ!
この感じる力はミカエル同等か?
そこに現れたのは新たな大天使だった。
大天使達はミカエルの傍に近寄ると、その神圧だけで大地が揺れ始めた。
新たな天使達とは…
『天使ラファエル』
『天使ウリエル』
それに神の英雄と異名を持つ天使であり、女性天使でありながらナンバー2の実力者の『天使ガブリエル』
既にいたミカエルを合わせて、この神達は『四大天使』と呼ばれる天使達の筆頭。
他の大天使達は空に開いた次元の穴を通り、遠く離れた地区からこの俺達が戦っている地区にまでやって来たのだ。
つまり、彼等が現れたと言う事は既に三ヶ所の地区は完全に全滅したと言う事なのだ。
更に言えば今の状況が完全に不利になったと言う事!
「…………」
流石の修羅姫も言葉を失っているようで、何も喋らなかった…
当然だ…この状況は完全に絶望的だからな?
俺は今度こそ覚悟した。
せめて、修羅姫の奴を最期に見れただけでも俺は幸せだったのかもしれない…
すると修羅姫は指で四大天使達を指差し、そんな俺の覚悟を他所に言ってのけたのである。
「役者が揃わなきゃ話にならんからな?ようやく面白くなってきたわぁ!良いよ!お前達全員まとめて私が相手してやるから、かかってきな!」
修羅姫はまるでブルースリーのようなポーズで、指でカモンと挑発した。
あの、馬鹿!!
『あの人間の女は正気か?それとも気でも狂っているのですか?』
唯一の女天使であるガブリエルが、修羅姫の大それた言動に呆れてミカエルの方向に顔を向けた瞬間だった。
『ガブリエル、前を見よ!』
『えっ?』
再びガブリエルが修羅姫を見た時、ガブリエルの眼前にまで修羅姫が迫っていたのだ。
『ヒィッ!』
油断した一瞬をつき、突然の出来事に反応が遅れたガブリエルの顔面を修羅姫が殴りつけたのだ。ガブリエルは修羅姫の接近に身動き出来ずに弾き飛ばされる。
『ぎゃあ!』
ガブリエルは落下しながら翼で勢いを消して、地面への直撃を避けつつ体勢を整え修羅姫を睨みつける。
『お、お前!人間の分際でこの私の顔に手を!神に手を出したなぁ!!』
怒り心頭のガブリエルを空から修羅姫が見下ろしつつ叫ぶ。
「我は女相手には容赦しないのだよ!特にお前のような美しい顔で、他者を見下ろすような女はいけ好かないのだよ!」
俺が…心の中で思った事は一つ。
同属(類)嫌悪じゃね?だった…。
アハハ…
あいつの存在で、この絶対的な危機の中、何故か安心出来る。
あいつは、やっぱり凄い女だよ!
だが、俺の思いと裏腹に修羅姫には余裕がなかったのだ…
(チッ!ここに来る前の戦いで、力を使い過ぎたか…)
ここに来る前の戦いとは?
修羅姫に何があったのだ?
それを、俺はまだ知らなかった。
次回予告
三蔵「卑弥呼?お前の母さんはマジにスゲエな?」
卑弥呼「そうですわね?私の自慢の母ですわ?」
三蔵(殺されかけたのに・・・)
三蔵「しかし、ミカエルだけでも厄介なのに他の大天使まで現れたのは、やはり危機の状況は変わらないよな?それに、この戦いの前に何をやっていたんだ?」
卑弥呼「それは・・・」




