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聖輪奇聞・転生記!~神を導きし救世主~  作者: 河童王子
転生記~始まりの伝説編~
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三蔵!不動なる意志!怒りの明王変化!?

転生変化した金蝉子の神たる力に圧倒される三蔵一行だったが、形勢逆転を試みた最後の策に出たのだ。

今まで蚊帳の外にいた沙悟浄の秘技・河童の川流れが放たれたのだ!


俺様は孫悟空だ!

転生変化し俺様達に圧倒的な力を見せる金蝉子に対して、最後の切り札のアイツが飛び出したのだ。

それは三蔵が叫ぶと同時に、マヌケな返事が返って来たのである。


「はぁ~い!」

「!!」


『河童のぉ~川流れぇ~!』


「なぁ!なにぃ!?」


突然現れた沙悟浄の秘技・河童の川流れが、金蝉子の真下から放出したのだ。


ちなみに『河童の川流れ』とは、沙悟浄の水術の最終奥義である。

濁流の如き水が沙悟浄の身体から噴き出して、自分ごと濁流に流してしまう自滅的な技である。


まさかの場所から、まさかの沙悟浄からの攻撃に、さすがの金蝉子も油断して体勢を崩す。


ナイスなタイミングだったぜぇ?

そして、これが最後のチャンスだ!


実は先程三蔵が金蝉子に吹っ飛ばされた時に、沙悟浄が意識を取り戻していた事に気付き考えついた作戦らしい。それを目配せで合図しながらタイミングを待っていたのだ。


沙悟浄の技により体勢を崩した金蝉子・・・

俺様達はその一瞬に全てをかけたのである!


『毛根分身!』


俺様の身体から体毛が飛び散ると分身へと変わっていき、金蝉子に向かって一斉に襲い掛かる。


『肉体強化!拳!』


さらに八戒が自分の両拳に妖気を集中させると、拳が肥大して強化される。


金蝉子は正直驚いていた。


「まさか、あの沙悟浄に出し抜かれるとはな…」


金蝉子が見上げると百体の俺様が飛び掛かって来たのだ。


「お手を拝借!」


百体の俺様が同時に拍手をしだすと、拍手の摩擦熱で手刀が発火する。

そして高熱が集中していくと、


『百人一手・火流手!』

※ヒャクニンイッシュ・カルタ!


この一撃で貴様を倒してやるぜ!


「小賢しい!」


金蝉子は四方八方に神気を放って、分身の俺様達を消して行く。

そこに、背後から八戒が強化した拳で金蝉子目掛けて殴り掛かったのだ。


「背中ががら空きらぁー!」


「甘い!」


八戒の拳を受け流すように払う金蝉子に、すかさず足元から俺様が現れてアッパーを繰り出す。


「面白い連携だな?だが…」


「ンナ!?」


金蝉子は俺様と八戒の渾身の一撃を、いとも容易く左右の掌で受け止めたのだ。

左手で八戒の拳を、右手で俺様の拳を。


「万策尽きたようだな?」


(いや?まだ人間の男がいたはずだ!何処だ?)


「上かぁ!」


金蝉子が見上げた先に、上空から三蔵が燃え盛る降魔の剣を振り下ろし落下して来ていた。

それを待ち構えていたかのように、


「ナッ?お前達!」


俺様と八戒は受け止められていた拳で、金蝉子の腕を掴んだのだ。


「お前達!放せ!」


「へへへ!慌てなさんな!」

「もう少し手を繋いでいような!」


俺様と八戒は金蝉子の腕にしがみつく形で離さなかったのである。


《ゾクッ…》


金蝉子の全身に鳥肌が立った。


「今ダァーッ!三蔵ぉー!」

「良くやったぞ!火アアアアア!」



血しぶきが散った!!


しかし・・・


それは三蔵の方であった。


「ぐはぁ!」


血を吐きながら崩れ落ちる三蔵・・・

それは、金蝉子が先に投げた宝輪の攻撃であった。

身動きが出来ない金蝉子は宝輪を操り、攻撃を仕掛けて来た三蔵の背後から背中に直撃させたのだ。


「サンゾォー!」


三蔵は攻撃を受け、その場に倒れたのだ。


「お前達はいつまで私を掴んでいるつもりだ?」


えっ?

金蝉子は身体を回転させて、俺様と八戒を投げ飛ばしたのである。


「うぐわああああ!」


俺様と八戒は左右の壁に激突したのだ。


まさか、俺様達の連携でも敵わないのかよ?


金蝉子はそのまま倒れている三蔵に近付くと、念力で三蔵の身体を宙に浮かせる。

すると金蝉子の指先から光の縄が伸びて来て三蔵の身体に巻き付き、身動きを拘束させたのだ。

そして浮いている三蔵の髪を掴み、顔を上げさせると、


「人間の分際で良くもここまで…ある意味尊敬に値する。しかし、私も神としてお前にもう一度チャンスをやろう!」


「チャンスだと?」


「お前には、今のコイツ達より遥かに強い妖怪を与えてやろう!だから…」


「手を…引け…と言うのか?」


「そうだ!悪い条件ではあるまい?」


「悪いが、却下だ!」


「何だと?ならば問う!お前にとって、あいつ達は何だ?」


「あいつ達か?」


《ゴクリ…》


俺様達は三蔵の次の台詞に息を飲んだ。


「奴達は…」


俺様達は?


『下僕に!』


「えっ?」


『小間使いに!』


「なんらと!」


『パシリだ!』


「ええ~!」


オイオイ!

俺様だけじゃない。

八戒も沙悟浄も多分同じ事を思ったに違いない。


・・・仕える相手を間違えたかもしれないと。


あはは・・・確実に間違ったな!


もしここに第三者がいたら、俺様は言いたい!

『上司を選ぶ時には気をつけろ!』ってな?


さらに三蔵は言葉を続けた。


「それに、俺は自分よりも若造に見下されるのは嫌いなんだよ!」



三蔵・・・

俺様達妖怪は勿論、神に年齢は関係ないのだぞ?

見た目の姿は実際の年齢とは比例していないのだからな?


まさか見た目で金禅子に喧嘩売ってたのか?

そう言えば以前、自分より若い奴に嫉妬していたような。

三蔵は決して社会では通用しないな・・・

と、俺様は思った。



「馬鹿な奴だ!だったら情けは無用だな!」


金蝉子の手に神気が集中すると、その手に光りの剣が現れる。

金蝉子はその光りの剣を、三蔵に向けて突き出したのだ!


「三蔵ぉー!」


俺様は助けに行こうとしたが間に合わない。

だが、金蝉子の剣は三蔵の眼前で止まっていたのである?


「何のつもりだ?」


えっ?

そこには三蔵を庇う様に沙悟浄が立っていたのだ!


「わぁ!三蔵様は…わっ…私が…守ります!」


いち早く沙悟浄が三蔵と金蝉子の間に入ったのだ。

怖くてどうしようもない気持ちを抑え、奮える足で・・・


ふふふ…

沙悟浄の奴!

一番臆病なお前が、何を格好つけてるんだ?


まったく・・・

お前ばかりに格好つけさせていたら、

俺様が目立たないだろう?

仕方ねぇな!


「お前達もか?」


「悪いらな?邪魔するらよ!」


「三蔵は俺様達が守ってやる事になってるんだ!」



俺様と八戒も三蔵の盾になったのだ。


「ふふふ…まったく…よくぞ、ここまで従順に手懐けたものだな?本当に感服する…」



そう言うと金蝉子の身体が光輝き、宙に浮かび上がっていく。


「どうやら、お前達のその繋がりは…この先、厄介のようだな!」


そして金蝉子は指先に念を籠め始めたのだ。



「ならば…消してやろう!その繋がりを!」


なっ?

何をするつもりだ!


『緊操の輪具!』



金蝉子は指先で円を描くと三つの光の輪が現れたのだ。

そして光の輪は俺様達に向かって飛んで来たのである。


「ンナッ?」

「なんら!」

「何ですか?これは!」


三つの光りの輪は俺様達の目の前で突然広がり大きくなったかと思うと、頭に被さったのである!?


「クソォ!」


俺様は力付くで引き千切ろうとするが、全くびくともしない?

何なんだよ?これは!

あっ!

光りの輪は完全に俺様達の頭に嵌まったのである。



「とっ?取れねぇ!」

「こっちもらよ!」

「怖いですよ~!」


その瞬間、光りの輪から俺様達の頭に強力な神気が流れ込んで来たのだ!



「ウガアアアアアアア!」

「ギャアアアアアアア!」

「ヒャアアアアアア!」


俺様達は頭を抱えながら叫び、苦しみもがきながらうずくまる。



「貴様!あいつ達に何をしやがった!」


三蔵は宙吊りの状態で金蝉子に怒りをぶつける。


「ふふふ…消しているのだよ…」


「消しているだと?」


「そうだ!お前と三人の繋がりを!今までお前達が歩んで来た歴史!つまり、記憶を消しているのだ!」


「記憶を消すだと?」


「そう!私の『緊操の輪』は、その者の魂を捕縛し、私の意のままに使う事が出来るのだ!」


「何だと!?」


俺様達の記憶を消しているだと?

そんな馬鹿な?

や、やめろ!!


「記憶を消した後で新たな記憶を上書きすれば、その後の事はどうとでもなろう?」


三蔵は呻きもがく俺様達の姿を見て、


「ヤメロ…」


傷付いた身体で奮い立とうとしていた。

だが、思ったように力が出ないでいた・・・


「止めやがぁれぇ…」


「ふふふ…これで、全て決着がつく…」



俺様達はまるで雷に打たれてかのようだった。

俺様達は頭に嵌まった輪を力任せに壊そうととするが、壊すどころか外す事すら出来ない。

それどころか余計に締まり、俺様達を苦しめたのだ。


意識が、消えそうだ・・・


「それは一度嵌めると、外す事も破壊する事も不可能だ!無理に外そうとすれば頭の骨を砕き、命取りになるぞ?」


既に決着が付いたと過信している金蝉子、

そんな金蝉子に対して三蔵は力ない叫びをあげていたのだ。


「ヤメロと言っているのが…」


俺様達の苦しみもがく悲鳴が響き渡る中、


ついに!


「解らんのかぁーーー!」


その時!三蔵の背中から今までにない程の業火がほとばしり、その背後に異界の神である不動明王の姿がボヤけ見え隠れする。


「何?まだそんな力が残っていたのか?神を使役して力を借りているようだが、私には通用しないのは分かっただろう?なにせ、私は本当の神なのだからな!」


「ウオオオオオオ!」


更に三蔵の身体から炎が噴き出したのだ。


「お前の身体を縛る念縛すら、今のお前にはどうする事も出来まい?無駄な足掻きは止して黙って見ていろ!」


それでも三蔵は諦めずにいた。


「ヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロ!」


「まったく…無駄だと言うのが解らないのか?愚かな人間だ!」


次の瞬間、金蝉子は目の前の三蔵に初めて驚きを見せたのだ。

それは三蔵を念縛が弾ける音!


「ンナッ?」


三蔵は金蝉子の念縛を力任せに引き千切り、金蝉子に向かって突進して来たのだ。


「うぐゎあ!」


金蝉子は油断して、三蔵の拳を顔面に受けたのだ!

その時、俺様達の輪も力が弱まっていく?

だが、力が出ない・・・

妖気を封じられているみたいだぞ?

これでは加勢が出来ない!


「ば…馬鹿な?人間が神である私に触れる等…ありえない…!」


再び金蝉子が三蔵の姿を見て、更なる衝撃を受けたのだった。


子「なっ?貴様…その姿!」



あああ?


その時・・・


金蝉子だけでなく、俺様達も三蔵の変化に気付き驚いていたのだ。


三蔵の燃え盛る炎は上半身の服を燃やし、更に三蔵の身体をも業火で覆い隠しているではないか?

三蔵の髪は炎のように燃え盛り、その身体は赤く燃える様な赤色へと変色していた・・・



『ナウマク・サマンダ・バザラ・ダン・カン』


三蔵の顔は恐ろしい眼光で、金蝉子を睨み付けていた。

その姿は…まるで、鬼神の如し!

不動明王の姿その者であった。



そう…三蔵は!


『明王変化・唯我独尊!不動明王合神!』


神と一体化したのだ!



「馬鹿な…!有り得ん!人間の体内に神を取り込んだと言うのか!?」


「金蝉子よ!貴様は俺を怒らせた!決して許しはせん!」


「グッ!神が人間に許しをこえるか!」


金蝉子は三蔵の威圧感に一瞬怯むが・・・


「良かろう!やれるものなら、やってみるが良い!神を越えられるか?人間よ!」



俺様達の目から二人の姿が消えた?


その瞬間・・・


振動が辺りを震わせていく?


消えたのではない!


三蔵と金蝉子が俺様達の目でもとらえられない速度で戦っているのだ。



『ヌオオオオ!』


『ハアアアア!』



振動が幾度とぶつかり合っていた。

三蔵が戦っているのか?

俺様達のために?



「キサマ…!」


「ヌオオオオ!」


更に三蔵の炎が燃え盛っていく。



「我が守護神、不動明王…その名の如く…不動なる神よ!


我が意志…我が信念…我が思い…


決して揺るがず!我が意志もまた不動なり…


ナウマク・サマンダ・バザラ・ダン・カァーン!


俺はあいつ達を、絶対に貴様には渡さーーん!!」




それは俺様達が初めて見た三蔵の激しくも胸が熱くなるような戦いであった。


金禅子と三蔵の戦い、その結末は?



次回予告


孫悟空「うわ!なんかシリアス展開になってないか?これ転生記だよな?コメディーだよな?いや?それよりも、マジに俺様の主人公の座が危うくなってきたぞ??」


沙悟浄「そんな事より金蝉子の強さはまだまだ計り知れないですよ~」


八戒「おら達は三蔵の旦那を信じるら・・・今はそれしか」


沙悟浄「では、一緒に応援しましょう!」


孫悟空「こいつら・・・どうしても脇役に徹するつもりだな?」


八戒「しょうがないらよ!どうせ役立たずらしな・・・」


沙悟浄「あはは・・・でも三蔵様大丈夫でしょうか?」


孫悟空「へん!三蔵は絶対に負けたりなんかしねえよ!」




なあ?・・・三蔵

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