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聖輪奇聞・転生記!~神を導きし救世主~  作者: 河童王子
転生記~始まりの伝説編~
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転生変化?その名は 金蝉子!?

三蔵一行の敵は玄奘三蔵と名乗った。


その者は本来、孫悟空達と旅をするはずだった?


三蔵と玄奘三蔵、孫悟空達が選択したのは、共に旅を続けて来た三蔵だった。

俺様は孫悟空だ!


『ウゴゴゴウガアアアアアア!』


金色の大猿に変化した俺様の身体から凄まじい妖気が高まっていき、その妖気を拳に集中させていく。

この拳で殴れば、例えどんな奴だろうと一撃で粉砕だぜぇ!

俺様は玄奘三蔵に向かって近付いていく。


「覚悟しやがれぇや!このクソ坊主!」


「獣王変化か…」


俺様は容赦なく玄奘三蔵に向かって殴り掛かる。

一撃でも当たれば一たまりもないはずの俺様の連打。

だが、玄奘三蔵は俺様の攻撃を全て紙一重で躱しているのだ。

しかも余裕でだと??


「クソ!当たらねぇ!」


まるで、霧でも殴っているようだった。

目の前に確かに奴はいるはずなのに??

なのに、そこに実体があるように思えねぇ!

だが、一発でも当たれば勝てるはずなんだ。


「当たれば勝てるか?」


何?俺様の心が読まれているのか?


「お前の考えてる事など、お見通しだよ!」


すると何を思ったか?

玄奘三蔵が動きを止めたのだ。

誘っているのか?

だが、俺様の拳はもう止められねぇぜ!

手加減無しだ!

殺す気でぶん殴る!

激しいしい轟音とともに、俺様の拳が玄奘三蔵に直撃した。


ばっ…馬鹿な…??

有り得ない!

玄奘三蔵の奴が、俺様の渾身の一撃を受け止めたのである。

しかも片手でだ!


「うっ…ウググ」


しかも徐々に押し戻されているのだ。

玄奘三蔵の細腕が俺様の渾身の降り下ろした拳を受け止めただけでなく、逆に押し返し始めたのだ。


「弱いな…孫悟空!」


何??

玄奘三蔵は俺様の腕を掴み、軽々と振り回し、床に向けて顔面から叩きつけた。


「ぐぅぎゃあ!」


嘘だろ…?

こいつマジに人間じゃないのか?

そこに、戦況を窺っていた三蔵と八戒が助けに入る。


「ウオオオオ!」

「猿を離すらぁ!」


玄奘三蔵は床に顔面を埋め込まされた俺様を再び片手で持ち上げ、向かって来た三蔵と八戒目掛けて放り投げたのだ。俺様達は直撃しながら壁際まで吹っ飛ばされた。


な…何なんだ?

これが人間の力なのか?

有り得ねぇ・・・

俺様達が束になっても、手も足も出ないなんて!?

玄奘三蔵は透き通る様な金色の髪を、細い指先で梳きこちらを見ていた。


「孫悟空よ!」


何だ?俺様に何か?


「お前は確かに強い!だが、お前の強さの特色は何だと思う?」


はぁ??

何を言っている?

特色が何だって?

そういえば同じ事を前に、三蔵にも言われた気が…??





確か・・・

俺様と三蔵が二人で旅をしていた時に、三蔵も同じような事を言っていた。

三蔵との旅での記憶が頭に過ぎる。






野宿の準備を終え、俺様と三蔵は焚火をしながら話していた。


「お前の獣王変化…あまりそれに頼るなよ」


「ん?何でだ?」


「気付いていないのか?お前のその獣王変化は確かに破壊力もあり、一撃で敵を討つ事が出来るだろう!しかし、それと同時に致命的な弱点もある」


「弱点だと?何だよ?弱点なんか、ねぇよ!」


「お前は変化している間、法術は使えるか?」


「えっ?」


図星だった・・・

獣王変化した時の俺様は、確かに術が使えないのだ。


「妖力が急激に膨れ上がる分、力のコントロールが出来ず、繊細な気を使う術が使えないのであろう?」


「だけどよ?一撃で敵を倒せるなら問題なくないか?」


「相手が格下の場合はな!だが、お前より力のある者が相手ならそうはいくまい?猿よ?お前の強さの特色は何だと思う?」


「俺様の強さの特色?」


「そうだ!お前の強さは、その自由な発想から飛び出す読めない戦術だ!それは、変化していない時に使う法術を使う事で活かされている」


「そうなのか?」


「もしも格上の者と戦う場合は、そのままのお前が一番なのだ!」


「さ…三蔵…?」



それって・・・

口説き文句に聞こえるぞ?

と、俺様は心の中で思った。


そうか・・・

今まで俺様より格上の奴に出会わなかったから、すっかり忘れていたぜ。


俺様は獣王変化を解くと、見る見るうちに可愛い子猿の姿へと戻って行く。



「どうやら気付いたようだな?」


「うるせぇ!」



すると、俺様の肩に手を置く本家の三蔵。

その目は『やれやれ』と、言った眼差しだった。

まるで俺様が自分で失敗しなきゃ解らない、おバカな生徒みたいじゃんかよ!


だが、どうする?

例えそれに気付いたからといって、この力の差をどうしたら良い?

正直、あの白い三蔵はムカつくほどツエー!


「諦めるな!」


えっ?


「勝機は必ず来る!だから、諦めるな!」


三蔵の言葉に力がわいてくる。

チッ!解ってるよ!


「馬鹿言うな!これからが面白くなる所だろうが!」


「その意気だ!」


俺様は強がって見せた。

そして俺様達は再び白い三蔵を睨みつけたのだ。



「ふっ…諦めなければ…勝てるか…」


「何がおかしい?」


「どうやらお前達は完全なる敵への…絶望なる力の差の恐怖を知らないようだな?」


「何?」


「良かろう…ならば私が教えてやろう!絶望的な力の差を!」



すると、玄奘三蔵の身体が光に包まれながら、宙に浮かび上がっていく。

しかも奴の身体からは、今までの霊気とは違う『力』を感じる?

あの力は何だ??

その瞬間!

凄まじい霊圧が俺様達を押し潰したのだ!!


「うぐおおお!」

「ながあああ!」

「ばああああ!」


立っている事も出来ずに膝をつく俺様達に向かって玄奘三蔵が叫んだのだ。


「良く見て置け孫悟空よ!」


玄奘三蔵の声が俺様に聞こえきたのだ。

俺様は押し潰されながらも玄奘三蔵の姿を見ていた。

強烈な霊圧がこの空間を埋め尽くしていく。

その膨大に膨らむ力が、玄奘三蔵へと集約されていった時、

それは起きたのだ!



『転生変化!唯我独尊!』




閃光が辺りを覆っていく・・・

そして俺様の頭の中にだけ、奴の声が聞こえて来たのである。



「見よ…これが…転生変化だ!」と?


俺様達は、ただ吹き飛ばされないようにする事で精一杯だった。


「あ、あれは!」

「な…なんら!」


えっ?

俺様は玄奘三蔵の姿を見た。

その姿は!

神々しい神気が立ち込め、

その中から美しき輝く存在が姿を現したのだ!


その者・・・

神の神衣と鎧を纏い、

光り輝くオーラに包まれし者!


まさしく『神』の姿であった!



「お前は、一体?」


その姿に三蔵も驚きを隠せないでいた。



「言ったはずだ!私こそが本物の三蔵法師だとな?ただ…」


「ただ?」


「その魂の前世は『神』であったがな!」


「神だと!?」



そして玄奘三蔵は再び名乗ったのだ。


「この姿の私の名は金蝉子!神であった時の私の姿だ!」


金蝉子だと??


「さぁ、お前達!神の前にひざまずけ!」


目の前に現れた金蝉子の出現に、ただ圧倒されていた。

しかし黙って見ているだけの俺様じゃねぇぞ!



「ふざけるなぁ!何が神だ!見かけ倒しが!」


俺様は金蝉子に向かって飛び出して行ったのである。三蔵と八戒も同時に飛び出していた。正直、勝てる見込みも、どうにかなるとも思ってはいなかった。

だが、今立ち止まったら・・・もう戦う気持ちが折れてしまいそうだったから。



「神を相手にするのは勇気ではない!ただの愚かな行為としれ!」



金蝉子の身体から凄まじい霊気・・・

いや?あれはもっと格上の『神気』が放たれたのだ!


「うぐわああああ!」


俺様達は近付く事も出来ずに、いとも簡単に弾き飛ばされてしまった。

更に神圧が俺様達を押し潰し、床に俯せの状態で起き上がる事すら出来なかったのだ。

並大抵の妖怪なら、この神圧だけで消滅してしまうだろう・・・


金蝉子が俺様に近付き、俺様の頭をわし掴みにして顔を起こす。


「ウググ…」


「どうだ?孫悟空…この転生変化の強さは?」


「た…たいした…ことないな?全然…だぜ…」



俺様はハッタリを打ち噛ました。

が、その言葉には力がなかた。

金蝉子は付け加えて説明する。



「お前の使う獣王変化。これは、お前の持つ妖気を全身の血、肉、神経、細胞すべてに張り巡らせ、己の身体能力を極限にまで活発させる力だ!」


「それが、何だと言うんだよ?」


「それに対して私のこの転生変化は、己の魂に神気を集めるのだ。肉体の限りある力に比べ、魂には無限の力がある!その魂が神気で満ちた時、この転生変化が可能になるのだ!」



こ…こいつ…何を言っているのだ?

まるで俺様に・・・


「転生変化は己の最も最強だった自分自身の姿へと姿を変える。私の場合はこの金蝉子の姿!お前ならどうかな?」



まるで説明?

俺様に転生変化をさせたいように聞こえる?

そして金蝉子は言った。


「孫悟空よ!私と共に来い!」


「!!」


事もあろうに、この状況で勧誘して来たのだ。


「渇!」


そこに金蝉子と俺様の会話を遮るように、三蔵の降魔の剣が振り下ろされたのだ!

それを、片手に神気を集中させて受け止める金蝉子。


「さ…三蔵!?」


そして三蔵は金蝉子に文句を垂らす。


「おぃおぃ?勝手に俺の所有物を口説いてるんじゃねぇーぞ!」


「ふぅ~まったく懲りない人間だ。この圧倒的な力を前に、まだ刃向かうつもりなのか?」


「悪かったな?俺は自分の物を誰かに取られると無性に腹が立つんだ!」


「ふん!馬鹿な奴だ」



強烈な神気の覇気だけで三蔵を弾き飛ばす金蝉子。



「サンゾー!」


「心配はいらん!フン!」


三蔵は吹き飛ばされながらも、剣を大地に突き刺して堪える。


「どうやら孫悟空よりも先にキサマから分からせた方が良さそうだな?」


「ペェ!」


床に向かって唾を吐く三蔵。

三蔵の奴は諦める気はさらさら無さそうだった。


「悪いが俺は頑固だぜ?」


頑固と言うか・・・

我が儘じゃねぇのか?


「せいりゃあ!」


「!?」



俺様も抑えつけていた金蝉子から脱出し、三蔵の元に戻った。


「まったく…訳解らねぇらよ。相手が悪いら…」


八戒もブツブツ言いながら三蔵の元に近寄る。


「オラ、ヤバくなったら直ぐに寝返るらよ?」


「頼むぞ!」


「聞いてるらか?オラは…!」



途中まで言いかけて、八戒は妖気を集中し武器を構える。


「まったく…本当に豚使いの荒いらよ!こっちの三蔵の旦那はよ!」



そう言いながらも八戒は俺様達と行動を共にするつもりだった。


「で、どうする?三蔵?」

「奴を油断させる!そこを…ゴニョゴニョ…」


三蔵は俺様と八戒に作戦を伝える。

その作戦に俺様達は最後の賭けに出たのだ。



「行くぜぇ!お前達!」

「おおお!」


後はお前が頼りだ!


「つまらない悪あがきを!何をするつもりだか知らないが、私には無意味だと教えてやろう!」



行けぇーー!!


さぁごぉじょー!


「はぁ~い!」


三蔵の掛け声に応えるかのように聞こえて来た声は、今まで存在すら忘れていた沙悟浄だったのだ。


「!?」


すると沙悟浄は待ってましたかのようにポーズをキメながら最大の水術をぶちかます。



『河童のぉ~川流れぇ~!!』


「な?なにぃ??」



突然現れた沙悟浄が、秘技・河童の川流れを金蝉子いる真下の瓦礫の中から放ったのだ。

それは濁流の如く噴き出して、油断していた金蝉子を飲み込み体勢を崩した。



これが最後のチャンスだ!

反撃開始だぜ!


次回予告


孫悟空「マジかよ?金蝉子って滅茶苦茶強いじゃんかよ!この俺様達が束になっても敵わないなんて、物語上ダメだろ?俺様主人公なんだぜ?」


三蔵「はぁ~?お前馬鹿言ってんじゃねえぞ!この物語の主人公は俺だ!」


孫悟空「なぁ~にぃ~??聞いてねえよ!」

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