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聖輪奇聞・転生記!~神を導きし救世主~  作者: 河童王子
神を導きし救世主!
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蛇神島終幕!それぞれの思惑の果てに!?

蛇神島での大蛇の王との決戦は終えた。


だが、まだ全ては解決していなかった。


俺は蛇塚軍斗…


俺は三蔵に蛇神島で起きた過去の経緯を語って聞かせた。



「…話はあらかた解ったが、それで一件落着したわけか?」


三蔵の問いに俺は首を振る。


「いや、まだこの話には続きがある」


「はっ?まだ何が?」




そう…


大蛇の王を命からがら倒した俺達は、座主であられる卑弥呼様の前に駆け寄った。


何故なら…


アジ・ダハーカ[光児]が消滅した後、孔雀明王の力が卑弥呼様から抜け出した。


孔雀王の力は両刃の剣。


その力を使いし者には死が訪れると言うのだ!


卑弥呼様は力なく倒れピクリとも動かなかった。


抜け出した孔雀明王の魂に向かって、



「このまま行かせはせん!」


「逃がさん!!」


二人は結解を張り、孔雀明王の魂を拘束したのだ。



『この程度の力で私の自由を奪えると思うたか?』



孔雀明王の魂が神々しく光り輝くと、二人の結解が解けて、更に二人の明王変化が解ける。

俺と詩織は(俺は元の姿に戻っていた)、何も出来ずに見守っているしかなかった。


俺は倒れている卑弥呼様を見て、


「俺達のために!」


俺は…


「俺に何か出来る事ありませんか!?」


「黙れ!お前には何も出来ない!俺達にもだ!」



そう言ったのは、今まで冷静な奴だと思っていた銀髪の男[バサラさん]だった。

あいつが取り乱す所なんて、初めて見た…


それは後にも先にも…


それだけ心に余裕がない状態だったから。


「ひ…卑弥呼様!」



赤髪(三千院さん)が叫んだ時、俺達は卑弥呼様の指が微かに動いた事に気付いた。


生きて…いる?


卑弥呼様はゆっくりと身体を起こし、その顔をあげた時…俺達は再び衝撃を受けたのだ。


『!!』


なぜなら卑弥呼様の瞳には、光(視力)が失われていたのだから!


動揺する俺達に気付いた卑弥呼様は首を振り、何も心配するなと微笑んで見せたのだ。


この女性は何て強い人なんだ…


孔雀明王の魂は卑弥呼様に近付いて行く。

俺はもちろん、他の皆も金縛りにあったかのように身動き出来ずにいた。

そして俺達の目の前で閃光が放たれた。


すると、そこには孔雀明王の姿はなく、卑弥呼様一人が残されていた。

卑弥呼様は心配する俺達に、孔雀明王との間に交わされた契約を話す。



卑弥呼様の前に現れた緑色の甲冑を纏った明王が告げた。

その美しきも威圧的な姿は、まさしく最高神!


孔雀明王は言った。



『女!貴様の人間とは思えぬ力には正直驚いた。だが、神である私の力を貸し与えてやった借りは戴くとする!』



孔雀明王は卑弥呼様の胸に手を翳すと、その魂を吸い出していく…



『女よ!お前のアッパレな戦いに免じて命までは奪わぬ。だがな…』



孔雀明王が卑弥呼様から奪ったのは卑弥呼様の持つ能力…


『魔眼の力』


同時に卑弥呼様は視力までも失ったのだ。


俺は…



「…俺の…俺達のために…すまねぇ…」


卑弥呼様は俺に首を振り、また笑顔を向けて…


「私が勝手にした事です。お気になさらないでください…」



そんな事言ったって…


俺は…無力すぎるだろ!


俺は決心した。



「俺を…俺をあんた達の仲間にしてはくれないか?」



何を馬鹿な事をと、言われるかもしれない…


俺みたいな素人に何が出来る?と、言われるかもしれない…


詩織なんか俺の言葉に心配そうな顔をしているし…


だけど…俺に出来る事…


いや、やれる事をしたいと思ったんだ。




何より、俺の目の前で自分の命を省みずに戦った卑弥呼様。


いや、他の連中も凄いと思った。


何より救いを求める者に対して何も出来ずに、今まで足掻く事しか出来なかった俺が…


踏み出せるチャンスかとも思えたから…


俺の訴えに…



「何を言っているのだ?お前は俺達とともに戦った戦友だぞ?既に仲間だ!」


そう言ったのは大男の大徳さんだった。


「だが、まだ未熟!」


厳しくも威厳のある赤髪の男は三千院さん。


「足手まとい…」


一言余計なのは、銀髪のバサラさんだった。



「えっ?…じゃあ?」



断られる事かと思っていただけに茫然となり、喜ぶ俺に三千院さんは告げる。



「それに、お前の中(魂)には神がいる!俺達と同じ宿命の神がな!」


同じ宿命の神?



「私達は星の導きに、その仲間を探しに来たのです!」


「しかし、座主様?今のままの力では確かに足手まといです…」



三千院さんは厳しい…


そこに助け船を出してくれたのが空海さんだった。



「そこで、私に考えがあります」



空海さんの助け船とは?



その後、俺は…


空海さんの下に弟子入りしたのだ。



「それで、貴方の方はどう致しますか?もし宜しければこちらに来ませんか?」


えっ?


俺が振り返ると、健治が岩影に隠れてこちらを見ていた。

そしてゆっくりと姿を現す。


「健治!!」


「…よぉ?」


健治?お前、生きていたんだな…



「健治?お前…健治で良いんだよな?」


「こんな化け物みたいになっちまったが、俺は健治だ…軍斗…お前には悪い事したな?」



だが、俺は飛び付くように健治を抱きしめた。


「お前が…生きていて、しかも昔の健治である以上に他に何か問題あるか?」


俺は涙していた。

そんな俺を見て健治も涙ぐんでいた。


「なぁ?良かったらお前も俺と一緒に来ないか?」


「俺も?」



俺は卑弥呼様と他の四人の顔を見た。


「貴方が宜しければ私達は貴方を歓迎しますわ?」


「マジか?俺みたいな化け物を?」


「問題ない。我等は転生者には寛大なのだ。それにお前みたいなのも沢山いるんだぞ?」


大徳さんの言葉に俺も驚いた。

とんでもない世界に俺は足を踏み込むのだと・・・



「あはは…何か凄いっすね?」


「信じて良いのか?」


「俺はこの人達を信じる!信じられる!だからお前も信じろ!」


「そっか…お前が信じられるってなら、俺も…本当に本当に俺も良いんだな?」


「俺と一緒に厄介になろうぜ?そんで、恩を返していこう!」


「正直、俺も島が崩壊して行く当てもないし、どうしようかと思っていた」



そんな俺達に卑弥呼様は優しく受け入れてくれたのだ。



「歓迎しますわ。私達の力になってください」


「こんな俺で良ければ宜しくお願いします!」



あはは…


何か、一件落着だよな?



「あっ!ちょぃ待った!」


「何だよ?他に問題あるのかよ?」


「問題てか、千亜も呼んで良いか?アイツも人間側なんだよ!」


「やっぱり千亜も?あはは!歓迎歓迎大歓迎だよ!詩織も喜ぶだろうし、千亜は今は何処に?」


「昔俺達が遊んでいた秘密基地[防空壕]にいる。あの惨状でも問題ないはずだ」


「よし!連れて来ようぜ!」


「いや、俺が連れて来る。だから待っていてくれよ?」




そう言って、健治は千亜を迎えに走って行った。

だが、健治はその後、戻っては来なかった。


何があったんだ?


心変わり?やはり島の外の者への不信感?

何があったかは解らないが、無事に千亜と元気でいて欲しいと思っている。


俺は手紙を残し、蛇神島を後にした。


いつか必ずまた会えると信じている!


待っているからな?


健治!千亜!


俺は今も、健治と千亜に再び出会えると信じているから・・・







それからの俺は…


様々な法術や武術の鍛練に励む。


そりゃ~死に物狂いに修業したさ…


元々格闘素人だった俺なのだが、中(魂)にいる神のおかげか、普通の人間が数十年以上もかかる程の修業を五年近くで熟す事が出来た。


いや、マジに死ぬかと思ったよ…本当にマジに!


空海さん、ああ見えて結構スパルタだったからな…


そして、修業を終えた俺は再び卑弥呼様達のもとに現れたのだ。



今度は足手まといでなく…


『仲間』として!


俺はその日、初めての戦場に立った。




「あれがカミシニって連中ですか?」


「そのようだな…」


「フム。かつて十二の封印の時に、我々人間に力を貸した二つの神の転生者がいたと言う」


「それがカミシニとヤオヨローズと呼ばれる者達だと言うのだ…」


「じゃあ、仲間じゃないんですか?」


「だが、一方のカミシニ達は、その場にいた我々の仲間達である人間達をも惨殺したのだ」


「なるほどねぇ~で、そのカミシニとヤオヨローズの戦いに俺達が助っ人に駆り出されたって訳なんですね?」


「そういう事だ!ヤオヨローズには借りがあるからな!」




俺は僧の衣を纏い戦場に現れ、マスタークラスであるカミシニ達の行手を塞いだのだ。


さて…これからが、俺の新たな戦いの始まりだ!


おぅ!




『上等ぉおおお!』














三蔵は俺の話を聞いた後、



「俺には解らねぇな…人のために戦うなんて…人のために生きるなんて…俺には出来ねぇよ…」



こいつは…いや、こいつは解っている。


自分の宿命を…


そして、こいつは戦うだろう。


俺達と一緒に!


世界を救う救世主として!


何故なら…


俺は後に卑弥呼様に尋ねた事があるんだ。


何故にあの日…己の身を省みずに戦えたのかと?


すると卑弥呼様はおっしゃった。



『あの日、貴方が闇に向かって飛び降りた時に、貴方の背中を見た時に未来のビジョンが見えたのです…』


「未来のビジョンですか?」


『…まだ巡り会えない運命のあの方が…今もなお闇の中で苦しみ、泣き叫ぶ事すら許されず、

そしてこれから先、救世主として更になお!もがき苦しむ宿命を持ったあの方が唯一…唯一…心を許し、共に笑い合える者達の姿が…それは三千院、大徳、バサラ…そして、いつもあの方の傍らにいる人物こそ、蛇塚?貴方だったのです』



その時、俺は気付いた。


この卑弥呼様には、それだけ大切な奴がいて…


そいつには、俺が必要なんだと!


だから俺は…


卑弥呼様のためにも戦い抜くと…


心に誓ったのだ!







蛇神島編…終














終わり?


だが終わってはいなかった。


実は知らない場所で悲劇が起きていた。


それは蛇神島で起きた。


それは俺達と別れた健治が千亜を迎えに行った時、



「あはは…千亜の奴喜ぶぜ!きっと…直ぐに千亜を連れて軍斗の所に戻らないとな!」



健治は秘密基地のあった防空壕の中へと入って行く。


そこで健治は気付いた。

中で、千亜が苦しむような?もがく声が聞こえているのを?


「千亜!どうした?大丈夫か?」



健治が千亜の前に現れると、そこには千亜が岩の上に寝かされて裸にされていた。

しかも、その上には?そこにいたのは、裏切り者の霧谷だった。



「け…健治君…いや…見ないで…」


「てめぇ!千亜に何をしてやがる!?千亜を放しやがぁれ!」


「ハァン?オレ様のお楽しみ中に何を騒いで邪魔してんだ?コラァ?」



すると、健治の道を塞ぐように大型の銀色の狼が現れたのだ。

大型狼はその姿が人型へと変わっていく?


銀髪に色白の肌。

左右の瞳の色の違う野生味のある姿。

その男は銀髪に左右の瞳の色が違う異端な容姿だった。

それはかつて『妖精』と呼ばれた集団の姿に酷似していた。



「その邪魔チンコ掃除しておいてな?」


霧谷の指示に銀髪の男は頷いた。


「キサマァアア!」


健治は拳に蛇気を籠める。

その暴拳は大地を粉砕する破壊力を持っていた。

だが、健治の拳は銀髪の男には当たらなかった?


「えっ?」



健治は自分の腕を見たのだ。

そして気付いた。

自分の腕が肘から鋭利な刃物で斬り落とされている事に。


「うぎゃああああ!」


痛みに苦しむ健治は銀髪の男を見る。

鋭利な刃物なんか何処に隠し持っていたんだ?

違う!それは銀髪の男の爪。


「………」


すると、目の前の視界から銀髪の男が消えると、頭上から重力がかかったように健治は頭を押さえ込まれた。健治は身動き出来なかった。



「うぐぅおお!千亜ぁああああ!離せ!くそぉ!くそぉ!くそぉー!」



健治の目の前で犯される千亜…


「ぁあああ!」


(千亜…千亜…あぁああ…ようやくこの地獄から解放されるはずだったのに…くっ!俺は何て無力なんだ…大事な…大事?)


健治は気付いた。



(そうか…俺は…今頃気付いたよ…俺は、千亜と軍斗のためにと思っていた…思い込もうとしていたが…違ったんだ…俺は、千亜が…千亜が…)



「もう、良い…お前を助けるためなら、俺は人間なんか…」


『捨ててやる!!』



健治は己の蛇神力を高める。

それは今まで抑え込んでいたリミッターを全て解除し、その力を完全解放させるためだった。

だが、それは二度と人間に戻れないというデメリットがあったのだ。


「関係ない…俺は…俺は…千亜をぉおおお!」


(あいし…)



その瞬間、何かが音を立てて潰れる音がした。


同時に千亜の泣き叫ぶ声?


健治は…銀髪の男に踏み潰され、頭部から血を噴き、粉々にされたのだ。


一瞬の惨劇だった。


健治を殺した銀髪の男は霧谷にひざまずくと、静かに頭を下げていた。



『ふふふ…見事な殺しぶりだったぜ?フェンリルよ!』



狼に変化する銀髪の男はファンリルと呼ばれた。



「ファザー?これ食べて良いか?」


「あぁ?構わねぇぜ!綺麗にしとけよ?」



ファンリルは口を広げ、健治の死した身体を貪り喰らった。


生々しい嫌な音と、血生臭い臭いの中で千亜は霧谷にされるがまま抵抗を止めた。


どれくらい経ったのだろうか?



『全く…長い時間かかった割に手に入ったのが、蛇神の女が一匹だとはな?まぁ、運の良い事に大蛇の王を身籠る巫女だったのは幸いだったぜ!前にやっていた妖精実験に比べたら時間もかからなかったし、楽な方と言うべきか?』


すると霧谷は…


眠っている千亜に近付くと、その手を千亜の腹部に当てた。

千亜の腹部は脈打ち膨れ上がっていく。

それはまるで妊婦の如く?

突然、千亜は苦しみもがき悲鳴をあげたのだ。



『強制的に出させて貰ったぜ?オレ様の蛇をな!!』



そして、ソレは現れたた!

千亜の腹部を突き破り、這い出て…



『産まれ出で、転生せよ!』



千亜の身体から現れたのは、半人半蛇神の姿の子供だった。

蛇神の子供は千亜から這い出て、その場に立ち上がると、見る見るうちに成人へと成長する。



「お目覚めだな?おはようさん!オレ様の息子…」


『ヨルムンガンド!』



そしてついに霧谷も本来の姿を現す。


長い白髪に、色白の肌…


人間で言えば二十歳半ばくらいだろうか?


まるで美の彫刻のような美しい要望に、冷たくも冷酷な瞳。


だが、その口許は無邪気に笑みを見せていた。


その男…


いや、邪神は言った。




『ラグナロクが近付いている。それまでに世界を左右する鍵は全て俺が手に入れてやるぜ!


このトリックスター…この美貌と狡知の神!救世主・ロキ様がな!』




妖精の悪魔の実験に蛇神島の真の黒幕?

ロキと名乗る邪神の笑い声が崩壊した蛇神島に響き渡った。


次回予告


三蔵「いよいよ物語は俺が主人公の展開に戻るぜ?


よっしゃあ!


久しぶりに俺の真言で決めるぜ!!


覚えているなら、皆も一緒に叫べ!


ナウマク・サマンダ・バザラ・ダンば、あっ!


(やっちまった・・・久しぶりだったから、噛んじまった・・・)


てな訳で、次は俺のヤバい話だ」

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