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聖輪奇聞・転生記!~神を導きし救世主~  作者: 河童王子
転生記~始まりの伝説編~
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敵は三蔵?

霊感大王を倒したのもつかの間、三蔵一行の前に本当の黒幕が姿を現したのだ。



俺様は孫悟空だぜ!

霊感大王を倒したのもつかの間、俺様達の前に忽然と姿を現した謎の男?

そいつは、瀕死状態の霊感大王を容赦なく目の前から消し去ったのだ!


それにしても・・・


霊感大王を消し去った時の奴の霊圧は半端なかった。

この俺様が一瞬身震いするほどだからな。


それにしても?

あれ?

あいつ、何処かで??

悩む俺様に三蔵が思い出させてくれた。


「猿よ…覚えているか奴を?」


えっ?

俺様はマジマジと男の姿を見直した。

歳は二十から二十四歳くらいか?

金髪の髪に、白い高僧衣・・・

はて?何処かで?


あっ?

あっ…あーー!!

思い出したぞ!!


「あいつ気配ない男だ!」


確かに以前会った事が?

いや、見かけた事があると言った方が良いか?

三蔵と二人で旅をしていた頃に一度どこぞの村で見た奴だ!

やたらと印象的な奴だったから覚えているぞ!


「三蔵…あいつ?」

「思い出したか?」

「あいつ人間じゃないのか?」

「妖怪ではなさそうだ。しかし、ただ者ではない事は奴の半端ない霊気の量で解る!」

「確か霊感大王が最後に、あの人に命令されて?みたいな事言ってましたよ?」

「奴が黒幕に間違いなさそうだが、何者だ?」


すると八戒が思い出して、男を指差し叫んだのだ。


「あぁー!お前?あの時のお坊さんじゃねぇらか?」「お前、知っているのか?」

「ほらよ?以前話したらろ?猿と三蔵の旦那が妖怪の罠にかかって幻術にハマった時に、力を貸してくれた坊さんらよ!」


あぁ!

確かに聞いた事があるぞ!

俺様と三蔵が黄眉大王の幻術の罠から抜け出せなくなった時に、八戒と一緒に手助けをしてくれたと言う坊さんの話を?

ごたごたの中、礼を言えないまま何も言わずに消えた坊さんの話。


ん?なら、味方なのか?

敵じゃないのか?

どっちか解らねぇよ!

すると、俺様の考えを代弁するかのように三蔵が男に話し掛ける。


「貴様は何者だ?俺達に何か用があるのか?」


「・・・・・・」


三蔵を無視して、男は沈黙を続けた。


「何とか言え!お前が俺達に妖怪を差し向けていたのか?敵か味方なのか?返答次第によっては許さんぞ!」


「・・・・・・」


男は無言で俺様達を見ているだけだった。

何か…イライラする!

三蔵じゃないが、シカトされると腹が立つぜ!

俺様は謎の男に向かって飛び出したのである。


「何とか…言いやがぁれぇー!」


俺様の拳が謎の男をとらえた。

だが、俺様の拳は空を切ったのである?

奴が視界から消えた?


「上だぁ!」


「何?」


謎の男は俺様の拳を躱して空中に舞い上がっていたのだ。

そして、広間の二階に着地したのである。

男は俺様達を見下ろしつつ、ついに口を開いたのだ。


「用があるのか?…か…」


今度は謎の男の方が三蔵に問い返したのだ。


「私が用があるのは孫悟空!八戒!沙悟浄!お前達だけだ!貴様に興味はない!」


「な…何ぃ?」


はぁ~?

俺様と、八戒と沙悟浄に用があるのか?

てか、俺様はお前なんか知らないぞ?

俺様は後ろにいる八戒と沙悟浄の方を見ると、


「私も知りませんよ!初めてお会いしました!」

「オラも黄尾大王の件以外は初めて会うらよ?」

「俺様もいくら思い出しても、全然心当たりがないぞ?」



見当もつかない俺様達の様子を見た三蔵は、


「おい!コイツ達は貴様に心当たりがないようだぞ?人違い…いや、妖怪違いではないのか?」


謎の男は俺様達を見下ろしたまま黙っているだけだった。


「いい加減にしろ!何か言いたい事があるなら言って見ろ!コイツ達に何の用があるのだ?」



すると謎の男は、


「全く騒がしい奴だ…」


「何だと?」


「ならば問う!お前こそ何者だ?」


「質問に質問で返すな!」


「質問に答えろ!」



事もあろうに三蔵に対して謎の男は叱咤したのだ。

そして三蔵もまた威圧感に気圧されたのである。


「ぐっ…俺か?俺は三蔵だ!それ以上でもそれ以下でもない!」


こんな三蔵初めて見たぞ!?

てか、三蔵が弱腰、負け腰なんて?

明日は雨か?雪か?嵐か?何が起きる??


今度は謎の男が三蔵を見下ろしながら、



「三蔵か…ふざけた名を…」


「何だと?何が言いたい!貴様こそ何者なのだ?こちらが答えたのだ!次は貴様が何者なのか教えろ!」



すると謎の男は「私は……だよ…」と告げたのだ。


えっ?今、何て?

よく聞こえなかったぞ?

三蔵の奴は分自身の耳を疑っているようだった。

そして再び名乗ったのだ。



「もう一度言う。「私の名前は玄奘三蔵!釈迦如来より使命を受け、この世界のこの時、そこにいる孫悟空、八戒、沙悟浄と共に旅をするはずだった者だ!分かったか?偽りの三蔵よ!」


「まさか!!」


どういう事だ?奴が『三蔵』だって?

三蔵は三蔵の言葉に驚愕していた。

三蔵が二人?

いや?三蔵は三蔵であって、三蔵は三蔵なんだよな?

だから…えっと…こっちもあっちも三蔵で…三蔵が三蔵の??三蔵なのか?


あああ・・・

意味解らないぞ!


「えっと…つまり…同姓同名て事なんじゃ?」

「なんらか…そういう話じゃなさそうらぞ?」


玄奘三蔵が続けて言い放つ。



「私が本当の三蔵だ!よって、そこにいる孫悟空達を取り戻しに来た!」



バッ?馬鹿言ってんじゃ・・・

そうだ!

ここは三蔵から何かビシィっと言ってやれ!


混乱する俺様が三蔵を見ると、三蔵もまた立ったまま動けないでいたのだ。


まさか・・・

三蔵が偽物?

てか、偽物も何も三蔵は三蔵で?

あああ!

意味不明の混乱百パーセントで、ちんぷんかんぷんだぞ?

マジに訳が解らないぞ~!


すると、こっちの三蔵が口を開く。


「お前が本物の三蔵法師だと言うのか?」


もう一人の三蔵は頷いた。

三蔵は冷や汗を流していた。

そしてなにやら考え込んでいた。


(やはり存在していたのか…孫悟空や、八戒、沙悟浄が実際に存在していたのだから、本物の三蔵法師がいてもおかしくはないとは思ってはいたのだが…。いや?実際、本当に俺が歴史上の三蔵法師なのかと思ったくらいだし…このままで良いのかな?良いよな?何て…思っていたのだ…なんて言えねぇよな…やっぱし?)



「ど?どういう事なんだ?えっ?三蔵!」


珍しく真剣に悩む三蔵を見て俺様は直感した。

うちの三蔵が『また』何か取り返しのつかない、とんでもない悪さしちゃったりしたんですか?


だったら、三蔵に代わって謝るぜ…ごめんなさい。



「返してもらうぞ!私の連れ達を!」


「仕方あるまい」



仕方あるまいって?何だよ?

まさか俺様達を奴に引き渡すとか?

ふざけんな!

俺様達は物じゃないんだぜ!


すると三蔵は玄奘三蔵に向かって叫んだのだ。


キッパリと!



「こいつ達はやらん!」


「なに?どういうつもりだ?」


「悪いが俺の目的のために、こいつ達は必要不可欠なのだ!だから、今更お前に渡す訳にはいかん!」


「お前は…何を言っているのか解っているのか?」


「今言った通りだ!言葉は曲げん!」


「運命を、歴史を変えるつもりか?」


「知った事か!例えそれが許されない事であろうとも、例え神が決めた運命であろうと、俺は俺の信じた道を行く!」



よくは解らないが・・・

三蔵の奴、いつもの無茶苦茶な我が儘を言っているに違いない!


「おいおい!何を二人で訳の分からないやり取りをしてやがるんだよ?俺様達をやるとかやらないとか!」


八戒と沙悟浄は既にちんぷんかんぷんで、頭を抱えていた。


「お前達、話は済んだ!帰るぞ!」


「えっ?良いのか?話は?あいつはどうするんだ?」


「構わん!」



三蔵が背中を向けてこの場を去ろうとすると、背後から錫杖が飛んで来たのだ。


「なっ?危ねぇ!三蔵!」


「!!」


三蔵は察していたかの如く、飛んで来た錫杖を振り向き様に手刀でへし折った。

錫杖を投げた玄奘三蔵は、三蔵を睨みつけていた。

三蔵もまた睨みつけて戦闘体勢でいる。


もう、ごちゃごちゃするぜ!


「やはり…口で言っても解らないようだな?」


「その台詞、そっくりそのまま返そう!こっちにも譲れぬ理由があるのだからな!」


「ならば力で分からせるのみ!」


「やむを得んな!」


すると、こちらの三蔵が印を結び不動明王真言を唱える。


『ナウマク・サマンダ・バザラ・ダン・カン!』



三蔵の手から炎が燃え盛り剣へと変わる。

降魔の剣がその手に握られたのだ。



「求める未来は己の力で勝ち取るだけだ!」


「やれるか?お前に!」



玄奘三蔵の霊圧が膨れ上がっていく。

先程の霊感大王を押し潰した霊圧の比じゃねぇ!

しかし二人の三蔵の前に割り込む者がいた。


「どういうつもりだ?」


「お前達!」



俺様と八戒、沙悟浄が二人の間に入り、三蔵を庇う態勢になったのだ。

こっちのな?


「お前達、それはどういうつもりだ?」



「へぇん!突然現れてお前の物になれだと?ふざけるなぁ!俺様達は物じゃねぇぞ!」

「話は解らないらが、オラはこっちの三蔵の旦那に借りがあるらよ!」

「そうです!私は、こちらの三蔵様が好きなんです!」



「そうか、ならば良かろう!ついでだ!今のお前達の『力』を見極めてやろう!」



玄奘三蔵の掌が光り輝き、その四方に何かが浮かび上がっていく?


あれは?


「あれは輪宝か!」


輪宝とは車輪の形をした武器で、円盤投げのように投げるインドの武器である。

玄奘三蔵白は頭上を指差すと、浮かび上がる四つの宝輪がその周りを回転し始めたのだ。



「来るぞ!お前達!」


「おうさぁ!」


八戒と沙悟浄も武器を構え警戒する。

玄奘三蔵がゆっくりと俺様達に指を向けると、同時に四つの宝輪が俺様達に向かって飛んで来たのだ!



「お前達ぁ!気を引き締めろー!開戦だぁー!!」



俺様と三蔵は向かって来た宝輪を躱して宙に飛び、

八戒は刀で向かって来た宝輪を受け止める。


「うらああああ!」


八戒が宝輪の勢いに押されていく。


「肉体強化!腕!足!」


八戒の腕と足が膨らみ力を増す。


「うらぁー!」


八戒は気合いとともに宝輪の威力を受け止め、逆に玄奘三蔵に向けて投げ返したのだ。

だが、玄奘三蔵は凄まじい勢いで戻って来た宝輪を別の宝輪をぶつけて止めた。

余裕の笑みを見せる玄奘三蔵。


「くっ…ダメらか?」


そこに、俺様と三蔵が玄奘三蔵の間合いに入り襲いかかる!


「うりゃああ!」


「ウオオオオ!」



同時に玄奘三蔵に攻撃を仕掛けたのである。


えっ?消えた!あっ!


突如、目の前から消えた玄奘三蔵が俺様達の眼前、間合いに現れ・・・


「ウガッ!」


「オギャア!」


俺様達に向けて、


「波ァーー!」


気功波を放ち吹き飛ばしたのだ!


ん?その時、俺様と三蔵は吹き飛ばされながら目に入ったそれは?

いつの間にか目を回して転がっていた沙悟浄だった。



(あいつ…最初の攻撃で既にやられていたのか…?)



まったくもって使えない奴なんだな?

お前って・・・

俺様は身体を捻りながら体勢を立て直し着地する。

三蔵の奴も難なく着地した。

無事の用だな?


「よし!今度は本気で行くぜぇ!」


俺様の妖気が高まっていく。

そして印を結んで力を解放させたのだ。


「獣王変化・唯我独尊!」


俺様の身体が巨大化し、金色の大猿へと変わっていく。



『グルルル…!』



今度はこっちが攻める番だぜぇ!


次回予告



孫悟空「三蔵?なあ?お前を信じて良いのだよな?」


三蔵「くどい!」


孫悟空「なんだろうか・・・このモヤモヤは?」


三蔵「ならば!次話を見よ!さすれば、そのモヤモヤを払拭できるだろうよ!あはははははははは!」


孫悟空「・・・・・・・」

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