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聖輪奇聞・転生記!~神を導きし救世主~  作者: 河童王子
神を導きし救世主!
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蛇神島の真実!黒幕現る?

己の命と引き換えに空海が禁断の切り札を使おうとした時、


背後から襲う者あり。その者は空海の弟子のはずの霧谷であった。


俺は蛇塚軍斗…


一体、何が起きてるんだ?


空海さんが己の身を引き換えに、切り札である神を召喚しようとした時、突然背後から現れた何者かによって背中を刺されたのだ。

ゆっくりと倒れていく空海さんの後ろから見える、その者の正体は?


霧谷さん?


その人物は、怪我で戦線離脱していた空海さんの弟子である霧谷さんだった。

霧谷さんの手には、血の付いた日本刀が握られている。


間違いない…


俺は霧谷さんに向かって叫ぶ。


「あんた!何をやっているんだよ?空海さんは、あんたの師匠なんだろ!!」



霧谷さんは俺を無視し、倒れた空海さんを見下ろしながら言った。



「まったく…何処を探しても見付からないわけだよなぁ~!まさか義手に隠しているなんて、ザケロ!みたいな感じだよ」



その口調は、俺が知る…

いや?あんまり知らない人だったが…

別人のように豹変していた。


空海さんもまた、霧谷さんに斬られた事に衝撃を受けていた。



「き…霧谷君…君は…何を?」



痛みに耐えながら空海さんは、記憶の混乱を起こしていた。



「君は…エッ?あれ?君は…誰だ?君は私の弟子?いや、違う!私に弟子なんかいなかったはずだ!なのに、何故今まで気付かなかったのだ?お前は一体何者?誰なのだぁー!!」



エッ?霧谷さんは空海さんの弟子じゃない?


空海さんは傷付いた身体で、懐から術札を霧谷さんに向けて投げ付ける。

が、目の前にいたはずの霧谷さんは霧のようにぼやけながら消えて、術札は消えていく…


「!!」


そして再び空海さんの背後に現れた霧谷は、再び日本刀で空海さんの頭上から振り下ろす!


その直後!


『さぁせるかぁー!』



何処ともなく金色の錫杖が飛んで来て、日本刀を振り上げた霧谷の身体を串刺しにした。

それと同時に、空海さんを庇うように二つの影が飛び降りて来たのだ。


あいつ達は!


その者達は、俺を幾度と救ってくれた銀髪と大男だった。



「やれやれ…邪魔物かよ?面倒臭いぜ!まったくよ~」



霧谷は髪を掻き上げると、貫かれたはずの傷が消えていく?


そして空海さんに、


「空海さんよ?今まで楽しかったぜ!てか、俺の記憶操作はどうよ?いつからいたか解らないだろ?あはははは!安心しろよ?ボケた訳じゃないぜ?」


「ウググ…」



苦しむ空海さんの傍らに、あの綺麗な女子の座主さんが駆け寄り治癒の術を施す。

そして、大男は霧谷に向かって叫んだのだ。



「どうやら、この島で起きた全ての元凶はお前のようだな!」


「元凶?どういう事だよ?お前さん?」


「ならば、教えてやろう!」



すると、大男の口からこの島で起きた全ての真実が語られたのだ。




この島の謎…


それは全てを納得させられる内容であり、俺にとって絶対に許せない内容だった。





話は遡る事、数十年前…


日本戦時中…


中国に遠征していた日本兵が、『不死の蛇』を持ち帰った事から悲劇が始まった。


その蛇を使った人体実験…


特殊な力を持つ兵士を作り上げるために、孤島での実験に使われる人間達が集められる。

その人体実験を行うために、五人の研究者が島に送られた。


と、ここまでは俺も病院の地下にあった研究日誌から知っていた話であるが…



だが、その後の話は大男の推理と知識から導き出し、俺達が目を通してなかった資料を見つけた事から解った真実だった。


裏の世界に生きるこの大男だからこそ導きだした見解とは?


あの研究日誌には、まだ続きと別の解釈があった。

大男は病院で研究日誌の他に、研究者個人の日記を見つけていたのだ。


そこには、こう記されていた。




【私もここ(蛇神島)に来て、随分立つ…


島の住民達に毎年行われる蛇から抜き出した血清の投与と、観察が私の日課だ…


正直、私はこの任務は好きになれない。


人を人とも思わない悪魔を生み出す人体実験。


こんな事を続けていたら私もいつか…悪魔にでもなってしまうんじゃないかと思える…


しかし、研究者としての本能が、この研究を続けたいという探究心があるのも本当なのだ。



自分が恐い…


そういえば最近、白髪が増えて来たな?


白髪と言えば、私達の研究者のメンバーに…


まだ若いのに白髪の若者がいる。


歳は二十代半ばくらいだと聞いていたが?


彼もよほど苦労しているのだなぁ…


だが不思議な事に、この若者は島に来て数年経つが…


まるで歳をとったように思えない?


不思議な若者だ…



白髪と言えばこの実験の元凶になった不死の蛇を持って来た兵士も、白髪の若者だったと聞いたが?まさか本人?


まさかな…


既に数十年以上前の話だしな…アハハ…】





この日記を読んだ大男は部屋の資料を漁りつつ、アルバムにあった写真を見付ける。


それは研究者五人の写っている写真。

そこに写っている白髪の若者…


それと、中国に遠征に出ていた軍人達の写真を手にして、一人一人探していく…

そして、ようやく蛇を持って来た日本兵が写っている写真を見付けたのだ。


研究者の日記の文面から見付けるのは容易だった。


何故なら、白髪の若者を探せば良いのだから!


大男は二つの写真を見比べ確信した。



間違いない…


この白髪の若者は同一人物だと!


歳を取らない白髪の若者…


そうなると、まるで…


この島の悪夢は…


この白髪の若者が導くように企てた計画のようには思えないか?と…


更に研究日誌から気付いた事もあった。


元の人間の記憶を持ったまま、体内の蛇に意識を奪われて化け物になる島人達。


考え方によっては…


いや、裏世界に生きている大男だからこそ思い付いた発想!


今の記憶と過去の記憶…


二つの意識を持つ共通点!


これは、ある特殊な者達の体験に類似していたのだ。


そう…


『転生者』と、呼ばれる者達に!


知られている転生者達は前世の記憶と、現在の記憶を二つ持っていると、大男は自分の師から聞いた事があった。


しかも転生者には二種類存在する。


前世の記憶を持ちながら現在の意識が主導権を握る者と、前世の意識が今世の意識を上回り『生まれ変わり』となる者。


もし、この仮説が正しいのであれば…


この化け物達は?


化け物に寄生され意識を奪われたのではなく、前世の記憶が蘇ったという事ではないのか?


しかも、この島に集められた者達が全て大蛇の化け物を前世に持つ種族だったとしたら?

それが、この不死の蛇の血を与えられた事で、強制的に記憶と力が蘇ったとしたら?


いや、間違いない!


そう考えれば全てのつじつまが合う!


しかも、この歳をとらない白髪の若者も人間ではあるまい。


そいつは誰にも気付かれる事なく、日本にある孤島を舞台に日本政府を手玉に取りつつ、こんな大それた研究を始めたのだ。


たった一人で!


そして、恐らくこの白髪の男は…


転生者にはまだ別の分け方があるのだ。


力のあった人間の転生者の他に…


覚醒と同時に驚異的な力と、歳を取らない体質を持った転生者…


それは…


大男は、白髪の男(霧谷)に向かって叫んだのだ。



「お前!神の転生者だな?神であるお前が何の目的でこんなふざけた事を始めたのだ?お前は何者なのだ!」



すると霧谷はほくそ笑みながら答えた。


『俺は…』


俺は?


『神をたぶらかす者…』


…神をたぶらかす者?



『いや、世界の茶番劇の企画者…プロデューサ』



・・・何を言っているの?こいつ?



『違うな…俺は…』


・・・??


『俺は…おぉ?あえて自己紹介なんてした事なんかなかったから、どうしたら良いかな?強いて言・え・ば!』



その瞬間、白髪の男は霧に覆われたかと思うと、目の前から消えたのだ!?


『!!』


次に奴が現れた場所は…

事もあろうに座主さんの隣??

あの綺麗な座主さんの手と腰を持ち、見つめながら…



『お嬢さんのPィーを濡らす貴公子…なんてのはどうだ~』



な・・・なんて事をー!?



『…おっとと!?』



直後、閃光の如きスピードで斬り掛かる銀髪!

霧谷は再び霧の如く消えて躱すと、怒りをあらわにした銀髪が両手に黒い刃の短剣を掴み、目にも留まらぬ攻撃を繰り出していく。



『おっとと!邪魔するなよ?今から美味しい所だったのによぉ…!妖精君!』


「!!」


銀髪は攻撃を止めて、霧谷に叫んだのだ。


「お前!今、妖精と言ったのか?何故、お前がそれを知っているのだ!教えろ!」


『嫌だね!秘密だよん!』



何処までも余裕に、相手を子馬鹿にする男…


そして、最後に言った!



『俺は…オレ様は!神を導く救世主から、救世主を奪いし者だ!』



何だ?神を…何だって?


それだけ言うと、そいつは完全に俺達の前から消えた。


まるで、突風が吹き抜けたようだ…


沈黙の中、最初に口を開いたのは?




『もう、茶番劇は終わりかい?』



両肩に二匹の蛇を乗せた大蛇の王と化した光治だった。



『奴が何者かは俺の知る事ではないけどさ?奴のお陰で俺を目覚めさせてくれたのであれば、礼を言わなければね』



光治は舌を伸ばし…



『この蛇の王自ら、後で美味しく戴いてやるとしようか?あはははは!だけど、先ずはお前達からのようだ』



光児の周りに銀髪と、大男。

それに光児の攻撃をくらい傷付いていた赤髪の男が立ち上がり錫杖を構えながら囲む。



「大蛇の王!さっきは不覚をとったな?お前はここから出さん!」


「あの白髪の男も許せないが、先ずはお前からだ!」


「ウム。大蛇の王か…相手にとって不足なし!」



明王を宿した三人の僧侶が並び立つと、




『この大蛇の王がお前達を血祭にしてやるよ!』



今、大蛇の王との最終決戦が始まる!


次回予告


三蔵「マジに佳境だよな?てか、マジに何者だったんだ?あの霧谷って??」


蛇塚「さあな?それよりも今は大蛇の王を何とかしないとな?」


三蔵「でも、大丈夫だと思うぜ?あの三人が揃えば問題ないだろ?」


蛇塚「・・・・・・」


三蔵「・・・えっ?」


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