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聖輪奇聞・転生記!~神を導きし救世主~  作者: 河童王子
神を導きし救世主!
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俺の本気!

蛇塚は空海の協力を得て、妹の詩織を救うべく最後の戦いに挑む!



俺は蛇塚軍斗!


俺は空海さんの『切り札』を信じ、戦う決意をした。


それは、親父の姿をした蛇神と戦うと言う事であり、それが詩織を助ける唯一の手段と信じて…


俺は空海さんを残して、一人祭壇に向かって飛び降りた。

祭壇を中心に周りの景色は闇が覆い、俺が今いた場所の位置すら解らなかった。だが、祭壇に着地すると、置かれた幾つもの蝋燭の灯りが唯一の頼りになった。


祭壇に現れた俺を見下ろす親父。

一人で出た理由は空海さんの切り札の時間稼ぎと陽動も兼ねており、それに俺には確かめたい事があったのだ。


『また邪魔物が現れたかと思えば…』


俺は…


「父上!詩織を返してくれ!詩織は…家族なんだよ!」



訴える俺に対して、親父は呆れた顔で言い放った。



『軍斗…情けなくは、劣等種よ!』


「劣等種?」


『そうだ!蛇神になれぬ事が証!この出来損ないが!』


「ふざけるな!俺は人間だ!」


『人間か…つまらぬ事に執着しおって!この馬鹿者がぁ!』




すると、親父は俺の目の前で蛇神化していったのだ。

黒い身体に、その頭上には二本の角が生えていた。



『我が名は夜刀ノ神!これが私の本当の姿だ!軍斗よ!今一度父親としてお前に命令する!人の身を捨てよ!そして、私達家族と同じ蛇神として共に生きるのだ!』




父親としてだと?人を捨てろだと?


家族と共に生きるだと?



すると夜刀ノ神と化した親父は両手をかかげると、祭壇の下の暗闇から無数の蛇がはい出て来て、祭壇の中央に寝かされていた詩織を持ち上げていく。



「し…詩織!」



俺は詩織を救うべく飛び出そうとしたが、

そこに頭上から飛び降りて来た何者かによって道を塞がれたのだ?


「お前は!?」


ソイツは、


「軍斗ぉ~?邪魔すんじゃねぇよ?」



千亜と共に消えたはずの健司だった。


「邪魔させねぇよ?軍斗!お前は俺と遊ぼうや?」


「ふざけるな!そこを退け!健司!さもないと」


「さもないと、どうするつもりだよ?」




クッ!銀髪の兄ちゃんはいないし、確かにどうしようもない…けど、俺は!


「前に進むぜぇ!」


「俺が喰らってやるよ?軍斗!」



健司の身体が蛇神化する。

その皮膚は蛇の皮のように変化し、

その腕から飛び出した骨が伸びて健司の拳を固めたのだ。


『蛇骨手甲』



健司は両手の拳を振り上げると異様な妖気が拳に集中する。

そして妖気を籠めた拳を俺目掛けて打ち込まれた。


「えっ?」




俺の身体は宙に浮き、そのまま誰かに引っ張られる。

同時に俺のいた足場が健司の放った妖気の拳で粉砕され陥没したのだ。

もう少し遅ければ俺は今ので跡形もなく?

鳥肌が立ったと同時に俺を救ってくれた人物を見た。


「空海さん!」


「危なかった…どうやら作戦変更のようだ…」



空海さんは堪らずに間一髪助けに入ったのだ。



「クッ!俺は時間稼ぎすら出来ないのかよ!」


「死んでしまったら意味もなかろう?」




すると邪魔をされた健司が怒鳴りつける。



「何だぁ?てめぇ!邪魔すんじゃねぇよ!コラァ!軍斗ぉ!お前も逃げ隠れして卑怯じゃねぇかよ!」


「そのような姿でいたぶる者が卑怯と罵るのは少し可哀想ではないか?何なら私が相手をしてあげよう」


「邪魔だ!くそ坊主!だったら先にお前から始末してやるぞ!」




健司は再び拳に妖気を籠めると、素早い動きで迫り、空海さんの顔面目掛けて襲う掛かる。


「危ない!」



あんなのをマトモにくらったら顔面なんか一発で無くなっちまうよ!

だが、空海さんは恐れるどころか、その拳に正面から向かって行く。


そして、俺の目の前で信じられない事が起きた。


二人がすれ違う寸前、健司の身体が一回転してその場に叩き落とされたのだ?



「力任せでは私の合気には触れる事も出来んぞ?」


合気?


それは俺が初めて見る不思議で魔法のような技であった。


「くぅそ~!!」


健司は立ち上がり空海さんに向かって襲い掛かるが、健司は何度も足下に叩き付けられた。


「何でだぁー!?」


「それが呼吸!合気なのだよ!」



俺は空海さんの魔法?合気に魅入っていた。


「すげぇ…」


だが、そこに固唾を飲んでいた父が動いたのだ。


「いい加減にしろ?神聖なる蛇神の血を受けながら、だらしない!」




突然、夜刀ノ神から強力な覇気が放たれ、戦っていた健司諸とも空海さんを弾き飛ばされる。


「空海さーん!」


「うぐぐ…」


「!!」



空海さんは今の衝撃で左足を膝から曲がっていた。


何てこった…


夜刀ノ神[親父]は俺に向かって言った。



『軍斗よ!今より詩織はこの儀式により完全なる蛇神となろう。そして母さんと同じく、蛇神の王を産む器となるのだ!』



何を言っているんだ?


母さんと同じ蛇神を産む器?



『我達家族から蛇神の王を誕生させる器が二人も現れるなんて、素晴らしいとは思わないか?だから邪魔をするな!』


「そ…そうはいかない!俺は人間なんだから!」


『軍斗よ!貴様も例え劣等種とはいえ私と血が繋がった家族だ!私がお前を蛇神に導いてやる。だから、もう一度チャンスをやる!私と来い!』



俺の答えは…


「俺は人でありたい!例えそれが貴方の敵になろうとも!」


『そうか…ならば仕方あるまいな…』



そんな親子の対立に、健二は夜刀ノ神に膝をつき頭を下げて懇願する。



「ま…待ってください!軍斗は俺に…俺に任せてください!」


『二度目はないぞ?』


「はい!今度こそ軍斗は俺がヤります!」



健司?お前、まだ俺を?


くそぉ…空海さんは動けないだろうし、やっぱり俺がやるしかない!



「軍斗ぉ!今度こそ俺の一撃で終わらせてやるからな!」


「上等だぁ!お前なんか俺の拳で一発だ!」



俺の無謀に空海さんが叫ぶのが聞こえた。



「無茶だ!少年!止めるのだ!」



だが、もう引き返せない。

健司は再び拳に妖気を籠める。

アレをマトモにくらったら一巻の終わりだ!

だけど、俺は拳を握りしめる。



「俺の本気を見せてやる!」



そして、互いに同時に走り出したのだ。

健司の右拳が向かって来る。

俺は健司の拳に合わせるように自らの拳を叩きつけたのだ。

俺の腕は肘から逆方向に折れ曲がり、俺は痛みに叫び声をあげてしまった。


「がっははは!」


健司は勝利に勝ち誇るが、空海さんは疑問に思っていた。



(あの威力を腕を折られただけですませた?もしや?)


その通りぃー!!


俺は痛みに堪えて健司に向かって飛び掛かる。

健司は俺に拳を握ると…


「これは?」



健司の拳が鮮血に染まり蛇神化が解けていたのだ?

俺はその隙をつき左手で健司の腕を掴むと、無意識に身体を脱力させて…


投げたのだ!!



「あれは合気!?少年は合気を使えるのか?」




とんでもないです。


俺に合気なんか足しなんだ事はありません。



ただ、さっきの空海さんの魔法のような合気の技に魅せられて、頭の中で何度もイメージしていたら…身体が勝手に動いた…みたいな?


つまり…マグレですから!!


健司は油断していた事もあり、脳天から頭を床に叩きつけられ動けないでいた。



「まさか…くそ!くそ!くそ!」



俺は健司を見下ろしつつも止めは刺さなかった。



「情けのつもりか?軍斗ぉー!!」


「情けじゃねぇよ…」



ただ、もう痛くて痛くて手が出せないだけです。


すると空海さんが俺を呼びつける。

そして俺の腕を掴み、



「どうやら折れてないようだな?間接が外れただけのようだ?少し痛いが我慢せよ?」


「えっ?あっ、はい!って、いってぇ~!」



空海さんは俺の腕を曲げると、強引に引っ張り戻したのだ。

更に空海さんは倒れている健司の身体を念で縛りあげる。


「これで邪魔はされまい!」


「空海さんは足は?」


「問題ない…折れた足の痛覚を止め、砕けた足に気をコーティングさせ補強した。これで私も戦えるだろう」


「意味解らないですけど心強いっす!」



そこに父親…夜刀ノ神が再び現れる。



『でしゃばっておいて、本当に役立たずが!お前達をのさばらせていれば儀式に支障が出そうだ…せめてもの情けだ!軍斗!お前は父親である私の手で始末してやろう!』


「あの者の眼を見てはならぬ!」


「眼?」



夜刀ノ神が瞳を綴じ再びその目が見開くと、その蛇眼が放たれたのだ!



『遅い…蛇眼!』



夜刀ノ神より放たれた蛇眼を受けた俺と空海さんは…


「身体が?」

「動けん…」



そして気を抜かれたように顔を俯せて動かなくなったのだ。

夜刀ノ神の蛇眼とは、その眼を見た者の精神を破壊する。


らしい…


成す術のない俺に近付く夜刀ノ神は口を開き…



『儀式前に、私の手で一思いに喰らってやろう!』



その開かれた口が俺を飲み込もうと迫った時、


《父さん…ごめん…》



俺は隠し持っていたナイフを、夜刀ノ神に向かって突き刺した。


『馬鹿な!?動けるはずなど?』




そのナイフにはベットリと付いていたのだ。

咄嗟に傷付けて付けた俺の血が!

そして俺の血がしみ込むように夜刀ノ神の目に入る。


『ウギャアアアアア!』



突然、苦しみ出した夜刀ノ神は眼を抑え苦しみながら俺を見る。



『一体何故?私の蛇眼が効かなかったかと言うのか?それに何だ?この痛みは??』



夜刀ノ神は己の目に強烈な痛みを感じながらも俺の姿を見ると、俺の目は赤く染まりながら真っ赤な血が目から垂れていた。



「ハァ…ハァ…ヘヘヘ!ギリギリだったようだ?前以て自分の目に血を入れておいて助かったようだ…」


俺の指先から血が垂れている。


そうなんだ…


どういう訳か俺の血には蛇神の力を無効にするみたいなんだ…



『馬鹿な…一体何故?なんだ!この血の魔力は…ウググ…!』




更に苦しむ夜刀ノ神の眼が閃光の如く発光した。


『ウギャアアアアア!』



同時に夜刀ノ神の眼から光りが放たれ、空間が歪み、その中から二つの光が飛び出したのだ??

その光は祭壇の柱にまで飛んで行くと、柱が崩れながら倒れて二つの影が舞い降りたのだ。



「どうやら外からの救援に救われたみたいですね?」


「そのようですね」



そこに現れたのは赤髪の僧侶と顔を隠した僧侶だった。



『馬鹿な!私の蛇眼より造りだした異空間から抜け出したと言うのか!?』



夜刀ノ神は突如現れた二人の出現に、驚きを隠せないでいた。


夜刀ノ神の蛇眼を見た者は肉体から精神[魂]を抜かれて、夜刀ノ神の造り出した異空間へと閉じ込められる。一度でも閉じ込められた者は死ぬまで、ありとあらゆる苦痛と恐怖を味わい最後は精神も肉体も廃人と化して死ぬのだ。


抜け出す事は不可能のはずなのに…


夜刀ノ神は己の眼を塞いでいた俺の血を拭い、舐める。



『これは!』



その途端、突然夜刀ノ神は俺達の前で額を抑えながら大笑いをしたのだ?



『ふふふ…あははははは!そういう事か!』



一体、どうしたんだ?



「もう観念するんだよ!父さん…いや、あんたは父さんなんかじゃない!もしかしたらと思っていた。もしかしたら…千亜も父さんも昔のままだと思っていた…だけど、やはり違うんだよな?」


『ふふふ…私は私だ!それに、どうやら軍斗?お前にも蛇神の血が立派に備わっていたようだな?それも特別な血がな!』


「はっ?何を言って?」




すると、夜刀ノ神はその身体に妖気を立ち込めさせると、漆黒の身体に漆黒の蛇神の鎧を身に纏った化け物の姿へと変わる。


俺はその変わり果てた父親の姿を見て…



俺も同じなのか?あの化け物と同じ?


嫌だ…俺は!!


そんな俺に赤髪の僧侶が、



「どうやら君のおかげのようだな?感謝する。私の鷹の眼でも奴の異空間の穴を見付けるのは困難だったのだが、君が開けてくれた穴のおかげで外に出られたようだ!」



俺はちんぷんかんぷんだった…



「後は私達が相手をしよう。君は退きたまえ!」


俺は…


「いや!待ってくれ!妹がいるんだ!俺は妹を救うために此処まで来たんだよ!」


「妹?」




夜刀ノ神の後方にある祭壇には、少女が無数の蛇に身体を縛られた状態で寝かされていた。


そこに…



「座主様!」



空海さんが現れ膝をつき頭を下げる。

顔を隠したリーダー格の座主が空海さんに問う。



「空海。例のモノは?」


「はい!確かに小角様より預かりお持ち致しました。しかし、出来る事なら使わないで済めばと私は思います…」


「確かに済めば良いのですが…」



例のモノとは多分、空海さんが言っていた切り札ってやつか?


それにしても…


空海さんが頭を下げるこの座主って女子は何者なんだ?


すると、座主は夜刀ノ神の正面に立ち、向かって叫ぶ。




「夜刀ノ神よ!今宵、予言にて現れると言う『大蛇の王』の復活は絶対に阻止してみせます!」




そう言って、被っていた布を脱ぎ捨てたのだ。


大蛇の王ってなんだ?


てか、この座主さん?



背中まで伸びた黒髪は長く風になびき…


そこには…


世にも美しいお嬢さんが凛々しく立っていた。


俺が状況を忘れて魅取れてしまうくらいに…


き…綺麗だ…


多分、これが俺の初恋…



銀髪にドキッとした時は危ない世界に直行かと少し焦ったが、良かった。


俺はノーマルだった!




そんな俺の心配を他所に…



『どうやらお前達は私達蛇神に対して面倒な敵であるようだ。ならば消し去ってやろう』



すると今度は赤髪の僧侶が、綺麗なお嬢さんを庇うように前に出る。



「夜刀ノ神よ!貴様の相手は私がしよう!」



赤髪の僧侶は指を交差させ高々に真言を唱える。



『オン・ソンバ・ニソンバ・ウン・バザラ・ウン・ハッタァー!』



赤髪の男から神々しくも凄まじいオーラが立ち込め、

その姿が神へと変わっていく!


降三世明王の姿へと!!




「さぁ…かかって来るが良い、夜刀ノ神よ!我が守護神・降三世明王の力をとくと味わうが良い!」



俺は…


目の前で起きている現実に、まるで夢でも見ているようだった。


えっ?


父親の凶暴化した姿?


赤髪の変身?




何それ?


俺が言っているのは、あの綺麗なお嬢さんの美しさの事なんだけど?


次回予告


蛇塚「次話!あの天才赤髪の兄さんが親父の夜刀ノ神との一騎打ちだ!


この戦いの末に俺は詩織を救えるのか?


甦りし大蛇の王とは?


まだまだ盛り上がるからな!」



三蔵「あれ?マジの予告か?」

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