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聖輪奇聞・転生記!~神を導きし救世主~  作者: 河童王子
神を導きし救世主!
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蛇神と明王!!

蛇塚の前に現れた幼なじみの千亜は、蛇塚を庇うという謎の行動をした。


さらに大男が気付いた新たな真実とは?


俺は蛇塚軍斗


俺は今、洞窟の奥にある祭壇に向かっていた。


それにしても…千亜のやつ?

どうして俺を助けたんだ?


俺は空海さんと弟子の霧谷さんと一緒に先を進みながら考えていた。


もしかして…千亜?


昔の千亜のままなんじゃないかと思ったが、

先程見た千亜の姿は間違いなく半人半蛇の化け物だった。



《化け物になった者は間違いなく人間じゃない…》



じゃあ、どうして千亜は俺を庇ったんだ?


わかんねぇよ…






場所は蛇神島の病院近くへと戻る。


大男は岩に埋もれるように倒れていた。


「うぐぅ…」


山のように見上げる程の大蛇[長二]が大男を見下ろし余裕の笑みを見せていた。


『小粒のようだぜ?大男さんよ?じゃないか?小男さんよ?』



大男は頭を打ったのか?

頭を抑えながら立ち上がる。

そして大蛇[長二]を見上げ飛び上がると、


「せぃやぁああ!」



大男の渾身の拳が大蛇の身体に放たれるが、その拳は大蛇の肉厚な筋肉には蚊に刺されたようなものであった。


「無駄だ!無駄無駄!お前の攻撃など痛くも痒くもないぞ!」


「こしゃくな…」


(確かに奴の身体は強固な筋肉で覆われているが、それよりも奴の身体より発する妖気が壁となって俺の攻撃を遮っているのだな?うむ)



「お前など腹の足しにもならん!踏み潰してミンチにしてやろう!」



長二の巨体が男の真上から尾を振り下ろし潰した。


終わった!


そう思った時、大蛇の尾の真下から声が聞こえる?


これは真言?




『オン・シュチリ・キャラロハ・ウン・ケン・ソワカ!』



その直後、凄まじい力が噴き出し、大蛇の巨体を揺るがせたのだ。


そして大蛇の尾を持ち上げ現れたのは?


漆黒の身体の恐ろしき形相の鬼神?

いや!あれは明王と呼ばれる神であった。



「流石に人の身では[まだ]無理のようだな?うむ。残念だ…だが、この姿の俺が相手ではお前の方が役不足だと言わせて貰おうか!」



突然現れた神に対して大蛇は驚きもしたが、その正体が先程の人間の大男だと気付くと、



『姿が変わったからと言って、この状況がどうにか出来ると思うのかぁー!』



再び大蛇の尾が振り上がり、大男目掛けて降り下ろされた時…



「役不足と言ったのが解らないようだな?ならば味わうが良い!明王と化した俺の拳を!!」



大男は大地に根をはるように踏ん張ると、空手の構えを取る。


「食らうが良い!」


『明王の正拳・七連撃!!』



大男から放たれた正拳は大蛇の巨体に直撃すると、えぐるように大蛇のどてっ腹に七つの風穴を開けたのだ。

大蛇は悲鳴をあげて倒れ落ちる。

その砂ぼこりから大男が拳を挙げて勝ち誇っていた。


「ふむ!」


身体に風穴を空けられた長二はもがき苦しむが、

それでも殺意は消えてはいなかった。

残された力で飛び上がると大男目掛けて落下して来たのだ。


「既に決着はついている!」



大男は上空より落下して来る山以上ある大蛇[長二]に向かって二発目の拳を振り上げたのだ。

その拳圧は大蛇を木っ端微塵に粉砕した。


残ったのは…


人間の姿に戻った瀕死状態の長二だった。

大男は問いかける。


「お前はあの少年の友か?」


その問いに長二は言った。



「馬鹿か人間よ?俺のような高貴なる蛇神が人間を友だと?あれは餌だ!供物なんだよ!ギャハハハハ!」



下卑た長二に大男は…


「残念だ…」


大男は瞳を綴じて振り向くと、長二は笑いながら逝ったのだ。






場所は変わり洞窟の入り口付近では、俺達を先に行かせてくれた銀髪と高城が戦っていた。



「う~ん…お前、責任取って僕の餌になってよ?でも、あんまり肉なさそうだよね?」


「先を急ぐ。無駄話をしている暇はない」


「あっ…そう?じゃあ、食べよぉおおおお!!」




高城の身体が肥大し、皮膚が蛇の皮になっていく。

そして、腹が裂けて中から無数の蛇が飛び出して来たのだ。


銀髪は左右に身体を揺らせながら蛇を躱して、更に動きを速めて壁や天井を足場に使いながら目にも留まらない速さで移動しながら高城に迫り、両手には黒い刃の短刀が握られていた。


「!!」


銀髪は高城の首もとに刃を突き付けたが、高城の首に当たる直前に銀髪の腕に無数の蛇が絡まり止めたのだ。



「残念~確かに君は速いけど、蛇は獲物を狩るエキスパートなんだよ?動体視力はそれなりに高いんだぁ~それに!」


「グゥゥ!」


銀髪の顔が歪む。

銀髪の腹部に高城の体内から這い出た蛇が噛み付いたのだ。


「セィ!」


両手を掴まれ身動き出来ない銀髪は自由だった足を振り上げて、両手に絡まる蛇を蹴り裂く。

そのまま着地し後方へ距離を取った所で、銀髪は吐血し倒れた。

そして銀髪はそのまま息を切らし踞り動かなくなる。



「身体が痺れて動けないかい?体内が熱いだろ?苦しいかい?だよね?だって…」


銀髪の白い肌が変色していく?



「蛇の猛毒が君を犯しているからね!ねぇ?君はグルメ?僕のようなグルメはね?獲物を自分の毒で動けなくして、いたぶりながら補食するんだよ!そしたら恐怖のアドレナリンが増して、本当に美味なんだよ~」



すると銀髪が立ち上がる。


「はれ?君は何故に動けるの?無理しているの?」



銀髪は呼吸を整えると静かに答えた。



「どうやら俺の妖精遺伝子が、お前の毒を中和し免疫を作ったようだ」



確かに銀髪の毒で変色した肌は綺麗になっていた。


「さぁ、覚悟は良いか?」


「う・・・嘘??」



銀髪の人間離れした異常な回復に高城は目を丸くして意味不明でいた。



「何が妖精だって?たかがそれしきの毒が効かなかっただけで調子こかないでよ~?今度は今の数千倍の毒で殺してあげるからさぁ!次はイチコロだよ!」


「その前に始末する!!」



銀髪の姿が消えたかと思ったと同時に、高城の首が切り落とされて落下した。


「!!」


だが、手応えがなかった。


高城の胴体が崩れるように分離し、そこから溢れるくらいの蛇が溢れ現れたのだ。

蛇達は流れるように銀髪の周りの壁や床、天井の全てを覆っていく。


「これは?」


「あはは!僕の本体はこの無数の蛇達なんだ!だから殺せたりしないよ?お前は逃げ場のないこの場所で、数千の蛇達に食い殺されて終わるんだよ!」


「ならば全て始末するまでだ!」


「まだ解らないのかい?僕は神だ!蛇神だ!お前のような人間には手も足も出るはずがないのだよ~!」


「蛇に手も足も出ないとか言われるなんて。まったく笑えない話だ…時間が惜しい!早々に片付けてやる」


「馬鹿にするなぁー!死ぬのはお前の方だよぉー!」



それが合図になったのか?

全ての蛇達が銀髪の男に一斉に襲い掛かる。

銀髪の身体中に無数の蛇が絡み付き、銀髪の男は蛇の中へと埋もれていく。



「終わったね?この蛇達には、さっきの数倍以上の猛毒性がある。食べれないのは惜しいけど、お前の身体は猛毒に熔けて消えてバイバイさ!」



だが、死んだと思われた銀髪の声が蛇に埋もれた山から聞こえて来たのだ?

中から聞こえて来たのは己の神の真言。



『オン・バザラ・ヤキシャ・ウン!』



凄まじいオーラが銀髪を覆っていた蛇達を弾き飛ばし消していく。

そして、その中から異形の姿へと変化した銀髪が現れたのだ。



「お前…その姿は何だよ!人間じゃないのか?一体何者なんだぁ~!」



銀髪は静かに答える。



「俺は人間だ。ただ、俺の中[魂]には神が宿る。この金剛夜叉明王がな!」



金剛夜叉明王の姿と化した銀髪は両手に凄まじい神気を籠めた刃を放つと、無数にいた蛇達が一瞬で消滅していく。そして、目の前には醜い姿の高城の本体が残っていた。



「ば…馬鹿な?化け物なのか?お前は??」


「………」


「ひぃいいい!助けてぇ~~!!」



高城は恐怖のあまり、その場から逃げようとする。


「すまない」




その瞬間、逃げた高城の身体が無数の刃で切り刻まれて粉々に消滅したのだ。

銀髪の神気の刃は既に高城の本体をも滅していた。






場所は変わる。


ここに来る途中、霧谷さんが突然蹲ってしまったのだ。


「大丈夫か?霧谷君!」


「だ…大丈夫です」


空海さんが心配して霧谷さんの手当てをすると、霧谷さんの太股から大量の出血が?


「どうやら…さっきの傷が開いたみたいです」


「仕方あるまい…君はここに残るが良い?」


「申し訳ありません。足を引っ張ってしまい…」


「そう言うな?君はここに残り、脱出経路と後から来るであろう者達に状況説明を頼む?」


「解りました!師匠、お気をつけて!」




そして俺と空海さんは霧谷さんを残して先を急いだ。


辿り着いた場所は洞窟の祭壇の近く。

俺達は祭壇のある洞窟の崖上から、化け物達に見つからないように身を潜め様子を窺っていた。


そこには数え切れないほどの無数の大蛇の化け物達がうごめき、その中央の祭壇には…


父さん?


いや、父さんは死んだはず。

あれは父さんの姿をした化け物なんだ。


父さんの姿をした化け物が祭壇の中央にて、大蛇の群れを指揮していた。



「あんな数の化け物相手にどうすんですか?」



俺は不安気に空海さんに尋ねると、



「小物の数は関係ない。だが、あの祭壇の中央より発っせられる強力な妖力は異常だ」


祭壇の中央?


俺が祭壇を覗くと、そこには…そこには!?


「詩織!」




詩織が身体を縛られた状態で、祭壇の上に眠らされていたのだ。


一体、詩織をどうするつもりなんだ?

そういえば詩織を儀式に使うとか言っていたよな?

そんな事は絶対にさせない!

させてたまるか!


俺が飛び出そうとすると、



「待ちなさい!」



空海さんが俺の腕を引っ張り、引き戻される。


そして…



「慌てるな!助ける時を見定めるのだ。きっとチャンスが来るはずだ!」



俺は飛び出したい気持ちを抑えつつ状況を見る事にした。



「!!」



見ると、祭壇の上にある柱に二人の僧侶が張り付けにされていたのだ?


あの人達は?






それは、俺達が洞窟に来る少し前の出来事


この洞窟に先に来ていた二人の僧侶は、圧倒的な力で大蛇達を退けていた。

大蛇達は二人に近寄る事はもちろん、身動きすら出来なかったのだ。


「この奥ですね…」


「座主様!油断は大敵です!この奥に潜む蛇神とは間違いなく…」


「解っています。必ず阻止せねばなりません!」




二人は決意を胸に、




「私達一族の宿敵…大蛇の王の復活!」



一族の宿敵とは?

大蛇の王とは?

それは俺に関係する事なのか?

俺はまだその時、それを知らない。



二人は…



「私の予言では間違いなく、この日、この時に蘇ると星が告げました」


「人類の歴史上…いや、神話にすら残されなかった最強最悪の魔神・大蛇の王!」


「私達一族は、その者と戦う定めにあります。それが私達、卑弥呼一族の悲願」


「勝たねばなりません!それにしても救世主が現れる前に大蛇の王が蘇るとは…」



《神を導きし救世主様…》



「あの方が現れる前に、この世界を滅ぼさせるわけにはいきません!」



二人が祭壇にたどり着いた時、そこには神主の衣を纏い俺の父親の姿をした化け物が二人を待ち構えていたのだ。



「ふふふ…汚らわしき人間風情が、この神聖なる我等の儀式の邪魔をする事は許さん!だが、貴様達の魂は我が主への供物としようぞ!」




父親は侵入者である二人を見るなり、その姿を変えていく。

身体の色が黒く変色し、凄まじき覇気を放ち始める。

ただし、他の大蛇と違う点が一つあった。

その額には、二本の角が伸び生えているのだ!


「あの姿は!」



二人は、この頭に角を生やした黒い大蛇に心当たりがあった。


『夜刀ノ神』



その一瞬、二人は身体の動きを縛られてしまった。


(う…動けない!)


『蛇眼!』


夜刀ノ神の蛇眼に睨まれた途端、二人の僧侶は身体の自由を奪われたのだ。



「あの眼は蛇眼か!」



そして二人はその場に倒れたのだ。



「他愛もない!愚かな人間が!」



その後、意識を失い倒れた二人に蛇達が群がり、祭壇の上にある柱に張り付けにしたのだ。





二人がどうなったかと言うと夜刀ノ神により魂を蛇眼の作り出した闇の奥底に捕われてしまっていた。だが、その中で二人はテレパシーで会話をしていた。



《油断しましたね。まさか夜刀の蛇眼を受けてしまうなんて…》


《貴方が油断とは珍しいですね?ふふっ》


《笑い事ではありません!夜刀ノ神は常陸国風土記で知られる蛇を従える蛇神です。その姿を見た者は発狂しながら狂い死ぬと言われていますが、恐らくは蛇眼の一睨みで精神を肉体から離脱されて幽閉させられたのでしょう》


《咄嗟に張った精神防御結解が間に合って助かりましたわ》


《しかし本体である肉体を奪われ、動けない状態なのはマズイです。今、本体に攻撃をされたら終わりです》


《はい。運良く私達が動かない事で、奴達が油断しているのが好都合です。肉体は生け贄に使うために傷を付けるつもりはないみたいですね?今はこの精神世界から抜け出す事に専念しましょう》


《そうですね!では、私が!》




すると赤い髪の僧侶は、静かに瞳を綴じ気を己の眼に集中させ、再び開くとその眼が紅く輝く。



《相手が蛇眼なら、こちらも魔眼で対抗するとしよう!》



『魔眼・鷹の眼!』








場所は再び現実世界。


祭壇の儀式は進む…

夜刀ノ神は蛇言(真言)を唱えると、祭壇を中心に空間が歪み始める。

祭壇に群がっていた大蛇達が黒く光り輝いていきながら一匹一匹が融合していき、蛇達は次第に空間に出来た黒い穴に吸い込まれるように落ちていったのだ。


黒い穴はどんどん広がっていく。

それは祭壇を中心に、その周りは異空間と化していく。

まるでブラックホールのような暗闇の空間が現れ、その空間の奥から光り輝く何かが動いていた?ギョロギョロと…それは瞳?

とてつもなく巨大な眼が、暗闇の空間の奥から覗いていたのだ。

その眼の正体は暗闇の中に潜むとてつもなく巨大な大蛇だった。



「ああああ!」


俺は辺りを見ると、そこは既に洞窟ではなく異空間になっていた。


足場も消える?


「うわああああ!」



俺は心乱していた。

暗闇と、蠢く蛇達の気配?

これは夢か現実の世界か?


解らない…


何もかもが非現実なこの状況で、冷静でいろってのが無理な話だった。


そんな俺に…


「少年!しっかりするのだ!君は何のために此処へ来たのだ!」


「!!」



空海さんの叱咤に俺は呼吸を整えていく。


心を鎮め…



(此処(島)へ来た時から、現実世界からは既に遠い所にいるじゃねぇか!しっかりしろ!俺!理解しようとしなくて良い!どうせ俺は馬鹿だし、頭で考えても解らねぇ!だったら、目に見える事一つ一つに対処していけば良い!やれる事をやるんだ!)



俺は落ち着き直し、その目は冷静になっていた。



「もう、大丈夫です」



空海さんは、そんな俺を見て


(何て少年だ…とてつもなく肝が据わっている。万が一は気を失わせようと考えていたが…)


「よし!今から我々も動く!悪いが君にも働いてもらうぞ?」


「俺に出来る事があるか解らないけど、何でもします!だけど、あんな化け物相手に勝算があるのですか?」



すると空海さんは言った。



「あるさ!奥の手がな?蛇神を屠る唯一の鍵を私は小角様より授かっているのだからな!」





俺は良くは解らなかったが、可能性がゼロじゃないなら賭けてみようと思った。


それが詩織を救う唯一の手段だと信じて!!


次回予告


三蔵「それにしても半端ない強さだよな?二人とも」


蛇塚「待てよ?次の話は俺がカッコイイ見せ場が山盛りモリモリだぜ?」


三蔵「ド素人が無理すんじゃねえよ?」


蛇塚「誰がど素人だ!?まあ、確かに、あの頃の俺は無力なガキだったけどよ?でも、やる時はやる男なんだ!まあ、見てろよな?」


三蔵「なんか主人公が誰なのか読者が忘れてそうで怖い・・・」


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