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聖輪奇聞・転生記!~神を導きし救世主~  作者: 河童王子
神を導きし救世主!
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むちゃぶりだろ?

絶対絶命のピンチに天から三蔵の前に降りて来たのは、金の錫杖だった。


俺は三蔵!


俺と晴明が蚩尤と戦っていた時、三千院は何者かからのテレパシーを受けてハンの村にあった結解の塔を壊したのだ。


その瞬間!

空がオーロラに包まれ光り輝くと六本の金の錫杖が天から降りて来たのだ。


俺はその錫杖を手にした時、失っていた体力が!

神力が全回復したのだ。

三千院達も天から降りて来た金の錫杖を手にし力を回復する。


「これは?」


「そういえば蛇塚にも話してはいなかったな?」


「これは卑弥呼様からの加護だ!」


「卑弥呼様の?」


「覚えているか?この地に来る前、日本を出る時に卑弥呼様に金の錫杖を献上したのを?」


「そう言えば、ありました!てか、毎回戦いに赴く際の儀式ですよね?」


「フム。普段はな!」


「だが、万が一私達の身に危険が陥った時には」


「?」


「卑弥呼様がこの錫杖を日本から転送して下さるのだよ」


「なっ!転送って・・・ここは中国ですよ?卑弥呼様は日本にいらっしゃるんですよね?」


「ふふ・・・卑弥呼様が本気になれば、地球の裏側にまで転送出来るのだぞ?今回は村にあった結解が邪魔をして、卑弥呼様でも転送が困難だったようだが」


「ははは・・・流石、卑弥呼様だ!それに今まで、ここまで俺達が負傷する事もなかったですからね!」


「悪いが、話は後にしよう!三蔵が待っている!」




三千院と大徳は真言を唱え始める。


『オン・ソンバ・ニソンバ・ウン・バザラ!』


『オン・シュチリ・キャラロハ・ウン・ケン・ソワカ!』



二人の姿が神気に包まれ、その姿を変える。



『明王変化唯我独尊!』



「降三世明王・一真!」


「大威徳明王・力也!」



二人は己の明王の姿へと変化したのだ。


「なら、俺も!」



蛇塚が真言を唱えようとした時、三千院が首を振る。



「蛇塚!お前に頼みたい事がある」


「えっ?何すか?」


「今からこの遺跡一帯は戦場となろう!恐らく跡形も残るまい。そこでお前にはバサラの遺体を・・・この遺跡から少しでも離れた場所へと移動して欲しいのだ」


「さ・・・三千院さん!そうっすね・・・あのバサラさんを、このまま放ってはおけませんですしね」



三人から少し離れた場所に、化け物に心臓をえぐり取られ、戦死したバサラが倒れていた。



「本当なら、ホーエンハイムも一緒に連れて行ってやりたかったのだけど・・・」



ホーエンハイムの身体は化け物に無残に引き裂かれて、残骸すら残ってはいなかったのだ。



「だけど、バサラさんを移動させた後は必ず俺も参戦しますからね!」


「頼む!」




蛇塚は倒れているバサラの所まで行き、背中に抱えた後、そのまま戦場から離脱した。



「では、参る!」


「ウム!」




三千院と大徳の二人は俺と晴明の戦っている戦場へと飛び出したのだ。


そこでは・・・


『ナウマク・サマンダァーバザラ・ダン・カン!』



力を取り戻した俺の身体が炎に包まれながら不動明王へと変化し、妖狐の半人半獣の姿へと変化した晴明が化け物と激しい戦いを繰り広げていた。


「ウォオオオオ!」


「ハァアアアア!」



俺は降魔の剣で、晴明は鬼神返神の剣で、牛頭の化け物に斬り掛かる。


『フゥゴオオオ!』



化け物から放たれた妖気の渦が、俺達を近付かせまいと押し寄せる。

その中で化け物もまた考えていた。




『キサマ…ビコウオウ…デハ…ナイノカ?イヤ?シカシ…コノ…タマシイ…ノチカラハ…マチガイ…ナイ…シカシ…オレノ…シル…ヤツデハ…ナイゾ?ナゼダ?…イヤ、ヤツハ…ナニモノダ?ナゼ、ビコウオウ…ノ…タマシイ…ノニオイガ?ソウイエバ……』




化け物にかつての記憶が蘇ってくる。


それは遥か昔、この化け物と光り輝く炎の翼を背負った少年との、激闘の最中でのやり取り。



「ふふふ・・・中々の力だな?だが、俺の力はまだまだ上がるぞ?貴様を八つ裂きに出来る程にな!」


「お前の減らず口を今に聞けなくしてやるぜぇ!」


「俺はこれからも、どんどん強くなれる…お前がやり遂げられなかった天界を制覇するのも夢じゃないのだ!どうだ?俺の下で働かないか?」


「馬鹿言うな!どうせ使うだけ使ったら、ポィだろ?それに俺様はお前のようなゲスの下には絶対につかない!」


「そうか?なら、仕方あるまい!今、ここで命を奪ってやろう!」




その後・・・化け物は少年の身体から香る人間の匂いに気付き、



「・・・その後、お前の身体から微かに匂う・・・人間・・・ん?特種体の匂いか?ふふふ・・・何処までも俺に都合が良い!貴様を始末した後、その人間を喰らい、俺は更に強くなってやろう!」



少年の身体から香る人間の臭い・・・

特種体の人間?



(思い出したぞ!)



化け物は過去の記憶から、目の前にいる俺の名前を知ったのだ。



(そうだ!美猴王は言っていた。確か、三蔵と!よくは分からんが、奴が美猴王と関わりある事は間違いはない・・・)



何故?

この化け物の過去に出てきた少年から俺の匂いがしたのかは不明だが、化け物は俺に対して



『サンゾウ・・・三蔵!三蔵!お前を殺して、その首を美猴王への見世物にしてやろう!俺は最強の魔神!蚩尤!この世の支配者だ!』



「なっ!化け物が喋ったぞ?蚩尤だと!」


「いや、それより奴の狙いは三蔵!お前みたいだぞ?」


「はっ?俺はこんな奴知らんし、会った事もないぜ?」




そう・・・俺は知らない・・・


とんだ・・・とばっちり?


だが、この因縁が俺の未来に関係するとは、この時の俺には知る由もなかった。



そこに、三千院と大徳が明王に変化した姿で合流して来た。


「三千院!お前達も無事だったのか?」


「卑弥呼様からの加護のお陰でな!」


「卑弥呼?加護?」


「さっき降りて来た錫杖は卑弥呼様からの贈り物だ!」


「なっ!さっきのあれは座主が?よくは解らないが助かったのは間違いない!助かったぜ!座主の姉ちゃん!」



金の錫杖はそもそも俺達が自分の気で作り出した物なのだ。だから、失い枯れつつあった俺達の身体に浸透するかのように吸収されて、体力だけでなく傷や疲労をも回復させてくれたのだ。まあ、更に座主の姉ちゃんの気が上乗せされているみたいなんで、即効性抜群だった。


例えるなら、疲労後のスポーツ飲料のようなものか?


俺達は四方向に分かれて化け物を取り囲む。


とにかく・・・

この蚩尤って化け物を、ぶっ倒さなければならねぇんだろ!

俺達四人は息をつく暇なく攻撃を仕掛けた。



「我が明王の矢を食らうが良い!」



三千院の弓から放たれた矢が蚩尤の顔を貫く!が、それは命中する前に消失した。

そうなのだ!

神の力はカミシニの力を持つこの化け物には無力。

だが、構わずに三千院は再び矢を放つ!



「三千院!無駄だ!奴に神の力は効かないぞ!」


「無論承知!だから私の矢は!」



三千院の放つ無数の矢が蚩尤の顔に直撃した時、



「フム!俺へと繋げるためのモノだ!」



三千院の矢が蚩尤の視界を奪い、その隙をついて黒い物体が蚩尤の懐に入り込む。

それは大威徳明王に変化した大徳だった。

大徳は己の気を拳に集中させ、


『明王の拳』



大徳の放たれた拳は蚩尤の腹部に直撃した。

蚩尤の腹部が螺旋の如く渦を巻きながら、どって腹に風穴を空けたのだ。


「これでどうだ!?」



が、蚩尤はよろめくも、その風穴が空いた腹部から何かが飛び出して来たのだ。

それは触手?触手は風穴の開いた身体を塞いだ後、大徳の身体を捕らえようと巻き付いてくる。


「うぐぉおお!」



大徳の危機に、


「タァアアア!」


晴明が飛び込み、触手を鬼神返神の剣で斬り裂いた。

二人は触手を躱して距離を取る。



「助かった!晴明。しかし、直接攻撃も無駄とは!」


「あの再生力は厄介ですね?」



俺達は攻撃の手を休めずに、魂の波長を合わせながらテレパシーの要領で会話をしていた。


「このままでは、拉致があかない!」


「どうする?封印か?」


「奴がカミシニなら、封印は無駄であろう!」


「何か策があるのか?」



俺達に成す術がなくなっていく。

万策尽きかけたその時、



「いや・・・」


「ん?どうした晴明?」



晴明は考えるように、



「カミシニの力を倒す手段がある!」


「何?」



カミシニを倒すには、カミシニの血の力で相殺する手段ともうひとつ。



「前に俺が百鬼夜行だった時に、クローリー達が話していたのを思い出したんだ」


「それは?」


「超高熱。カミシニの血を沸騰させ浄火させるほどの!」


「超高熱って・・・カミシニには、俺の炎だって無効にされてしまうんだぜ?」


「炎よりも、さらに強い力!」


「太陽か!」



晴明は三千院の言葉に頷く。

そして俺も思い出した事を言ってみた。



「そういえば・・・ヤオヨローズのアマテラスは太陽神で、何故かカミシニにも有効だったような?」


「カミシニの血に神の力は通用しない。しかし、唯一太陽神の持つカミシニの血を浄火させるほどの超高熱があれば別なのだ。さらに言えば太陽神にはカミシニの神除けの力を弱める・・・・・・・・・・・・・・・と、クローリー達が話していたのを思い出した」


「て、受け売りかい!」


「と言っても、やはり太陽神の持つ特別な力が作用しているのだろう」


「前に太陽神達がカミシニのボスを太陽の棺桶に閉じ込めたようにだな?」


「そこで、カミシニ達は自分達に脅威になるであろう太陽神狩りを集中的におこなっていたようだ」


「だが、俺達に太陽神なんていないぞ?」



すると大徳と三千院が俺を見て答える。


「いるだろ?」


「はっ?誰?」


「お前の不動明王の、もう一つの権化・・・」



『大日如来だよ!』


「はっ?大日如来?誰が?誰の?てか、俺が大日如来やんの?無理だろ?てか、どうやんの?」




「・・・・・・・・・・・・・・・」



「お前、昔なっただろ?大日如来に?」


はっ?


そういえば・・・何か、昔、スサノオにも言われたような?


東京タワーでのカミシニとの決戦最中、太陽神が四体現れたのだが、その中の一体が俺が変化した大日如来だったみたいな?


しかし記憶にない!


完全無意識・・・やり方なんか解らん!


本当にどうやんの?



三千院は俺に強制するように言い放つ。


「大丈夫だ!一度はなれたのだ!何とかしろ!」


「何とかしろって・・・他人任せかよ!」


そこに晴明と大徳も加わる。



「それに他に手段はないのだからな!」


「期待しているぞ!」


「待て待て!仮に大日如来になれたとして、前は四体の太陽神がいたんだろ?俺一人で奴に勝てるのかよ!」



すると三千院達は言った。


「そのために我々がいるんだろ?私達がその分の力を補ってやる!」



ははは・・・そりゃあ、心強い・・・


てか、やるしかないんだよな?



と、俺達が作戦を練っていた時、蛇塚は戦死したバサラを背負い安全な場所に移動させていた。



「ここまで離れれば良いだろう?直ぐに俺も戦場に向かわないとな・・・」



蛇塚は変わり果てたバサラの姿を見て、



「バサラさん・・・貴方の仇は必ず俺達が討ちますからね!」



蛇塚は振り返り、戦場へと赴こうとした。

が、蛇塚の目の前にあの男が現れたのだ。




「嘘だろ?お前は!!」


次回予告


三蔵「え~これから太陽神になる方法を読者の皆にレクチャーしよう!

まずは、ふん!とやって、気合い入れ、太陽神の印を結び、真言を唱えてイメージして、それから、モヤモヤして来たら自分が太陽神と一体になっているんじゃねえ?みたいに自己逃避して・・・逃避、このまま逃避して~!!

無理!無理!そんなんでなれたら神様いらねえよ!」


晴明「遊んでないで、集中してやれ!出来るまで、飯無し!休み無しだぞ?」


三蔵「晴明のドエス~鬼ぃ~!!」

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