激突!!三蔵と百鬼夜行!!
ファーストの身体を乗っ取ったラスプーチンと戦うバサラ、三千院、大徳、ホーエンハイム。
バサラの異変の後に、明かされたバサラ・・・ゼロの過去と真実!
しかし、遺跡ではもう一つの戦いが繰り広げていた。
俺は三蔵だ・・・
俺が意識をなくしていた間、蛇塚は俺の代わりに鬼神化した晴明(百鬼夜行)と単身戦っていた。
巨大な蛇のオーラが蛇塚の腕に絡み付き、
『ヘビメタル・インパクト!』
蛇塚の超必殺技が、百鬼夜行に向けて放たれようとしたその時!
「!!」
蛇塚は見たのだ。
百鬼夜行の顔から血が流れ落ちているのを?
いや、あれは?
「血の涙だと!?」
(晴明・・・泣いているのか?そうだよな・・・
そんな姿(鬼)にされたあげく、唯一の友である三蔵と殺しあい、戦わなければならないのだからな・・・)
「だから俺が代わりに、お前達の背負う悲しみを肩代わりしてやる!」
(そう思っていた・・・お前達を戦わせる事だけは全然にあってはならないと!
だが、違うのか!?くそぉ!俺は馬鹿だぁ!!大バカ野郎だぁー!今頃、気付いたぜ・・・)
蛇塚は百鬼夜行にトドメを刺す寸前、振り下ろす拳を引き戻したのだ。
蛇塚が拳の蛇神のオーラを解き放てば、百鬼夜行である晴明はその力の渦に飲み込まれ、その身を消されていたに違いない・・・しかし、蛇塚は拳を戻した。
百鬼夜行はその蛇塚の隙を見過ごしはしなかった。
百鬼夜行の突き出した手刀が、蛇塚の腹を貫いたのだ。
「ぐはぁ!」
蛇塚は血を吐きながら百鬼夜行の腕を掴み、
「!!」
涙を流したのだ。
「・・・だよな?やっぱり・・・俺なんかじゃ、代わりにはならないよな?ダチの手で葬ってやる事が!大切な奴の手で葬ってやるのが・・・一番の『救い』なのだよな?
そうじゃなきゃ死んでも死にきれないのだよな?それが、お前達のダチの証なのだから!」
百鬼夜行は腹を貫かれ身動き出来ない蛇塚を、もう片方の拳で容赦なく幾度と殴りつける。
次第に蛇塚の明王の姿は元の人間の姿へと戻り、そこで俺は目覚めたのだ。
蛇塚は満身創痍の姿で俺に言った。
「晴明を倒せと!」
だが、俺に晴明を殺すなんて事出来るはずねぇよ?
だが、俺も見たのだ・・・
「!!」
晴明・・・百鬼夜行の目から、血の涙が流れているのを!
そうか・・・俺は蛇塚の言葉の真意を理解した。
「もう良い・・・分かったよ・・・戦う!俺は戦って晴明を救ってやる!」
俺は晴明と戦うと決心したのだ。
「わるぃな・・・晴明よ?俺は・・・俺はよぉ?お前が元に戻れないのであれば、お前を殺して俺も一緒に死んでやろうとも考えてた。だけど、それも無理みたいだ・・・」
俺は近くで倒れている蛇塚を横目で見る。
まさに瀕死の状態だった。
直ぐにでも安全な場所で手当てをしなければ助からないと分かる。
「あの蛇塚って金髪野郎はな?付き合いも短いし、正直ムカつく野郎だけどよ!俺なんかのために・・・いや、関係ない俺達なんかのために!身体をはってくれた大馬鹿野郎なんだ!」
俺の拳に炎が灯る。
「だから・・・俺は生きてあの馬鹿野郎を安全な場所に連れて行かなきゃならねぇ・・・あの馬鹿野郎を死なせるわけにはいかないんだぁ!」
そして俺は百鬼夜行に向かって突っ込んで行く。
百鬼夜行もまた、俺に向かって来た。
「いくぜぇ!晴明!」
百鬼夜行の黒い気を集中させた拳が俺に向かって来る。
俺も拳に炎を集中させ全身全霊の力で拳で迎えうつ。
お互いの拳がぶつかり合い、凄まじい衝撃が走った!!
「うがぁあああ!」
自分の腕の何処かの骨にヒビが入ったのを感じた。
だが、俺は攻撃の手を止めなかった。
衝撃に吹き飛ばされそうになるも、踏ん張りきり、百鬼夜行の顔面に向かって右足の蹴りを食らわせる。百鬼夜行はびくともしなかったが、俺は攻撃の手を止めずに飛び上がり、そのまま身体を回転させて左の回し蹴りを繰り出す。ほんの少し重心が崩れた百鬼夜行に、そのまま空中で両手を組み合わせ、奴の頭部を殴りつけたのだ。
床に凄まじい勢いでたたき付けられた百鬼夜行は平然と動き出し、俺が着地すると同時に足を掴み振り回したのである。
「ぐううううう!」
遠心力で身体が動かねぇ!
百鬼夜行は俺を振り回しながら壁に叩きつけたのだ。
俺は咄嗟に両腕でガードするもその衝撃は凄まじく、一気に意識が吹っ飛びそうになった。
ダメだ!
ここで意識を飛ばしたら、二度と晴明を・・・救えねぇ!
俺は崩れた壁に生き埋めになっていく。
「あら?意外に呆気ない終わりでしたねぇ~!まぁ、百鬼夜行を相手に良くやったと褒めて差し上げるのが礼儀ってものですかね?はははは!」
だが、俺が生き埋めになった場所から音が?
「ほぉ~!まだ楽しませてくれそうですね~」
そして瓦礫の中から真言が聞こえて来たのである。
『ナウマク・サマンダ・バザラ・ダン・カン!』
瓦礫は噴き出して来た炎で吹き飛び、中から炎の業火に包まれた俺が現れる。
その姿は・・・髪が燃える炎のように逆立ち、身体は紅く染まっていく。
その姿はまさに、炎の魔神?
不動明王の姿だったのだ!
『明王合身!』
「さぁ!これからが本当の本気モードだぜぇ!」
百鬼夜行は俺が生きていた事に気付くと、両手に漆黒の気を集中させる。
奴の掌の空間が歪み黒い穴らしきものが出現すると、中から・・・
「あれは鬼神か!」
無数の黒い鬼が現れて、俺に襲い掛かって来たのだ。
「チッ!召喚した鬼ごときで俺が倒せると思うのかよぉ!」
俺は炎を右手に集中させると、それは次第に伸び始めて形になっていく。
『いでよ!降魔の剣!』
俺の血には神魔を滅ぼすカミシニの血が混ざっている。
その血を己の炎と融合させる事により現れる剣・・・
それが降魔の剣なのだ!
俺は襲い掛かって来る鬼共を、燃え盛る降魔の剣を振り払いながら斬り裂き消し去る。
それを見ていたクロウリーは・・・
「あの剣はカミシニの力?あの若者、東京タワーでの一件からカミシニの力をうまく使いこなしているようですね~?ですが、百鬼夜行は更に上をいきますよ~?」
百鬼夜行の身体から凄まじい気が立ち込めると、その額の二本の角が伸び始め、百鬼夜行は伸びた己の角を握り躊躇する事なくへし折ったのだ?
「なっ?何を!」
百鬼夜行はその折れた二本の角を武器に両手に持って構える。
「ケッ!二刀流かよ!だがな?俺の降魔の剣はそんな角なんか簡単にへし折ってしまうんだぜ!」
だが、俺が振り下ろした剣を百鬼夜行は角を交差させて受け止めたのだ。
「馬鹿な!降魔の剣は神魔はもちろん・・・神の力の籠った武器をも消し去るはずなのに!それが、たかが角ごときで止められるはずない!」
ただ、例外を別にして・・・
それは、その武器が同じカミシニの血で造りし場合のみ?
まさか!?
「その通り!その百鬼夜行はカミシニの血をも持つ最強の化け物なのです!貴方にこの化け物・・・いや?お友達を倒す事が出来ますかな!」
「カミシニの武器だと?何処までも晴明の身体を弄びやがって!」
すると、百鬼夜行は両手の角を交差させると、障気が立ち込め一つの剣へと変化していく?
『鬼神返神の剣』
それは鬼髑髏の装飾が施された漆黒の剣。
その凄まじい剣の一降りに、俺は気圧されてしまった。
いや、なるかよ!
俺は・・・何が何でも勝つ!
晴明のために!
傷ついた蛇塚のために!
俺は負けねぇーー!!
それが友として奴らに出来る俺のケジメなんだ!!
次回予告
三蔵「百鬼夜行と戦う俺・・・本当にこれで良いのか?
俺は、このまま晴明を?
そんな時、俺は思い出したのだ!
ナウマク・サマンダ・バザラ・ダン・カン!
諦めなんて言葉!俺の辞書から破り捨てたぜ!!」




