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聖輪奇聞・転生記!~神を導きし救世主~  作者: 河童王子
神を導きし救世主!
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ファーストのメタモルフォーゼとバサラの異変?

語られたホーエンハイムの過去


そして、戦いはより壮絶になっていく。


俺はバサラ!


俺は今、脅威的な力を見せるファーストと戦っていた。

ファーストは掌から俺に向けて光の矢を放つ。


俺は残像を作りながら、素早い動きで矢を躱していく。

だが、いつまでも躱しきれるわけじゃない・・・

次第に矢の数と早さが増して来る。


俺の身体に無数の傷が残っていく。

ファーストは俺を、逃げる獲物をいたぶるように狩りを楽しんでいるのだ。


「ふざけて!」


俺は更にスピードを上げていく。

俺の残像は既に20体になっていた。

人間の目には分身としか見えないだろう。

こうなれば少しでもファーストにダメージを与えてやる!


俺の短刀を持つ手に力が入る。


『短刀直入!!』



俺の残像から繰り出された無数の刃が、ファーストの身体を斬り刻んだ。

が、斬り刻まれたファーストの身体が液状化し、その中から顔だけが現れて何事もなかったかのように俺を見て笑っているのである。


不気味な奴め!


物理攻撃がダメなら・・・


俺は掌に気功を集めてファーストに向かって放った。

気功弾はファーストの液化した身体に命中し、沸騰しながら蒸発させる。

が、蒸気は見る見るうちに一点に集中し、元の姿に再生したのだ。


やはり、核を狙わないと無駄なのか!?

するとファーストが突然異常な行動をし始めたのだ?

今度は一体、何だ!?

天井を見上げていたかと思うと、腕をバタバタと振り始めているのだ?


こいつは何をしているのだ?


それは直ぐに、俺達の目の前で形となって現れた。



「馬鹿な!何だあれは!?」



俺の目の前で、ファーストの腕が巨大な鳥の翼へと変わっていったのだ。

そして羽ばたきながら天井の回りを自在に飛び始めたのである。


変身?


すると倒れていたホーエンハイムが叫んだのだ。



「奴から目を離すな!あれは奴のメタモルフォーゼだ!」


メタモルフォーゼ?


俺が再びファーストに目をやると、


『!!』


ファーストの足が鳥の足のように変化し、俺の眼前にその爪が迫って来たのだ。


ヤバイ!


だが、俺は考えるより先に身体が動いていた。

爪が触れるギリギリで身体を後ろに反らし、そのまま後転しながら距離をとる。

だが、ファーストの攻撃は止まらない!

今度はファーストの身体が分散して床に散らばると、無数の鼠になって俺に向かって襲い掛かって来たのだ。


「クッ!」


俺はすかさず短刀に気を籠めて、無数の気の刃をファーストが変化した鼠達に向かって放つ。

斬り刻まれた鼠達は液状化し、再び一つに集まった。


だが、今度は異様に大きくなっていないか?


あれは!


今度は見上げる程に巨大化したファーストが、マンモスの姿となって俺に向かって突進して来たのだ。


「何なんだ?こいつは!」


俺がマンモスに踏み潰されそうになった時、



「ぬおおおおおお!」



マンモスの動きが突然止まり、何者かによって逆方向に向かって投げ飛ばされたのだ?


それは?


「大徳!!」


「大丈夫か?加勢する!」


「お前、ファーストの毒は?それに三千院は良いのか?」


「三千院が自分よりお前を助けてやれとよ!ついでに三千院が俺の毒をも浄化してくれたのだ」




三千院を守護する降三世明王は一切の毒をも消し去る事が出来るのだ。


「助かる。正直、危なかった・・・」


「ふむ。だが、まだ安心は出来そうにないようだな?」



俺達の目の前でファーストは再びメタモルフォーゼを繰り返す。


今度は?


『ギャアアアギァアア!』



「ば・・・馬鹿な?」


「何でも有りだな?」


狂暴なティラノサウルスへと変化し襲い掛かって来たのだ。

巨大な口を広げて向かって来るティラノザウルスの攻撃を躱す俺と大徳。

大徳はすかさずにティラノザウルスの横腹を拳で殴り付ける。



「グッ!予想以上に分厚いな!?」


「俺の短剣も傷が負わせられん!」




苦戦する俺達が戦っている時、傷ついたホーエンハイムは自分の身体を再生する事に専念していた。


「ぐぅ・・・骨が砕けてるようだ・・・それに臓器を一部・・・持って行かれたようだな」



ホーエンハイムは己の血を集中させる。



「血を錬成し・・・再び己の一部とする・・・」



ホーエンハイムの『血』が体内で臓器や骨の形へと変わっていき、その失った機能の代役していく。完全なる自己修復。

本来医者だったホーエンハイムだからこそ出来る芸当なのかもしれない。

その錬成をしながらホーエンハイムは、俺達と戦っているファーストのメタモルフォーゼに何か特別な思いを感じていた。



(鳥・・・鼠・・・マンモス・・・チィラノサウルスか?皮肉なものだ・・・ゼロが昔、それらが描かれている絵本を・・・私によく見せてくれた物ばかりとはなぁ・・・)



「私もこうしてはいられぬ!彼らの加勢に向かわなければ!」



だが、ホーエンハイムの体力も体内の失った臓器の錬成で底を尽きていた。



「再生が鈍い?まさか?カミシニの血がファーストの毒に侵食されているのか?神や魔をも滅するカミシニの血が?しかし、この身に賭けても・・・あの化け物は私の手で倒さなければならぬ!」



ホーエンハイムは、再び両手に血を集め錬成し始める。



『速紅返砕・ライフル!』

※ソッコウヘンサイライフル!



ホーエンハイムは動けない身体を俯せたまま、己の血で錬成したライフル銃の照準をファーストに合わせる。


「せめて援護射撃をさせて貰うぞ!」



引き金に力が籠められると同時にライフルの銃口から紅い光が放たれ、俺と大徳に襲い掛かるティラノザウルスの眉間を貫く。

が、予想以上にファーストはその痛みに悲鳴をあげたのだ??


「何?」


「どういう事だ!奴に物理攻撃が効くのか?」



それは撃ったホーエンハイム本人も驚きであった。


(まさか!カミシニの攻撃が有効?いや、違う!かつてのファーストの時もそうだったが、私の攻撃は一切通用しなかったはずだ?では何故?偶然、核に当たったのか?違うな・・・では、何故?)


ホーエンハイムは分析していた。


(仮説だが、考えられる事は一つ。ファーストは・・・対象としている・・・意識している者からの攻撃に対しては無効化出来るようだが、それ以外・・・油断している相手、意識外からの攻撃にはダメージを与えられるようだ。ファーストを倒す事までは出来ぬだろうが・・・足止めをする事は可能のようだ!)



何を思ったのかホーエンハイムは、ファーストとは違う方向に向かって銃口を向け引き金を引くと数発の銃弾が放たれる。

ティラノザウルスは向かって来た銃弾に貫通するが、今度は平然としていた。

一発目が銃弾の頭だけ残し壁に埋もれ、二発目がその一発目の銃弾に当たり弾かれた瞬間!

その銃弾は勢いを増して俺と大徳が戦っているティラノザウルス目掛けて向かって行く。

銃弾はティラノザウルスの死角から背中を貫いたのだ。


ティラノザウルスはホーエンハイムの弾丸が直撃したと同時に煙りを噴き出しながら暴れだし、悶えながら元の少年[ファースト]の姿へと戻っていく。



「やはり、意識外からの攻撃は無効化出来ないようだな!」


『!!』



ファーストは倒れているホーエンハイムを睨み、最初の獲物を決め向かって行く。

ホーエンハイムは向かって来るファーストに再び撃った銃弾はファーストの身体を貫くが、今度は傷つく事はなかったのである。



「ファーストの奴!ホーエンハイムを先に始末するつもりだ!」


「止める!」



俺と大徳は歩き進むファーストに、同時攻撃を繰り出すが、ファーストには全く効かなかった。俺達が相手にもされていないとは。


「どうする?」



その時・・・


『お前達伏せろ!』



今まで一人、ファーストの核を探っていた三千院の声が響き渡った。

大徳は倒れているホーエンハイムを担ぎ、俺達はその場から離れるように、飛びのく。


それと同時に・・・



『オン・ソンバ・ニソンバ・ウン・バザラ・ウン・ハッタ!』



三千院の背後から出現した明王の巨大な腕が三千院の前に現れ、光り輝く弓を掴んだのである。



『三降魔聖弓!』



三千院が弓をしならせると背後の明王も同じ動をする。

更に三千院の眼が紅く輝くと、


『魔眼・鷹の目!』



同時に巨大な三本の『紅の矢』が現れ、ファーストに向かって射られたのだ。



『核の動きは把握した!絶対にはずさん!』



放たれた三本の矢はファースト目掛けて向かって行く。

ファーストは向かって来た矢の存在に気付き素早い動きで躱すが、三千院の放った矢は向きを変えファーストを追尾する。



「私の矢から逃れる事は不可能!!」



ファーストは部屋中を逃げるが、三本の矢は勢いを増して迫る。


「ナラバ・・・オマエ、ケセバヨイ!」



ファーストは逃げる軌道を転換して三千院に迫った瞬間、三千院が計算通りと笑んだのだ?


「チェックメイトだ!」



ファーストが三千院の顔に腕を伸ばして掴みかかろうとした時、


「ぱぁ~ん!!」



ファーストは眼前で視界を奪われたのだ?

それは三千院の放った?


猫だまし!?


三千院はファーストの眼前で両手を叩き、猫だましをかましたのだ!


ファーストが猫だましに意表を奪われ油断した直後、背後に迫った矢がファーストを貫いたのだ。まさに天才策士三千院ならではの・・・ならではの・・・?

結果往来的な策であった。


三千院の矢は見事にファーストの核があったと思われる左膝裏に命中した。


『フギャアアアアア!』



ファーストはまるで獣のような悲鳴をあげて、その場にもがき苦しみだす。そして、見る見る肌が乾燥したかのように粉になり、亀裂が入り、ボロボロと崩れ始めた。



「確実に核を射貫いてやった!」


「見事だ!三千院君」



ファーストは再生しようにも、身体が思うように戻らない・・・再生よりも身体の崩壊が上回っているのだ。

大徳に抱きかかえられていたホーエンハイムは降りて、ファーストに近付いていく。



「終わりだ!ファースト・・・せめて後は楽に死なせてやろう」



ホーエンハイムがトドメをさそうとファーストに銃口を向けた時!



『オマエガナ!』


なっ!?

突然起き上がって来たファーストの伸びだ舌が、ホーエンハイムの胸を貫いた。


ホーエンハイムは完全に油断していた。

胸から血が噴き出し、ホーエンハイムは口から血を流しながら、



「ど・・・どうして・・・?」



そして、ゆっくりと倒れたのだ。


一体・・・何が?


核を失えば・・・死ぬんじゃなかったのか?


すると、起き上がったファーストの姿が見覚えのある姿へと変わっていく?


再生出来なかったはずなのに、みるみる元通りに?

いや?そいつは紛れも無く!

俺が直接殺したはずのラスプーチンの姿だったのだ!



一体・・・一体・・・一体何が起きた??


あっ・・・あああ・・・!!



それと同時に俺の身体にも異変が起きていた?


身体が震えだし、止まらない?


三千院と大徳が俺の身の異変に気付き、何か叫んでいるようだが?


俺の耳には何も聞こえなかった。


どうしたのだ・・・俺は?



目の前で、ホーエンハイムがファーストに貫かれ力なく倒れていく姿を見て、

俺が・・・俺で無くなっていく?


そして俺の口から出た言葉、この俺が何故?

このような言葉が発せられたのか分からない。




『死なないでぇー!とぉーさーーん!』



俺は、一体何者?

次回予告


バサラ「それは、バサラでも、№6でもない・・・


俺も知らない過去・・・」

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