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聖輪奇聞・転生記!~神を導きし救世主~  作者: 河童王子
神を導きし救世主!
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ホーエンハイムと少年ゼロ!?

バサラを庇い、ファーストに貫かれたホーエンハイム。


今、ホーエンハイムの過去が語られる。


俺はバサラ・・・


俺達は未知数の力を持つファーストを相手に苦戦していた。


そして俺にファーストの攻撃が迫った時、俺を庇ったのは?


俺の仇でもあるホーエンハイム本人だった。



「ホーエンハイム!お前、どうして俺を庇ったのだ!?」



ホーエンハイムはファーストに身体を貫かれ、瀕死の状態であった。

俺はホーエンハイムを背負いファーストから距離を取った。

ファーストは俺達にはお構いなく、再び転がっているサードの死体を貪り始めていたから。



「グハッ!」


血を吐き出すホーエンハイムに、俺は・・・



「何故だ?何故、俺を庇ったのだ!俺はこの後、お前の命を奪うと言ったはずだぞ?それなのに!」


「今は、休戦だと・・・言ったはずだぞ?今はファーストを叩く事だけを・・・考えよ!セカンドの若者よ?いや、バサラ君と言ったか?」


「・・・・・・」


「ファーストにこれ以上、力を与えるのはまずい!」



ファーストは摂取した獲物の能力を、自分の知識として、力として手に入れる事が出来るのだ。屍となったサードを喰らう事でファーストはより成長しているのである。



「分かった。だが、死ぬなよ?お前を殺すのは俺の役目だからな」


「ふふふ・・・死なないよ!さっきも見ただろ?・・・私の血は・・・私を死なせてはくれないのだからな・・・」




俺は、ホーエンハイムを残しファーストに向かって行った。


残されたホーエンハイムは一人考えていた。

実は自分自身が一番驚いていたから。



(確かに・・・彼等と手を組み共闘しているのは、彼等の力を少しでもアテにしていたからだ。彼等を捨て駒にして、ファーストを倒す事さえ出来れば、それでも良かったはずなのに・・・)



だが立ち去る俺の後ろ姿を見て、ホーエンハイムは気付く。



「そうか・・・なるほど・・・似ているのだな?あのセカンドの若者。

バサラと呼ばれる彼は・・・私のゼロに・・・」



ホーエンハイムは意識が消えかかりながら昔の事を思い出していく。





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




私はホーエンハイム


それは今からどのくらい昔だっただろうか?


人間としての私は、十六世紀の古代ギリシアの鉱物学者であり医師でもあった。


その頃の私は魔術の研究に明け暮れ、その中でも錬金術にはまっていた。



しかし、それは表の顔・・・


私の裏の顔は、別にあった。



私はアライヴ様に仕えるカミシニの七賢者の一人として、神を狩る毎日をおくっていたのだ。


しかし・・・


その時の私は、戦士として戦う日々に飽き飽きしていた。

だが、カミシニの宿命として七賢者から抜け出す事は不可能。

それは死を意味し、アライヴ様も許さないであろう。


そこで私は、新たな研究に没頭した。


それは、私の代わりになるカミシニの七賢者を造り出す事であった。

そして私は魔道の錬金術で『ホムンクルス』を造り出したのだ。


ホムンクルスは、あらゆる知識を備えていた。

が、その特別な生き物はフラスコから出ると生きてはいられないという弱点を持っている。


これでは、アライヴ様は納得しないだろう・・・


そこで私はホムンクルスと一緒に、ホムンクルスの手足となる生命体を造り出す事にした。

それが、カミシニのマスタークラス十体の死体を素材に造りあげた人造生命体であった。

それは、フラスコから出られないホムンクルスの意思で、自由に動く手足となった。


膨大な知識を持つホムンクルスと、カミシニマスタークラス十体の死体から造りあげた最強の肉体を持つ化け物。まさに無敵であった。

そこで私は、アライヴ様の前で一つ演技をしたのだ。

それにはクロウリーにも協力してもらう事にした。


彼のアルカナの能力で、私がホムンクルスを造った記憶のみを消して貰い、新たな七賢者として現れた新参者のホムンクルスと七賢者の座を賭けてアライヴ様の前で勝負したのである。


私は見事にホムンクルスに敗北をした。


その時の私は記憶がなかったため、このホムンクルスに脅威し、恐れさえ感じたものだ。

今となっては、笑いぐさではあるがな・・・


記憶を消したのは、アライヴ様に演技だとばれないようにするため。

まんまと成功した訳である。


そして私は、負け犬の汚名を与えられながらも、

思惑通りにカミシニの七賢者から抜け出す事に成功したのだ。


それからは、よほどの事がない限り、神狩りに呼ばれる事はなくなった。

まさに隠居の身になったわけだ。

ちなみに私の記憶は東京タワーの一件後にクロウリーと再会した時に戻して貰った。





記憶のない間、私は一人あてのない旅に出ていた。


そんな旅の途中で立ち寄った小さな村で不思議な話を耳にする。

それが、その後の私の運命を左右する事になるとは思わずに。


それは、『妖精に救われた少年』の話だった。


神や魔物を実際に見てきた私には、妖精など物珍しい者ではなかったのだが、ほんの些細な好奇心で、私は少年と接触を試みたのである。



少年は村の外れに一人で住んでいた。


まるで人里から離れるかのように?村の人間達から隠れるかのように?

恐れられる異形の子供として、一人生きていた。


その少年の名前は・・・


『ゼロ』


私はその少年の姿を見た時に、何故か胸が騒いだ?


研究者として?


実験体として?


美しい銀色の髪に、左右の違う瞳の色、透き通るような色白い肌。

人間離れした美しさに私は目を奪われたものだ。


そして私は、その少年を自分の養子として引き取る事にした。

それから私と、少年ゼロとの共同生活が始まったのである。


ゼロと言う少年は、その風貌と能力以外は何処にでもいる子供と、なんら変わらなかった。


最初は私に警戒していたゼロも、暫くすると私に懐いて来た。


食事して、他愛もない話をして、寝る・・・


そんな毎日が続いた。


まるで、本当の親子にでもなったみたいだった。



カミシニとして戦いの日々に明け暮れていた私にとって、この平凡的な人間らしい日常は戸惑う事はあっても居心地が悪い気はしなかったのである。



そんなある日・・・


食事をしていた私の目の前で、突然ゼロが・・・倒れた。


私は直ぐさまゼロの身体を調べた。


私は今までゼロの身体をあえて『研究対象として見る』事はしなかった。


何故ならゼロは私にとって実験体としてではなく既にかけがえのない存在になっていたからだ。



あの子との時間が好きだった・・・


あの子の無邪気に私に見せる『笑顔』が好きだった・・・


だからゼロは、私にとって・・・


実の・・・子供と同じ!!




私はゼロをベットに寝かせ服を脱がす。


初診、何処にも異変はない?

やはり妖精の力がゼロの身体に影響与えているのか?


私はゼロの血液から細胞レベルまで調べていくうちに分かった事がある。


少年ゼロは・・・間もなく死ぬ。


それが私が調べ導き出した答えだった。


(死なせない・・・)


だが、今の私には彼を助ける資金がない。


ゼロの身体を治すには、膨大な金が必要なのだ!


そんな時、私の前で悪魔が囁いた。




何処で噂を嗅ぎ付けたのか?

私の前に現れたのはラスプーチンという男だった。

奴は膨大な資金を提供する代わりに、ゼロの持つ妖精の力を戦争に使いたいと申し出たのだ。

が、ゼロを戦争には使わせる訳にはいかない・・・

そこで、ゼロの代わりにゼロのクローン(複製人間)を提供する事で利害の一致を得た。


私はゼロを助けたいが一心で研究に没頭した。

複製人間を造りながら、ゼロの倒れた原因を調べる毎日が続いた。


そんな時・・・


再び、アライヴ様からカミシニとしての収集命令の手紙が私に届いたのだ。

私はやむを得ず実験を中断し、再びカミシニとして戦場に赴いたのだ。


この戦いは長く続いた。


早く帰りたい・・・


ゼロのもとに・・・



そして神狩りを成し遂げ、私は・・・ゼロのいる研究所に向かった。


その足は、次第に駆け出していく!


だが、そこで私が見たものは?


変わり果てた・・・ゼロの姿であった。



『ど・・・どうして・・・!?』




私がいない間、ラスプーチンは研究所に残っていた研究資料を集めて、無知な科学者達を使いクローン研究を勝手に進めていたのだ。


そして、無理にゼロから研究に必要なだけの遺伝子を抜き取る。

いや、それだけではない!

必要だと思われる身体の一部を・・・何度も何度も!


奪い、繰り返し・・・


私が戻って来た時、ゼロはホルマリン漬けにされた頭部と・・・脊髄のみになっていたのだ。



『うおおおおおおお!』



怒り悲しみに狂った私は、



「キサマァー!!ラスプーチン!許さん!許さんぞ!」



私は研究所にいた者達を虐殺していった。

隠居生活のカミシニと言っても、たかが人間の軍隊が敵うわけがなかった。

そんな私に恐怖して、ラスプーチンは、実験体のファーストを解き放ったのだ。


現れたファーストは、私にニヤリと笑う。


ゼロの顔で・・・


『天使』のようだったゼロの顔が・・・


『悪魔』の笑みを見せた。


違う!!


あれはゼロではない!



私はファーストに向かっていく。

だが、ファーストの異常な力に私は手も足も出ず、なす術がなくなった。


身動きが取れないくらいに傷を負わされ、もうダメだと諦めた時、私は複製体全てに遺伝子レベルの小型自爆装置を仕込んでいた事を思い出す。


これは、戦場で敵軍に送った時に万が一の時に使う自爆のためであり、ファーストもろとも敵軍を破壊するためであった。


何より暴走する事を恐れたからだ。


その威力は原子爆弾レベル!

私は、手に負えないファーストの自爆装置を起動させた。


ファーストは跡形もなく消え去った。


研究所も崩壊し、ラスプーチンも死んだと思っていた。



何もかも終わった・・・


そう思っていたのに!!




『ゼロ・・・よ・・・私を・・・私を許しておくれ?


私は!もう二度と・・・君の『笑顔』を悪魔にしたままにはさせないから!』


次回予告


バサラ「傷付く俺達、更なる脅威的な力を見せるファースト!


そして、俺の身にも・・・異変が」

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