表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
聖輪奇聞・転生記!~神を導きし救世主~  作者: 河童王子
神を導きし救世主!
178/424

破滅の悪魔!ファーストを倒せ!!

百鬼夜行との戦いに傷付いた蛇塚


三蔵は蛇塚に気付かされ、百鬼夜行である晴明と戦う決意をする。


だが、今・・・もう一つの戦いがこの遺跡で繰り広げられようとしていた。


俺は、バサラ・・・


三蔵と蛇塚が百鬼夜行と死闘を繰り広げている時、

もう一つの戦いが、この遺跡にて繰り広げられていた。


時は少し遡る・・・



「待て!三蔵!早まるな!」


「ダメだ!三蔵の奴、頭に血が昇って俺達の声が聞こえていないみたいだぞ!」



三千院の制止を聞かずに向かって行く三蔵に、


「俺が止めます!」


「蛇塚!頼むぞ!」



蛇塚が三蔵を追いかけて遺跡の地下に向かって行った。

同時にその通路が崩れ落ち、塞がってしまったのだ。



遺跡は更に揺れ、暴走するファーストを目の当たりにして、



「戦力が減ったのは痛いが、悪いが君達の力を借りても良いかな?」



ホーエンハイムの共闘の申し出に三千院は承諾した。



「良かろう。目の前のこの化け物を、放っては置けないからな!」


「三蔵は蛇塚に任せて、我々は目の前の化け物に集中しよう!」



俺も不本意であったが、この状況は俺の私的な怨恨で動けない事は理解していた。



「だが、ホーエンハイムよ。この化け物を始末した後は、お前は俺が殺す!」


「セカンドの若者よ!この化け物を倒した後に私が生きていられたらな?」


「お互い様だ!」




俺達は目の前の妖精の少年の姿をしたファーストに警戒しながら身動きが取れない状態でいた。ファーストの外見は12、13歳くらいの少年。髪は銀髪で透き通るように白い身体であった。


その瞳の色が違う俺に似た容貌・・・


だが、目の前のファーストは産まれたばかりの赤子のように、言葉は喋れず、


ただ・・・落ちていたそれを、玩具のように振り回したり、引き千切ったり潰したりしながら遊んでいるのである。


無邪気にサードの散らばった屍を玩具にしながら・・・




「で、どうするつもりなのだ?」


「・・・・・・」



ホーエンハイムはファーストの様子を見ながら、過去の悲劇を思い出していた。


過去の悲劇、それは?


かつての暴走は運が良かったと言える。


何故なら、



「あの時は偶然止められたに過ぎない。止める事が出来た事は幸いだった・・・だが、あの悪夢から、得た教訓もある」


「教訓か」



三千院は危惧していた。


何故なら今、俺達は・・・立っているだけでもやっとの状態だったから。

ファーストから発っせられる重圧が、この場にいる者達の身動き出来なかったのだ。



「まだ奴からは戦意の一つも感じられないと言うのに」


「・・・・・・」



大徳の言う通り、ファーストは、全く俺達には無関心であった。

唯一、関心を持っている事は転がっているサードの死体だけ。

ファーストはサードの死体を分解し、力任せに潰していた。

そしてそれに飽きた時、ようやく、生きている俺達に興味を持ち始めたのだ。


動いている物体に・・・


その異変を感じた俺達はファーストの動きに警戒し身構える。



『来るぞぉー!』



その瞬間、


「うがあああああ!」


「うぐぅううう!」



三千院と大徳の声が響いたのだ。

俺は二人のいる方向を振り向くと、大徳の胸から、三千院の肩から血が噴き出していた。


一体、何が!?


そして、


「ウグオオオ!」


ホーエンハイムの呻き声が聞こえて来たのだ?

そこではファーストが抑えつけたホーエンハイムの腕を掴み、そのまま強引に引き千切る。

ホーエンハイムの腕は投げ捨てられ、そこから血が噴き出していた。


「いつの間に?」


すると、ファーストの姿が消えた。


何処だぁ!?


俺はファーストの居場所を探りながら警戒する。


何処にもいない??


その時、自分の足元から寒気立ったのだ!


真下か!


そこには、俺の足元に仰向けになって笑っているファーストがいたのだ。


「クッ!」


俺はファーストの顔目掛けて踏みつけたのだ。

ファーストの顔はグチャグチャに潰れたが、その形状が水銀のような液体へと変わっていく。


「なっ?何が!」



液体は俺から離れ部屋の中央に集まると、次第に元のファーストの姿へと戻っていく。



『クッククク・・・ククク・・・』


「なっ?何なんだ?これが・・・ファーストなのか?俺以前の妖精なのか?」




そこに片腕を失ったホーエンハイムが、傷口を押さえながら説明する。



「一緒ではない!お前達セカンドは元は人間であり、人間を素材にしている分人間に近い存在だ。つまり妖精の力を移植したに過ぎない!だが、ファーストは元の妖精の遺伝子を組み替え、ゼロから造った正真正銘の化け物なのだ!」


「正真正銘の化け物か・・・」



するとファーストは俺達に見向きもしなくなり、何かを探しているようであった。



「今度は何を?」


「まさか!」



ファーストは座り込み、再び転がっているサード達の死体を手にしていた?


『ア・・・アアア・・・アアア・・・』



そして、その屍を貪り始めたのだ。

全く、行動パターンが読めなかった。


「共食いか!」


「本当に化け物だ!見た目とのギャップに騙されてはいられないぞ」



三千院も大徳も傷ついた身体で、ファーストの行動を見ていた。



『・・・オナカ・・・スイタ・・・タベル・・・スイタ・・・タベル・・・』



ファーストの姿が次第に大きくなってきているような?

まさか成長しているのか?いや!

そればかりか確かに今、言葉を喋ったような?



「まずい!奴はサードの屍を喰らい、力と知識を吸収しているのだ!」



ホーエンハイムは傷口に力を込めると。


「フン!」



傷口から流れ落ちる血が生き物のように動き出して、失った右腕を再生した。



「カミシニの力か?忘れていたが、お前も化け物だな」


「そう言うな。カミシニの力は血・・・カミシニの中には、血を使い失った身体をいくらでも再生出来る者もいるのだぞ?」



そしてホーエンハイムは再び血で拳銃を構成すると、転がっているサードの屍を狙い撃ちする。

死体は一体一体消滅していく。

俺達も気功を放って同じく一体一体消していく。

これ以上、ファーストを成長させるわけにはいかない。



『ジャマ・・・スルナ・・・ニンゲン!』



そんな俺達に、食事を邪魔されたファーストが俺達に向けて気功を放って来たのだ。


「何!?」


「まさか!俺達の技を見て学んだと言うのか?」




俺達はファーストから放たれた気功を金の錫杖を盾にして防御する。



「奴にこれ以上力を与えてはまずい!早急に始末せねば!」


「しかし、どうやって?」


「奴も完全な生命体ではないと言う事だ!奴には生存に必要な核が存在する。その核が奴の本体なのだ!それを叩くしかない!」


「それは何処にある?」


「特定は出来ない・・・だが、それしか方法がないのだ!」



ファーストの核を叩く。

それが唯一の打開策と言うわけか。

すると三千院がホーエンハイムに答えた。


「なるほど・・・その核を見付けるのは私に任せて貰いたい!」


「君に分かるのか?」



三千院は瞳を綴じて集中した後、ゆっくりと瞼を開く。

開かれたその瞳は朱く染まっていた。


「それは、まさか?」


「あぁ・・・私の特別な力!魔眼・鷹の眼だ!」




三千院の持つ魔眼・鷹の眼とは、どんな遠くに離れた物体も見通し、微妙な気の流れも見る事が出来るらしい。つまり、三千院の眼力を数倍に高める能力である。



「私の眼で奴の気の流れを探り、核の位置を見付けてみせる!」



三千院はその魔眼をファーストに向けると、その核を探し始める。



「三千院!お前は核を探す事に集中しろ!お前に向かって来る攻撃からは俺が身を挺して護ってやるぞ!」


「なら、私達は君達からファーストの意識を反らすために」


「囮になろう!」




ホーエンハイムと俺は素早い動きでファーストの周りを駆け抜けながら遠距離攻撃を繰り出す。


「とにかく足止めをする!」



ホーエンハイムの拳銃がファーストを狙い撃つ。


「承知!」


俺達の攻撃はファーストには効いてはいなかった。

ホーエンハイムの銃弾はファーストの身体に命中するも、それは体内を通して口から吐き出していたのだ。更に俺の繰り出す短刀の斬撃より与えた傷痕も、瞬時に再生していた。


だが、足止めさえ出来れば良い!



『オマエラ・・・イナイイナイ・・・シニナ!』



瞬間、ファーストの身体が発光し、凄まじい勢いで何かが飛んで来た。

それは指?ファーストの指が伸びて来て、俺達を貫かんと迫る。

俺は短刀で指を弾くが、その勢いは凄まじく逆に短刀を弾かれてしまった。


ホーエンハイムは拳銃で指を狙い撃ち軌道を変えていた。

触手のように、鞭のように俺達に伸びて来る十本のファーストの指。

だが、魔眼に集中している間、三千院は身動き取れない。

三千院に迫るファーストの爪が三千院を貫こうとした時、大徳が指を素手で掴み止めたのだ。

だが、更に二本の指がしなりながら三千院に向かって行く!


「させるかぁー!」


大徳は掴んだファーストの指を握り振り回したのだ。

ファーストの指は軌道を変えられ、四方八方の壁を削りまくる。



「どおぅりゃあ!」



大徳の怪力でファーストは床に直撃するが、ファーストはまるで水風船のように弾けるように身体が飛び散った。


「はぁ・・・はぁ・・・」



大徳の手は変色していた。

それはファーストに直接触れたため。



「まさか、奴の身体には猛毒が??」



大徳はその毒に感染してしまったのだ。



「どうやら、直接触れるのはマズかったようだ・・・」



大徳はそのまま、ゆっくりと倒れる。


その時!



「バサラ君!前だぁ!」



ホーエンハイムの声に俺が気付いた時、

俺の目の前に液状化したファーストが飛び込んできていた。


殺られる!


そう覚悟した時、目の前に影が飛び出して来て俺を庇ったのだ?

ファーストの身体が槍のように変化し、身を挺して俺を庇った者を貫く。



俺はただ茫然とした。


どうしてお前が!?




「ホーエンハイムー!」





俺の叫びが遺跡中に響き渡った。


次回予告


バサラ「俺を庇ったホーエンハイム。


何故?


ホーエンハイムと、妖精始まりの過去が語られる」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ