打倒!百鬼夜行!蛇塚の決意?
三蔵と蛇塚の行く手を阻むクローリーのアルカナに苦戦するも、なんとか己の信念で撃破!
いよいよ三蔵と蛇塚はクローリーと百鬼夜行に追いつく。
俺は三蔵だ!
俺と蛇塚はクロウリーが足止めに残したアルカナ・ジャスティスを撃破し、遺跡の奥に向かって先を急いでいた。
感じる・・・
この先にクロウリーと晴明がいる!
そして前方先に二人の姿が見えたのだ。
俺達がクロウリーを追ってたどり着いた場所は、先程いた広間と似た空間だった。
四方に蝋燭に炎が燈っていて、周りを見渡す程の明るさがある事以外は・・・
そして、その中央には何処から用意したのか?
一つ椅子が置いてあり、そこにクロウリーが座りながらこちらを見て待っていたのだ。
「あの野郎!」
「罠か?いや、もうここまで来たらどっちも同じか!」
クロウリーはポケットから葉巻を取り出すと、火をつける。
「いや~追いかけて来てくれるなら、もう少し遊び相手になってもらおうかと思いましてねぇ~!楽しませて貰いましょうか?」
クロウリーの背後から、黒い鬼が現れる。
百鬼夜行・・・
晴明の変わり果てた姿!
「晴明!」
俺が叫ぶと、クロウリーはニコニコしながら言った。
「お友達だったんでしたっけ?残念ですが彼はもう元には戻りませんよ?彼の身体は百体の鬼に喰らわれ、その強い魂は百鬼夜行を動かすための動力になっているだけですからねぇ~」
動力だと?
元に戻らないだと?
「関係ねぇ・・・」
俺は降魔の剣を出現させて一振りして叫ぶ。
「どんな姿に変わり果てようと、晴明は晴明だ!俺が必ず元に戻してやる!」
「いやはや・・・熱い友情って奴ですか?無理は無理なんですよ?あっ!でも安心してください?君も彼と同じく、私の実験体にしてさしあげますから~アハハ!」
「ほざけぇー!」
俺はクロウリーに向かって、降魔の剣を手に飛び掛かるが、クロウリーの手前で百鬼夜行が間に入り、素手で剣を受け止め、その腕で俺を殴り飛ばす。
「うぐわあああ!」
吹き飛ばされた俺は、
「三蔵!無茶すんじゃねぇよ!」
共に来た蛇塚に受け止められたのだ。
「あの化け物(百鬼夜行)は、一人じゃ無理だ!俺も助太刀するぜ」
「晴明は化け物じゃねぇよ!あいつは俺が助ける!絶対に元に戻してやるんだよ!」
熱くなり取り乱す俺を蛇塚は言った。
「しっかりしやがれぇ!三蔵!お前が取り乱していたら、救える仲間も救えないだろうがぁ!諦めない事?結構!でも、冷静になれ!先ずは奴を抑える事が先決だろうがぁ!」
「!!」
俺は・・・
「その通りだな・・・すまねぇ・・・悪いが力を貸してくれ?」
そんな俺に、
「そのために俺がここに来たんだろ?ともに仲間を!ダチを救おうぜ?」
蛇塚?
俺の中で熱い気持ちがわき上がり、力強く感じた。
俺と蛇塚は突進して来る百鬼夜行に向かって気合いを入れ直す。
「行くぜぇ!」
「おぅさぁ!」
百鬼夜行の腕が刃へと変わり、俺達に切り掛かる。
蛇塚は金の錫杖を構成しながら飛び上がり躱し、俺は降魔の剣を強く握りながら百鬼夜行の刃を受け止める。
「ウググ・・・何てパワーだ?押し潰される!」
そこに飛び上がった蛇塚が錫杖に念を送ると、錫杖が蛇のように伸びながら、百鬼夜行の身体に巻き付き締め付けたのだ。
「動きを縛ったぜ!」
「あんまり傷をつけたくないが」
俺は百鬼夜行の足を狙って、降魔の剣を突き付けようとした。
先ずは足を攻撃し、少しの間身動き出来ないようにして足止めする。
が、百鬼夜行は絡み付いた蛇塚の錫杖を、力任せに引き千切る。
なっ!?
俺の足を狙った攻撃は躱され、その足で、俺を蹴り飛ばされる。
「うぐわあああああ!」
強烈な重さのある蹴りだった。
俺は辛うじて剣で受け止めたが、壁際まで吹き飛び、そのまま壁に衝突したのだ。
「三蔵!」
俺に意識を取られた蛇塚は錫杖を逆に百鬼夜行に掴まれ、そのまま振り回される。
「うぐわあああ!」
そのまま天井高くまで放り投げられ天井に直撃した蛇塚は、力なく百鬼夜行の頭上まで落下して来たのである。
「蛇塚ぁー!」
百鬼夜行は落下して来た蛇塚の顔面に向かって殴りかけた時、蛇塚は見開く。
今度は迫る拳を掴んだ蛇塚が自分の身体を回転させたかと思うと?
次の瞬間、その場には百鬼夜行が床にたたき落とされた。
『合気!』
「OH~!ファンタスティック~!」
拍手喝采のクロウリーに蛇塚は、
「あんまり、余裕はないがな?グハッ!」
蛇塚は口から突然血を吐いていた。
天井に直撃した時のダメージだろう。
蛇塚は口の中の血を吐き捨て錫杖を構えなおす。
「ふぅ~こりゃ、しんどいぜ・・・」
ふらつく蛇塚の傍に、
「大丈夫か?」
俺が蛇塚の身体を支えたのだ。
「何か策は?」
「いきあたりばったりだな・・・お前は?」
「同じだ!」
お互い溜め息をついた後、
『上等!』
俺達は互いに気を高めて全開まで解放する。
目の前で百鬼夜行がゆっくりと立ち上がる。
力じゃ敵いそうもない・・・
なら・・・方法は一つ!
俺と蛇塚は百鬼夜行に向かって駆けだしていた。
「おや?敵わないと思っての特攻ですか?」
百鬼夜行は向かって来る俺の顔面に向かって、刃物に変えた右拳を突き出して来る。俺は顔面スレスレに直撃する刃を上体を下げて直前で躱し、代わりに突き出された百鬼夜行くの右拳を蛇塚が受け流しつつ・・・弾く!
その一瞬の隙に、俺は百鬼夜行の懐に入り込んで、
『四内手束縛!』
※シナイデソクバク
俺は左手に持った金の錫杖を縄のように使い、百鬼夜行の両手両足を縛り上げる。
蛇塚も同時に飛び上がり、百鬼夜行の首にしがみつきながら後ろから羽交い締めにすると、
『八目手束縛!』
※ヤメテソクバク!
蛇塚は動けない百鬼夜行の身体に金の縄を巻き付けながら拘束したのだ。
俺と蛇塚を中心に四方八方から光の束が現れ、百鬼夜行の身体を渦巻きながら幾重にも縛り付け結解捕縛陣が完成したのだ。
まさかの蛇塚との金の錫杖を使った連携結解。
百鬼夜行は光の球体の中に閉じ込められた状態で動きが止まっていく。
「やったぜ!」
「即興だったが、完璧に成功したぜ!」
悪いが晴明?しばらく静かにしていてくれよ?
先ずは奴を・・・クロウリーをぶっ倒してから、お前の身体を元に戻す方法を考えてやる!
が・・・嘘だろ?
次第に百鬼夜行を閉じ込めていたはずの光の球体が変形し、その中から音をたてて弾けて消えたのだ!
「ば・・・馬鹿な!?」
「結解が効かないなんて・・・まるで!」
百鬼夜行の手からは何処で傷ついたのか?
黒い血が流れていた。
まさか!?
その疑問にはクロウリーが答える。
「その百鬼夜行はカミシニの力もあるのですよ?カミシニの血に神の力は無効ですからね?残念賞でした~」
カミシニの力って?
百鬼夜行は閉じ込められる前に、自分の手首を噛み、血を流し、
カミシニの持つ、神の力を消す血の能力を使って俺達の結解から抜け出したって事か?
「ばっ馬鹿な!そんなんじゃ?晴明を!晴明を抑えつけている事なんて出来ないじゃねぇかよ!」
さらにクロウリーは追い打ちをかけるかのように言った。
「カミシニの力と!百体の鬼神の力!さらに素材となった若者の人間離れした魂の力!それらが融合した最高傑作が、この百鬼夜行なのです!」
『まさにゴージャス!』
そんな・・・
落胆している俺に突然、背後から首筋に衝撃が走ったのだ??
「えっ?」
俺は崩れ落ちるように意識がなくなっていく?
意識が消える寸前・・・
俺は・・・
俺に攻撃した者の姿を見たのだ。
お・・・お前??
そこには蛇塚が俺を見下ろして立っていた。
「悪いな?少しの間、そこで寝ていてくれよ?これから先の戦いは、お前には荷が重いだろう?
確かにさっき俺は策はないと言った。それは、晴明を止める策がないと言う事!」
『倒せない訳じゃねぇ!』
「悪いが晴明は!百鬼夜行は俺が始末する!」
(三蔵…お前が目覚めた時、すべて決着ついているからよ?
ダチを・・・晴明を殺すなんて、お前にはキツすぎるだろ?
俺には分かるんだよ・・・ダチを・・・殺す傷みが・・・
大切な者を手にしなきゃいけない辛さが!
だから、背負ってやるよ!
お前の傷みを・・・お前の運命を!
多分、お前が目覚めた時に、俺はお前に憎まれるだろうな?
殺されちまうか?
まぁ~最初から俺とお前は反りが合わないというか、ぶつかってばかりだったから同じか?
憎まれたっても・・・どんだけ、貶されても・・・
過去の俺と同じ傷みを、目の前の誰かが味わうのだけは!
耐えられないんだ!!
だから、お前は俺に怒りをぶつけてくれりゃ良い・・・
憎んでくれても構わない。
もし、俺が・・・その時、生きていたらな?
俺の命をかけて、お前の背負うべき罪を背負ってやる!)
蛇塚は俺を残して、単身で百鬼夜行と戦うつもりか?
「さぁ!この蛇塚軍斗様が冥土に連れていってやるぜぇ!」
次回予告
三蔵「俺を庇い、蛇塚が単身百鬼夜行に挑む!!
蛇塚?お前・・・
次話!蛇塚が男を見せるぜ!!」




