残念俺制裁?正義の味方現る??
百鬼夜行が晴明の変わり果てた姿?
脅威の悪魔!ファーストの復活??
分散する三蔵達!物語は枝分かれする!
俺は三蔵!
俺は今、クロウリーを追って遺跡の奥へと突き進んでいた。
向かって来る魑魅魍魎達を薙ぎ倒し、蹴散らし、俺は先に出て行ったクロウリーから晴明を取り戻すがために。
そんな俺の腕が、何者かによって突然引っ張られたのだ!?
俺はその腕を払い落とし殴り掛かる・・・が、その拳は相手に止められた。
「おっ・・・お前!」
相手は俺を追って来ていた蛇塚だった。
「おい!三蔵!待てって言っているだろ!」
俺は蛇塚の言葉を遮り、
「止めても無駄だ!俺は晴明を・・・」
「止めねぇよ!」
「えっ!?」
「俺がお前だったら同じ事をするだろうよ。だから止めねぇし」
「!!」
「そう言う事だからよ?お前が嫌だと言っても、俺も一緒に行くぜ」
こいつ・・・
チッ!
ムカつく奴だけど、今の俺には心強い仲間だった。
「借りは、返すからな?」
「期待しないで待っているぜ」
俺と蛇塚は、共に先を急いだ。
そんな俺達の追跡に気付いた先を進むクロウリーはタロットカードを一枚壁に貼付けていた。
「後は頼みますよ?」
そのカードが光り輝いて何かが出現したのだ。
遅れて俺達はそこにまでたどり着いた時、
「何かいるぜ?」
「ああ」
そこには仮面姿の、大剣を構えた西洋の戦士が立っていた。
あれは確か?クロウリーのタロットカードから現れた魔物の中にいたぞ?
『正義のアルカナ!』
・・・だったっけ?
正義のアルカナは剣をゆっくりと上段に振り上げたかと思うと、俺達に向けて振り下ろす。
その斬撃は床に亀裂をつくりながら俺達に迫っT来る。
「ぐっ!こんな狭い場所で何て無茶を!」
「躱せ!」
俺達は左右別に躱すと、俺の方向に向かって正義のアルカナが向かって襲い掛かって来た。
『じゃ・・・』
ジャ?ジャが、何だ?
『ジャスティス!』
横一線!正義のアルカナが剣を振り払う!
俺は上体を下げて躱し、身体を回転させながら後ろ蹴りをかます。
敵のアルカナは俺の蹴りを剣で受け止め、そのまま後方に離れたのだ。
雑魚キャラの癖に無駄に強い奴だ・・・
『ジャスティス!ジャスティス!ジャスティース!』
なっ?何?
コイツ・・・ジャスティスしか言えないのか?
因みにジャスティスとは正義って意味だよな?
何て・・・恥ずかしい奴だ!
その上、正義で悪の手先とは笑えるぜ。
なんて言っている場合じゃねぇな?
早くコイツをぶっ倒して先に進まねば!
クロウリーと晴明に追い付けねぇ!
俺は掌に神気を集めると炎の剣【降魔の剣】を出現させる。
俺は剣を手に目の前のアルカナに斬り掛かったのだ。
お互いの剣がぶつかり合い、弾かれながらも再び衝突する。
『ジャスティス!ジャスティス!ジャスティス!』
「はっ?我が主君のため!己の正義のために俺を討つだと?ナメるなよ!」
『ジャスティース!』
「はっ?悪は許さない?誰が悪だ!魔物の分際で!」
『ジャスティス!ジャスティ・・・ス!』
「そうか?どうやら貴様には何を言っても分からないようだな?」
俺とアルカナのやり取りを蛇塚は唖然と聞いていた。
「ぽっか~ん」
そして俺と正義のアルカナのやり取りに突っ込む。
「ちょっと二人とも待てぇー!」
「ん?何だ?」
「ジャスティス?」
蛇塚は俺に向かって、
「お前はあの魔物の言葉が分かるのかよ?」
「はっ?ん?」
そう言えば、何故だ?
何故に奴の言葉が通じてるんだ?
気付いたら奴の言葉が何となく理解していたのだ。
ジャスティスしか言ってないはずなのに?
て、関係ないか!!
「そんな事はどうでも良いだろ?さっさとやっつけて先に進むぜ!」
「・・・いや・・・無駄に気になるんだよ・・・まるで、お前が一人漫才やっているみたいで・・・」
「一人漫才って・・・」
と、そこに・・・
『ジャスティス?』
「何?話は終わったかだと?待っててくれたのか?正義の名の下に、不意打ちはしないとは?お前、無駄に律儀だな?」
『ジャスティス!』
「正義に反する事はしないだと?何が正義だぁ!」
再び俺と正義のアルカナは激しくぶつかり合う!
「お前は正義!正義!うるせぇ~んだよ!俺は偽善者と聖職者には、昔から虫ずが走るんだ!」
『ジャスティース!』
「何?仮にも僧侶のくせにだと?ザケロ!俺は聖職者じゃねぇよ!まぁ~性殖者だったら悪くはないけどよ~?へへへ!」
『ジャ・・・スティス!』
「何!?誰が糞虫だと?誰が下品窮まりない奴だと?」
ばこぉ!!
「うぎゃあ!」
俺は後頭部を何者かによって蹴られたのだ??
て、あれ?蛇塚?
「さっきから聞いていれば、どっちが悪者か分からんだろ!」
「お前・・・突然仲間の頭を蹴るなんてヒデェじゃねぇかよ!」
「俺はお前が仲間だと思うと悲しくて涙が出て来るぜ・・・」
『ジャスティス・・・』
頷きながら、呆れている正義のアルカナに、
「そこ!何を憐れんだ顔で同情してんだよ!」
何だよ?
何か・・・俺ばかりが悪者みたいじゃないかよ?
「うるせぇ!黙れ!一つ教えてやる!勝てば正義だ!負ければ悪!過去の戦争も勝った方が英雄扱いじゃねぇか?だから、俺が勝って俺が正しい事を証明してやる!」
・・・あれ?
更にドツボにハマったような気がするのは、気のせいか?
て、ヤメロよ・・・
そんな白い目で、俺を見るのは・・・
「ふふふ・・・そうかぁ~分かったよ!あ~そうさぁ!俺は悪だよ!ジャスティスじゃなくて、ジャアクデス(邪悪です)ですよぉー!ハハハ!悪者上等!悪党上等!がはははははは!」
(とうとう開き直りやがったか・・・)
どんどん堕ちていく俺。
「だがな?俺から晴明を奪うお前達は!俺にとっての悪だ!俺にとっちゃ・・・正義も悪も関係ねぇが!俺の邪魔をする奴は誰であろうとぶん殴る!それだけだぁ!」
俺は剣を構え、気合いを込めなおす。
「てめぇをぶった斬るぜ?覚悟しやがれ!」
『ジャスティス!』
貴様のような奴を生かしておいては世の中のためにならないだと?
「俺は世の中のために生きているわけじゃねぇよ!」
世の中のためか・・・
確かにな・・・
世の中に認められようが、認められなかろうが、そんな事は関係ねぇ!
俺は今、ここに存在しているんだ!
誰かが何かをして、結果的に一部の人間が救われて、それを『正義』って言うのなら、
そんなの身勝手過ぎるじゃねぇかよ?
俺は幼少・・・正義の味方に憧れていた。
だが、地獄のような幼少時代を送っている間に正義の味方なんて信じられなくなっていた。
いや、俺は空海や小角に助けられて今を生きている分マシだったかもしれないな?
運が良かった。
ただ、世界中には救われず助けられずに、誰にも気付かれずに死んでいく人間のどんだけ多い事か?その全てを助けるなんて無理に等しい!
何処かで誰かが助けを求めていても運がない者は、弱者は死んでいくしか道がないのだ。
正義は平等じゃねえ!
そんな世の中で、正義の味方なんて漫画やテレビの中での偶像にしか過ぎないんだよ!
だがな?俺には、今!
救わなきゃならない奴がいて、絶対に助けたいと思っている奴がいて・・・
今、手を伸ばせば届けそうなんだ!
俺はその目に見える奴しか救えないちっぽけな存在。
ただ、それだけなんだ。
だが、その思いだけで俺は強くなれるし、必要なら鬼にも悪魔にだってなってやるぜ!
そうさぁ!
俺の事を神を導きし救世主なんて言っている奴達がいるが、俺には世界がどうなろうと関係ねぇ~目の前の救える救いたい奴だけ救えればそれで満足なんだ!
俺の前で正義のアルカナが、己の剣に力を集中させていた。
渾身の一撃を放つつもりだろう?
もし、奴が正義だとして目の前に本当の救世主が現れたとしても、俺の邪魔をするなら!
俺は・・・
「邪魔者は全て蹴散らしぶっ倒すだけだぁー!」
正義のアルカナの振り下ろす剣と、俺の振り上げた剣が衝突した。
『ジャスティース!』
「ウオオオオオオ!」
お互いの剣がぶつかり合い激しい衝撃音が響き渡る。
己の信じる道のために一歩も退けないぶつかり合い!
「俺は・・・絶対に負けねぇー!」
俺の降魔の剣が正義のアルカナの剣を押し込み、その剣にヒビが入る?
そして、一気に正義のアルカナごと、ぶったぎり一刀両断にしたのだ。
「ジャアース・ティース!(正義が悪に滅ぼされるなんて~!)」
炎に包まれながら燃えて消えていく正義のアルカナ。
「ふぅ~」
勝った!
恐ろしく、無駄に強く、メンドクサイ敵だった。
それにしても・・・
まだ蛇塚が冷たい視線で俺を見ていた。
次回予告
三蔵「まったく!何が正義だよ?反吐がでるぜ!
それにしても、今回の話に出て来た正義のアルカナはやけに人間じみた野郎だったぜ?
そんな事はどうでも良い!いよいよ次は晴明と・・・
ナウマク・サマンダ・バザラ・ダン・カン!
俺が何とかしてみせるぜ!」




