トラウマ?更なる脅威?百鬼夜行の強襲!!
本領発揮した三蔵と仲間達!
ついにラスプーチンを追い詰めたその時、三蔵の前に現れたのは
あの小角であった。
俺は三蔵だ!
今、俺の目の前には死んだはずの小角が立っていた。
「本当に・・・お・・・小角なのか?」
すると小角は言った。
角「・・・さ・・・三蔵・・・助けて・・・助けておくれ?儂は・・・苦しい・・・苦しい・・・助けておくれ・・・」
「小角!今俺が助ける!俺はどうしたら良いんだ?」
「三蔵・・・儂と一緒にいておくれ・・・儂と・・・一緒に・・・」
『地獄に堕ちよう・・・』
「!!」
俺は・・・
「小角・・・それがお前の望みなのか?それで小角は救われるのか?」
それで小角が救われるなら、俺は・・・
その時大徳の前にも、懐かしき者達が目の前に立っていた。
「お前達?」
それは死んだはずの孤児院の子供達だった。
子供達は無邪気に大徳にしがみつく。
「!!」
子供たちは言った。
『苦しいよ』
『もっと生きたかったよ』
『どうして僕達死ななきゃいけなかったの?』
『もっと遊びたかったのに』
『どうして?』
『痛い・・・痛い・・・苦しい・・・』
子供達の身体から流血し肉がただれていく。
「そ・・・それは、俺の・・・俺の!俺のせいなんだ!!」
『うおおおおおおお!』
号泣しながら悲痛の叫び声をあげる大徳。
さらに、
「お前達は?何故?」
蛇塚は顔を背けていた。
蛇塚の前には、囲むように忍び姿の男達がいた。
その中心の男に蛇塚は、
「頭領?いや、親父!」
頭領と呼ばれた蛇塚の父親は言った。
『我が一族を根絶やしにした憎き者・・・我等が悲願を潰しておいて、まだ生き恥をさらしておったか?!同族殺しの汚名を引きずりながら・・・我達が一族の汚点・・・軍斗よ!』
「俺は・・・俺は何も言い返すつもりはねぇよ」
『なら、死んで償うがよい!失敗作よ!』
「失敗作か・・・そうだよ!俺は失敗作だ・・・だからこそ俺は!!」
蛇塚に襲い掛かる忍び集団に蛇塚は無抵抗でいた。
蛇塚の目に涙がこぼれ落ちる。
それはバサラの前にも
「No.1・・・No.28・・・No.13にNo.14まで」
『No.6よ!もう良いんだ?もう楽になって良いんだ!さぁ!俺達と一緒に逝こう!』
『私達のもとに来て?No.6!今度こそ一緒にいよう?私、貴方と話したい事があるの』
『No.6!さぁ?僕らと一緒に!』
「!!」
No.1がバサラに渡したのは短刀だった。
「俺も・・・お前達の所に・・・」
バサラは短刀を手に取り、自らの喉元に向けたのだ。
「これで楽になれる・・・これでお前達と一緒に・・・いられるんだな?」
そんな俺達の様子を見てほくそ笑む男。
「ふふふ・・・この部屋には細工がしてあるのだよ」
ラスプーチンは手にしたリモコンを見る。
「万が一に備えて、策を用意しておいて助かったわ!」
このラスプーチンの作動させた装置とは?
それは人の持つトラウマを強引に呼び起こすものであった。
そして・・・
「後はこいつ達の精神を消し去った後、ゆっくりと洗脳してやろうか」
その直後だった。
紅い閃光がラスプーチンの持っているリモコンを貫いたのである。
「ナッ!?」
ラスプーチンは閃光が飛んで来た方向を見ると、そこには三千院が立っていた。
「馬鹿な!お前?この装置が効かなかったと言うのか?何故に平然としていられるのだ?お前にはトラウマがないと言うのか!」
三千院は言った。
「私を他の連中と一緒にしてもらっては困る!トラウマだと?」
さらに、
「私にトラウマなどない!なぜなら」
「なぜなら?」
「私は天才だからだ!」
「そんな馬鹿みたいな理由でトラウマがないなんてあるはずないだろうが!」
当然のツッコミである。
しかし三千院は真面目な顔で返答する。
「馬鹿はお前だ!天才は悩まん!天才は苦しまん!天才にトラウマ等似合わん!」
「そんな・・・アホな!?」
「それに私の仲間達もまた、トラウマ等に負ける器ではないぞ?」
「何だと!?」
精神世界で俺は、
「悪い・・・まだ一緒に死んでやれねぇよ…小角!まだ俺にはやらなきゃいけない事があるんだよ・・・そうさ!小角の二の舞いはもう踏んじゃいけねぇ!俺は!晴明を必ず助けなきゃならねぇんだよ!」
大徳も・・・
バサラも・・・
蛇塚も・・・
「俺達は・・・死んでいった者達の上に生かされている。だからこそ!死ねない!
ここで死んだら・・・死んでいった者達が無駄死にになってしまうからだ!俺達は!その者達の死を背負って生きていかねばならないのだ!」
俺達の目に生気が戻っていく。
そして俺達は、自らの意思でラスプーチンの罠から抜け出したのだ。
「キサマ・・・」
(よくも小角を!)
「流石に・・・」
(子供達を・・・)
「堪忍袋の・・・」
(思い出したくなかった俺達の過去を!)
「緒がキレたぜ!」
俺達の怒りはもう止まらなかった。
てか、許す気はさらさらなかったが、奴は俺達の逆鱗に触れたのだ。
だが1番キレていたのは間違いなく、
「二度も・・・俺達の悲しみを呼び起こしたな?ラスプーチン!」
俺達は一斉にラスプーチンに襲い掛かっていた。
俺の降魔の剣が!大徳の錫杖が!
蛇塚の拳が!バサラの短刀がラスプーチンに迫った。
それと同時に、黒い影が俺達を追い抜いて割り込んで来たのだ?
そいつはラスプーチンを守るかのように、俺達の攻撃を全て受け止め、そして!?
黒い覇気が俺達を吹き飛ばした。
『ぐわああああああ!』
俺達は吹き飛ばされながらも体勢を整え着地し、その黒い影の正体を見た。
な!?何が起きたと言うのだ?
まるでトラックに撥ねられた気分だった。
「こいつは!」
俺達の目の前には黒い身体に、頭上に角のある『鬼』が立っていた。
いや、ただの鬼じゃねぇな?
桁外れの凄まじい力を感じる。
まさに鬼神級か!?
「俺達の同時攻撃を一人で止めただけでなく、弾き返すなんて!何て化け物だ!」
そこに、もう一人男が現れた。
「ははは!ラスプーチン殿には珍しくお困りのようですねぇ~?」
そいつは身なりの良い服装に着替えた中年の男であった。
カミシニ博士の一人、
名を・・・ん?知らないぞ?
「これはクロウリー博士!助かりましたよ!」
カミシニ博士の一人、アレイスター・クロウリー
かつてイタリヤに現れた魔術師である。
魔術団体の創設者であり奇人と言われた魔術師であった・・・とか言い伝えられているらしい。
「ありがたい!私を助けに来てくれたのか?」
「いやはや・・・私はただ、私の実験材料を壊されたくなかったものでね~!」
「実験材料とは?」
「あの者達ですよ!」
「そうでしたか!仕方ありません。私も目を付けていたのですがお譲りします。で、その化け物は何です?」
ラスプーチンの視線の先には例の黒い鬼が立っていた。
「う~ん!それが、今、この時にですね?新しい実験体が完成しましてね~。ちょっと試しに初始動させてみようかと思ったわけですよ。この私の最高傑作の~」
『百鬼夜行にね!』
いつもクールなバサラがラスプーチンを目の前にして殺気立っていた。
当然だろう。
「邪魔をするなぁー!」
バサラが再びラスプーチンに飛び掛かると、百鬼夜行が道を塞ぐ。
が、そこに!
「こっちだぁー!」
「俺も助太刀するぜ!」
俺と蛇塚がバサラの邪魔をする百鬼夜行に向かって飛び掛かる。
同時に三千院が持っていた錫杖を弓の形に変えて狙いを定めていた。
『紅矢!』
赤く光り輝く矢が閃光となって、俺と蛇塚の合間をぬってラスプーチンに向かって射られた。
それに気付いたクロウリーは、
「ありゃりゃ~仕方ありませんね?」
クロウリーが西洋の呪文を唱えると、
『我、真理の力もて生きながら宇宙を征服せり!』
クロウリーの目の前に宙に浮かぶタロットカードが出現した?
『アルカナ・塔のカード!』
現れたカードに描かれていたのは『塔』?
すると床から塔が盛り上がりながら実物化し、三千院の放った矢を止めた。
「絶対防壁の塔の前ではどんな攻撃も当たりませんよ?」
クロウリーは新たなカードに手を翳すと、
『アルカナ・戦車!』
今度はカードから戦車が現れ、三千院に向けて砲弾を放ったのだ。
「三千院!」
すかさず大徳が錫杖を盾に変えて、その砲弾を受け止め弾き返すが、その衝撃に弾き飛ばされ壁に衝突して瓦礫に埋もれてしまう。
「あのクロウリーって奴も強いのか?てか、この鬼・・・」
「三蔵!もっと気合い入れろ!」
「分かってる・・・なっ!前だ!」
百鬼夜行の繰り出した拳が蛇塚の防御を貫き殴り飛ばしたのだ。
「ぐはぁ!」
俺はすかさずフォローに入ると、
「おのれ!降魔の剣よ!その業火で我が敵を焼き付くせー!」
俺の振り下ろした炎の剣は、百鬼夜行に差し出した腕で軽々と受け止められた。
「馬鹿な!」
俺の降魔の剣は神をも滅っするカミシニの血を持った剣なのだぞ?
それを片手で受け止めるなんて?
「おっ?うわぁああああ!離せ!」
俺は振り回されて投げ飛ばされ床に衝突し意識が吹っ飛びそうになる。
だが、目の前には追い討ちをかけるかのように百鬼夜行が追い付き、拳を振り下ろそうとしていた。グッ・・・殺られる!?
一瞬、覚悟した俺だったが、晴明が頭に過った。
そうだ!俺は晴明を助けるために、この地に来たのだ!だから・・・
『晴明が俺の助けを待っているんだぁー!』
俺の叫びに目の前の百鬼夜行の動きが止まる?
「?」
その時、俺が聞いたのは百鬼夜行の声だった?
『サ・・・サン・・・ゾ・・・ウ・・・』
次回予告
三蔵「なんだよ~??ラスプーチンまで後一歩だったというのに、カミシニのクローリーだと?
てか、こいつ変なカードを使い厄介な上、あの百鬼夜行とか言う化け物!
まじに厄介だ!!
だが、俺は必ず、晴明を救い出して見せるぞ!
ナウマク・サマンダ・バザラ・ダン・カン!
誰にも邪魔はさせねぇー!!」




