夢の中のムカつく男!?
バサラの過去!
そして三蔵達は因縁渦巻く戦いへと突入する!
のだったが・・・??
俺は三蔵だ!
俺達はバサラの過去を聞いた後、閉じ込められていた牢から脱出する手段を試行錯誤していた。
「くそぉ!壁にヒビすら入りやしねぇ!」
「天井も同じだ!」
「どうしたら抜け出せるんだよ?イラつくぜ!」
「・・・・・・」
「ん?バサラさん!どうかしたんですか?」
俺と蛇塚はバサラの異変に気付き集まる。
「・・・何か・・・感じる。この部屋の中から?俺の中の妖精感覚が人間には解らないくらい些細な気だが、確かに何か異質な気を感じるのだ?」
「敵ですか?」
「いや、生命ある気じゃない。無機質で、残留思念のような?」
「何処から感じるのですか?」
「もしかしたら脱出するヒントになるかもしれないぜ!」
俺達はバサラの感じた気の方向へと向かう。
そこには、牢の角にある小さな割れ目からであった。
蛇塚がその割れ目に手を突っ込むと、そこには札の貼ってある水晶が置いてあったのだ。
「なんだこりゃ?」
「水晶だよな?何でこんな所に水晶なんか?しかも札付きだぜ?」
「分からねぇよ!バサラさんは何だか分かりませんか?」
蛇塚は、バサラにその水晶を手渡す。
しかし、バサラにもそれ以上この水晶からは何も感じなかったのだ。
「バサラさんなら何か分かると思ったんだけどなぁ~残念!」
「スマン」
バサラは仕方なく水晶を床に置いた。
「どうやら無駄骨だったようだな?」
俺は置いてある水晶を足で蹴飛ばした。
その時!
『『…三蔵…!』』
なっ!?
突然、誰かが俺の名前を呼ぶ声が聞こえて来たのだ?
「誰か今、俺を呼んだか?」
「ん?いや、何も?」
「どうかしたのか?」
二人ではないようだった。
なら、やはり気のせいだったのか?
「いや?気のせいだ?多分な?」
俺は意味も分からずに再び落ちていた水晶を手にする。
「・・・?・・・やはり気の?気の・・・」
「おいおい!三蔵?」
あれ?貧血か?ふひゃ~
蛇塚が俺を呼ぶ声が遠く感じ始める?
そのまま俺は水晶を手にした途端に気が遠くなり、白目を向いて気絶したのだ。
う~~ん?
しばらくして俺が目覚めると、俺は宙に浮いていた?
まるで夢の中にいるみたいだ。
いや、夢だよな?
もう一度寝るか~
一体、何処からが夢だったんだろう?
すると、
『起きろ!バカモン!』
俺は何者かに怒鳴られ頭を殴られ起こされたのだ。
「いってぇ~!」
俺は殴った相手の顔を見定めようと顔を上げる。
そこには?赤い袈裟を羽織った髪の長い男が俺を見下ろしていた。
『まったく未熟者だな・・・やれやれ!馬鹿者が!』
って、さっきから聞いていれば、初対面の俺の事を馬鹿!馬鹿!と、貶しやがって!
しかも、殴られたし!無性に腹が立つ!
俺は男に向かって、殴り掛かったのである。
が、俺は・・・その男のひと睨みの覇気に気圧され、その場にへたりこんでしまった。
なぁ?何なんだ!?
コイツ!!ただ者じゃねぇ~!
男は俺に言った。
『悪いが、俺は少し動けぬ身体なのだ。そこで、この遺跡の事を思い出してな?遺跡の装置を使ってお前に会いに来た』
「はっ?何を言っているんだよ?俺に何か用があるのか?てか、誰だよ!お前!俺はお前なんか知らねぇよ!」
男は少し考えた後、
『お前は今、遺跡の牢に閉じ込められているのだろう?俺がお前に牢からの脱出方法を教えてやる。その代わり、ほんの少しお前の霊力を分けてもらいたい!どうだ?』
コイツ・・・何でそんな事を知っているんだよ?
てか、マジ何者?
俺の霊力だと?
怪しい!怪しい!怪しい!怪しい!怪しい!怪しい!
俺の霊力奪ってから始末するつもりか?
油断大敵!こいつ大敵!
見るからにヤバそうな面してるし、絶対に悪だぜ?
そんな俺の迷いを断ち切るように、
『喝っ!』
俺はビックらこいて、気圧される。
「ま・・・マジにここから抜け出す方法教えてくれるんだな?絶対だな?よし!わかった!信じてやるよ?俺の力を少し分けてやるよ!」
『ふふふ・・・交渉成立のようだな?』
男は俺の胸に手を翳すと、俺の身体から霊気が吸い出されていく。
霊力をほんの少し・・・
ほんの少し・・・
って、ごっそり吸い出してやがるぅー!
「うぅわああああ!」
『大袈裟な?若いんだ!直ぐに回復するから心配するな?軟弱者が!』
俺は再び意識が抜けていく。
夢の中で意識なくすって、まったくもって
どういう事なんだよー!
「う・・・う~ん?」
俺が再び目覚めると、
俺と男は辺り一体炎に包まれた熔岩の見える場所に浮いていた?
俺は男に状況を聞く。
「おい!ここは何処なんだよ?」
男は無言で前方を見ていた。
俺もまた男の視線の先を追って見ると、そこには金髪の少年が、熔岩に向かって落下していた?
「おい!助けなくて良いのかよ?」
男は助けに出ようとする俺を制止させる?
すると落下中の少年の心の声が俺に聞こえて来たのだ?
(どうしたら良いんだ・・・俺様は紅孩児の奴が嫌いじゃないんだ!我が儘で、我が儘で、本当我が儘で、我が儘過ぎるほど 我が儘な奴だけど、何か憎めないと言うか・・・他人に思えないと言うか・・・とにかく、ダチなんだ・・・ダチなんだよ!なぁ?お前なら何て言うかな?
ダメだ・・・力が出ない・・・)
少年から魂の力が消えかかったその時、今まで無言だった男が叫ぶ!
『甘ったれるなぁーー!!』
男はさらに少年に向かって叫ぶ。
『お前はどうしたいのだ?お前がやりたい事、望み、叶えたい事、求めるもの、希望、夢!手に入れたい何かがあるなら、最後まで中途半端にするな!自分自身の限界まで出し尽くせ!それとも、お前の望みはその程度のものなのか?』
男の問いに少年は、
『何がしたいって・・・?俺様の希望は・・・紅孩児を・・・紅孩児を取り戻したい!だけど俺様どうしたら・・・』
そんな弱気な少年に、男は追い打ちをかけるように叱咤した。
『ウダウダと考えてるんじゃねぇー!いつまで寝てるんだ?さっさと起きやがれぇー!』
その瞬間、少年の目に魂の炎が再び蘇っていくのが分かった。
落下中の少年は、身体を捻りながら体勢を整え、突き出ていた岩石に着地する。
「ナハハ~!厳ちい~!でも、あいつならそう言うよな?やっぱ!」
そして少年は、
「じゃあ、やれる事やるかぁー!」
落下して来た天井に向かって、よじ登って行ったのだ。
少年が大丈夫だと思ったその瞬間、俺の見ていた風景が再び変わったのだ?
どうなっているのだ?
まるで映画の場面転換のようだった。
そこでは二人の少年が張り付けにした豚の姿をした化け物を拷問していた。
今度は何だ?
あの豚の化け物をやっつけるのか?
しかし、豚の化け物は既に金髪の少年と銀髪の少年にボコられて瀕死寸前のようだが?
すると今度は瀕死寸前の豚の化け物の心の声が俺に伝わって入って来たのだ。
(苦しい・・・熱い・・・辛い・・・何故・・・オラ・・・こんな苦しい思いしてるらか?
あのまま逃げてれば・・・)
拷問をしている少年達が更に豚の化け物を痛め付けて、その様子を見て楽しんでいる。
「アハハ!馬鹿な奴だ!泣いたって、もう終わりだよ!」
「あれ?何も起きないよ?おかしいな?もしかして死にかけ過ぎてたからかな?」
「いや、これからだよ!」
張り付けにされた豚の化け物の魂が次第に弱まっていくのを感じる。
どうやら、あの豚の化け物は拷問に合っているのか?
そして、あの双子のガキは残虐な連中だと理解した。
(・・・後悔・・・するら・・・・・・何故・・・オラは・・・・・・此処に来ら?・・・・・・後悔する・・・・・・何も出来ない・・・オラの弱さに・・・)
今にもその魂が消えかかろうとした時、男はその張り付けにされている豚の化け物の背中から霊力を注ぎ込んでいたのだ?
『お前は決して弱くなんてないぞ!俺は知っている・・・自分自身の事よりも、お前は他人を思う強さがあるじゃないか?お前はただ・・・心が優しすぎるだけなんだ!!』
そして、真言を唱えたのだ。
『マウマク・サマンダ・ボダナン・マカカラヤ・ソワカ!』
『一時的だが、お前の封印を解いてやるぞ!今こそ目覚めよ!転生変化唯我独尊!』
その瞬間!
豚の化け物から凄まじい妖気が立ち込め、その姿が変わっていく!?
漆黒の髪をなびかせた褐色の少年へと??
大地を震わせる程の強大な力を持つ漆黒の破壊神へと!!
その様子を見届けた男は、自分の成すべき事をやり遂げた後に俺に言った。
『・・・お前も、負けるなよ?』
その言葉を最後に男の姿が消えたのだ。
って・・・??
「待てよー!まだ、牢の脱出方法聞いてないぞ!てか、お前は何者なんだよー??」
俺のツッコミに再び男が現れ、
『・・・忘れてた!・・・脱出方法だったな?確か・・・目覚めたら目を綴じて、三つ数えれば分かるはずだ・・・うん。だったような気がするぞ?サラバだ!』
「(忘れるなよ・・・)てか、なんだよ!三つ数えればって?ふざけんじゃねぇよ!」
俺から根こそぎ霊力を奪っておいて?
訳の分からない場所に連れ回されて?
「無駄骨じゃねぇか!!何てムカつく野郎だ!こんちくしょー!バァカ!バァカ!暴力男!!豆腐に滑ってスッ転んで泣いてしまえ!」
俺の情けない暴言に消えていく男の声が俺の心に入って来たのだ。
しかも、俺が・・・
俺が一番知りたい情報を!
男は確かに言った・・・
『・・・本当に落ち着きのない奴だ・・・やれやれ?なら、もう一つ良い事を教えてやろう・・・安心しろ!』
・・・えっ?
『・・・晴明はまだ生きている!そして、この遺跡で必ず出会える!』
と・・・
晴明・・・決して忘れていた訳じゃなかった・・・
だが、もしかしたら、もう晴明は・・・
その不安から、俺は他の連中の前では強がっていた。
不安を焦りを表に出さないようにしていたのだ。
晴明が生きている?確かにそう言ったよな?
「どうしてお前がその事を?お前はマジに誰なんだよ!」
だが、謎の男の声はそれ以上は返っては来なかった。
だが、確信はないが俺に希望が芽生えた!
しかし何故この男は晴明の事を知っているんだ?
俺は・・・
「ちょっと待てよ!まだ聞きたい事が!」
俺は勢いに任せて起き上がる。
「いってぇ~!!」
そこには蛇塚とバサラがいたのだ。
俺は勢いあまって蛇塚と頭を衝突したのだ。
蛇塚は頭を押さえながら俺にブチ切れていた。
「まったくよ!人が心配してりゃ~何て事しやがるんだよ?あ~!マジにいてぇ~!」
「アイタタ・・・悪い・・・」
それもこれも、あの夢の男のせいだ!
そういえば何が目を綴じて三つ数えろだよ!
まだ俺達は暗闇の地下牢じゃないか?
クソッ!
俺は疑いつつも・・・
藁を掴むつもりで目を綴じ数を数えた。
「…い~ち!…にぃ~の…さ…ん!…てか?」
突如外から轟音と共に壁が砕かれ、そこから何者かの影が現れたのだ?
「!!」
何だぁー??
そいつ達は!?
「お前達!勝手な行動をして!戻ったら分かっているだろうな?」
「うむ。まったく・・・この三人は仕置き決定だな!」
そいつ達は!!
心強い味方
「三千院に大徳!?」
マジに助かった?
しかし?あいつの言った通りになったぞ?
ん?じゃあ・・・
何もしなくても助かったのなら、霊力を奪われたのは俺の大損じゃねぇかぁー!
やっぱり、あのムカつく男は大嫌いだぁー!!
夢の中での話だけどよ。
次回予告
三蔵「それにしても今話は散々な目にあったぜ!マジに何者だったのだ?あの暴力男は??」
男『俺が何者かだと?知りたければ転生記を読むがよい!さすれば今後の展開への復習になるぞ!』
三蔵「って、また出たぁああああああ!!」
三蔵「次話は明王を宿した俺達五人が大暴れするぜ!
ナウマク・サマンダ・バザラ・ダン・カン!突き進むぜぇーー!!」




