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聖輪奇聞・転生記!~神を導きし救世主~  作者: 河童王子
神を導きし救世主!
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バトルロワイヤル?妖精狩り!!

バサラの過去、それは妖精計画の犠牲者だった。


俺はバサラ!


俺は…かつての妖精計画フェアリープロジェクトの生き残り…

俺は同じ妖精計画により産まれた『セカンド』と呼ばれる妖精部隊にいた。


俺達は『お父様』と呼ばれる男の命令には逆らえない。

逆らう事が出来なかった。

人殺し…暗殺…戦争…



その日…


俺達妖精は何も説明なく言われるがまま真っ白い部屋に集められた。

そこでお父様に命じられた任務は、目の前にいる兄弟達を殺す事だった。


与えられたのは短刀…


俺達に与えられた命令には絶対に服従するように洗脳されていた。

自分と同じ境遇の『兄弟』を殺せ!という命令さえも、俺達には実行する事以外の選択は他になかった。



あの時みたいに…



俺が妖精になった時、俺はそれ以前の記憶を全て失っていた。


記憶の消去と洗脳?


余計な過去の記憶と感情を全て消去し、自分に従う事に不信感を抱かせないための処置。

だから、その時の俺達も何の疑いもなくお父様に従っていた。

『お父様』は、まさしく俺達妖精にとっての崇高なる神的存在だった。


俺達は戦闘技術から武器の扱いまで、ありとあらゆる暗殺技術を仕込まれた。

見るからに十代の少年少女が戦場に現れては、その力を発揮していった。


並の人間に、この妖精達を止める事は不可能…


銀の髪の短刀を片手に持つ少年少女達が現れる所、戦場は炎に包まれ何も残らない。


そんなある日…


俺達は無人島に集められた。

その時の俺達妖精は、まだ百人近くはいた。

そこで、お父様から新たな命令が下されたのである。

俺達は五人のチームに組まされ、この無人島にてサバイバルをすると言う事だ…


サバイバル?訓練?


いや、それは互いに殺し合うバトルロワイヤルだった。

一週間、この無人島にて組まされた五人。

俺達はナンバーにてお互いを認識する。


№6…


これが、俺の与えられた名前だった。


この数字は上から順に優れた者に与えられるのである。

そして№1から№10までがリーダーになり、残りのナンバー達を率いてチームを組むのだ。



「リーダー!どうするよ?」


「………」


「黙っないで指示をください!」


「ああ…」



俺のチームは俺をリーダーとして、ナンバー35・42・88・95。

この組み合わせに意味はない。

クジか何かだろう…


俺達は森の中に身を潜め敵の位置の把握に集中していた。


俺達が今しているのは殺しあい…


この無人島で生き残る術は、とにかく一週間生きる事。

目の前の敵を討つ事。

そして、この無人島の中央に置かれた30枚のチケットを奪い合い手に入れる事であった。


俺は仲間になった四人に命令を下す。

瞬時に理解した四人が、俺の指示に従い行動に出ていた。

俺達が潜んでいる事に気付かないで近付いた妖精に向かって、暗闇の中、音を立てずに背後から近寄り、持っていた短刀で首を切り落とす。

何が起きたか解らずに、目の前の妖精達はその場に倒れた。


俺達妖精は再生力が並ではない…


殺すには、心臓を止めるか、首を切り落とすしかない。


「…………」


(自分で命令を下していて嫌な気分だ…共に今まで戦って来た兄弟を手にかけるのは…

しかし…戦場では、幾度と繰り返した事…身体が本能的に確実に仕留める。

暗殺が既に習慣になっているのか?)



生き残るためには仕方ない。

それが俺の答えだった。


俺達は更に無人島の中央を目指す。

生き残るためチケットを手にするために。


中央に近付くと、それだけ妖精のレベルが高くなっていた。


ここに来るまでにどれだけの妖精が散った事か?

中央には感ずるに妖精は50人近くはいるだろう。

既にチケットを手に入れた者達は、中央の大木に腰を下ろしながら、残った者達の殺しあいを観賞していた。



「リーダー!どうする?急がねばチケットを他の連中に奪われるぞ?」


「待て!焦れば相手の思うつぼだ!」


「いつまでも待ってられるか!」


俺の命令を無視した№88が先行し、中央突破を仕掛けたのだ。


「あいつ!見捨てるか?」


「いや、そうもいかない!こうなったら相手の出方を見て策を練る!行くぞ!」



俺と部下の№42は先行した№88を追って中央突破に出た。

その突破に気付いた、他の妖精達が俺達に向かって攻撃を仕掛けてくる。



「やはり罠か?左右から来た奴達を頼む!」


「わかった!」


「了解!」


№35と№42が左右からの攻撃に迎え撃つ。

そして俺と№95は先に向かった№88を追ったのだ。


「!!」


しかし目の前を走る№88が、俺の目の前で何者かに心臓を貫かれていた。

№88の胸を串刺しにし倒れた身体を踏みつけ俺達に視線を向けて笑みを見せていたソイツは…


「あいつ…まさか…№3か?」



俺より格上のナンバー…


あいつ…とっくにチケットを手に入れられたはずなのに、わざと取らずにこんな場所に残っていたのか?何故?



「ふっ…№6か…面白い獲物が来たぜ!」


「…では、狩るとしよう!」



№3の横に№2が現れる。

この二人はこのバトルロワイヤルを楽しんでいるのか?

妖精狩りをゲームのように楽しんでいるのか?

見ると、中央には妖精達の死体が幾つも転がっていたのだ。


見覚えのある奴もいる…


この二人…


俺の身体が奮えた。

恐怖?いや?この感情は?

俺は短刀を手に構えた!


俺の横には№42と№35、№95がつく…


「逃げるか?」


「迎え撃つ!コイツ達をのさばらしてはいけない!」


「…しかし、奴達は一桁の上位クラスだぞ!」


「ナンバーは関係ない!奴達を突破しなければ、どちらにしろ俺達に生きる道はないのだからな!」


「………」


また、胸が熱くなった?

俺は他のナンバー四人で№2を任して、俺は№3を相手に単独で相手する。

№3は余裕の動きで俺の攻撃を躱していた。

№3は俺の突き刺す短刀を、寸前で躱し、俺の腹部を蹴り飛ばす。


「ぐわあああ!」


俺は蹴り飛ばされながらも体勢を整える。

すると起き上がったばかりの俺の背後に№3が追い付いて来て短刀を突き出して来たのだ。

俺は身体を捻りながら回転し、№3の短刀を弾き返す。

そしてお互いの短刀が幾度と、ぶつかり合う。



№3…やはり強い…多分、№2と闘っている他のメンバーも苦戦しているだろう…

だが、気付くと仲間達の気配がしない?


そこには一人、№2だけが立っていた。


他のメンバーは?


そこには先程まで俺と一緒に闘っていた仲間達が、無惨な姿で倒れていた。

最後に残った№35が、№2に首を撥ねられる。


まさか四人がかりでも敵わなかったのか?



「アハハ!どうやら残ったのはお前だけのようだな?」


「クッ!」


№2と№3を相手に、俺一人で生き残れるか?


いや、それより…


また胸が締め付けられる?


この感情は何だ?


俺は仲間通しで殺し合う。


生き残るためにか?


違う?奴達みたいに仲間を楽しんで殺す…そんな奴達を…俺は…



「仲間の仇討たせてもらう!」


「はっ?何を言っているかな?仲間の仇だって?理解不能!俺達に仲間なんてないだろ?生きるために弱い奴達を犠牲にして、自分一人が生き残る!それだけだぜ!」


「………」


「お前?おかしな奴だな?まさか、そういった感情が残っているのか?珍しいタイプだな…しかし、戦場にそういった感情は早死にするだけだ!」


「………」



奴達の言葉に自分自身驚いていた。

確かに奴達の言葉に間違いはないだろう…

俺達は、そう教育されて来たのだから。

そして俺もそのはずだった。


それなのに俺の感情は一体?


これは…怒り?悲しみ?


そういった感情だと思われる。


死んだメンバーとは別に深い繋がりがあったわけではない。

しかし、この溢れ出す感情は間違いない。

が、そんな俺の動揺をよそに№2、3が向かって来る。


「来るか!」


だが、№2と№3の動きが突然止まったのだ?


それは俺の…


俺の背後から現れた別の存在の気配からであった。


そいつは…


「お前…№1か?」


№1…その数字の番号の通り、全てにおいて実力のある男だった…


前方に№2と№3…

後方に№1…


どうする?


いや、俺は…俺は諦めずに短刀を握りしめた。

俺は最後の最後まで、闘ってやる…

その時、俺は肩に手を置かれたのだ!?


それは№1。


なっ!いつの間に!?

まったく反応出来なかった。

こんな簡単に間合いに入られるなんて…


その時、№1は身動き取れないでいる俺の耳元で言った。



「そういきり立つなよ?№6!俺はお前みたいな奴、嫌いじゃないぜ?」


「!!」



そう言うと…


№1は、№2と3に向かって


「チケットは残り8枚みたいだな?俺のチームの分5枚と、この№6…後はお前達の二人分でジャストみたいだぜ?残念だが…他の生き残りはお前達が全員始末してしまったみまいだしな…」


№2と№3は顔を見合わせていた。



「で、どうする?素直にチケットを山分けするか?それとも…」


『俺を相手に殺し合うか?』


その瞬間、№1から凄まじい殺気が№2と3に放たれた。

俺もまた№1の殺気に身動き出来ずにいた。



「へ…へへ!仕方ないな…山分けで我慢してやるよ!ゲームセットだ!」


「聞き入れてくれて嬉しいよ!あんまり面倒なの嫌いだからさ?俺!」



そして俺達は…


あの日、仲間同士のバトルロワイヤルに生き残ったのだ。






その夜…

組織の迎えが来るまで、俺達は無人島にて待つ事にした。


俺は一人、穴を掘っていた。

死んだメンバーの墓を立ててやっていたのだ。

墓と言っても、土に埋めて石を置くだけの些細な墓…


そこに…


「本当…面白い奴だな?お前は…」



№1が俺に話しかけて来たのだ。

俺は返事を返さずに穴を掘る。

すると今度は№1が何も言わずに俺の隣で穴を掘り始めたのだ?


俺と№1はその後も無言で穴を掘り続けた。


そして墓を全て作り終えた後、№1は満点の星空に向かって、




『人を殺すために造られ…自由も愛も知らないまま…


若くしてその命を落とした兄弟達よ…


君達の魂は今こそ、この悪夢から解き放たれ…


自由になったんだ!


いずれ僕達も君達のもとに行くかもしれない…


その時は、よろしく頼むよ?


その時は沢山沢山語り合おう!


仲間として!友達として!兄弟として!


それまで、ゆっくりと…おやすみ…』





他人に対し距離を取り、無関心だった俺が、初めてこの№1と言う男に…興味を抱いた。



次回予告


バサラ「妖精として生きてきた俺にも友がいた。


だが、それも運命の荒波に飲まれた


あの悪魔によって!」

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