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聖輪奇聞・転生記!~神を導きし救世主~  作者: 河童王子
神を導きし救世主!
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悪魔の妖精計画!

遺跡に入りこんだバサラは宿敵であるお父様に特攻をかけたが失敗に終わる。


妖精達に囲まれ窮地のバサラを助けたのは死んだと思われていた三蔵と蛇塚だった。しかし三人は罠にかかり暗闇の牢獄に捕らわれ、そこで三蔵と蛇塚はバサラの過去を聞くのだった。


俺は三蔵だ…


俺と蛇塚、バサラは敵の罠にかかり、暗闇の廊に閉じ込められていた。

俺達は全ての事情を知るバサラに、奴達との関係を問いただしたのである。



「それにしても、バサラ?お前、俺達が駆け付けた時に怪我してなかったか?」


「…心配するな?もう塞いでいる」


「て、おぃ!バサラさん?もう一度おぃ!そう言う怪我じゃなかったでしょうが?」


「そうだぜ?完治するにしても二、三日はかかるだろ?」


「…いや、二、三日もありえないから!」


「はっ?俺は…三日あれば…」


「いやいや!普通は死ぬレベルだぞ!完全に致命傷だろ?」


「そういうもんか?そうなのか……」


俺も常人に比べたら怪我の治癒が早い事には薄々気付いていた。

しかし、バサラはそれ以上だった。


「致命傷は外してあった。心配ない。直ぐに治る。傷痕も今はない」



俺とバサラの回復力に蛇塚は目を丸くしていた。


(こいつら…マジか?マジに言っているのか?てか、有り得そうなだけに恐ろしい…この二人、化け物だな…)



「で、話は良いのか?」


「そうだった!教えてくれよ?バサラさん!」




俺達は四方に錫杖を突き刺してから、錫杖を光らせて明かりを作る。


真っ暗だと、なにぶん不便だからな…

俺達は腰を下ろし、バサラの前に座したのだ。


奴らと、バサラとの関係、その過去が今、バサラの口から語られるのだった。






それは、時を遡る事…


今から数百年も昔の話…数百年??


場所はドイツにある小さな村から始まった。

その村に住む一人の少年が山奥で遊んでいると、不可思議なモノを見付け持ち帰る。


その不思議なモノとは?

それは、羽のある小さな光る人間だったと言う。

その姿から、それは『妖精』と呼ばれた。


少年と妖精は、長らく人目につかないように一緒に暮らしていたのだったが、その存在が公に広がる事件が起きたのである。


それは少年が病にかかった時であった。

その病は不治の病で、助かる可能性は無いに等しいと当時の医者が判断した。


誰もが諦めかけたその時…

少年の部屋から光る物体が飛んで来たのだ?


それは妖精?


その場にいた大人達の目の前で妖精は少年の中(身体)に吸い込まれるように入ると、そのまま消えていったらしい。


その後…少年は何もなかったかのように元気になった。

まさに不思議にて奇跡的な出来事?


ただ、その奇跡は…

それだけではなかったのである。


それは、病から治った少年の身に起きた異変から始まった。


異変と言うのは外見!?


外見なんて!と思うだろうが、その風貌の変化は尋常ではなかった。

左右の瞳の色が変わり、髪の色が変色して銀髪になっていったのだ。

何より驚く事は、その運動能力が人間離れしている事であった。


軽々家の屋根に飛び上がったと思えば、走らせると目にも留まらぬ速さで駆け抜けると言う。

村人は次第に、その少年を不気味がり恐怖するようになったのである。

妖精?いや、悪魔に取り付かれた少年と呼ぶようになった。

次第に孤立する少年に目をつけた人物がいた。

それが、パラケルススと呼ばれる旅の錬金術師であった。


パラケルススは、もともと身寄りのなかった少年を引き取り実の子供のように育てたのである。


ごく普通の親子に見えた…

ただ…夜な夜な何かの実験に少年の身体を使う事以外は?


そんなある日…


資金が尽きたパラケルススのもとに、髪の長い異国の男が近付いたのだ。

その男はパラケルススに研究費用を持ち掛け、信じられぬ資金を餌に少年を使った人体実験をするように依頼したのである。


そう…それが…悪魔を作り出す・・・


『妖精計画…フェアリープロジェクト』の始まりだった。



妖精計画とは少年の人間離れした能力と同じ人間を作りだし、戦争の兵士にする計画であった。

が、その実験は幾度と失敗を繰り返す。


先ず最初に『ファースト』と呼ばれる三体の実験体が作られた。


その三体は少年のクローンであった。


ファーストはそれこそ驚異的な身体能力と、どんな怪我をも瞬時に再生する能力、戦車を触れただけで粉々に消し去る程の凄まじい破壊力を兼ね備えていた。


正に現代に蘇った破壊神に思えた。


が、そのファーストには欠点があった。

活動間もなく、その一体の自我が崩壊し始めたのである。

狂ったファーストは研究所を破壊し、ところ構わず暴走した。

それは妖精の力があまりにも強すぎ、クローンの身体では手に余るためであった。


止むなく錬金術師のパラケルススと資金援助をした髪の長い男は、暴走するファーストを、ありとあらゆる軍事力を持って始末した後、残り二体も活動前に廃棄処分する事を決断したのだ。



だが、悪魔の実験はまだ続いていた。

『セカンド』と呼ばれる実験体が現れたのである。


世界中に適合する可能性のある子供達を拉致して来ては、最初の少年の持つ特別な遺伝子を融合させる事によって、その能力を引き出した実験であった。


セカンドはファーストと違い暴走する事はなかった。


また最初の少年と同じくセカンドの少年達もまた髪や瞳の色が変わり、その身体能力や再生能力も手に入れる事に成功した。


だが、それまでに実験に使われ失敗した子供達もいた。

失敗者は、その妖精遺伝子に耐えられずに、その精神、肉体が崩壊し、ある者はファーストと同じく狂乱し暴れ出し廃棄処分されたのだ。

ある者は十代で百歳の歳を取り、身体が突然腐ったりと酷い死に方をしたと聞いた。



セカンドの成功者は30人程度の少年少女であった。


その殆どが戦争孤児であるがため、名もない少年少女達。

彼達は『ナンバー』で呼ばれた。



実験は成功に思えた。



セカンドの子供達は髪の長い男、計画者の男を『お父様』と呼び、崇拝して、どんな命令にも顔色を変えずに遂行した。

暗殺から、戦争、それは見事なまでの成果をあげた。

セカンドは与えられた命令一つで、一国を滅ぼす能力を秘めていたのだ。


ただ…その『お父様』と呼ばれる男を満足させる程でなかった。


何故なら、『セカンド』は『ファースト』程の神懸かりな破壊力がなかったから。

それがお父様には不服だったのだ。


お父様は己の持つ全ての軍事力を持ってしても、暴れるファーストを廃棄処分するに半年以上もかかり…一体を仕留めるのに費やした被害含めファーストの持つ破壊能力に身も心も惹かれていたのだ。そんな中…


その組織の一員が日本国にて、ある物を持ち帰ったのである。


それは…『神』が封じられし箱

『パンドラの箱』と呼ばれる品物であった。


『お父様』と呼ばれる男は、その箱の中に存在すると言われる『魔神』の力を『セカンド』に与える事で、その足りなかった神懸かりな能力を補わせようと考えたのだ。


そこで『セカンド』の子供達の中から、この『魔神』の契約者を選別する事にした。


妖精の力を持った肉体と魔神の底知れぬ力…

この二つの力を兼ね備えた者を、自分の養子にすると約束して。

養子と言えば聞こえが良いが、自分の手足になる破壊神を手に入れる事が目的だったのだが。



そして…

悲劇は行われた!


セカンドの30人の少年少女達は『お父様』の命令で全てが真っ白い壁の、他に何もない部屋へと集められたのである。


唯一、あるとしたら…

部屋の30メートル上に防弾ガラスで出来た窓ガラスがあるだけであった。

セカンドの少年少女達はこれから何が行われるか解らないまま『お父様』からの命令を待っていた。暫くすると、窓ガラスから『お父様』の姿が見え、命令が言い下されたのだ。



『さぁ…愛しい私の子供達よ…』



『今から、この部屋で…』



『お前達は、一人になるまで…』



『殺しあいなさい…』



『生き残った者を私の本当の子供にしよう』



『さぁ!私のために!殺しあうのです!』





それだけ言い残すと、『お父様』は窓ガラスから姿は消えていた。




「待ち遠しい…早く…私のために…殺しあうのです!ふふふ…あはははは!」





『お父様』が消えた後、その部屋に残された少年少女達は、お互いに顔を見合わせた。


どれだけいたか分からない…


自分達と同じ境遇の子供達の中で、唯一奇跡的に助かった仲間達…


いや?兄弟のような関係が、今から殺しあうなんて…


しかし『お父様』の命令は絶対!



少年少女達は…


自分達が部屋に入る際に唯一手渡され、持たされた凶器である短刀を握りしめた。


次回予告


バサラ「それは、俺が№6と呼ばれていた時の物語


戦場で散った兄弟達との別れ・・・


そして、俺は・・・」


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