バサラの特攻！！
バサラは一人、お父様と呼ばれる主の待つ遺跡へと招かれた。
そこでバサラは、一人復讐を決意していたのだ。
村に襲来した五人の敵？
そいつ達は何故か仲間のバサラに似た容貌をしていた。
しかも俺達の目の前でハンを殺し、怒る俺達に対して今度はバサラが裏切ったのだ？
バサラは俺と蛇塚の心臓を金の錫杖で貫き、その後白い魔物を操る者達と一緒に遺跡の内部へと入り込んだ。
その遺跡の主…
『お父様』と呼ばれる男は、バサラとは因縁深い関係がある人物。
バサラはその男に向かって、短刀を両手に構え襲い掛かっていた。
一人特攻するバサラ！
バサラがお父様なる人物に特攻をかけた時、背後から、追い付く人影が？
それはバサラと似た姿の者達であった。
「お前！お父様に何を？僕達を騙したな！」
「お父様を傷付ける者は許さない！殺す！」
そいつ達はバサラの左右から追い付き、バサラに向けて刃を突き付ける。
バサラは身を回転させて短刀で弾き、更に速度を上げてお父様と呼ばれる男に刃を突き出した。
血が噴き出し辺りは真っ赤に赤い血に染まっていく？
それはバサラの腹部に突き刺さった短刀によって。
お父様を守る銀髪の者達が投げた数本の短刀が突き刺さっていた。
そしてバサラの短刀は『お父様』の首筋の一歩手前で止められたのだ。
「クッ…！」
バサラは膝をつき顔を見上げた先に、その男は嘲笑しながら見下ろしていた。
「まさか、お前が生きていようとは…油断したわ！…セカンド唯一の生き残り…忌まわしき№６よ！」
バサラは番号で呼ばれて思い出していた。
(№６…かつての俺の名前…)
「黙れ！俺は№６ではない！バサラだ！金剛夜叉のバサラだ！」
「ふっ…さぁ！妖精達よ！その欠陥品を私の前から消し去るのだ」
するとバサラを押さえつけるように銀髪の若者達がバサラに飛び掛かり行く手を塞ぐ。
バサラは完全に包囲されたのだ。
「ふっ…お前達！このゴミを早々に始末しておくのだ！」
バサラの前で見下ろす銀髪の若者達。
彼等は『妖精』と呼ばれるお父様直属の暗殺部隊。
「このゴミが！所詮、セカンドなんて僕達サードの前の試作品…いや、欠陥品だ！」
「欠陥品は消去しなきゃ！」
つまり？
バサラはかつて妖精と呼ばれる暗殺部隊にいたのか？
だが、状況は危機迫っていた。
サード達は一斉にバサラを串刺しにしようと、手にした短刀で斬りかかる。
バサラは成す術なく、覚悟を決めて眼を綴じたのだ。
その時！！
辺り一帯が炎に包まれたのだ！
一体、何が起きたのか？
バサラが瞼を開けて顔を上げると、広間の扉が桁ましく開き、
「危機一髪！ギリギリセーフだな？」
「大丈夫っすか？バサラさん！」
そこに、俺(三蔵)と蛇塚が乱入して来たのだ。
そのまま邪魔な妖精達を撥ね退け、バサラを囲むサード達の間に割って入る。
「…お前達遅いぞ？」
「ふん！ふざけた芝居させやがって！」
「まったく…人が悪いッス！マジで焦りましたよ？」
突然乱入して来た俺達を見て妖精達は、
「お前達！確か村で心臓を串刺しにされたはず？」
そう…
バサラは俺達を殺してはいなかった。
「まったく…」
あの時…バサラが自らの短刀ではなく、俺達の錫杖を使った時に気付いた。
『自分の気で作った錫杖は、己の意思で消せる』
てか、本当…
ほんの少し前に蛇塚から聞いていなかったら、俺は自分自身の『気』で串刺しになると言う…恥ずかしい死に方する所だったのだ。
お…俺…気付かなかったら、マジに死んでいたかもしれなかったのか…
アハハ…今頃、鳥肌が立つぜ…
俺と蛇塚はバサラに錫杖を突き刺される瞬間に、マジでギリギリの所で身体に当たる錫杖を消したのである。串刺しにされたかのように見せながら…
「まったく人が悪いぜ！」
「だが、今の状況の方が絶体絶命の大ピンチみたいだぜ？」
俺達の周りをサードと呼ばれる銀髪の妖精達が取り囲む。
ざっと３０人近くか？
一人でも厄介なコイツ達が３０人か…
本当、万事休すだぜ！
だが、俺はハンに誓った。
お前の仇は、必ず俺がとると！
「…………」
すると今まで黙っていたバサラが立ち上がると、俺と蛇塚と背中合わせになる。
「怪我は大丈夫ですか？」
「問題ない！かすり傷だ…」
「血が垂れ流れてるぜ？」
「致命傷は外してある！それより…」
そこに俺達に向かって妖精達が襲い掛かる。
「いくぞ！」
「ああ！」「やらいでか！」
一斉に襲い掛かる妖精サード達に俺達は迎え撃つ。
その戦いを部外者と言わんばかりにワインを片手に座って見ていた者がいた。
クローリーとシュタインと呼ばれるカミシニ博士だ。
「う～ん…」
「どうしました？」
「いやね…惜しいと思いましてね～」
「惜しいとは？」
「あの者達ですよ」
「また、いつもの悪い癖ですか？」
「そう言わないでくださいよ！この間も、面白い素材を見付けて至福の喜びを得ていたばかりなのですからね～！またまた新たな研究素体が手に入ると思うと胸がトキメクのですよ～年甲斐もなくね？」
「では…」
「ええ！捨てるには惜しいです…はい！」
するとクロウリーは壁にある文字に手を翳すと、中からボタンが現れて押した。
その瞬間、俺達の足場が揺れだし床が崩れ始めたのだ。
「なっ？地震か！」
「違う！何かの罠…あっ！」
「三蔵！蛇塚！」
突然崩れ落ちる床に俺達は成す術がなかった。
「がぁ！」
俺の足元の床が落下し俺は体勢を崩し落下する。
「えっ？」
お前達！？
落下する俺を蛇塚が腕を掴む。
更に蛇塚の腕をバサラが掴み宙吊りになる。
「馬鹿野郎！お前達まで落ちてしまうぞ？俺は自分の事は自分で何とかする！離せ！」
そんな俺に、
「ざけるなぁ！お前を見殺しにしたら…仲間を見捨てたら…俺は俺自身を許せねぇんだ！お前は黙って助けられやがれってんだ！」
な…仲間だと？
仲間なんて…俺には…俺には…必要ない…
俺は一人で…
「！！」
その時、俺は感じた。
俺の手を通して蛇塚の…バサラの…温もりが…？
熱い何かが伝わって来たのだ！？
胸が締め付けられ熱くなる感覚が俺の中を駆け巡る？
何だ…！？
この気持ちは？？
何なんだ？
以前にも…こんな？
こんな気持ちになった事がある。
そう…まるで…
まるで、小角と晴明と一緒に旅をしている時に感じた…温もりに…
「仲間なんて…」
必要…な………ぃ
俺が我に返ると、
「あっ……」
「どうやら…」
「……？」
「三人は無理みたいだったな？」
「ヤバい！！」
バサラが掴んでいた床が崩れ、二人が体勢を崩したのだ。
「馬鹿やろー！助けるんじゃなかったのかよぉー？？」
二人に感じた温もりが何なのか確かめる間もなく…
俺達は…
崩れゆく床底へと落下して行くのだった。
う～ん？どれくらい経ったのだろうか？
俺達は暗闇に覆われた場所に倒れていたのだ。
「う…う～ん…」
「起きたか？」
俺は暗闇の中で蛇塚の声に気付き、
「き…蛇塚か？ここは一体？暗くてまったく見えやしねぇ！」
「どうやら、地下牢獄みたいな所か？」
「地下牢？」
声を頼りにお互いの居場所を把握し、会話を続ける。
「四方八方行き止まりのようだぜ？壁なのか何なのか分からないが壊す事もどうする事も出来やしねぇよ」
「ところでバサラは？」
「俺ならいるぞ？」
「うわっ！」
俺は突然背後から聞こえたバサラの声に飛び退いたのだ。
「いたのかぁ？びっくりしたぁ！まったく気配…いや、存在感ないから気付かなかったぜ！」
「…失礼な奴だ」
「あ、俺もバサラさんがいるの忘れてた…」
「………！！」
ふっ…
「あははははは！」
つい、俺達は状況を忘れて吹き出してしまった。
「それにしても大分落下したと思ったが俺達よく生きてられたな？」
「よくは解らないが奴達は俺達を殺すつもりはでなかったみたいだな…」
確かにバサラの言う通り、殺そうと思えば殺されていたかもしれない。
「俺達をこんな場所に閉じ込め、どうするつもりなんだ？」
「分からねぇ…とにかく脱出する方法を考えないと先がみえねぇぜ！」
「まぁ、慌てても拉致があかねぇよな？それより俺は…」
俺はバサラのいる方に視線を向けて言った。
「バサラ！何か理由があるのは解るが、お前の事！奴達の事！全部聞かせろよ！」
「…………」
「それは俺も知りたいっす！モヤモヤしたままじゃ…あの親玉みたいな奴と何か因縁があるんすか？」
「…………」
そしてバサラは覚悟を決めて口を開いたのだ。
「…奴は…俺の宿敵！俺が一度殺した…そう思っていた男。そして…俺を造りだした人物…俺は必ず…奴を殺すと…かつての仲間達に…兄弟達に誓った！」
次回予告
三蔵「どうやら次の話はバサラの過去らしいな？
正直、俺はバサラについて何も知らない以前に、ろくに話した事もないんだよな？
無口、影薄い、キャラ無し！出番無し！の無駄な登場人物かと思っていたぜ！マジに・・・」
バサラ「酷い言われようだな？三蔵？」
三蔵「うわあ！いたのか！？」
バサラ「・・・・・・」
三蔵「ん？どうした？突然無口になって？
何？次の話も宜しく？
そんなのは、自分の口で言いやがれ～！」
マジに不安だ・・・
