車遅国大乱戦!罠に掛かった三蔵一行!
三蔵と孫悟空、八戒に、新たに沙悟浄が加わり、三蔵一行が出揃う。
そして物語は車遅国編へと突入するのだった。
どーも沙悟浄です!
めでたく私も三蔵様の弟子になる事が出来ました~
これから、どうぞ宜しくお願い致します!
はい!では、今回のお話始まりますね?
私達は旅の途中、車遅国と呼ばれる国の近くまで来ていたのでした。
「ここか?車遅国と言う国は?」
「はい!間違いありません!」
「でもよ?車遅国と言えば、水不足で滅びかけていると聞いた事があるらよ?」
「あ、はい!確かに以前はそうだったらしいですよね?でも、お偉い三人の僧侶様が雨を降らしてこの車遅国を救ったらしいですよ!」
「人間が雨を降らしたのか?そんな事出来る奴がいるのか?」
「ええ…詳しくは分かりませんが、その三人の僧侶様方は今でもこの国の国師として働いていらっしゃると言う話です!」
「なぁ、三蔵?三蔵も雨を降らしたり出来るのか?」
「・・・」
「なぁ?」
しつこく三蔵様に言い寄る孫悟空兄貴に対して、
「うるさい!」
三蔵様は孫悟空兄貴の頭をこずいたのでした。
アハハ・・・
「馬鹿な猿ら・・・」
「イタタ…殴る事ないじゃんかよ!」
「もう一度殴られたいのか?」
「うっ!」
孫悟空兄貴が怒られているのを見て八戒兄貴と今後の教訓を学んだのでした。
「どうやら三蔵はんにも雨は降らせられないようらな?猿も馬鹿らな」
「触らぬ三蔵様に祟り無しって事ですね!」
「そうらな・・・」
ところで何故、この車遅国に我々が来たかと言うとですね?
「で、三蔵?どうしてこの国に立ち寄るのだ?」
「昔の恩人に頼まれてな・・・」
「恩人ですか?」
「うむ」
孫悟空兄貴と私が三蔵さまに話しかけている時、私達は感じたのです!
この国の中から異様な妖怪の気配を!?
「お前達!」
「妖怪退治だな?」
私達は妖気の気配がする方向へと向かったのです。
そこには国民達を襲う三匹の妖怪が暴れていたのでした。
「フフフ!」
「そこまでだぜ!俺様は・・・」
あれ?
孫悟空兄貴が名乗りをしようとした時、その場にいた三匹の妖怪達は一目散に逃げて行ったのでした。
「なんら?どういう事ら?奴達逃げて行ったらよ?」
「あ~!決め台詞くらい言わせろ~!」
追い付いた八戒兄貴も逃げて行った妖怪を見て戸惑っていました。
「何か釈然としない…」
「俺様達に恐れをなして逃げて行っただけじゃないのか?」
「そうですとも!」
「だと、良いが…何か引っ掛かる」
私達は何か嫌な予感がしていたのです。
まるで・・・
その時騒がしく桁ましい音を立てて、数人の人間達が向かって来たのです。
「!!」
「なっ?何だ!」
「おっ?おっ?」
「えええっ?」
私達の目の前には武装した車遅国の兵士達が囲むように現れたのでした。
「お前達か!ここで暴れている妖怪達と言うのは?」
「ちょっと待てよ!」
「なっ?猿が喋ったぞ!」
「見ろ!黒豚の妖怪もいる!それに…よく解らないが頭に皿を乗せた妖怪もいるぞ!」
「なっ!私は河童です!」
ううう…
この国では河童は知名度低いみたいです。
「貴様か?この妖怪達を操っている怪しい僧侶と言うのは!」
「・・・・・・」
「ここ数日、この国を騒がして暴れまくっていると噂の三匹の妖怪と、それを操る僧侶とはどうやらお前達のようだな!」
「待てよ!俺様達は今日初めてこの国に足を踏み入れたんだぜ!」
「知れた事か!妖怪の分際で!」
兵士達は聞く耳持たずに、私達を取り囲み捕らえにかかったのです。
兵士の一人が三蔵様を取り押さえようと掴みかかる。
あっ!三蔵様を怒らせたら~
しかし、三蔵様は無抵抗に簡単に取り押さえられたのでした。
三蔵様は取り押さえた兵士を睨むと、兵士は一瞬怯んだ後、直ぐ様大声をあげて怒鳴ったのでした。
「何だ!この目つきの悪い奴は!こっ!この妖怪使いが!」
兵士は持っていた棒で、三蔵様の頭を殴ったのです!
額から血が流れる三蔵様・・・
「三蔵お師匠様!」
そう言えば・・・
いつもなら、直ぐに飛び出す孫悟空兄貴は?
振り返ると孫悟空兄貴も八戒兄貴も、無抵抗に人間達の兵士に取り押さえられているではありませんか?
一体全体どういう事ですか?
兄貴達なら例え多人数の兵士相手でも、人間相手じゃ訳ないはずなのに?
一体…何故?
どうして??
「皆さんどうしちゃったのですか?」
すると孫悟空兄貴が私に耳打ちしたのです。
「馬鹿か?気付かないのか?」
「えっ?」
「見るらよ!三蔵の旦那の背中…」
私が三蔵様を見ると・・・
「見ろよ?背中から怒りの蒸気が出てらぁ…」
「あっ!…確かに!でも、どうして怒らないのですか?」
「タイミングが良すぎるとは思わないか?」
「はい?」
「何者かが俺様達を人間達に捕らえさせるために、あの妖怪達を使ったんだよ!」
「つまり、オラ達は罠にかかったんらよ!」
「じゃあ、三蔵お師匠様は?」
「黒幕を突き止めてから…一気に暴れるつもりだろうな…」
「さすが孫悟空兄貴に八戒兄貴!三蔵様の事は何でも承知しているのですね!」
「付き合い長いからな…それより…」
「ああ…あの三蔵の旦那の血走った目…」
三蔵様の背中越しからでも解りました。
今にも爆発しそうな怒りが伝わって来るのが・・・
こ…怖いです。
孫悟空兄貴も八戒兄貴も震えていました。
『血の雨が降る…』
そして私達は無抵抗に兵士達に連行される事にしたのです。
「ボソッ…とにかく俺様達は三蔵が動くまで黙って付いて行こう!」
「ボソッ…了解」
「黙って着いてこい!」
私達は兵士に言われるがまま付いて行く。
そこは王室の広間?
広間には武装した人間の兵士達と、偉そうな服装の人達に、そして中央に座る国王らしき人物。
私達は縛られたまま中央に座らせられたのです。
そして国王が私達に話し掛けて来たのでした。
「私がこの車遅国の王だ!お前達がこの国を騒がす三匹の妖怪達と、それを操る僧侶なのか?」
国王の問い掛けに三蔵様が答えたのです。
「この国の国王よ!悪いが騒がしている妖怪達と俺達とは無関係だ!俺達をよく見ろ!どうみても善人だろう?」
その三蔵様の台詞に・・・
周りは凍りついた。
どの口が言う?
「悪いが三蔵…説得力ないぞ?」
「ゴホン…」
孫悟空兄貴の言葉に三蔵様も返す言葉がなかったみたいです。
「して、お前達が違うと言うのであれば妖怪達は何処にいると言うのだ?その証拠はあるのか?」
「証拠?俺達以外に妖怪がいれば信じてくれるのか?」
「ん?そんな者が本当にいれば信じてやっても良いぞ!だが、この国に妖怪なんかいる訳がないがな?ホホホホ…」
すると三蔵様は静かに腕を上げ、
「?」
指差したのでした。
目の前にいる者達を?
それは国王の傍で偉そうにしている三人の国師でした。
「そこにいるのが妖怪だろ?」
「なっ?馬鹿を言うな!この者達が妖怪とは世迷い言を!ここにおられる三人の国師達はこの車遅国が雨が降らずに滅びかけていた所を、奇跡的な力で雨を降らせ助けて下さったお偉い僧侶様方なのだぞ!そして今もなお、この国で私を支える国師として支えて下さっているのだ!お前のような得体のしれぬ田舎僧侶とは訳が違う!無礼者!」
「どうやら…」
「術にかけられてるみたいらな?」
孫悟空兄貴と八戒兄貴も敵の存在を把握したのでした。
そうです・・・
私達には、その三人の国師がどう見ても羊に、虎に、鹿の頭をした妖怪にしか見えなかったのでした。
しかし、この国の者達には彼等が人間に見えている様子。
「どうやら何を言っても無駄のようだな?」
「やはり貴様も悪徳僧侶だな?ならばお前達に相応しい罪を与えてくれよう!」
黒王の言葉に孫悟空兄貴は思わず笑っていました。
「悪徳僧侶…その言葉は間違ってはいないかも…ウキキ!」
どうやら、この国では旅をしている僧侶を捕まえては牢獄に入れ、死ぬまで働かせるか、即刻死刑にしているようです。
「決まりだな?お前達は…」
「ん??」
その時です!
突然私達の座っていた床の底が抜けて、私達は開いた穴の中に落下してしまったのです。
「うわあああああ!」
それから・・・
《ザッパァ~ン!!》
「うわああ!」
「おおおお!」
孫悟空兄貴と八戒兄貴は、水が溜まる湖の中に落ちたのです。
「おい!三蔵は?」
「解らないら!落下している時に逸れたみたいらな!」
「どうなってるんだよ!」
「まさか、城の地下にこんな湖があるなんて思ってもみなかったらよ?」
「てかよ?この湖…何かしょっぱくないか?」
「あん?海じゃあるまいし!湖つうったら水…ん?本当ら!」
「これって…海水か?」
「そんな馬鹿な!ありえんらよ?こんな城の真下にらか?」
《スゥーースゥー》
二人が立ち泳ぎしながら話している時、何かが静かに近付いて来ていたのです。
《ジャンジャン!ジャラジャラ!》
それは、背鰭を湖の上に突き出して二人に迫って来ました。
「ん?」
《ざぁばぁあああ!!》
「さ?鮫ぇ~??」
「うぎゃああああ!」
突如二人に襲い掛かったのは、巨大な人食い鮫だったのです!
湖の中を慌てながら泳ぎ、逃げ回る二人!
「なっ?なっ?何で湖に鮫なんかいるんだよ!」
「知らないらよ!やはり、この湖は海水らよ!」
《ざぁばぁあああ!》
「うぎゃああああ!」
鮫が二人に襲い掛かり、死に物狂いで逃げ回る二人!
行ったり来たりして逃げ回る。
「クソ!何かムカついて来たぞ!」
「どうするらか?」
「『猿』と『鮫』どっちが強いか白黒つけてやるぜ!」
「いや…普通に考えて鮫らろ?」
孫悟空兄貴は引き返すように鮫に向かって行ったのです!
取っ組み合う猿と鮫!
有り得ない光景だ・・・
「常識で物を考えやがぁれぇ~!猿と鮫じゃあ、猿のが強いんだぁよー!」
孫悟空兄貴の突き上げたアッパーが、人食い鮫の顎にヒットしたでした。
「お前の常識…少しおかしいらよ…まぁ、良いらが…」
そして・・・
気絶した人食い鮫が湖に浮かんでいるのでした。
「へへへ…思い知ったか!鮫野郎!」
「ご苦労様…それより…周りを見るらよ?」
「あん?」
その時・・・
さすがの孫悟空兄貴も、血の気が引いたらしいです。
孫悟空兄貴と八戒兄貴の周りには、巨大な人食い鮫が何十匹も囲んでいたのだから。
「猿と鮫は猿のが強いんらよな?何とかするらよ!」
「…………」
沈黙の後、
「こりゃたまらん!死ぬまで逃げろぉ~!」
鮫が口を広げ追いかけて来て・・・!
二人はただ、逃げ回るしかなかったのでした。
続く・・・
次回予告
孫悟空「何かとんでもなく大ピンチじゃねえかよ!」
八戒「オラ達はまだ良いらよ!次話はキレモードの三蔵の旦那と河童の奴が二人の話みたいらぞ?」
孫悟空「なに?あの二人で話が展開するのか?」
八戒「心配ら・・・」




