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聖輪奇聞・転生記!~神を導きし救世主~  作者: 河童王子
神を導きし救世主!
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蘇れ不動明王との友情?オン・ガルダヤ(ギャロダヤ)・ソワカ!

激闘の末、不死身のカミシニであったデッドマンを倒したスサノオ!しかし戦いは終わらない。東京タワーの頂上では、カミシニのリーダーであるアライヴと神を導きし救世主ヤマトタケルが対峙していたのだ。


東京タワーの上空には今、幾度とスサノオ達を助けた『光の主』が、カミシニのリーダーであるアライヴの前に姿を現していた。

しかもアライヴは光の主に対して『神を導く救世主ヤマトタケル』と呼んだのだ。



「……」


「フフフ…ようやく現れた…ようやく!」


「カミシニよ!お前達は何故このような無駄な殺生を行うのだ?」


「それはですね?」


するとアライヴはこの血の雨の計画の真の目的を告げたのだ。



「君を殺すためだよ!

赤い雨も、神狩りも、君が現れるための舞台を整えたに過ぎませんよ?

だって、君は…世界の終末にしか現れないのですからね?

私の目的は世界の終末…世界を混沌に戻す事!

そのためには、この世界を救うと言われている『救世主』なんてのは邪魔なんですよ…

たとえ君にそれだけの力がなかったとしても、君の存在が『未来』への『希望』になっているのです!希望も未来も必要ない!必要なのは…

神も人間も関係なく!全ての生きる者に平等なる死と永遠の無!

そして君はまんまと誘い寄せられた…ふふふ」



今、明かされたカミシニ達の計画の真相。

それは世界の終末に現れると言い伝えられた救世主の抹殺だった。



「お前の目的が私の命だけならまだしも…関係ない神や人間達に災いを呼ぶ事は絶対に許さない!」


ヤマトタケルは白いマントを広げると鞘から剣を抜く。

しかもその剣は?スサノオの持つ霊剣と同質のものであった。


『草薙の白剣』




ヤマトタケルはその剣を手にアライヴに攻撃を仕掛ける。

降り下ろされた斬撃が白き閃光を放ちアライヴに迫る。


「ほぉ~面白い事もありますね?」


軽快にヤマトタケルの刃を躱すアライヴは、



「救世主である貴方からは私と同じカミシニの力を感じますね?」


「おかしいかい?毒は毒を持って制するのが!」


「なら、私も救世主殿に対して本気を出さないのも失礼でしょう…」




すると今度はアライヴが自らの手首を切り血を流すと、腕を挙げて己の身体に浴びたのだ?

血は黒く変色し形を成していく?

するとその黒き血はアライヴの背に悪魔のような翼を持たせ、さらにその手には…



「かつて、私の友を…かつての救世主を貫いた聖なる槍!ロンギヌスの槍!」



アライヴはロンギヌスの槍を構えると、向かって来たヤマトタケルと激突したのだ。

その衝突は閃光となって東京タワーを輝かす。



その閃光を見上げて見た人間達は?

一人一人と気を失って倒れていったのである。

神々の神圧に耐えられなかったのであろう。


それは地上で戦っていたヤオヨローズとカミシニの残党も同様であった。



「クッ!何てふざけた神圧だ!」



そこには安部晴明が東京タワーを見上げて神々の戦いを見ていた。



安部晴明率いる東京に集まりし数千の陰陽師達は、東京にいる数千万の人間達を特別な術を使って意識を失わせ、『東京』から移動させていたのである。カミシニとヤオヨローズの戦いに巻き込ませないようにするためだ。



「これが神々の戦いなのか?空が…大地が震えている…」



さらに、場所が変わり…




代々木公園…


こちらはウズメのライヴが最高潮に達していた。


こちらも既に失神者続出!


(ウズメの歌で力を吸い取られてるからなのだが…)



とにかく、この最終的な局面に…この地には何十…何百にも結解が張られていた。万が一赤い雨が降った時に僅かでも、赤い雨の脅威から人間達を守るためである。その結解の中心にて膨大な霊気を使い1人で結解を張っている者がいた。現存する人間達の中で最も力があり、現在カミシニの転生と輪廻と戦う四人の明王を使役する男達が従いし裏世界のリーダー『座主』であった。

座主の身体から凄まじい力が代々木明治神宮の地下より放たれていたのだ。



「空を見ろ!大徳」


「ふむ。我々も動くか?」


「いや!この場を離れるのは得策ではない。あの者達に…ヤオヨローズの者達に託すしか…」



三千院と大徳と呼ばれる僧は空を眺め、神々の戦いを見守る。

動きたくても動けなかったのだ。目の前にいる転生と輪廻の力が底知れぬ程の力を秘めていたからであった。この二人を東京タワーの戦場に戻してしまったら、全てが無駄になる!

二人をこの場に足止めする事も、彼等の作戦の一つだったのだ。






さらに、場所は変わる。

ここは東京タワーの展望台。

そこには傷ついたクシナダがマスタークラスのカミシニ達と戦っていた。



「退きなさい!」


クシナダの鞭がマスタークラスのカミシニ達に打ち放たれる。


『血の舞い・炎薔薇!』



カミシニ達の身体がクシナダの鞭の攻撃で裂かれていく。



「さ…三蔵さん…今、行きます!」



クシナダはタワーの展望台に辿り着くと、倒れていた三蔵を見つけて直ぐさま駆け寄る。


「!!」



既に三蔵は虫の息であった。

身体中から大量の血を流し、その身体からは生気が全く感じられなかったのだ。

三蔵は生きているのか?


それとも…



「私は…ど…どうしたら?このままでは三蔵様が助からないわ!」



その時!?



「何!?」


そこに炎に包まれた二つの玉がクシナダに向かって飛んで来たのだ。


「あれは何?」



クシナダが身構えると炎の玉は三蔵の真上に止まる。

そして、その姿が変わっていく??

驚くクシナダの前で光の玉は炎に包まれた神の姿になったのだ!

そして、その一つが三蔵の身体の中に入っていったのである。


「なっ!三蔵さん!」



すると残った炎の神がクシナダを止める。



『心配しなくても良い…クシナダよ。今から我々は三蔵と不動明王を呼び覚ます!お前は黙って見ていれば良い』


「三蔵さんと不動明王を呼び覚ます?貴方達は一体?」


『我々はある者から三蔵を任され託された。三蔵は我らの命に変えても必ず助ける。それまで待つのだ!それにお前にもやるべき事があるのだからな』


「やるべき…事?私にですか?」




その時、背後から倒れた三蔵とクシナダに向かって何者かが近寄って来たのだ?

その者は見た目は紳士的な中年風の白衣を着た白髪のカミシニであった。

だが、その身体から発せられる気は並みのカミシニではなかった。



「神の力を感じて来て見れば、どうやらお客さんのようですね?アライヴ様に留守を任されているので少々手荒になりますが、休んでいて貰いますよ?」



その者はカミシニ博士の一人であり、錬金術師パラケルススであった。


「パラケルスス!邪魔はさせないわ!お願い退いて?」


「残念ですがそうもいきません」


「仕方ないわ!」




クシナダのカミシニの鞭がパラケルススに向かって振り払われる。

が、発砲音が聞こえたかと思うとクシナダの鞭が弾け飛んだ。


「!!」


パラケルススの両手には二丁拳銃が握られていたのだ。

パラケルススはカミシニの血を拳銃に代えて、その血を凄まじき威力で撃ち放つのだ。



「出来れば傷を負わせたくない。黙って投降しなさい。ブラッドさん!」


「私も退く訳にはいかない!それに私はもうブラッドじゃないわ!クシナダよ!」



二人は間合いを取りながら動けずにいた。

その時!三蔵の身体が炎に包まれて輝いたのだ!!



「何?」


「これは?」



三蔵の身に何が起きたのか?



ここは三蔵の意識の中…



(なんだ?…俺は死んだのか?…もう痛みすら感じねぇ…身体が…まるで風船のようだ…?

幽体離脱?そうかぁ…これは魂が抜けた時の…昔…不動明王と契約した時と同じ感覚だ…)




三蔵は己の魂の中にある精神世界にいた。

すると自分を呼ぶ声が聞こえる?



『三蔵!もう諦めたのか?』



(誰だ!!諦めたかって?俺は死んだんじゃないのか?)


『お前は…まだ生きている。ただし、蜘蛛の糸一本で繋がれているような命だがな…』


(俺はまだ生き返られるのか?)


『お前次第だ!どうしたい?』


(もちろん!足掻いてでも生き返ってやる!そして…)


『そして?』


(クレープ食べて、タバコいっぷくしてやるぜ!)



見えないが声の主がずっこけたのが分かった。


『やはり、このまま死ぬか?』


(冗談だ…真に受けるなよ?軽いジョークだよ)



気を取り直す神は言った。



『で、改めてどうしたいのだ?』



(当然!戦うさ!そんでカミシニの陰謀を打ち砕く!俺にここまでやってくれたんだ!殴って倍返す!)


『ふっ…やはり似ているな?お前は…』


(はっ?誰にだよ?)




謎の神の脳裏に、昔の友の姿が浮かんだ。


その姿は…


スサノオの記憶に現れた金色の猿の少年であった。


一体、その少年は何者なのか?




と、その話はさて置き



(で、どうしたら俺は生き返る事が出来るんだ?)


『その前に、先ずはお前の相棒を蘇らせなければなるまい?』


(相棒?)


『そう…不動明王を!』


「!!」


そして三蔵は謎の神に導かれ精神世界の奥深くへと潜っていったのだ。

精神世界の中では過去の記憶が、まるで映像のように流れていた。

過去の経験を思い出していく三蔵は胸が締まる。


(俺は…そうだったな…例え俺の今までの人生が生き地獄だと言われようが、俺は決して生きる事を諦めたりはしねぇよ…)




すると精神世界の一番深く暗い中心に、胸を斬引き裂かれた不動明王が浮いていた。

その身体はまるで石像のようであった。

まだ生きているのか?

あの不動明王の象徴でもある炎が完全に消えていたのだ。


(そうだった!!)


不動明王は俺がアライヴに斬り裂かれる瞬間に、三蔵の中から抜け出して盾になったのだ。

飛び出した不動明王はアライヴの剣に斬り裂かれ、その斬撃は後ろにいた三蔵の身体をも斬り裂いたのだ。僅かに致命傷を反らす程度に!

だが、そのお陰で三蔵は蜘蛛の糸程の生き返る可能性が残ったのだ。



(不動明王よ…お前は俺のために…)



その時、三蔵の意識の中に穴が現れ不動明王の身体を吸い込み始めたのである。


(ありゃ何だ!?)



『あれは、死者を吸い込む、死の世界…冥界への穴!一度落ちたら二度と決して抜け出せないぞ!』


(何だってぇ~!)



三蔵は慌てて飛び出すと、穴に吸い込まれて行く不動明王に向かって手を伸ばしガッシリと握って掴まえたのだ。


(不動明王!戻れー!)



不動明王はピクリとも動かなかった。

三蔵は霊気を不動明王に流し込みながら、



(不動明王!死ぬんじゃねぇぞ!こんな状況で不動とか笑えねぇぞ??テメェに恩を受けたまま死なせる訳にはいかねぇ!生きろ!生きて再び俺と共に戦おうぜ!)



そして三蔵は叫んだのだ。



「起きやがぁれー!!そして俺と共に生きろ!我が友よぉーー!!」




その時、冷たかった不動明王の手が微かに熱くなっていく事に気付いた。


(!!)


『全く…神である我を友と抜かすか?人の身の分際で?この小わっぱが!全く相変わらずだな?』


(不動明王?)



それはかつて契約時に聞いた事のある上から口調の不動明王の声であった。

まぁ、神だから上から口調なのだが、少しムカつく。



『本当にこの三蔵と言う人間は不思議な男だ。この神である私がお前の言葉に心揺さぶられるとはな?ふふふ…良かろう!友に戦おう!三蔵よ!我が友よ!』



その瞬間!

三蔵と不動明王の繋がれた手が輝き始めたのだ??

その奇跡の一部始終を傍で見ていた謎の声の主の姿が変化する。

その姿は燃え盛る炎の翼を持った怪鳥であった?



『お前達の奇跡!とくと見届けたぞ!私もまたお前達と共に戦おう!』



すると怪鳥は真言を唱えたのだ。



『オン・ガルダヤ(ギャロダヤ)・ソワカ』




その瞬間、怪鳥の炎が三蔵と不動明王を包み込み、その中で二人は再び一つになった。


いや、この力は?

俺の身体が金色に光り輝いたのだ!

しかも傷付いた身体が塞ぎ癒えていく?


突然、動かなかった三蔵の身体が光り輝いたのだ。


「これは?」


クシナダだけでなく戦っていたパラケルススも、俺の変化に戦いを止め立ち止まる。


『蘇るぞ!』



直後!三蔵の身体から再び炎が噴き出し燃え上がったのだ!

展望台のガラスが割れて炎が外に噴き出す。



「きゃああ!」


クシナダは突然巻き起こった炎を受け流し凌ぐ。

そして炎の中心で、炎を纏い再び立ち上がった俺を見て、



「本当に…さ…三蔵さんなの?」



クシナダは俺に起きた変化に驚く。


何故なら今の俺は・・・


次回予告


三蔵「ようやく主人公である俺の復活のようだな?


次回は燃え上がるぜぇーーーーいい!」


ナウマク・サマンダ・バザラ・ダン・カン!


俺の新境地を見せてやるぜ!!」

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