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聖輪奇聞・転生記!~神を導きし救世主~  作者: 河童王子
転生記~始まりの伝説編~
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はい!私が沙悟浄なのですよ~

八戒と謎の僧侶の手助けで黄眉大王の罠から抜け出せた三蔵と孫悟空、


再び物語が進むと思いきや??


これは昔昔の物語。

知っている方も知らない方にも断片的に伝わる物語・・・

なのですよ~!



何処からともなく声が聞こえる?

まったくもって、聞き覚えのない声です?



《お前は…ここにいてはいけない…今こそ…今こそ…》


ムクッ・・・

私は聞き覚えのない声にうなされつつ目を覚ましたのでした。



「うにゃ~!またこの夢ですか~!?毎朝毎朝同じ夢を見てばかりですよ~!何なんですか?この夢は?もしかして何かの病気ですか?何て病気?同じ夢繰り返し病?そんな病気あるか~!まったくもって安眠妨害!全然寝た気がしないですよ~!」


私は夢にツッコミを入れつつ、寝所から出て外に出たのです。

空は晴天で気持ち良い風が吹いていました。


「はぁ~気持ち良い朝ですねぇ~(あんな夢さえ見なければですが・・・)

とりあえず気持ちをリセットしましょうかね~」



私は毎朝の日課である水汲みに出掛ける事にしたのです。


あっ・・・すみません!


挨拶がまだでしたよね?

私の名前は『沙悟浄』

この日本国の田舎村に住む河童と呼ばれる妖怪です!


ちなみに河童とは水辺に住む水精。

特長的には緑色の肌、頭の上に皿を乗せています。

他にも口にはクチバシ、手の平に水掻き、亀の甲羅のような物をしょっていたりしますよ。


以上!河童講座でした。



私が暫く歩くと何処からか声が聞こえてきました。

どうやら河童の童達が集まって遊んでいるみたいですね・・・


「おい!またアイツが来てるぜ?」

「はっきり言ってムカつくよな!理由解らないけど、なんかムカつく!」

「よし!じゃあ、石をぶつけようぜ!」



会話の流れからイジメでしょうか?

私はイジメは嫌いです。

イジメの中からは何も生まれない・・・

イジメは社会が産んだ汚れそのものです!


同じ河童として軽蔑しますよ!本当に。



《コツン!》


ん?

頭に違和感が…?

私は自分の頭に手を乗せると、何と額から何か生暖かい液体がだらだらと?


『ウギャア~!』


血が流れてるやん!!

そうさ!そうですとも!実は私がイジメられているのです。


だけど・・・だけど・・・


「うぎゃあ!お前らぁ~何すんだ!皿に当たったらどうすんのやぁ~!?」


が、更にエスカレートして石が飛んでくる。



「うきゃあ~!ごめんなさ~い!」



たまらなくなって、私は頭を抱えてその場から逃げ去ったのでした。


あわわ・・・


私は川で出血した皿を洗いながら愚痴りまくっていました。


「くそ!くそ!アイツらぁ~!!毎日毎日私をイジメやがってぇ~!私が何をしたって言うんですか?私は・・・私は・・・いつか・・・いつか見返してやるからな・・・」


が、直ぐに私は落ち込んだのでした。


実は私は孤児河童で、両親ともにいなく、村から外れた場所で一人で生活しているのです。


私は深い溜め息をつくと、例の夢の言葉が頭を過ぎったのでした。



『今こそ・・・旅に出るのです・・・』



「旅か・・・」


私が川から戻って来るなり私は呆然としてしまいました。

嘘?嘘でしょ?

だって、そこにあるはずの私の家が壊されていたから。



「あ…アハハ…ハハハ…な…何?何これ?嘘?嘘でしょう?アイツら…ここまでやるか普通?ありえないでしょう?…あああ…怒りが込み上げる…あわわ!この温厚な私も堪忍袋の尾が切れたぞぉ!許さないですよ!」



私は怒り形相で村河童達のいる里に走って行ったのでした。

私は自分の生い立ちから里から離れて暮らしているため、滅多に河童の里に行く事はないのですが・・・

今回ばかりは仕方ないですよね?

しかし私が里に着くと、何か様子がおかしい事に気付いたのです。


誰もいない・・・?


あれ?

どういう事なんでしょう?


その理由は直ぐに解りました。

里は至る所で私の家と同じく燃やされていたのです。

しかも何匹もの河童達が血だらけで倒れていたのでした。


「なんじゃこりゃ!一体全体どうなっとんのじゃ!?」


私は野生の勘で気付いたのです。

直ぐにこの危険場所から逃げ出さなければと・・・


が、出来なかったのでした。


自分の何かが逃げさせてくれなかったのです。

だって、仕方ないじゃないですかぁ?


子河童の怯える泣き声が聞こえて来ちゃったのだから・・・


私は恐る恐る声の聞こえる方向へと向かったのでした。


「あっ!あれは!」


私は物影に隠れて覗き込むと、そこでは子河童が何者かに首を掴まれ持ち上げられていたのです。


その近くには、さっき私に石を投げつけた子河童達も泣きながら怯えていたのでした。

そう。

そいつは日本では河童と同じく有名な妖怪!


『天狗』


ちなみに天狗とは長い鼻と赤い顔が特長な妖怪で、多種な妖術や神通力を巧みに扱うのです。

だから妖怪の山伏と言われたりしますね。


「ありゃ!天狗じゃないか!天狗の奴が村を襲ってるのか?たっけ・・・!」


・・・いや、待てよ!

これはきっと奴ら達への天罰なんだ!


これで少しは私の痛みも解るさ・・・


私は自分自身に言い聞かせたのです。


「ガッハハ!弱い弱い!河童なぞ、儂にかかればこの程度のもんよ!」


「くそ…親河童のいない間に来たくせに!」


「おぃ!お前?何か言ったか?」



天狗の奴は生意気の事を言った子河童を蹴り飛ばしたのです。


「お前達河童なぞ、儂と同じ日本の象徴妖怪として扱われているのも汚らしいわ!」


つまり・・・

あの天狗・・・

ただの言い掛かりじゃないか!


すると天狗が抱えていた子河童が突然泣き出したのです。


「じゃかあしい!」


天狗は泣きわめく子河童を掴み上げて、何と岩に向けて投げ飛ばしたのです。


「あっ!!」

『グシャア!』


子河童が岩に叩きつけられ、ぐしゃぐしゃに潰れる音がした。

他の河童達は悲惨な状況に目をふせる。

岩には子河童の悲惨な姿と、飛び散った血が・・・



なかった・・・?

あれ?

子河童もいない?


その事に天狗はもちろん捕まっている河童達も気付き、ざわめき始めた。


「あそこだ!」


「あっ、馬鹿!ばらしちゃダメでしょ!」


捕まっている河童達が指差した方向には、投げられた子河童を抱えてこの場から離れようとしている私がいたのでした。


「このまま逃げるつもりだったのに~」



そうですとも・・・

岩に投げつけられた子河童を、直前で私が飛び出して助けたのでした。


岩には無惨に潰れた・・・

スイカが一つ?


後で食べようと思っていたのに・・・


ちょっとした変わり身の術です。


しかし本当に勿体ない事をしました。


はぁ・・・



「なんだ?貴様は!せっかくの残虐ショーをぶち壊しておいて、ただですむと思っているのか?あぁ!」


「あわわ!」



私のもとに邪魔をされてムカついた天狗が近付いて来たのです。

私は身の丈、自分の三倍近くある天狗に足が震える。


「なんだ?貴様は!」


「わっ・・・私か?私は河童だ!」


「見れば解るわ!この落し前、分かっているんだろうな?」


「出来れば、分かりたくないです…見逃してくれたら幸いかと…アハハ…」


「どうやら、ただの馬鹿らしいな?ひとおもいに始末してやるよ!」



天狗は私に向かって殴り掛かって来たのです。

私は、咄嗟に抱いていた子河童を少しでも安全な場所へと放り投げ…


《ゴチン》


あれ?今何か変な音が・・・?


それよりも、私に天狗の拳が迫っていたのです。


「なんちゃって!」


しかし、天狗の拳が私に当たる事はなかったのです。


「なんじゃこりゃあ?」


天狗の奴は何度も私に殴りかかるが、やはり当たらない?


つるん!つるん!つるん!


「ナハハ馬鹿め!私が何も考えもなしに出て来たと思いますか?」


「どうなってるんじゃい?」


いくらやっても当たらない天狗の攻撃に、次第に余裕を見せ始める私。


私が天狗の攻撃をかわす姿が周りからは、とてもかっこよく、勇ましく見えるでしょう!


次第に相手を小ばかにするように避ける私・・・


「・・・ん?これは・・・?」


天狗は自分の手がベトベトしている事に気付いたのだ。


これは・・・油?


「・・・・・・」


そうなのです。

私は自分の身体を油だらけにしていたお陰で、天狗の攻撃は滑って私に当たらなかったのでした。


「どうだ!参ったか?降参するなら尻尾を巻いて逃げ出すのです!ハハハハ!」



だが、私は気付いていなかったのでした。


天狗が私の細工に気付いている事に・・・


直後、天狗は私に向かって口から火を吐いたのです!


「えっ?」


『あちゃー!!』


私の身体は、油で塗れていた分一気に燃え出したのでした。



『あぎゃ!あぎゃ!あぎゃ!』


私は逃げるように近くにあった川へと飛び込んだのでした。


「ぜぇ!ぜぇ!死ぬかと思った!」


だが、安心したのもつかの間、私が川に飛び込み油断した背後に天狗が現れたのです。


「きゃあ~!」


天狗は私の胸元を持ち上げ首を絞めたのです。


「くっ・・・苦しい!」


「このまま絞め殺してやるわぁ!」


「ぐっ・・・ぐわぁ~!苦しい・・・苦しい・・・助け・・・」


その時、私のもう一つの切り札である必殺技が炸裂したのです。


「お皿手裏剣!」


私の頭の皿が強烈な光りを放ち、天狗の目を眩ませる。

この術は私の頭の皿に妖気を集める事で輝かせるだけなのですが効果抜群でした。


「うぐわぁ!何だ?眩しい!」


私は慌てて天狗の緩んだ手から、逃げ出したのです。


「ま・・・待て!逃がすかぁ!」


すると天狗の掌に妖気が集中していく・・・一体何を?


「キェーー!」


掛け声とともに妖気弾が私目掛けて放たれたのです!

私が隠れようとした岩が砕け散り、私は逃げ場を失ったのでした。


・・・うっ・・・嘘?


「ま・・・マジっすか?・・・じょじょじょ冗談じゃないぞ!あんなの直撃したら怪我じゃすまないじゃん!」


「河童、死ねぇ!死ねぇ!」


さらに天狗から妖気弾が飛んで来る!

しかし、運の良い事に天狗は私の皿手裏剣の効果で、まだ目が完全に開いていなかったのです。


妖気弾は四方八方に放たれていく・・・

このまま逃げられる?

そう思った時、一つの妖気弾が、さっき私が放り投げた子河童の倒れている場所に向かっているじゃないですか?


て、何故倒れてるの?もしかして投げた場所に岩があって頭打つかってたの?

あれま!ごめんなさい・・・


「危ない!」


私は咄嗟に妖気弾に飛び込み立ち止まると、その場で足を踏ん張ったのです。


「しなばもろともよ!」


その瞬間私は天狗の妖気弾を支える姿勢を取り構えたのです。


妖気弾は私の身体を直撃せずに、ぬるぬるする私の身体を滑るように軌道をかえて行く・・・



『秘技・他力本丸!』



解説しましょう!


必技・他力本丸とは相手の妖気弾の軌道を変えて、放った相手にそのまま返す


カウンターの技!


つまり、自分の力は使わないで勝つ。

まさに他力本願な技なのです。


打ち返した妖気弾は見事に天狗の顎に直撃したのでした。


天狗はたまらず頭を抑えながら、何処かへと飛んで逃げ去って行ったのでした。


「覚えてろよ~!」


「わ・・・忘れさせてください・・・」



ザワザワ・・・

そこに親河童達が戻って来たのでした。

もしかして私は村を守った英雄ですか?


イジメられっ子から一気に英雄ですか?


エヘヘ


「なんだ?これは!村が目茶苦茶じゃないか!一体何があったのだ?」


「それが・・・」


ふふふ・・・


「アイツが目茶苦茶にしたんだよ!」


子河童達は親河童達の前で、私を指さしたのです。


「何?また沙悟浄の奴か!」


「ちょ、ちょっと?ちょっと?」


「待って、皆!」


そこに私が助けた子河童が間に入ってくれたのです。


「なんだ?どうしたんだ?何か言いたい事があるのか?」


「あわわ・・・君は私が助けた幼い河童君!大人の皆さんに本当の事を言ってあげてください~!」


「うん・・・あの沙悟浄が村をこんなにした上、僕の頭をこんな風にしたんだよ!痛いよ・・・」



泣きそうな顔で親河童達に怪我した場所を説明する子河童。


「そんなぁ~!」


「お前のような悪い河童は追放だぁ~!」







追伸


そして私は・・・旅に出たのです。


・・・追放なのでしょうか?


西へ西へ・・・


遥か異国の地へ・・・


これが、私に巻き起こる過酷な大冒険の始まりの序章だったのでした。



次回予告


沙悟浄「はい!初めまして!私、沙悟浄と言います。さてさて故郷の里を飛び出して新たな地へ!いざ出発なのですよ~!では、次の話なのですが~私が辿り着いた場所がなんと!はい!続きは次話でよろしくお願いしますです」

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