人間の助っ人??そいつら断トツにスゲー奴らだぜ!
三蔵とクシナダが捕らわれ、カミシニの大群に襲われるヤオヨローズの仲間達。
そして、一人仲間達へ力を送っていたウズメにも最強クラスのカミシニである転生と輪廻が迫っていたのだ。
俺は三蔵…
俺とクシナダはカミシニの連中に捕らわれ、しかもカミシニの血を体内に注入されてしまった。
スサノオ達は東京タワーの麓で、数万のカミシニの残党である大群に襲われ、
更にはヤオヨローズの仲間へ力を送るために、代々木公園にてライヴを行っていたウズメ…
その彼女の身にも、迫り来る脅威が迫っていたのだ。
それは…
「どうやら、あそこみたいね?」
「人間達が都会から離れ、この場所に集まっているみたいですね」
最強クラスのカミシニである転生と輪廻がウズメの身に迫ろうとしていた。
ウズメもまた、この二人の接近の気配に気付いていた。
しかし、この場を動けなかったのだ。
今、歌う事を止めたら仲間に力を送れない…
(私は…歌を止めない!)
ウズメの歌は仲間に力を送っているため、歌を中断すれば仲間達は力を急激に失い数で勝るカミシニ達と渡り合えないのだ。
そんなウズメの歌う代々木公園会場近くには既に偵察兼ねた前兵として、転生と輪廻より先にマスタークラスのカミシニが四人迫っていた。
しかし…
そのカミシニの前に立ち塞がる者達がいたのだ?
「あれがカミシニって連中ですか?」
「そのようだな…」
「フム。かつて西暦2000年の戦いの時に、我々人間に力を貸した二つの転生者がいた」
「それがカミシニとヤオヨローズと呼ばれる者達だと言う」
「じゃあ、仲間じゃないんですか?」
「だが、一方のカミシニ達は、その場にいた我々の同志であった人間達をも惨殺したのだ!」
「なるほどねぇ~。で、そのカミシニとヤオヨローズの戦いに俺達が助っ人に駆り出されたって訳なんですね?」
「そういう事だ。神の転生者であるヤオヨローズには、先代の座主様が大変世話になり借りがあるからな」
「ふむ。そのヤオヨローズが我々に助けを求めて来たのだ。我々も恩義を返すのが道理!」
その者達は僧の姿をした四人組の男達であった。
男達はウズメに近付いていたマスタークラスであるカミシニ達の行手を塞いでいたのだ。
「なんだ?人間達!人間の分際で俺達に何か用か?」
「邪魔なら狩れば良い事!」
「そうだな!」
四人のカミシニは、密教僧の男達に向かって襲い掛かる。
「フム。先ずは私が先に行こう」
その者は四人の僧の中でも大柄な男であった。
男は拳を握り気を籠めると男の背後から巨大な霊体の腕が現れ、カミシニ達に向かって霊圧の拳が放たれたのだ。
『明王の拳!』
三人のカミシニは上空に躱して拳を避けたが、一人は自らの血で出来た剣で、その神の拳を打ち消したのである。
「ナッ!神使いの人間か?」
「我々に神の力は効かぬぞ」
「上だ!」
が、別の仲間のカミシニが叫ぶ。
「ナッ?あ…」
その瞬間、そのカミシニは上空より落下して来た拳によって潰されたのだ。
『明王の鉄槌!』
人間の僧は…
「フム。神の力が効かぬのは知っている!だが、神の力を打ち消される前に攻撃を当てれば問題なかろう?」
上空に躱した三人のカミシニは、まさかの不意打ちに驚きつつも体勢を整える。
が、別の僧の男の背後から現れた神が巨大な弓と金色の矢を出現させていた。
『明王弓!』
その者は四人のリーダー格の男であった。
男の背後から出現した神が巨大な弓を構えていたのだ。
三本の矢が狙いを定め、弓がしなり、その力強さが伝わってくる。
そして男は上空に躱したカミシニに狙いを定めると一度に三本の矢を射る。
射られた三本の矢がカミシニに迫るとカミシニは矢に対して…
「そんなもん!カミシニの血の武器には通用せん!」
カミシニの能力は神の力を消し去るのだ。
カミシニ達が己の血で構成した剣で矢を打ち消そうとしたが、
「ナッ?」
矢のスピードが増し、幾重にも増えて無数の矢が上空の二人のカミシニ達を貫いたのだ。
何とか躱したカミシニに対しても無数の矢が追尾して射貫かれる。
「ウギィ…ぎゃあああああ!」
カミシニ達の身体は浄化の炎で消え去った。
まさに神業であった。
「三千院さん!やりましたね!」
まだ二十歳ちょいくらいの若い僧侶がリーダー格の男に駆け寄る。
「いや、まだだ!」
三千院と呼ばれる男が向いた先に、新たな刺客が迫っていたのだ。
その刺客はこの場には異様な姿をしていた。
ゴスロリ姿の娘と眼鏡をかけたタキシード姿の男。
カミシニの中でも上位格である転生と輪廻である。
ハイマスタークラスのカミシニ!
「あらやだ!マスタークラスが人間なんかにやられたわよ?」
「不甲斐ないですねぇ…しかし何者なんでしょう?」
「関係ないわ!私達の邪魔をする者は…ミナゴロシよ!」
二人は四人の僧に近付いて来る。
すると今度は転生と輪廻に対して、新たに二人の若い僧が前に出たのだ。
「よっしゃ!今度は俺が行くとしますかぁ~!」
若い僧は左手を右肩に起き右腕をグルグルと回す。
「……………」
もう一人の男は無言で前に出る。
「おや?二人だけですか?四人がかりでも構いませんですよ?」
余裕の転生に対し、無言の男は初めて口を開く
「必要ない」
「そうですか…私の名前は転生と言います。貴方の名は何と言うのですか?」
「…今から死ぬ者に、俺達の名など聞いても必要あるまい?」
その男は一人フードで顔を隠していた。
声や体型から二十歳ちょい?
男は両手を広げると二本の短剣(カタール…インドで用いられた短剣)が現れ手にすると同時に、転生に向かって飛び出し斬りかかる。
男の短剣が転生の顔面をとらえる!
「あらあら?挨拶前に節操のない方ですねぇ~本当…お手が早い!」
確かに男の短剣を突き出すスピードは尋常じゃなかった。両手から繰り出される連続攻撃が残像を残しつつ、転生に向かって突き出し斬り掛かる。
しかし転生は巧みな動きで躱していた。
「凄い…驚くべきスピードです…」
転生もまた手刀や蹴りを繰り出すが僧侶の男も巧みに躱していた。
男の突き出した短剣を転生は回転しながら躱し、そのまま回し蹴りを男に繰り出す。
僧侶の男もその蹴りを身体を低く下段に躱し、そのまま短剣を転生に突き出し返す。
転生はその短剣を紙一重で躱しながら男の顔と間近になった所で、
「貴方…不思議な瞳をしていますね?」
気付くと僧侶の男が被っていたローブが交戦最中に転生によって奪われていたのだ。
男は咄嗟にバック転しながら距離を取る。
「貴方…ただの人間じゃないですね?その動きは人間には無理…それにその瞳の色とは何か関係あるんですか?」
転生の言った通り…
驚くべきスピードで気付かなかったが、男の瞳の色は少し変わっていた…
右目が青?左目が緑?
左右の瞳の色が違っていたのである。
また、その男の髪は銀髪なのだ。
特質な容貌の男はその髪と瞳から、まるで妖精のような美しい若者であった。
すると若者の背後から血の刃が降り下ろされたのだ。
それは輪廻の大鎌!
「油断大敵よ!」
しかし、その血の刃はもう一人の僧侶の男によって止められたのである。
「へへへ!油断大敵て訳でもないぜ?バサラさんは俺を信じてくれてるんだからなぁ!」
男は輪廻の血の刃を素手で受け止めたのだ?
「嘘…私の血の刃を止めるなんて…神なら尚更だわ!神は私達の血ではその力は消え去るはず?人間だったらその身体は一秒もしないうちに腐り消滅するはずなのに!まさか、カミシニの力がある…って訳でもなさそうだけど…何故よ?どうしてよ?」
すると男の手から血が垂れる。
その瞬間!
強烈な力が輪廻を吹き飛ばしたのだ。
「きゃあああ!」
吹き飛んだ輪廻を受け止める転生。
「あれを見なさい…」
「えっ?」
そこには強烈な妖気の壁に包まれた男が立っていたのである。
「へへへ!俺の血が、どうやらお前達の血に刺激を受けて荒ぶってやがるようだな?」
男は少し苦しそうだが、その謎の力は更に強烈な妖気を放っていた?
その妖気は『とぐろを巻いた蛇』
男は更に説明する。
「俺の血もお前達の血と同様、神に嫌われているみたいでな?どうやらお前達の血とは反発しているようだ…俺の中の忌まわしい蛇神の血がなぁー!」
輪廻は転生から降りると転生の手の甲から血が流れている事に気付く。
「あんた…傷が再生してないみたいよ?」
「さっき銀髪の彼から受けた攻撃のようですね…」
転生は辺りを見る。
「どうやら、あれが原因のようですね…」
転生が見たのは先程大柄の僧侶によって潰されて死んだカミシニの死体であった。
カミシニの身体に傷を負わせるにはカミシニの血が効果的…
「あの銀髪の人間はどさくさ紛れに、あの死んだカミシニの死体の血を自分の武器に吸わせていたみたいです。それで私の身体に傷を負わせたのでしょう。すべて計算?あの人達戦い慣れているみたいです。油断出来ない相手のようですよ?輪廻!」
「人間のくせに!マジに何者なのよ?」
すると蛇神の妖気を纏う男が叫んだのである。
「人間様を舐めてかかると痛い目にあうぜ?お前達カミシニは俺がお仕置きしてやるぜぇ!この蛇塚軍斗様がなぁー!」
残りの三人の僧侶がテンション高い蛇塚に対して、やれやれと呆れた顔で見ていた。
そうさ…『明王』を…その身に宿した者達?
『四人の明王衆』
彼等がいる限り世の中の悪は全て滅殺するのだからな!
と、俺はまだこいつ達の事は知らないのだがな?
次回予告
三蔵「と、俺が出番なく大ピンチの時に新キャラ出しているんじゃねぇよ!
ん?今回登場の四人の僧は以前既に出ていただと?
はん?俺は知らねぇ~ぞ?
まあ・・・もう一度読み返すかな?
暫らく出番ないし暇だからな・・・」




