開戦!!走れ三蔵??
ヤオヨローズと三蔵!
ついにカミシニとの全面対決が始まろうとしていた。
・・・三蔵抜きで??
東京…
今日、この日本国にて…
かつてない神々の戦いが行われようとしていたのだ。
既に黒服のモノ達が、この東京に集まっていた。
その者達は神をも殺す忌まわしき血を持つ『カミシニ』と呼ばれる超異常な力を持った存在。
その数…二万!
それに対し、この東京に向かう者達がいた!
けたましい騒音に、バイクに乗った荒々しい集団?
彼達は一般に暴走族とも呼ばれるが、実はその正体は『ヤオヨローズ』と呼ばれる神々の転生者達なのだ。
その数…八百!
『カミシニ』と『ヤオヨローズ』
戦力差を無視して、この人外なるモノ達の戦い…
いや?戦争が始まろうとしていたのだ!
その頃、俺は…
「ぜぇ!ぜぇ!ぜぇ!ぜぇ!ぜぇ!ぜぇ!ぜぇ!ぜぇ!」
俺は先に向かったスサノオ達を追って、東京に向かって走っているのだぁ~!!
それもこれも小角との旅は歩き専門で、乗り物に乗る事なんてなかったから…
俺は極度に、乗り物が苦手になっていたのだ。
その苦手も半端ないレベルのだ!
乗り物に弱い事を知ったのは、一人旅を始めて遊園地なる場所の、
ティーカップみたいな奴に乗って気付いた。
俺は白目を向き、食った物を吐き、発狂して気を失った。
それは乗り物全般に共通して同じ症状になる事が分かり、一度医師にかかった事があるが『過去に精神的なトラウマはありませんか?』と聞かれたのだ。
トラウマ?
そんなん数えきれない人生だったから分からねぇよ!
だが、乗り物にかんしてのトラウマなんて心当たりがなかったのだ。
結局、俺は治療をめんどくさがり中断した結果、自転車にも乗れない身体になったのである。
ふぅ~~~
俺の身の上話は置いておいて、そうそう!俺達の目的の場所だよな?
俺はクシナダの話を思い出す。
「東京って言っても広いんだぜ?奴達の居場所なんか分かるのか?」
「フン!よく考えてみろ!奴達は雨を降らそうとしているんだぜ?雨を降らすとしたら何処が都合良いと思う?」
「雨を降らすなら…」
そりゃあ…高い場所…
「!!」
「カミシニ達が向かう場所…そこは…」
『東京タワーです』
「東京タワーだと?確かに…あそこなら、高いと言ったら…都合よいよな?でも、スカイツリーのが高くないか?」
「確かにスカイツリーは東京タワーより高いですが、東京タワーには霊的な力を溜め込んだ力があるのです。そこに彼等は目を付けたのでしょう」
「霊的な?」
理解出来ないでいる俺にアマテラスと月読がアドバイスする。
「あんたも知っているでしょ?神域と人域の境目である霊界の門の事は?」
「霊界の門?何だよ?それは?」
「ほら?ヒントですよ!赤くて門と言えば?」
…それって、まさか?
「鳥居の事か?」
「大正解!」
「いやいやいや?東京タワーが鳥居って無理あるだろ?」
「どうしてそう思うわけ?今まで気付かなかったの?あれだけ邪悪な人間の思念が溜まる領域に、何も措置されない訳ないじゃないのさ?」
アマテラスの言葉にも一理あった。
「説明しますとですね~?過去の人間の呪術者達は人間界に溜まった負の力を鳥居…つまり、東京タワーを通して外へと吐き出していたのですよ~」
「そう言われて見れば…色々合点が?いや?でもマジか?」
「マジマジです~神様は嘘はつきません!」
俺は突然の真実に驚愕しつつも、話を続ける。
「でも、あんな一目の多い場所で…」
「関係あるまい?奴達は東京で、これから残虐ショーを始めようとしているんだぜ?」
「………」
そう…関係ないんだ…
今に、東京には血の雨が降る。
そうしたら…
人間なんて一人足りとも残ってられないのだからな…
だが、そうはさせねぇ!
正直、俺はな?自分とかかわりがない人間達がどうなろうと知った事じゃねぇ!
だが、東京は…
東京は…
そうそう!
東京でタバコを吸いながら食うクレープは格別なんだぜ?
そうなんだよ!
その俺の楽しみを邪魔されてたまるか!
俺は自分自身にそう言い聞かせ、東京に向かって走っていた。
俺は面倒臭い事は嫌なんだぞ?
基本的に…
別に俺の孤独を癒してくれた特別な場所だったからじゃないんだ…
本当に…
その頃…
東京タワーではカミシニ達が既に到着し、タワーのてっぺんに向かって昇って行た。
その付近では無惨に血を吸い取られ、干からびた人間達の死骸が転がっている。
「ふふ…」
アライヴの周りにはデッドマンと転生、輪廻、ホムンクルスに、数名のカミシニ達が付き従っていた。
「あれ?シャドーの奴は?」
「輪廻、シャドーには別の任務を与えています。直に到着するでしょう」
「あっ!はい!アライヴ様!」
五人がタワーの頂上に着くと、そこには既に到着していたマスタークラスの魔術師の姿をした三人のカミシニ達が、アライヴの到着を出迎える。
「準備は整っているか?」
「はい…もう暫くお待ち下さい…アライヴ様!」
答えたのはクロウリーと名乗る男だった。
「今、最終調整をしております」
「血の錬魂式が十分でないと不発になるからな」
シュタインとパラケルススも準備に余念がない。
この三人は、かつて人間であった。しかし、一度人間としての生涯を終え、アライヴの血の力によりカミシニとしての力を得た、錬金術者なのである。
『では、後の調整は私がいたしましょう!流石にこの膨大な量の血の結晶石を扱うのは元人間には手を余しましょうから』
魔術師達の指揮をしているのはホムンクルス。
目の前にはまるで巨大な心臓のような物体が置かれていた。
それは脈打ち?
まるで生きているような?
「何を!まさかホムンクルス殿は私達を愚弄してるのか?」
「そう怒る事はあるまい?後はホムンクルス殿に任せるのが得策だと思いますよ?我々はアライヴ様の計画が成し遂げられれば良いのですからね~?」
「ウググ…」
「それに願ってもないチャンスではないか?万能の知識を持つホムンクルス殿の技術を盗み見るチャンスなのだからな?」
クロウリーとパラケルススになだめられ怒りを抑えるシュタイン。
「仕方…あるまい…だが私は…」
言いかけてシュタイン博士は言葉を止めたのだ。
(私はカミシニでない下等な妖の分際で、私よりも優遇されているホムンクルスが好かない)
そう。ホムンクルスはカミシニではない。
だが、カミシニと共に同行し今では七賢者と呼ばれるだけの地位にいるのだ。
その正体は謎のまま…
すると目の前でホムンクルスの擬態(?)である大男の身体から血の管が伸びて行き、宙に浮かぶ心臓に絡み付いていく。
同時に空中に不思議な文字が現れ、光り輝く図形が浮かび上がったのだ?
謎の物体が幾つもの魔方陣の上に乗せられ、拘束されながら東京タワーの上空へと浮いていく。
『私の錬魂の秘術!とくと見るが良いわぁ~!アハハハハ!』
と、計画が進んでいる時…
東京周辺にはバイクに乗った奴達が東京に到着していたのだ。
ヤオヨローズ達はスサノオ、アマテラス、月読、クシナダの四方向に分かれ、東京タワーを囲むように向かっていた。
「そんじゃあ!一暴れしようとするかぁ~!」
『うおおおおおお!』
スサノオの一声に、ヤオヨローズの仲間達が荒ぶる。
そんなスサノオ達の目の前には、黒服の男達が囲むように群がって来ていたのだ。
当然、カミシニである。
カミシニ達は神の臭いを嗅ぎ付けスサノオ達の前に現れた。
そして牙を剥き出しにして襲い掛かって来たのだ!
「復讐戦争の開戦だぁー!」
スサノオの身体から赤い水蒸気が腕に集まっていく?
すると血蒸気は次第に『剣』の形へと変わっていったのである。
『現れよ草薙剣!』
スサノオは草薙の剣を構え、牙を剥いて向かって来るカミシニに向かって一閃した。
その一振りでカミシニの一人が真っ二つに両断された。
断末魔をあげ草薙の剣を持つスサノオの前で消滅するカミシニの男。
それを目にしたカミシニ達はスサノオを警戒しつつ囲み込む。
するとスサノオは手を挙げて指を鳴らし合図をしたのである。
その直後…
隠れていたヤオヨローズの仲間達が一斉に現れて、カミシニ達の心臓目掛けて矛を突き刺したのだ。心臓を貫かれたカミシニ達は大量の血を噴き出させると、太陽光を直接浴びた途端に消滅していった。
そう…クシナダが言っていた!
吸血鬼種のカミシニ達は心臓が弱点であると。
何故なら、カミシニの忌まわしき血を身体中に送るポンプ機能の心臓!
その心臓から血が抜け薄まると、吸血鬼としての弱点が表沙汰になる…
そうなのだ!
吸血鬼達はカミシニの血を失うと、太陽光に堪えられなく灰と化してしまうのだ。
「雑魚はお前達に任せる!俺は…」
すると目の前に三人のカミシニが現れる…
先程の奴達と何か違う?
そいつ達は己の身体に傷をつけると、血が流れ始め血が武器の形へと変化したのだ。
血を武器にするカミシニ…
「こいつ達がマスタードか…」
「スサノオ…違いますぞ!マスタークラスですぞ!」
「…………」
スサノオに突っ込みを入れたこの老人の名をオモイカネと呼ぶ。
ヤオヨローズの頭脳的存在…知恵の神だそうだ。
「サポートは任せるぞ!オモイカネ!」
「無鉄砲なあんたには儂が必要じゃろうからのぅ?」
「無鉄砲で結構!そうじゃなきゃ、この戦は勝ち残れねぇぜ!」
オモイカネはヤオヨローズの仲間達に指示をしながら、カミシニ達を確実に仕留めていった。
「俺の相手は、奴達だな!」
スサノオはマスタークラスに向かって突進して行く。
同時刻…
別の場所でアマテラス、月読、クシナダ達もまた襲ってきたカミシニ達と対峙していた。
今ここに、カミシニとヤオヨローズの戦争が切って開かれたのだ。
「えっと…ここは町田か?東京の端っこじゃねぇかぁ?えっと東京?新宿は何処だ??」
俺はまだ…
到着していなかった。
次回予告
三蔵「ついに開戦された全面戦争!そんな中、俺は・・・
まだ道に迷っていたのだ。
やばいぞ?マジにやばいぞ?
出番が!俺の出番が!見せ場が無くなる~!
ナウマク・サマンダ・バザラ・ダン・カン!
俺の見せ場を残してくれよ~」




