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聖輪奇聞・転生記!~神を導きし救世主~  作者: 河童王子
神を導きし救世主!
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純潔なる血族者!?

クシナダにより聞かされるカミシニの陰謀!


カミシニに協力する種族が明かされる。


深い森…


暗闇が月の光をも遮り音一つない。


ここは、とある場所の…


とある教会…


そこに彼等は集まっていたのである。




神を呪い…


神を狩る者達…


カミシニ!



教会には既に72人のマスタークラスと、ハイマスタークラスである血の七賢者と呼ばれる三名が到着していた。

そこには黒いタキシード姿に眼鏡をかけた転生と、赤髪で赤いゴスロリ姿の輪廻もいる。


その二人の前に仮面を被った巨大な大男が近寄って来たのだ。

その仮面の男は無表情・無口無言で二人を見おろすと輪廻が話し掛ける。


「あんた早いわね?」


「………………」


すると、何処からか女の声が聞こえて来たのだ?


『お互い様よ!それよりあんた達、あの娘を取り逃がしたんだって?ふふふ…アライヴ様がいらしたら何をされちゃうかしらね?』


「ウッ!うるさい!この瓶詰女!」


『瓶詰女ですって!』



その女…女の声は大男の手に持っていたフラスコの中から聞こえて来たのだ。

見ると、そのフラスコの中から影が揺れ動いている??

その影は、突然一つ眼を見開いたのだ!


ソイツはフラスコの中に住む一つ眼の『モノ』?


この者がカミシニの頭脳的役目を果たすカミシニ科学者!

『ホムンクルス』

そして仮面の大男はホムンクルスが造り上げた最強のカミシニなのだそうだ。

輪廻とホムンクルスが口喧嘩を始めると、黙っていた転生が二人の会話を止める。


「…いらっしゃったようですよ」



その瞬間…

その場の空気が変わった。

騒いでいた輪廻とホムンクルスも黙り混む。

教会の入り口から二人の男が入って来たのだ。



一人は赤いロングコートの、赤い長髪の男…

名を…デッドマン!


もう一人は…

この場には似つかわしく白いYシャツを胸元まで開けた半裸姿の男だった。


今まで何処にいたのか?

彼が現れた途端、

天井や教会の隅々から、無数の影がうごめき始めたのである。


いや、そいつ達は最初からそこにいたのだ…

闇の住人…

カミシニの配下達である。

そいつ達は入って来たYシャツの男の身体から臭う血に酔っているのだ?



それだけ甘美な…

強烈な血の芳香が漂った。


その男の名はアライヴ…

このカミシニ達のリーダーである。



「皆、揃ったようですね?」


「えっ?待ってください!シャドーがまだ…」


「シャドーなら、さっきからそこにいるじゃねぇか?」


「えっ?」


輪廻は辺りを見回すと、デッドマンの言葉通りにいたのだ。

本当にいつからそこにいたのか?

その者は魔術師の様な姿格好で、顔をフードで隠した男が立っていた。


「いつの間に!?」


「まるで、気配を感じませんでしたね…」


『不気味な奴よね…』


「あんたが言う?」


『どういう意味よ!』


「やれやれ…」



輪廻とホムンクルスのやり取りに呆れる転生は、シャドーを見る。


「…………」


「本当…何者なんでしょうね…」



すると、アライヴが教会の天井中央にある逆十字架を見上げた後、集まっているカミシニ達に振り返る。



「カミシニの諸君。今宵、この祭りの日によく集まってくれたましたね?この度、君達を集めたのは他でもありません。『血の雨計画』を再び実行する事にします。そこで、君達におおいに働いて貰おうと思っているのです」


『ウオオオオオオオオオ!』



アライヴの言葉に、カミシニ達は一斉に雄叫びをあげた。


「実行は明日。君達は明日に向けて今から準備してくださいね?」



アライヴは後の計画の説明をデッドマンに任せ、自分は転生と輪廻にこちらに来るように指で指図する。

転生と輪廻は、例の件で呼ばれたと感づき覚悟した。



「さて、どうしたもんでしょうね?まさか私の玩具ブラッドさんを逃がしてしまうなんて?あの娘はまだ使えるから、置いておきたかったのに…私は君達を買い被り過ぎていたのでしょうか?」



緩やかなアライヴの言葉に二人は黙って凍り付く。

まるで心臓を鷲掴みにされているような感覚だった。

その瞬間アライヴから何かが放たれる。



「キャア!」



その何かで輪廻が腹を撃たれ血を吐き倒れる。

更に見えない刃が輪廻の首に迫った時!

転生が手首から出した血で造り上げた黒い鎌で受け止めたのだ。



「よく止めましたね?転生君。また腕を上げましたか?」


「…………」


すると止めたはずのアライヴの刃が形を変えて、転生の両腕、両足首に絡み付いたのだ。


「はっ!」


そのまま転生は教会の天井まで一瞬にして持ち上げられ、一気に床まで突き落とされた。


「ぐはぁ!」


血を吐く転生。倒れた転生にアライヴが近付きながら方膝を下ろしてしゃがみ込むと、

髪を掴みながら転生の顔を自分の顔の方に向けさせる。

アライヴの前髪が転生の顔に触れる所まで近付く。

その公開拷問に周りのカミシニ達は唾を飲み込み、言葉が出せないでいた。



「すみませんね?貴方の眼鏡にヒビが入ったみたいです!」


「心配なさらないでください…ちゃんとストックは沢山ありますから…」



アライヴの言葉に冗談混じりに笑みで答える転生。



「どうして君は無抵抗なのですか?転生君の力があれば抗う事も出来ましょうに?」


「そんな・・・それこそ買い被りです」



すると、アライヴは自分の首筋を転生に晒したのだ?



「さっきから君は、私のここにかぶりつきたいような顔をしていますよ?」


瞬間!


転生の背中から、何か得体の知れない黒い感情が現れようとした。

転生の瞳が一瞬、銀色に変わって行く?


が、直ぐに転生は我にかえり…



「私は貴方の忠実なる下僕…貴方が私に望むなら、私は喜んで自らの心臓をえぐり出し、貴方に捧げる供物としましょう。私は貴方に身も心も捧げる誓いをたてたのだから…」


「ふっ…良いでしょう。今日のお仕置きは、ここまでにしてあげます。これから始まる計画に失敗は許しませんからね?」


「はい…我が主!」



そう言うと、アライヴは転生達を置いて、デッドマンと先に教会を出て行った。

残された転生は立ち上がると、割れた眼鏡を外し黒い炎で溶かしたのだ。


そこに一人のカミシニが転生に近づいて来て話しかける。


「納得いかねぇ!」


「?」


「俺は納得いかねぇよ!そうさ…俺はあんたを尊敬しているんだぜぇ?あんな人間のカミシニなんかより、俺は…転生さん!あんたこそカミシニの主君になるべきだと思っているんだ!いや?なるべきだぁ!あんたならその力がある!」


「君は?」


「俺は、あんたの同族だよ!だから分るんだ…あんたの隠している…底知れぬ力を!なぁ?転生さん!」


「あはは!止めてください…私はそんな器じゃありませんよ?私はただの…カミシニで、アライヴ様の忠実なる犬ですから~」




それだけ言うと倒れている輪廻をおぶり、教会から出て行ったのである。

残された男は不満げにその後ろ姿を見届けていた…



「納得いかねぇ…あんたは純潔なんだぜ?そうだよ…あんたなら、この場にいる二万の兵は全員従うんだ!あんな人間のカミシニなんかではなく、俺達はあんたの配下…血族なんだからよぉ…

転生さん…いや!我達が高潔なる君主…『ヴラド・ツェペシュ!』ドラクレア伯爵様…」




ドラクレア…

またをドラキュラとも呼ぶ…


そう…

この地にいるカミシニの九割が血族であり、吸血鬼なのである。

特別な血を持って生まれた吸血鬼達は、カミシニの血を得ても自我を奪われる事なく、更なる進化を遂げた。


その中でも純潔の血を持つ吸血鬼一族の始祖こそ…


ヴラド・ツェペシュ…


転生のもう一つの名前であった。



転生は教会をゆっくりと出て行きながら呟く。




「あの方も純潔なんですよ?


そう…


我はより高潔なる血を求めん…


例え誇りが汚されようとも新たな進化を求めんがために…


ふふふ…」



その瞳は銀色に輝いていた。





赤い雨計画まで、後一日…


次回予告


三蔵「十字架持ったし、聖水持ったし、ニンニクは食った!


これで死角はないぜ!来るなら来てみやがれ~


ナウマク・サマンダ・バザラ・ダン・カン!


ゲ・・・ゲップ!」

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