クシナダの決意!!陰謀??新宿の血の雨作戦!?
カミシニのブラッドとしてスサノオ達ヤオヨローズの敵だったクシナダ。
だが、光の主により血の呪縛より解き放たれた彼女の進む道は茨の道の中で、たった一人の戦いだった。
スサノオはクシナダの手首を掴み上げると、突然壁に押し付け吊し上げたのだ?
スサノオとカミシニのブラッドであるクシナダとの因縁…
本当なら仇であるこの娘を自らの手で始末してやりたい。
しかし!
「お願い!私を貴方達と一緒に戦わせて!」
「!!」
スサノオはクシナダの真っ直ぐな瞳と言葉に圧倒されたのだ。
そのクシナダの本気の目に…
「お…お前が…」
「お前が仲間を…手に…」
そう言いかけた時、スサノオの肩に手が置かれた。
「!?」
その相手はアマテラスだった。
アマテラスは首を振り「もうやめなさい」と、スサノオを諭したのだ。
「ふん!」
スサノオはクシナダの手を離すと、一人先に出て行く。
「す…スサノオ」
残されたクシナダにアマテラスは言った。
「ごめんね…だけど分かってあげて?正直、私もまだ貴女を全て信じた訳じゃないのだから…」
アマテラスの言葉に視線を落とすクシナダ。
だが、出て行こうとするアマテラスはもう一度立ち止まると、背中越しにクシナダに言った。
「だから、これからの貴女の行動で、私達を信じさせて…」
「あ…アマテラスさん…」
クシナダは一人その場で涙した。
アマテラスが向かった先には、先に出たはずのスサノオが壁に寄り掛かり待っていた。
「ふん!お優しい事だな?」
捻くれた口調のスサノオに対して、
「あんただって、内心は分かってはいるんでしょ?」
「………」
「ふっ…素直じゃないのだから…」
そう…
新宿にて…クシナダ…いや?
カミシニのブラッドが彼等の前に現れた時、正直、彼等は驚いた。
今まで、幾度と自分達と命懸けの戦いを繰り広げていたあの宿敵ブラッドが…
「お願い!助けて!向こうに私を庇って、カミシニに襲われている人がいるの!お願い!助けて!」
彼女は、傷付いた身体で…
今にも倒れそうな状態で…
自分自身の事より身も知らない人間を助けて欲しいと願ったのだ?
下手をしたらスサノオ達によって自分が殺されるかもしれなかったのに…
だが、その時のクシナダの目は…
「あの娘の目…あの時のあの娘の瞳は、仲間を思い自らを顧みない戦いをする貴方に…スサノオ!あんたの瞳にそっくりに見えたわよ?」
「ふん!うるせぇ!俺は…まだ、信じちゃいねぇよ?だが、『あいつ』が俺達の前に現れて、奴を助けてやれと言うから…」
そう…
新宿でクシナダと合流したあの日より、さらに数日前にスサノオ達の前に、再び現れたのだ。
名も正体も分からない…
八百万の里にて瀕死のスサノオ達兄弟を救ってくれた『光の主』。
光の主は言った…
カミシニより逃げて来る我々の仲間を助けて欲しいと??
新宿にて合流し新たに仲間に入れて欲しいと…
そして日時と場所を告げると再び消えたのだ。
スサノオ達は困惑しながらも指定された日時と場所に向かいブラッドに会った。
その時のあいつは…
確かに…
「フン!関係ねぇか…」
さて…そろそろ話を戻すか?
え~俺は三蔵だ!
俺はアマテラスから八百万の里で、スサノオ達に起きた悲劇の話を聞いた。
こいつ達ふざけた連中かと思ったら、なんて複雑な生い立ちなんだよ…
だが、俺に何が出来る?
残念だが、今の俺では踏み込めない領域だった。
力の差がありすぎる…
しかし、クシナダは俺に言ったのだ。
『貴方はこの戦いの要になります。貴方は未来を変える…そんな不思議な力があるのです!』
と…
俺に未来を変える力があるだと?
ねぇよ…
俺は仕方なく、スサノオ達が集まっている集会場に戻った。
しかし…
「ヴォオオオオオン!ヴォオオオオオン!」
けたましいバイク音…
うるせぇ~!
そうだったなぁ…
こいつ達、暴走族だったんだよ!
一応、神様なのに…
転生者だけど…
で、集会と来たもんだ…
アハハ…
暴走族が板に染み付いてるんじゃないか?
集会にはスサノオ、アマテラス、月読を中心に、後からぞろぞろとヤオヨローズの連中が集まって来た。そしてクシナダが知り得たカミシニについての情報と、これから起きる『新宿の血の雨作戦』についての情報を説明していた。
「聞いてください!」
話はこうだ。
カミシニ…
奴達の今の勢力は、ざっと二万!
「何だと!二万だってぇ?そんな化け物連中達が新宿に二万も押し寄せて来るのかよ?」
「はい…要注意するのは限られた者達…マスタークラスだけです」
「マスタークラスだと?」
「ええ…カミシニのマスタークラスには血を扱えるかどうかでランクが決まります。血とは、魔性の力…つまり神を殺す力なのです!」
アマテラスは呟く。
「神を殺す血の力ね…」
クシナダは頷いた後、説明を続ける。
「今、カミシニの中で血を使うマスタークラスは72名…
マスターグラスの者達は己の血を独特な武器に変化させる事が出来るのが特徴です」
「血を武器にだと?」
「はい!スサノオさんや、アマテラスさん、月読さんが使う三種の神器も同じですよね?カミシニには通用しないはずの神器にカミシニの血が融合してカミシニに傷を負わせる力を手に入れたのです」
「スサノオ君の草薙の剣にアマテラス姉さんの鏡と僕の勾玉の事ですね?」
「はい!カミシニの中では貴方達はマスタークラスに位置されます」
「私達がマスタークラスねぇ~?」
「勝手にランクインされてますね~私達…アハハ…」
主要格のスサノオ、アマテラス、月読は自らの能力がカミシニに通用する理由を知った。
それは三人が半カミシニ化した事で、その能力を不本意にも手に入れていた事に。
「つまり毒を制すために毒を持って戦っていたのですね」
月読は自らの手を見て半笑いをしていた。
「でも一番…要注意しなければならないのは、マスタークラスの更に上にいるハイマスターの七人です!」
「ああ?更に上がいるのかよ!」
「ハイマスター…『血の七賢人』とも呼ばれる彼達はカミシニの主の下、全てのカミシニの頂点にいます」
「主だと?」
「はい…カミシニの元凶にて…忌まわしき血を伝染させた者…」
「私達は彼を『アライヴ』と、呼んでいます」
「ん?」
(今、一瞬…クシナダの顔付きが曇った気がしたような?)
俺はクシナダの表情に気付いたが、それは口にしなかった。
「その前に、血が感染するって言っていたけど?」
「血は感染します…あの者の血は人の血と交わる事で感染しカミシニにします…と、言っても…カミシニになるのは限られた資質のある者だけ…」
「資質がないとどうなるの?」
「…自我を失い、化け物になります」
「!!」
ヤオヨローズの連中の顔が曇っていく。
話で聞いた…
八百万の里の民が化け物に変化した話と一致する。
それに…
俺にも心当たりがあった。
「錬魂の雫とは…まさか?」
「はい…皆さんももうお分かりでしょう?錬魂の雫も、里に降った赤い雨も…彼の血から造られた物なのです!」
この場にいた全ての者がざわめいた…
「それじゃあ…全ての根源は、そのアライヴって奴なのか?」
スサノオの背中から、怒りの気が込み上がっていくのが伝わる。
「はい…彼が何のためにカミシニを作り出しているのか?これから何をしようとしているのかは、他のカミシニのメンバーは知らされていません。彼の指示に従って任務をまっとうするだけ…」
「そんじゃあよ?そのアライヴって奴を始末すれば終わりみたいだな!」
「確かにそうです…だけど、マスタークラスなら、スサノオさん達でも相手になりますが、ハイマスターの力量は私でも未知数でした…」
「それにしても、詳しいなぁ…」
「私も…そのハイマスターの一人だったから…」
「そっかぁ!なるほどな…それなら…それなら…ん?」
『のわんだぁと~??』
「…あっ…はい…」
「マジか…??」
驚いたぜ…
「でも私はその中でも一番格下でした。他の六人は私の倍以上の力を持っています」
「前途多難だな?あはは…」
するとスサノオが俺の名を呼んだのだ。
「おぃ?三蔵?」
「ん?何だ?」
「お前、さっきから当前のように会話に入ってきているが?お前は戦いには連れていかんぞ?」
「気にするな?俺は勝手に行くだけだ。それに俺はスサノオの手助けしたいんじゃねぇよ?クシナダに頼まれたから行くだけだ!」
「ざけんな!」
俺の胸元を掴み上げるスサノオに一同はざわめくが、
「あんたら!遊んでないで真面目に聞きなさい!」
「は…はい」
俺とスサノオはアマテラスの叱咤に黙り込む。
「あの~話を続けても?」
「お願いね?続けて!クシナダ」
そして血の七賢人のメンバーについて説明された。
「ハイマスタークラス…血の七賢人のメンバーですが…アライヴと呼ばれるカミシニのリーダーを筆頭に、いつもアライヴの傍に従う赤い長髪が特徴の男…通称『不死のデッドマン』
次に、錬魂の雫を作り出したカミシニの頭脳的存在の『ホムンクルス』
普段、誰にも関わらず隠密の暗殺を行う者。
カミシニ達の中でも謎に包まれている『シャドー』
後は皆さんも新宿にて遭遇しましたよね?
タキシード姿『転生』とゴスロリ姿の『輪廻』
それに…私の七人でした」
「あの新宿で会った奴達か!確かに…べらぼうに強かった…だが!」
『次はぶん殴る!』
俺は拳を握った。
「だから!お前は連れて行かねぇって!」
「気合い入れないとな!」
「先ずはお前をもう一度気絶させる!」
「なぁ?クシナダよ?二万と言ったが、ハイマスター以外の他の連中は?カミシニの能力者は先に言った72名だったよな?他の二万の敵の正体は何者なのだ?」
「…確かに、後の者は力こそ劣りますが、気をつけてください。彼らはカミシニではありませんが、彼達の牙に襲われたら赤い血が感染してしまうのです。当然、神族もただではすみません」
「感染?とりあえず油断は出来ないわけだ?」
クシナダはその配下達を説明し始めた。
「カミシニが今の勢力拡大に繋がる理由に、ある特殊な能力を持つ一族を仲間に引き入れたのです。配下達は血に従う者達…人であらず…神でもあらず…
血に群がりし、血の血族者達!神への反逆者…その血族者を…私達はこう呼んでいました」
「!!」
て、次話までおあずけかよ!!
次回予告・おまけ?
三蔵「俺は・・・やたらデカイ戦い?いや?戦争に巻き込まれてしまったようだな?あはは・・・しかし!このヤマが済んじまえば!クシナダと俺が良い雰囲気になるんじゃないの??よっしゃあ!!気合い入るぜ!!
ナウマク・サマンダ・バザラ・ダン・カン!
俺の青春きたぁぁあああ!!」
クシナダ「あの・・・まだ、話終わってないのですけど・・・」




