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聖輪奇聞・転生記!~神を導きし救世主~  作者: 河童王子
神を導きし救世主!
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カミシニのブラッド!!

八百万の里で起きた悲劇を聞かされた三蔵は・・・


スサノオが三蔵とクシナダが話している所に割って入り、クシナダを連れて行った所から物語は始まります。


私はクシナダ。



三蔵がアマテラスにより八百万の里の悲劇を聞かされていた時、私を一目に付かない場所に連れて来たスサノオは、片手で私の両手首を吊るし上げるように掴み上げる。



「うっ…」


「クシナダ!俺はまだ、お前を信じちゃいねぇ…」


「………」


私は何も言い返せない。

言い返せれるはずがなかったのです。

何故なら?



「そう…カミシニとして!俺達の同族を暗殺して来たお前をな!」



私はスサノオの言葉に黙って目を逸らす。

それはスサノオ達が里を離れ復讐の旅に出て間もなくの事…

スサノオとアマテラス、月読は、運良く里を離れていて助かった仲間達を探して旅に出ていたのです。

少しでも仲間達を集め、里で起きた事を伝え、危険を知らせるだけでなく、共に仲間達の復讐を果たす同志を探していたのです。


が、しかし…

彼等の向かう先…

里を離れていた仲間達がいたる場所で変死を遂げていたのです。



「どうなってやがるんだ!」


それは里の者しか知らぬ隠れ家でも同じでした。

仲間達が何者かによって無残に殺されていたのです。



「待って!」



隠れ家の地下には隠し部屋があり、更にその地下倉庫に、子供が入れるくらいの隙間があったのです。そこにはまるで何者かから守られ隠されるかのように、二人の子供が眠っていました。


「どうやら、生き残った同族のようですね」


「まだ子供みたいね…」


月読とアマテラスは安堵したのです。

生き残りがいた事に。

するとスサノオは眠っている二人を見るなり、


「あっ!」



二人の首根っこをつまみ上げて持ち上げたのです。


「ふにゃ?」


「起きろ!ニャア~じゃ、ねぇだろ!猫か?お前達は!」



二人の子供はスサノオの顔を見るなり恐怖で泣き喚き叫んだのでした。



「ぎゃあぎゃあああ!」


「うるせぇーえ!黙らないと…」



すると背後からアマテラスがスサノオの頭を殴り、二人の子供を奪い抱きしめたのでした。


「何をする?」


「何をする?じゃないわい!子供に何してんの!あんた!」


「いや…俺はただ状況を聞き出そうかと思って…」


「黙れ!」


怒り出すアマテラスの行動の意味が分からないスサノオの肩に手を置いた月読が首を左右に振って子供達からスサノオを引き離す。


「スサノオ?ここは姉様に任せましょう…」


「う…うむ」



暫くして子供達が泣き止むと、この隠れ家で起きた事を話し始めたのです。


それは数日前…


この隠れ家には里で起きた惨劇を知った仲間達が集っていたのです。



「一体、里はどうなったのだ?里からの連絡が一切繋がらないなんて!」


「わからぬ…しかし、ここで手を拱いていても拉致があかないだろ?」


「しかし情報がなさすぎる!」



そこに、


「教えてあげる…」



大人達が会議している最中、そいつは現れた。

その者は、長髪の美しい黒きコートの女でした。

その手にはまるで血のような真っ赤な鞭を持っていたのです。



「お前はいった…ぃ」



女の手から鞭が消え異様な音がしたかと思うと、そこにいた仲間達の身体から鮮血が噴き出す!



「えっ?うぎゃあああ!」



里の仲間達が突然現れた女が『敵』だと理解したと同時に、警戒しながら武器を手にしようとするが…


「遅い!あんた達もう手遅れよ…」



まるで踊るかのように、その女は鞭を振り回したかと思うと、そこにいた男達の身体が紙切れのように切り刻まれていく。

鮮血が霧のように辺りを覆い、女は返り血をシャワーのように浴びていた…


血にまみれ…


鮮血に妖しく笑む女…



その女は自らをカミシニの『ブラッド』と名乗ったのです。



「そうそう!里の奴達は皆生きちゃいないよ?て、あんた達も死んでたら一緒だね?キャハハ!アハハハハ!アハハハハハキャハハハハハハ!」



その女の狂ったような笑い声に、唯一生き残った二人の子供は泣くのを堪え、息を潜めて隠れていたのでした。


話を聞いたスサノオは拳を握りしめて肩を震わし怒りを堪える。



「カミシニのブラッドか…!」



その後もスサノオ達は生き残りの仲間達を求め、日本中を巡り回った。

同族には転生前の記憶のある者の他に…

転生前の記憶が蘇らず、普通の人間として生活している者達もいました。

『力』さえ現れなければ、その者達は人として一生を遂げるのです。

しかし、カミシニはそんな者達にさえ強引に力を蘇らせ、殺して回っていたのでした。


スサノオ達も旅の最中、生き残りの者達を救いつつ、仲間を増やしていく。


その間…

幾度とスサノオ達の前に現れたのが?


『鮮血のブラッド』


と、呼ばれるカミシニの女でした。

スサノオとブラッドは幾度となく相交えていたのです。


「ぐおおおお!」



スサノオの剣がブラッドに迫る。

が、まるで霧を切り裂いているみたいに手応えがない。


「あら?それで全力かい?だったら!」



ブラッドから放たれる鮮血の血で変化した鞭は、スサノオ達を苦しめた。

少しでも触れたら神族の身体は、その部位が沸騰したかのようにただれ、熔けてしまうのです。

しかも鞭と言うのは、軌道が読みにくく四方八方から襲って来るのだから…



「面倒臭い武器だぜ!」



スサノオは刀一本で鞭を払いつつ応戦していた。


「今だ!」


「了解!」


スサノオの掛け声に何者かの声が答える。

少年の声?

すると、目の前から大型トラックが飛んで来たのです。


「馬鹿な!」



ブラッドがトラックを避けつつ、飛び上がった所に狙いを定め、


「喰らえ!」




スサノオは刀に神気を籠めていく。


『乱鬼流奥義・風邪鬼魅!』

※ランキリュウオウギ・カゼギミ!




スサノオが奥義を放たれた。

二つの風の渦が、まるで牛鬼の角のようにブラッド目掛けて向かっていく!

手応えがあった。

が、ブラッドは赤い霧に紛れるかのように、消えていったのです。



「クソ!逃したか!」


「でも、一矢報いたぜ!スサノオ兄貴!」



それは以前助けた同族の少年でした。

名前を『アマノタヂカラ』

八百万の神一番の怪力を持つ神の転生者。

スサノオ達は少年を『リキッド』と呼んでいました。


「ふん!仕留められなきゃ同じだ!」


「素直じゃないわね~」



そこにペットボトルのお茶が差し出される。


「ん?」


「どうぞ…」



差し出されたお茶を持って来たのは、おとなしげな少女でした。

この少女も以前助けた子供の一人で、名を…『アマノウズメ』と言い、舞と歌の神なのです。


「アマテラス様もどうぞ…」


「ありがと~うん!もう!いつ見てもウズメは可愛いんだからぁ~!」



と、ウズメをハグするアマテラス。

もがき、アタフタとするウズメの姿に、ヤオヨローズの仲間達は戦いを忘れて大笑いをしていたのでした。






場所は変わり、ここは古い教会?

しかし、ここには人が寄り付かない。

いや?寄り付けないでいました。

一度、踏み入れたら最後!

二度と出て来た者はいないと噂され、幾度と神隠しがあったと言われていたのです。



ハア…ハア…

欲しい…

血が…血が…



それは、スサノオとの戦いにて傷を負ったブラッド…


私の姿でした。


私は教会の更に地下にある部屋を目指して、階段を降りて行く。


あれさえ…あれば…


私は教会の地下にある自分の部屋に入ると、机の引き出しから小さな瓶を取り出す。


その瓶とは?



『錬魂の雫』



私がその瓶の中身を飲もうとした時、突然瓶が音を立てて割れたのです!



「アッ…アアア…!」



私は砕け散って床に零れた液体を舐めようとする。

床に這いつくばりながら液体を舐める様は…


まさに…



「ふふ…雌犬のようですね?とてもブザマな姿ですよ?ブラッドさん!」


「!!」



そこに現れたのは黒いスーツの男…

カミシニのリーダーである『アライヴ』様でした。

私は彼の存在に気付き、見上げながら震えだす。



「アライヴ様?」



するとアライヴ様は床に這う私の頭を踏み付け、妖しく笑んだのでした。



「本当、惨めですね?同族殺しのブラッドさん!」


「!!」



目を伏せる私に対してアライヴ様は己の手首を切ったのです。


手首から流れる赤い血…


血の匂いが…


誘う…


抗えない。


あああ…


私は踏み潰されながら、アライヴ様の手首から流れる血に魅いられ、目が離せなくなっていた。

その目は、トロンっと…

麻薬漬けになったかのような状態になっていたのです。

アライヴ様の手首から流れた血が床に垂れ落ち、彼が頷くのを確認した後、私は舌を伸ばして、床の血を舐め始めたのです。



「惨めで、可哀相なブラッドさん…貴女はもう私の血からは逃れる事は出来ないのですよ?だから、貴女は私に言われた事をただ実行していれば良いのです」


「あああ…」



私はただ…

床の血を舐めていました。



暫らくした後、アライヴ様が部屋を去り私一人が残される。

その身には一切の衣を纏ってはいなかった。



『同族殺しのブラッド…』




嫌…嫌…


私は本当はこんな事したくない…


だけど…


血が…


カミシニの血が私を狂わすのです。


抗えない…

逃げられない…


もう嫌だ…

だったら!いっその事…


私は己の首筋に自らの血で作った短剣を向けたのでした。

その手に力をこめて覚悟したその時!


「何!?」


強烈な閃光が私を照らしたのす!



『君は死んではダメだ!』




私の頭の中に聞いた事のない少年の声が響いたのでした。



次回予告


三蔵「ん?カミシニのブラッド?新キャラか?お陰でまた俺の出番が無くなったじゃねえかよ!こんな扱い有りかよ!?


えっ?次の話もブラッドの話だと??


誰だよ!こいつはよ~!!俺は拗ねるぜ?」

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