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聖輪奇聞・転生記!~神を導きし救世主~  作者: 河童王子
転生記~始まりの伝説編~
12/424

男の強さ見せるぜ!強敵魔性の女妖怪蝎子精!?

再び現れた九頭馬を倒したのもつかの間、今度は九頭馬に毒を渡した女妖怪を探しに向かう孫悟空と八戒だったのだが・・・

どーも、孫悟空です!


俺様と八戒は九頭馬に毒針を渡したと言う女妖怪を見付けるために、金斗雲に乗り空中から探索していた。情報収集(人間に化けて近くの村々で聞き回った)の甲斐があって、そいつらしき女が現れると言う村に向かっていた。


九頭馬が毒針を貰った場所からそんなに離れていないはずだと、思う。

九頭馬の話によると、その女妖怪は踊り子や占いの見世物をしながらこの辺りを旅しているハグレ妖怪らしい。踊り子?占い?それだけのキーワードがあったお陰で、意外にあっさり足取りがついた。


「何処だ?何処にいやがる!」

「おい!猿、あれじゃねぇらか?」

「何?」


そこでは人間達が祭をやっているようであった。

ん?あいつか?

微かだが妖気を感じる!

その中央の舞台の上で、一人の女が派手な衣装で妖しく踊っていた。

人間達はその踊りに釘付けになっているのだ。

いや、ほとんどがスケベな男達ばかりなのだが…

踊り子の姿を一目見ようと、砂糖に群がる蟻のように集まって来たのである。


やらしい顔で…


「くそ…あれじゃ、簡単には近付けられない…ん?」


見ると八戒が饅頭を食っていたのだ。

いつの間に?

いや?何処で手に入れたのだ?


「あん?どうしたら?」

「お前…何を食っているんだ?」

「いやな?出店が出ていたもんでな…むしゃむしゃ…」



こ…この豚は…目的解っているのか?

俺様達は地上に降り、群がる人間達を退かしながら舞台上に向かう。



「くそ…全然近付けられねぇ!…ん?そう言えばまた八戒の奴がいないぞ?何処に行った?」


俺様は辺りを見回した。

あっ!


「きゃあああ!」

「お姉さ~ん!ベッピンやな?オラの嫁にならねぇらか?」



あいつ…いつの間に?

八戒の奴は既に舞台の上に上がり、例の踊り子にちょっかい出していたのだ。

絶対、あいつ目的忘れてやがるなぁ…

そこに、踊り子に見惚れていた人間達が騒ぎ始めたのだ。



「テメェ!何だお前達は!コロヤロー!」

「何勝手に舞台に上がってるんだぁー!邪魔してるんじゃねぇー!」


罵声を浴びせられた八戒は静かに人間達を見ると、


「うるさい人間達ら…」


八戒の目が妖しく冷たく光る。

まさか!

八戒の妖気が高まっていくのが分かる!

あの豚!

人間達を殺すつもりじゃ?


「止めろ!豚!人間達に手を出したら…」



俺様は止めに入ろうとするが、人間達が邪魔で動けなかった。

ぐっ?

間に合わない!


「人間達よ…消え去るらぁー!」


八戒の妖気が最高潮まで高まった所で、人間達に向けて放たれたのだ!


『あー!!』


《ぶりぃぶりぃぶりぃ~!》


こんな惨状見た事がなかった。

八戒は舞台の上で巨大なウンチを……

いや、もう説明したくない。

そこら一帯は異常なまでの悪臭が辺りを覆ったのである。



「うぎゃあああ!」


祭の場にいた人間達は、たまらず気を失う者もいれば、遠くまで逃げて行く者もいる。

舞台近辺はあっという間に人間が人っ子一人いなくなっていた。


アハハ…

確かに辛いぞ~

この臭い…


「ふっ…ようやく二人きりになれたようらな?お嬢さん!」

《パコン!》


俺様は八戒の頭を殴る。


「イタァ!ん?なんら?そういえばお前もいたんらったな?」


「何をやらかしてんだ?お前は!」


「何を言ってるらか?せっかくオラが人間達を自主的に避難させてやったらに!」


えっ?

そうか…

仮にもこの女は妖怪!

場合によっては、ここで俺様達と戦闘が始まるかもしれない。

この豚、そこまで考えて…?


「お姉さ~ん!オラと一晩…」

《バコン!》


俺様は再び八戒の頭を殴りつけた。

コイツはただの変態豚だった。

過剰評価した自分が恥ずかしいぜ。



「で、女よ!突然邪魔して悪かったな?急用なんだ!お前が九頭馬って妖怪に毒針を渡した女妖怪で間違いないな?」


「あんた達何者よ?」


「俺様達か?俺様は!」


そこに八戒が割り込み、踊り子の手を掴み見詰めて言った。


「お嬢さんの未来の夫になる者らよ~!」



あ~!本題に進まん!

俺様は再び八戒を殴り黙らせ、本題に戻した。


「お前が九頭馬に毒針を渡した女妖怪だろ?悪いが、解毒剤を渡して貰おうか!」


女妖怪はそれで内容を察したらしく、


「あら?そういう事?そぅ…仕方ないわね…」


その直後、俺様に向かって何かが飛んで来たのだ!?


「なっ?」


俺様は咄嗟に飛んで来た何かを、如意棒で叩き落とした。

これは…毒針?


「貴様!俺様を狙ったのか?返答次第では力ずくで叩きのめすぞ!叩きのめした後に解毒剤を貰っても良いんだぜ?」


「ふふふ…猿の坊や…悪いけど、あんたみたいな小物に用はないのよ?」


「何だと!馬鹿にするんじゃねぇー!」



俺様は女妖怪に向かって如意棒を振り払ったのである。

ん?

消えた!?

女妖怪は俺様の如意棒を躱すと、俺様の視界から消えたのだ。



「猿、上ら!」

「何!」


見上げると、踊り子がその本来の姿を現す。


デカイ乳!


ナイスな尻!


そして…

『悩めかしい色っぽい腰つきらぁ~!』


コラ!八戒!説明に割り込むなって!



八戒は踊り子に抱き着きしがみつく。


『オラの嫁になるらぁ~!』


が、蹴り飛ばされ吹っ飛んで行った。


「ふふふ…私の名前は『蝎子精』貴方達不細工な輩には興味ないわ!」



蝎子精カッシセイ

蠍の女妖怪。

手に倒馬毒と言う尖端に猛毒の付いた刺又の武器を持つ妖怪だ。


「こりゃあ…女だと思って油断していると、やられちまうな。スゲェ妖気だ!」


「怪我をしたくなければ早々と消える事ね?」


「ふざけるなよ!俺様をナメてると蠍の丸焼きにすんぞ!」


「あら?減らず口…」



その途端、俺様と蝎子精は同時に攻撃を仕掛け衝突したのだ!

俺様の如意棒が!

蝎子精の刺又がぶつかり合う!


くっ…ツエー!

それに、あの猛毒の付いた武器…

一発でもくらったらあの世逝きだ!

それだけ強い毒の臭いがしやがる!



「逃げてばかりいては私は倒せないわよ?」


「ナメるなよ!これからが本気だぜー!」


「なら私も少しだけ本気見せようかしら?」


「!!」



蝎子精の妖気が更に高まっていく?

なっ?

蝎子精の腕が何本にも見えるぞ?

残像か?

これが奴の奥義か!?



『無手精影武威!』

※ムシュウセイエイブイ



蝎子精の無数の手から繰り出される刺又の連撃が、俺様に向かって繰り出されたのだ!



ダメだ…

全ては受けきれねぇ…


「うがあああ!」


俺様はたまらず弾き飛ばされたのだ!


だが、飛ばされたはずの俺様は、背後に現れた何者かによって受け止められた。


「しっかりするらよ!お前の師匠はんを助けるんらろ?」


「あぁ!ありがとうよ!」


それは八戒であった。


「そんじゃあ、オラも参戦するらよ!」


「足手まといになるなよ?」


八戒「おめぇもな?お嬢さん!悪いらな?オラも助太刀させてもらうらよ!」



俺様と八戒は蝎子精に向けて武器を構え直したのである。


「あらら?か弱い女の私一人に、男二人がかりとは最低ね!」


「あんまり時間がないんだよ!」


「ぶぃぶぃ言わせてやるらよ!」


「フン!構わないわ!二人がかりで私に勝てればの話だけどねぇ?」




再び蝎子精の妖気が高まっていき、


『無手精影武威!』


蝎子精から無数の手が現れ、再び無数の刺又の突き出される攻撃が放たれたのだ。


「くそぉ!」

「こりゃあ…たまらんらぁ!」


ハッ!プスッ…


刺又の攻撃の他に別の何かが?


「し…しまっ…」



俺様の身体に何かが刺さったのだ?

それは透明の毒針!

火傷するような高熱が全身を走り、痺れが身動きを止める。

ち…力が…抜けていく…?

そう言えば!八戒の奴は?


「ふひゃひゃ…身体が痺れて…るるらあ…」


駄目だこりゃあ~

あっ…

俺様も身体が動かねぇ…


「どうやら、ここまでのようね?全くだらし無い男妖怪ね!死になさい!」


必殺の連激が俺様と八戒を襲う。


やべぇ…あっ!

蝎子精の鋭い刺又が俺様の左目を貫いたのだ!

怯んだ俺様は膝をつき崩れた所を、その連撃は止む事なく俺様の身体を貫いていく!



それは、隣にいた八戒も同じであった…

身体中が貫かれ無数の風穴が出来ていく。

蝎子精が攻撃を止めた頃には、無惨に穴だらけになった俺様と八戒の屍が転がっていた。


「ふふふ…まったくとんだ厄介者達だったわ…」


蝎子精は転がっていた八戒の屍を蹴り転がしたのだ。


「ん?あっ!」


違和感を感じた蝎子精が俺様の屍を刺又で貫くと、


「う…嘘?これってまさか!」


蝎子精の背後から声がした。


「その通りだよ!」


「お前ぇ!」



蝎子精が振り向いた先にいたのは、まさしく俺様!

そう孫悟空様だ!


「ようやく気付いたようだな?それは身代わりの分身だよ!ウキキ!」


「いつの間に!」



そうさ!

実は八戒に受け止められた時に、既に俺様は身代わり分身を戦わせて隠れて覗いていたのだ。


「ん?もう一匹の豚妖怪は何処に?」


「ここらよ~!」


「えっ?」


蝎子精の立っていた足下の地面が盛り上がり、そこから八戒が飛び出して来たのだ。

八戒もまた分身を残し、地面の中に潜んでいたのである。

そして、穴を掘りながら蝎子精の真下まで近付いて来ていたのだ。


「こ、この…あっ!」


蝎子精が振り向くより先に、八戒は蝎子精に飛び付き押さえ付ける。


「猿!この姉ちゃんはオラがしっかり抑えているらぁ!」


「………」


「あっ!離しなさい!あっ…嘘!変態!何処を触っているの?バカァ!!あっ!」


「ウヒヒ…絶対に離さないらよ!男の力強さを味わうが良いら~ブヒィ!」



《モミモミモミモミ…》



八戒は背後から蝎子精の胸をしっかりとわし掴みにして、揉みしごいていたのだ。


「やめ…やめな…いや…止めて…助けて~!」


「ウヒヒ…嫌よ嫌よも好きのうちらよ~」


「はぁ…どっちが悪者なんだか…とにかく!」



俺様の妖気が高まっていき、



『獣王変化・唯我独尊!』



俺様の身体が金色の大猿へと変わっていく。


「えっ?嘘嘘?」

「ちょっ…ちょっ…待つら…」


俺様は巨大な大猿の身体で、同じく巨大化した如意棒を振り上げ、

容赦なく二人に向けて振り下ろしたのだった。



『潰れろー!』


「きゃあ~」


「ふぅ~やれやれだな?」



俺様は二人を気絶させ、そのまま担ぐと三蔵の待っている村に向かって帰って行ったのだった。




到着後…


「うっ…う~ん…」


八戒が目を覚ました。

八戒の目の前では、三蔵が蝎子精の解毒剤を飲んでいる所だった。


「も~う!こんな渋い方なら、いくらでも解毒剤なんか作ってあげたのにぃ~!もう!」


どうやら蝎子精は三蔵にメロメロらしい。

てか、解毒剤なんかいくつもいらねぇーよ!

三蔵は解毒剤を飲み干すと、嘘のように元気になったのである。


「ついでに栄養薬も調合しといたのよ~」

「ありがとうな?蝎子精!」

「あ~ん素敵~!」


どうやら蝎子精の本業は妖怪医[妖怪の医者]らしく、薬の調合や治療術を得意としているのだそうだ。

体力を戻した三蔵は、目覚めたばかりの八戒の元に行く。


「何らよ?オラは仲間なんかならねぇらよ!オラは今まで一人でやって来たらよ!仲間なんか邪魔らよ!今回は気まぐれら!」


「そうか、解った!」


「ん?なんら?どういう事ら?」



確かにどういう事だ?

三蔵?

俺様はてっきり強引に豚を仲間にするもんかと?


すると三蔵は旅の仕度をするように俺様に命令すると、

世話になった村に礼を言って旅立ったのだ。


「では、行くぞ猿!」

「おぅ!」

「遅れずに着いて来い!八戒!」

「なっ?だから~!オラは仲間になんて…て、聞いてるらか!」

「豚!遅れたら飯ないからな?」


「んな?猿まで!オラは…オラは…お前達の仲間になんて…ならねぇからなぁ~!」



八戒は先に行く俺様と三蔵に叫んでいた。


アハハ!

とりあえずは一件落着だぜぇ!



次回予告


孫悟空「これで三蔵も元気になり、八戒も仲間になって(?)一件落着のようだな~ん?何だと!?次話で物語が終わるって??聞いてねえぞ!取り敢えず・・・続話が気になる・・・むむむ」

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