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聖輪奇聞・転生記!~神を導きし救世主~  作者: 河童王子
神を導きし救世主!
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僕の好敵手と好奇心?

小角が連れて来た新たな旅の仲間?


その者は玄三と同い年であり、


伝説の陰陽師の転生者であった。


星空の見える真っ暗な夜


波の音が聞こえる?

そこに、二人の男女が言葉を交わしていた。


「突然夜に海が見たいって言うんだもん…ビックリしたけど、来て良かった!」


「そうだろ?」


優しそうな微笑みを見せながら男が答える。

男は赤い長髪のいかにもホスト風の二枚目であった。

男はこの近くで一人で歩いていた娘に声をかけてナンパし、車に乗せて海に連れ出したのだ。

二人は波際に腰をおろすと、しばらく海を眺めていた。

次第に波が自分達の足元まで近付いて来た事に気付いた女は、


「そろそろ他の場所に行かない?」


立ち上がろうとすると、男はニコリと笑顔を見せ何を血迷ったのか?女を波際へ突き倒したのだ。

娘は海に足を落としてしまい、お気に入りの靴が濡れて怒りだす。


「ちょっと、ふざけないでよ!」



気付くとさっきまで目の前にいたはずの男の姿が消えていた。


「えっ?」


その時、女は足元に違和感を感じて、ゆっくりと見下ろした。

海に落ちた足が何かに絡まった感じがしたのだ。

そこで女が見たものは海全体に広がる無数の白い腕だったのだ!


「きゃあああああああ!」


伸びて来た白い腕は女の足をや服を引っ張り、髪を掴む。

恐怖の中、女に出来る事は大声で悲鳴をあげて泣き叫ぶ事だけ。

だが、助けなど来るはずもなかった。

白い腕に掴まれ、そのまま海の奥へと引きずり込まれていった。


女の姿が完全に視界から消えた後、そこには赤い髪の男が一人笑みを浮かべていた。








場所は変わる。


僕は玄三!


僕が小角とオカマ野郎…いや?

晴明と一緒に旅を始めてから三ヶ月が過ぎていた。

そんで僕達は今何をしているかと言えば廃墟トンネルに巣くった魑魅魍魎達に囲まれていたのだ。


「式神!」


そんな中、晴明は術札を自在に操っていた。

晴明の出した術札が形を変えていく?


あれはカラス?

術札が無数のカラスとなって飛び出し、向かって来た魑魅魍魎に逆に突っ込んで行く。

カラスが魑魅魍魎に触れた直後、破裂し爆発したのだ。

全ての魑魅魍魎が消え去り静まるのを見定めると、


「これで終わりですね?」

「うむ」


晴明は小角に確認していた。

そんな二人の姿をつまらなそうに見る僕。


「…………」


晴明は今、自分が成し遂げた非現実的な退魔行をあたかも子供が宿題を終らせ、親に報告するかの如く小角に言ってのけたのだ。


晴明…

かつて最高の陰陽師と言われた伝説の陰陽師の生まれ変わり。

その素質は生まれ変わった今も引き継がれ、僕と同い歳でありながらその実力と才能は計り知れない。

小角の右腕の座は、僕から晴明に移っていた。

次第に僕は置いてきぼりになっていく。


同い歳なのに!!

見た目だけは…


あいつが転生者だから?

仕方ない。

自分とは違う…

諦めよう…そうさ…

最初から無理だったんだ!



昔の自分ならそこで諦めていただろう。

だけど小角と旅を初めてから、自分の中で少しずつ何かが変化している事に気付いた。

そうなんだ…

僕って、自分が思っていたより『負けず嫌い』だったのだ!


「あいつばかり…クソォ!クソォ!」



悔しがる僕の姿を見て、小角は一人ニヤけていた。


(クククッ…計算通りじゃな…あの子(玄三)は頭が良い。だから、先を見据えて無理だと思ったら、早い段階で諦める癖が出来てしまっておった。

それは生い立ちもあるじゃろうし、その人間離れした力のせいもあるじゃろう。しかし、ふふふ。同じ歳の、同じ境遇の少年が傍にいたら?晴明を当て付けた効果!出て来たようじゃのう…)



小角の目論み通り…

僕は少しずつ変わりはじめていた。

今まで興味を持たなかった小角の術札に興味を持ったり、

小角と晴明の戦い方を熱心に『見始めた』のだ。


好奇心?

無気力だった自分にはなかった感情。

自分の歳の子供には当たり前の感情。

それは生きている者の欲求!『生きる』事への渇望へと繋がる。



そんなある日…

小角は僕と晴明を連れて魔物退治と、とある水難事故多発の調査を頼まれた。


「ここだよな?海で難破した船が引きずり込まれるって噂の海は?」


「それに、近場の海では度々人が引きずり込まれると言う噂もあるらしい。事故か?それとも…」


「少なからず、この洞窟から異様な気を感じるのは確かじゃな…」



僕達は船で付近の海を探索したところ奇妙な洞窟を見付けた。

そして一度引き返し準備を終えた後、再び洞窟の中へと入って行った。



「小角様!良ければ洞窟の奥へ式神を飛ばしますか?」


「いや…それはもう良さそうじゃぞ?既にお客さんのお出ましのようじゃ!」


「えっ?」



すると洞窟の奥から自分達に向かって何かが近付いて来たのだた。


だらり~だらり~と…


人間?

濡れたボロボロの格好、乱れた着衣、男に女?

その顔には生気がなく、まるで操られているかのように僕達に近付いて来る。



「どうやら沈没した船の乗組員や、失踪した人間達のようじゃな?残念じゃが手遅れのようじゃ…」


「くはぁ!気持ち悪い!来て早々かよ?」


「何て悪臭だ…悍ましい…」


「そう言うな?二人共…あの者達を早く成仏させてやろう!」



ゾンビ!!

僕達は旅の中で、こういった“モノ”には見慣れていた。

小角と晴明は向かって来るゾンビに向かって走っていく。


「僕も何か…」


僕も何か出来ないかと模索する。

だが、僕にはまだ戦う手段がなかったのだ。


置いてきぼり…


いや、ある!


僕は無力なんかじゃない!


そこに、


「ガガガガアアア!」


船人のゾンビが僕に向かって襲い掛かって来たのだ。


「わあああ!」


「しまった!あいつの所に!だから、足手まといは嫌なんだ!」



晴明は僕を助けようと、すかさず術札に念を籠める。


「!」


そこに、小角が晴明に待つように指示を出したのだ。


「どういう事ですか?」


「まぁ…見るが良い!玄三を…」



ゾンビが僕に噛み付きかかると!

突然、胸部から破裂したのだ?


「あいつ…」



それは、僕が貼付けた…

自分特製の術札!


『爆札』


実は、夜な夜な晴明にばれないように小角に術札の作り方を学んでいたのだ。


「あいつ…いつの間に?」


「ふふふ…」


「僕だって戦えるんだ!足手まといにするなよ!」



それから30分程で洞窟の中のゾンビを全て退治し終えた。


「終わった…の?」


「多分…」


『ハッ!』


二人顔を合わせ、同時にそっぽを向く。

やはりコイツとは仲良く出来ない…


「ん?あっ!」

「?」


「ちょっとお前見せてみろ!」


突然晴明が僕の作った術札を取り上げたのだ。


「何だよ?」


「お前!これは爆札じゃなくて“火炎札”じゃないか!」


「あっ…ああ…そうとも言うかな…やっぱり?」


「何が爆札だ!欠陥品じゃないか!馬鹿!」


「馬鹿とか言うな!上手くいっただろ?」


「そういう問題じゃない!危険だって言ってるんだよ!」


「使い方だろ?」


「どうなっても知らないからな!僕は!」



暫く言い争った後、


「こいつ…」


晴明は僕から取り上げた術札を見つめる。


(札の構成は間違っていない?玄三の札に籠めた念の力が異常に強すぎて、火炎札が容量を超えて爆発を起こしてたのか?)


「どちらにせよ、欠陥品だ!」



晴明は小角の方を向くと、


「とにかく、これで終わりですね?」


「まだじゃ!まだ元凶が奥におるわい!」


「奥に何が?」


「それを探るのが儂達の仕事じゃぞ?」


「解りました」



更に僕達は奥に進む事にした。

奥に進むと、灯りが見え、そこには古びた祭壇が奉ってあった。

どうやら、この祭壇を奉っている何者かが、人間の船を沈めてはゾンビにして操っていたのか。


「近くにいよるな…」


「気を抜くなよ!」

「お前こそ!」



僕達は気を巡らせ敵の位置を探った。

辺り一帯に妖気が充満して正確な位置が掴めない。

それは小角と晴明も同じだった。


しかし間違いなくソイツ達はこちらを見ていたのだ!


視線?殺気を感じる?

何処だ?何処にいる!

ん?

その時、僕は異様な気を発する石を見つけた。

それは、祭壇に置かれた真ん丸の石。

その隣には一枚の張り紙が有り、こう書かれていた。



『この石を動かしたらダメですよ?

動かしたらどうなるか解ります?解らないですよね?

そうなると、やっぱり気になります?

もしかしたら何も起きないかもしれないですし、とんでもない事が起きるかも?

どっちなのでしょう?

さてさて、ムズムズしてきました?

でも、動かしたらだめ!

絶対にだめ!触らないでね』



「・・・・・・」


何だろう?これは?

小角も晴明も気付いているのか?

見て見ぬふりをしているのか?

眼中にない様子だ。



・・・すごく気になる。


これは、触るなと書いて触れと言う意味ではないだろうか?


そんなはずはないのは解っているのに・・・


僕の手が、恐る恐る石に近付いて・・・


はっ!危ない!ダメだ!


僕は何を血迷って??


が、僕の目は興味津々で石から目が離せないでいた。



す・・少しくらいなら?


「待て!それに触るな!」



僕の挙動不審な行動に気付いた晴明が叫んだ!

だが、既に時遅く僕は好奇心に負け、その異様な気を発する石に触れてしまったのだ。


その途端、突然洞窟の天井が崩れ落ち床が抜け落ちた。


「それは罠だぁ~!」


「うわあああ!」



僕達三人は崩れ落ちる床に巻き込まれ、更に地下へと落下した。


どれくらい経ったのだろう?

暫くして僕が目覚めると、そこには晴明が呆れた顔で僕を睨んで座っていた。


「この馬鹿…」



聞くと、僕と晴明は一緒に落下して、情けなくも僕は気を失い晴明に治癒されていたのだ。

しかも小角とは落下時にはぐれてしまったらしい。


「…………」



だって仕方ないだろ?


触るなと言われたら触りたくなる…


それって好奇心旺盛な子供のする事だもんな?


許してやろうぜ?なっ?


あははは…


ごめんなさい。

次回予告



三蔵「好奇心旺盛な事は良い事だ!


大切なのは、失敗を認め、謝ること!


誠意なのだ!


よし・・・良い事を言ったぞ?俺!


だから、これでなかった事にしてくれ。


えっ?次の話は晴明の過去話だと?


まさか・・・出番減らされるとは~


ナウマク・サマンダ・バザラ・ダン・カン!


俺の出番をくださ~い!」

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