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聖輪奇聞・転生記!~神を導きし救世主~  作者: 河童王子
神を導きし救世主!
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鬼を使役し者!

樹海の奥地にて行われた会合にて、世界の終幕の予言が下された。


世界を救えるのは、神を導き現れると言う救世主のみであった。


その救世主こそ?


ふぅ~俺は三蔵だ…

今、ちょっと面倒事に巻き込まれたみたいなんだな~


俺を囲むように道を塞ぐ黒服の五人の男達。

人違い?いやいや…

間違いなく俺に用があるみたいなんだな~


えっと…チンピラ?

ヤクザ屋さん?

まさか…例の親父が金を取り返そうと?


ダメだ…

心当たりありすぎる!



とにかく殴るか?

そんで、ダッシュで逃げるのが手っ取り早いかな?

うん。それしかないよな?



俺は拳を強く握った。

すると、男達の一人が前に出る。


「三蔵さんですね?」


「あぁ…そうだが…」



俺が答えると男達の様子がおかしくなったのだ??

突如、身体が膨れ上がっていき服が張り裂けて行く?

目の前の男達の姿が鬼の姿へと変化していったのだ!



「な~んだ?心当たりないと思ったら、そっちのお客だったか?悪いが金にならな…オッ?」



金にならない退魔はしない主義なのに俺の台詞を無視して鬼達が襲い掛かって来たのだ。

マジに金にならない仕事したくないのに、めんどいな~

俺は鬼の攻撃を躱しながら素早く印を結ぶ。



『臨兵闘者皆陣烈在前!』



俺の掌に電流が走る?

それは人間誰しもが持つ『気』なる力である。

そして俺は背中にしょっていた錫杖を両手で構えると、錫杖に俺の『気』が伝わった。



「俺の霊気を籠めた錫杖の音色を聴きやがれぇー!」



俺は錫杖を両腕で掴み、地面に向かって力強く何度も突いたのだ。



《チャリン!シャン!シャン!シャン!シャン!》


錫杖の音色が霊気の波紋を起こし、


『ウギャアアアアア!』


俺の周りを囲む鬼達を一瞬にして消し去ったのだ!


「ん?」


俺は鬼の消滅したあとを見ると、そこには何か紙のようなものが落ちている事に気付いた。

俺はその紙切れを拾い上げる。

これは術札で間違いなかった。

札には五芒星が描かれていて、その上には鬼と言う文字が書かれていた。


間違いない…この鬼達は『式神』だ!


ちなみに式神とは術者が捕まえた鬼を札に封じ、意のままに使役出来る鬼の事である。

しかも、俺に鬼だと感づかせないほどの式神を操るとは?

間違いないな?

こいつ達の黒幕の正体が分ったぜ!


「いるんだろ?何のようだ!」


俺は何処かで隠れて見ているであろう黒幕に向かって叫んだ。

すると、隠陽師の格好をした若者が俺の前に現れたのである。


歳は俺と同じくらい…

色白の肌に黒髪を女みたいに長く伸ばし、切れ長の目つき…

マジに絶世の美女と見間違うほどの美貌の男!

俺はコイツを知っていた。

こいつの名前は…


安部晴明あべのせいめい



俺と晴明が対峙する。



「三蔵…お前を捕らえに来た!」


「いい加減諦めろ!俺は捕まらねえよ!カマ野郎!」


「誰がカマだ!欠陥品が!」


「あん?誰が欠陥品だと?殴るぞ!カマ!」


「どうやら仕置きされたいようだな?欠陥品!いや?不良品のがあってるか?」


「だれが不良品だぁ?あぁあ゛?この男女!」


「…………」

「…………」


俺と晴明は言い合いの後に沈黙すると、

同時にキレたのだ。

俺はすかさず九字の印を結ぶ。


『臨兵闘者皆陣烈在前!』


晴明の奴もまた念を籠めていた。

念は指先に集められると空中に光の線を横、斜め下、斜め上と引きはじめる。

やがて光の線はある図形になっていく。

晴明は五芒星を描いていたのだ。

それは隠陽道の奴達が使う術法!


俺の方も身体から静電気?

目に見えるほどの電流が走る。

体内エネルギーである“気”が高まっているのだ!

その気が掌に集約して、



「うおりゃああ!」


「ハァアアアア!」


同時に俺と晴明が異なる術法の『気』を放ったのだ!

お互いの中間で衝突する気と気!!

凄まじい重圧が押し寄せて来る。


クッ!


俺達の力は拮抗した!

俺は足に力を入れ踏ん張る。


「拉致があかねぇ…」


空間が歪む程の凄まじい気が衝突し押し合う中、晴明が言った。


「三蔵!お前の罪はこの私が罰する!」



『小角様の無念を晴らすために…』


「小角!」




一瞬、俺の心が揺れた…


小角…


俺の師であり…


恩人…


そして俺はその恩人を…


この手で殺したのだ。



俺の心の動揺は拮抗していた力にも影響された。

次第に俺の気が晴明の気に押され始める。


「くっ…しゃらぁくせぇえええ!」



俺は押し寄せる二人分の気を、上空へと軌道を変えて打ち上げたのだ。

力の渦を上空に逃がす事で、押されつつあった気の渦に飲みこまれる事から免れたのである。

空が一瞬閃光のように輝いたかと思うと、大砲を撃ったかのような轟音が響いた。


「ハァ…ハァ…」


「相変わらず化け物じみた力だな?」


「お互い様だろ!てか、えらい近所迷惑だな?」


「心配するな?この一帯には結解を張っておいた。一般人には気付かれはしないさ!」


「用意周到だな?」



晴明は休む事なく既に新たな術を発動させていた。

懐から黒い術札を出した晴明は、その札を上空へと放り出す。

すると黒い術札の形が変化し、数十?否!数百もの鴉が出現して俺に向かって襲って来たのだ。


「クッ!」



鴉の攻撃を躱す俺の衣服が切り裂かれる?

まるで剃刀かなんかの鋭利な刃物で切られた感じだ!

それが飛び回りながら四方八方から襲って来るのだ!

しかも!オィオィ!さっきより増えてないか??

鴉は一匹一匹と増殖していたのだ。


俺は腕に巻き付けていた数珠を手に取ると、念を唱えながら気を籠めていく。

そして向かって来る鴉の大群に向かって、


『数珠連弾!』

※ジュズレンダン!


数珠をハジキのように弾き飛ばしたのだ!

放たれた数珠はマシンガンのように飛び回る鴉を貫き落としていく。

更に!


『破裂拡散!』


数珠が破裂し四方八方に飛び回っていた鴉達を全て貫き消し去っていく。



「晴明!いい加減お遊びは止すんだな」


「フッ!次の術を発動させるための時間稼ぎにはなった!これからが本当の戦いだ!」



晴明は懐から取り出していた十二枚の術札に念を籠める。

そして宙に放ると、その札は晴明を囲み、まるで貼り付いたかのように宙で止まったのだ。

そして晴明の霊気が高まると同調したかのように、宙に浮いた札から異様な気が発生し強力な魔力の波動が伝わって来た。


今までとは比べ物にならない凄まじい重圧だぜ!



「いよいよお出ましのようだな?晴明の取って置きがよ!」



すると宙に浮いた術札が燃え出して、そこから再び式神が出現したのだ。

いや?ただの式神なんかじゃねぇ!

最初に俺を襲おうとして現れ、軽々と倒してやった式神の鬼なんかとは比べものにならない。

あれは晴明を守護する鬼の中の更に上の存在!


鬼神!


晴明の十二体の守護鬼神だったのだ!

名前を、


『クビラ』『バサラ』

『メイキラ』『アンチラ』『マニラ』『サンチラ』

『インダラ』『バイラ』

『マコラ』『シンダラ』

『シヨウトラ』『ビカラ』


晴明は鬼神に十二神将の名前を付けていた。

晴明を守るように鎧を纏った鬼神達が、俺を威嚇して見下ろしている。


「なんて迫力だ…」



すると晴明の合図で十二体の鬼神達が襲い掛かって来たのだ。

俺は錫杖を握ると向かって来た鬼神を殴りつける。


「ウオリャア!」


が、難無く鬼神は俺の錫杖を受け止め掴んだのだ。


「なっ?うぐっ!」



俺は突然脱力感を感じた。

錫杖を伝って鬼神が俺の力を吸い取っているのだ。

俺が錫杖を手離すと同時に群がるように俺を囲み近付いて来る。


コイツ達…

どうやらコイツ達は俺の気を喰らうようだな?

鬼神の二体が口を開け、咆哮と同時に雷と火炎弾を放って来たのだ!

俺はすかさず飛び上がろうと足を踏み込むと、


「ナッ?」


突然、俺のいた地面が盛り上がり一匹の鬼神が現れたのだ。

完全に油断した。

俺は両足を掴まれたのだ。

身動きを奪われ、正面からは雷と火炎弾が迫る!

咄嗟に俺は懐から術札を取り出し念を籠める。


「クッ!!結解防御札!」


俺の張った防御札の結解が向かって来た雷と火炎弾を受け止め防いだのだ。

だが安心する暇もなく、左右から現れた二体の鬼神により両腕と両足を掴まれ完全に身動きを奪われたのだ!そして、急激に力を吸い取られていく。


「さぁ!三蔵!覚悟するが良い!」


「あががが!」



ダメだ力が入らねぇ…

クソッタレ…

この鬼神、美味そうに俺の気を喰らってやがるぜ?


美味いか?俺の気はそんなに美味いのか?

そうか…美味いか?

よっぽど腹を空かせていたんだな?


だがよ?俺だって今朝から何も食わずにいたんだぜ?


その俺を前にして美味そうに…うっ!うっ!うっ!


マジにム・カ・つ・く!


俺は今日金持ちの家で荒稼ぎした後、運が良ければ御馳走にありつけると思って朝から飯を抜いていたのだ。それを…腹を空かせた俺の目の前で美味そうな顔しやがって…


「グググッ!!」


本当、ムカつくぜぇーー!


俺は押さえつけられた腕を強引に前に突き出すと、

印を結びながら真言を唱えたのだ!



『ナウマク・サマンダ・バサラ・ダン・カン!』



真言を唱え終えると、俺の背後から突然炎がほとばしる。

すると俺の身体を掴み押さえつけていた鬼神達が堪らずに俺を手離し、吹き飛ばされる。

そして、鬼神を凌ぐ魔神が現れたのだ!



俺を護り、俺の力の象徴…


俺はこう呼ぶ…


『不動明王』と!!



俺は拘束を解かれて自由になり、肩を回しながら首を鳴らす。


「これからが本当の闘いだぜぇ!」


「とうとう呼び出したか!小角様を死に追いやった憎き魔神!」



俺の不動明王と、晴明の十二体の鬼神が睨みあう…



「私達には小手先の技は必要ないようだな?お遊びはここまでだ!」


「そりゃあ、こっちの台詞だぁー!」



一触即発!

不動明王を従えた俺と十二体の鬼神を従えた晴明が同時に動いた。


その時!


『お前達!そこまでだ!』



なにぃ~??

俺と晴明の間を割って入るかのように、四つの影が飛び込んで来たのだ。


「なっ?なっ?」


「お前達は…グッ!」


晴明がその一人に当て身を打たれ、倒れ混むように気絶したのだ。

まさか!?

晴明が一発で気絶だと?


「クッ!」


俺は直ぐさま体勢を整え、新たに現れた四人の乱入者に警戒した。


が…馬鹿な?

俺が懐に入られただと?


「アガッ!」


うっ…っ…みぞうちだと?


俺の視界がボヤケていく?


段々と意識が飛んで…いく…


…………………。


そして俺も同じく気を失ったのだった。






どのくらい経ったであろうか?


気付くと、俺は身体を拘束され牢屋らしき場所に入れられていた。





次回予告



三蔵「何なんだよ?せっかくこれからが本当の本当!マジマジの戦いだったのによ!俺があのキザな男女をコテンパンに泣かせてやる見せ場が無くなってしまったぞ!」



三蔵「はあ~??次の話で序章編が終わりなのか?聞いてねえよ!てか、収拾付かないだろ?俺を襲った連中も気になるしよ?」



三蔵「そうか!次回の話で俺が全員ぶん殴って終わらせるのだな?そうか!そうか!腕がなるぜー!!」



次話も気合い入れて、


ナウマク・サマンダ・バザラ・ダン・カン!

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