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聖輪奇聞・転生記!~神を導きし救世主~  作者: 河童王子
神を導きし救世主!
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俺は天下の回り者!

それは…


過去、現在、未来…


その先に迫る破滅の時。


そこに現れる『神』と呼ばれる者達がいた。

神々は世界の終末に挑んでいく。

が、破滅の勢いは凄まじく神は一人一人、闇の中へと消えていった。

唯一の救いである神が倒れ、この世の生きとし生ける者達が絶望を予感した。


その時…


何処ともなく一人の人間が光の中から現れたのだ!


その者は金色に輝く十二人の使徒を従え世界の終末に光明を照らしていく!


『希望』を『未来』に繋げるために…


その者…

神でも人でもなく…

人でも神でもありし者!


この世の終末を前にして人々はこう呼んだ。


神を導きし救世主と!



ん?もう始まったのか?


仕方ねぇな?

じゃあ、語るとするか?


俺は、とある豪邸に招かれて(?)いた。

因みに俺の他にも数人ばかり呼ばれた連中もいるみたいだがな?

それも怖そうな連中ばかりの強面がぞろぞろ。

俺が場違いみたいだな…



さて、俺達が呼ばれた豪邸では今、とんでもない面倒事が起きていたのだ。

俺達は案内される部屋へと向かっていた。


その部屋と言うのは?


「着いたぞ!」


到着したのか?

俺達は言われるがまま部屋に入った。

その部屋はどうやら子供部屋のようだな?


「!!」


そこで俺達は見たのだ。

ベッドに横たわる少女(10才くらいか?)が足を鎖で縛られた上、身体はロープで拘束されていたのだ。

にもかかわらず、まるで気がふれたかのように暴れていた。

鎖で締め付けられた足からは血が滲み、少女は発狂していたのだ。


病気?

いや?これは尋常じゃない…


黒服の男達が数人がかりで少女を押さえつけ、医者のような奴が精神安定剤の注射を射とうとするが暴れて手が出せないでいた。

しかも屈強な男達が代わり押さえにかかる。

だが、状況は変わらず、男達がムキになるが逆に少女の腕力だけで吹き飛ばされる始末だった。


それを見ていた少女の両親が落胆していた。

それから暫くして、男達は何とか精神安定剤の注射を少女に射つ事に成功したのだ。

少女は身体を震わせながら暴れ、次第に落ち着いてゆく。


「やったか?」


が、少女は再び暴れ出したのだ。

男達は少女の狂気に次第に怖れを抱き始めていた。

最初から事の次第を聞いてはいたが、屈強そうな大人が息をきらせていた。

しかも全員格闘技など腕に自信のある者達が、まだ10歳かそこらの華奢な少女の腕力で投げ飛ばされるなんてある訳がないのだ。


それに…

あの少女の目…

まるで野獣に睨まれたかのように、男達は畏縮してしまっていた。

男達はその暴れる野獣を素手で捕まえなければならないのだ。

すると、焦らされた少女の父親が怒鳴り出したのである。


「何とかしろ!お前達にいくら払っていると思っているのだ?よし!娘を抑えたら、今の倍の金を出してやろう!だから、しっかりしろ!」



だが、男達は一人一人部屋から逃げるように出て行ったのだ。


これは尋常じゃない…

かかわっては、命を落としかねない…

そう思わせる何かが、少女にはあった。


まるで・・・


男の一人がついに、その「言葉」を発したのである。


『化け物だ…』



その言葉が、静まりかえった部屋に響くと…

残っていた男達は顔を青ざめ、部屋から慌てて逃げ去ってしまったのだ。


残されたのは少女と、その両親…


それと…


「だから、無理だと言ったろ?最初から俺に任せておけばこんな無駄な時間かからなかったのによ~?」



この俺であった。

少女の父親は、渋々この俺を見たのだ。

そこには、修行僧の格好をした若者?

歳は18歳のこの俺が錫杖を手にヤンキー座りをしていたのだ。

見るからに胡散臭いと思われても仕方あるまい。


何故なら俺は『拝み屋』なのだからな!

ちなみに拝み屋とは人知を越えた超常現象に金を貰って解決する仕事なのだ。

俺はこの豪邸から不穏な『気』を嗅ぎ付け、それでこの親父の前に現れて自分を売り込みに来たのだ。


「俺が娘を助けてやるよ!」



俺の言葉には説得力がある。

何故なら、俺にはそれが出来るからだ。

この親父は一瞬怯んだが、俺の『若さ』にまだ信用が出来ないでいたのである。

そもそも心霊やらオカルトなんて信じちゃいないだろうからな。

だが、藁にもすがる気持ちで、とりあえず俺を家にあがらせていた。

のだが…


頼りの男達が使い物にならなくては仕方ない。


「お前…本当に何とか出来るのだな?」


「ああ!任せろよ?娘を助けてやろう!」



俺は指を一本立てて、親父を見る。


「一万か?」


「馬鹿か!子供の小遣いじゃ、ねぇんだぞ!」


「ふざけるな!小僧が一千万など吹っかけやがって!」


「別に構わないんだぜ?だけどよ…あのお嬢ちゃん死ぬぜ?」


「!!」



そこに母親が話に割り込んでくる。


「分かったわ!一千万出すから、娘をお願い!」


「馬鹿もん!こんないかがわしい小僧に、一千万なんて!」


「貴方!娘がどうなっても構わないの?」


「そ…そりゃあ…そうだが…」


「俺もあんまり暇じゃないんだ…別に人助けをしたくて、ここにいる訳じゃないんだからな?金くれないなら帰るぜ?」


俺は帰る素振りをすると、父親は慌てて止めに入る。

これも営業としてのテクニックだ。

人は押せば逃げるが、逃げられると追うものだからな。



「待て!分かった。ただし、娘をもとに戻せたらの話だ!」


「オッケー!」



俺は懐からお香を取り出すと、火を点けた後、部屋中に散らばせるように転がらせたのだ。


「何をしているんだ?火事になるだろ!」


「まぁ、黙って見てろよ?今に俺が見えてるモノを、お前達にも解るように見せてやるからよ!」


「訳の分からない奴だ!」



するとお香の煙りが部屋中を充満させていく。


その時だ!


「きゃあああああ!」


母親が突然悲鳴をあげたのだ。

そのすぐ後、父親の方も自分の目をうたぐっていた。


「どうだ?見えただろ?」



お香の煙りは次第に部屋中を覆い、その煙りは少女の後ろのにある影から、異形の者の姿を現したのだ。

少女に覆い被さるように、『ソレは』こちらを睨むように見ていた。

実際、本物を見た事がなかったとしても、昔話や逸話からその姿をイメージ出来たであろう…

その特徴は額に角を生やした異形のモノ…


鬼…


「ま…まさか…こんな事あるはずが…何かのトリックだ!」


「あんまり動かない方が良いぜ?」


「!」



俺は、夫婦の足下の周りに術札を貼付けておいたのだ。


「いつの間に?」


「そこから動いたら、命の保障は出来ねぇぜ?」



夫婦が動かない事を確かめた後、俺はゆっくりとその異形のモノへと近付いて行く。

すると、少女が俺の前で奇声を発したのだった。


「キィイイイイ!」



どうやら俺を威嚇しているようだ。


「あああ…」



心配そうに見ている母親を横目に、俺は少女に腕を伸ばす。


「ギギキ…ギギ…」



俺の手が少女の額の前に止まると、俺は少女の中から伝わる念を感じとったのだ。


なるほどな…

俺は振り返り、父親に言った。



「おい?親父さんよ!あんたは、よっぽど他人から憎まれているようだな?」


「何だと?」


「一つ豆知識を教えてやるよ!鬼ってのはな、人の憎しみや恨みの念を養分にして現れるんだ。この鬼はあんたを恨んだ人間の念が集まって現れたんだぜ!」


「何を馬鹿な…私が恨まれる事なんか…」



父親は言葉が詰まる。


「横領?…犯罪を被せた?それに…ふ~ん…そりゃヒデェな…」


「何を言ってるんだ?」


「あなた?」


俺は俺にだけ見えている映像を言葉にしていた。



「伝わってくるんだよ…恨みの念が…怒りが…憎しみが…あんたがしてきた罪を俺に知って、裁いて欲しいんだってよ!」


「ふざけるな!」


「罪は必ず返って来るもんだぜ?それが因果応報ってもんだ!あんたの罪は廻り廻って、あんたの娘に鬼がとり憑いちまったんだよ!」


「そんな馬鹿な事…」


「あるんだよ!目の前にある現実が真実だ!」


「私はどうしたら…」


「ふん!自業自得だ!娘の命を鬼に捧げるか、あんたが代わりに鬼に喰われるか…お前も人の親なら、娘に代わって鬼に喰われるんだな?それが、唯一の…」


「それを何とかするのがお前の仕事だろ!」


「諦めな…」


「もう一千万だす!」


「何とかしよう!」


「…………」



なんだよ?その目は??

即答した俺に、この親父は呆気に取られつつもお金を払う事を承諾したのだった。


俺は数珠を腕に巻き付け意気揚々と気合いを入れる。



「地獄の沙汰も金次第!金は天下の回りもの!金は俺を裏切らない!オッケー・オッケー!何とかしましょう!」



そして俺は再び少女に向かって腕を伸ばしたのだ。

今度は少女の顔面を掴み握る。


「お前、何を?」


「見てろって、言ってるんだよ!」



俺は掴んだモノを引っ張りあげるために力をこめた。


「おぅりゃあ!一本釣りだぁー!!」



少女の身体から異形が俺に掴みあげられて抜け出したのだ。

少女の身体から鬼が生身の肉体を持って、姿を現したのである。

その体格は俺の身体の三倍近くあった。

憑き物が抜けた少女は力なく気を失い倒れこむ。



「きゃあああああ!」


母親は鬼を見て気を失った。

無理もなかろう…



親父の方は…

腰を抜かして、ふるえてやがるな。

あの親父…ちびってるな…

あれは…

これは、後々ユスリの種になりそうだ!



『ガガガガ…ガガガ!』


すると鬼の奴が自分自身に起きた状況に気付いたのだ。



『オレに…から…身体が?こ…これで…あの男を…直接八つ裂きに出来る!』


「おぃ?肉体と言っても俺の霊力で一時的に体があるように感じてるだけだぜ?この結解から出たら、また霊体に逆戻りだぞ!」


『何だと?なら今度はお前の身体を奪ってやる。そうすれば俺は生身を手に入れて、あの男を喰らってやれる!』



鬼は俺に向かってその太い腕で殴りかかってきたのだ。


『ガガッ!?』



突如、鬼の視界から俺の姿が消えたのだ?


いや…

俺は瞬間、鬼の頭上に飛び上がっていた。

そしてすかさず、九字の印を結ぶ。



『臨・兵・闘・者・解・陳・烈・在・前!』



すると俺の身体が薄く光り輝いたのだ!

それは、人間の魂を極限にまで高める事で現れる精神エネルギー!

霊気と呼ぶ。

俺は自らの霊気を拳の一点に集中させると…


鬼を殴り飛ばしたのだ!


霊気を纏った拳は霊体は勿論、異形の連中にも物理的なダメージを与えられるのである。

突然受けた痛みに鬼は仰天していた。

鬼は顔を押さえながら俺を睨み付け起き上がってくる。

その形相はまさに悪鬼となって向かって来たのだ。


『ガアアアアガガガガア!』



俺は着地と同時に真言を唱え始めていた。



『ナウマク・サマンダ・バザラ・ダン・カン!』




俺の背後から異様な力の波動が伝わってくる…

それは次第に人のごとき形を現したのだ!


鬼?

いや…もっと遥かに強大な力の主…

鬼以上に険しい形相に、その身体は燃える炎のごとく赤く染まり、

その身体は炎に覆われていた!


俺はこの力の主をこう呼んだ…


『不動明王』と…



俺は左手を鬼に向けると燃え盛る炎の縄が飛び出して鬼を縛り上げたのだ。


『何なんだぁ!!キサマはぁあああ!?」




俺は身動き出来なくなった鬼に対し右手を翳す。

今度は俺の右手から炎がほとばしり形を成していく。

それは燃え盛る炎の剣!

一切の魔を浄火の炎で焼き付くし、屈服させる退魔の剣…


『降魔の剣』


俺は右手に降魔の剣を携え握ると、目の前の鬼を…



『地獄で閻魔が待ってるぜぇー!』


一刀両断にしたのだ。




ん?


そう言えば、まだ俺の名前を教えてなかったな?



俺の名前は…


三蔵みくら玄三げんぞう




人は俺を三蔵さんぞうと呼ぶ。


次話予告!


三蔵「おっと!俺、三蔵だ!よろしくな?


この物語の正真正銘の主人公だ!


まあ、長く居座るつもりだから、茶でも飲んで俺の活躍を正座して読むんだな!


きっと、痺れさせてやるぜ!


で、次の話は何か俺の知らない場所で俺に面倒事が起きているんだってよ?



それに、俺の前には奴が・・・


とにかく読んでくれよな!


ナウマク・サマンダ・バザラ・ダン・カン!


セイリャア!!



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