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聖輪奇聞・転生記!~神を導きし救世主~  作者: 河童王子
転生記~始まりの伝説編~
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鼠親分をぶっ飛ばせ!

黒豚妖怪八戒に逃げられた俺様と三蔵は、旅を続けていた。

しかし金がなければ・・・





皆さん聞いてくれ。

俺様は孫悟空だ!

俺様と三蔵は人間達に悪事を働く妖怪なんかを退治しながら旅をしている。


と、言っても偽善活動ではないのが三蔵。

妖怪にはいろいろ懸賞金がかかっており、悪さをする妖怪を退治すると人間のお偉いさんから報酬を戴けるって訳なのだ。


まぁ、そんなこんなで軍資金を得ながら旅をしている訳だが、そんな事よりも俺様は三蔵の旅の目的をいまだに聞かされてはいないのである。

とにかく俺様は三蔵と一緒に旅をすれば、いずれ俺様が一番欲しいものくれてやるという言葉に騙されて旅をしているのだ。


正直、三蔵なんか置いて出て行っても良いが、決まって行くとこないし…

他に目的もない。

つまり暇潰し半分の旅なのだ。

逃げ出せない訳じゃないからな?


うん。うん。うん。


おっと!それより今回の話だったな?



「なぁ、三蔵?」


「ん?」


「あったぞ!この村にも!」



俺様はいつもの習慣のように村の掲示板を見に行く。

そこには懸賞金が書かれた妖怪の手配書が貼られていたのだ。

このご時世、どこの村にも決まって妖怪の手配書が貼られている。

それだけ妖怪達が人間達の生活を苦しめているのだ。

俺様は手にいれた手配書を三蔵に渡した。


「鼠親分?鼠の妖怪か?まぁ、まずまずの懸賞金だな!」


それから俺様と三蔵は鼠親分と呼ばれる妖怪の情報収集をし、鼠親分がよく現れるという村に向かったのである。

どうやらこの鼠親分と言う妖怪は、手下の子分を連れて人間達の村から金銭を奪い、女子供を攫っては人身売買をしていると言うのだ。

まぁ俺様に言わせてもらえば、小者中のくだらない雑魚妖怪だな?


「三蔵!」


緊張感を感じさせる顔で俺様は三蔵を呼ぶ。


「現れたのか?」


「俺様…腹が減ったぞ!」


三蔵の奴が俺様の頭を殴った。

本当に手が早い奴だ!


「いて~よ!殴らなくても良いじゃんかよ?」

「黙れ!」


暫くした後、再び俺様は三蔵を呼ぶ。


「おい!三蔵!」

「今度こそ現れたのか?」

「ん?いや?ポケットの中に昨日食べた饅頭が入ってたぞ!俺様ラッキーだな!」


あっ…

三蔵の目が怖い?

俺様…俺様…

ご…ごめんなさい…

俺様は三蔵に容赦なく殴られたのだった。



暫くした後、俺様は顔を腫らした状態で再び三蔵を呼んだ。


「しゃんじょ~!」


「まだ殴られ足りないようだな?」


「ちげぇーよ!ホラッ!現れたぞ!例の妖怪がそ…ご!!」



言い終える前に俺様は三蔵に殴られる。

痛い!痛い!

て、エッ?

ごめんなさい!

エッ!エッ?あれ?

今、俺様は何故三蔵に殴られてる?



「何故…殴る??」


「スマン…つい勢いで…」


「ふざけるなぁ!勢いで殴られてたまるかぁ!一発殴らせろ!」


「うるせぇ!いつもお前がくだらない事を言うからだぁ!」



俺様と三蔵は暫く喧嘩した後、現れた鼠親分の様子を隠れて見張っていた。

二人とも生傷が痛々しかった。

どうやら、あいつが鼠親分のようだな?


「ハイハイ皆さん!村中のありとあらゆる財宝を全て出してくださいね~!」


どうやら鼠親分の子分達が、村の人間達を広場に集めているようだ。


「ほら!ぐずぐずするな!」

「ぐあ!」


鼠親分の子分が足に怪我をして転んだ若い青年を殴りつける。


「これこれ?手荒な真似はよしなさい!そうですね。もたもたする悪い人間は…」


鼠親分は持っていたナイフを投げると、ナイフは若者の太股に刺さったのだ。


「うぎゃああ!」


若者は血だらけになりながら泣き叫び、その場にいた娘達の悲鳴が響き渡った。


「あらら?余計に煩くなってしまいましたね?」


鼠親分は懐から新たなナイフを出し泣き叫ぶ若者に向かって投げると、ナイフは若者の胸に突き刺さり若者は静かになって、その場に倒れて動かなくなった。


「貴女達もうるさいですね?」


鼠親分に睨まれ、奮えながら悲鳴を押し殺す娘達。



孫悟空「あの野郎!」

三蔵「動くな!」


俺様が飛び出そうとすると、三蔵が止めた?

そして小声で作戦を立てる。


「何故止めるんだよ?まぁ、俺様は別に人間がどうこうなろうと構わないけどよ?」

「素直じゃないな?お前には珍しく正義感か?」

「ザケロ!ただ、自分以外の妖怪が好き勝手やっているのを見ているのが腹たつんだよ!」

「まぁ、待て!出るのは人質を解放してからだ!」

「なるへそ…解ったよ!で、何か策があるのか?」

「そうだな?猿よ!ちょい耳を貸せ」

「!?」



俺様達が作戦を立てている時、鼠親分は子分達に村人達を集め男と女に分けさせていた。

男達には村の財宝を村中から集めさせ、若い娘達は自分の周りにはべらせて酒をつがせていたのだ。


「ほれほれ、こっち寄りなさい!」

「止めてください!おたわむれを…あっ!嫌!」


鼠親分は若い女達にちょっかいを出し、セクハラ行為をおこなっていたのだ。

すると建物の物陰から俺様達とは別に、その様子を覗き見している者がいた?


「くそ羨ましいら…」



この喋り方?

そう!俺様達とは別に物陰から隠れて様子を窺っていたのは!

この前、俺様達と戦闘を繰り広げた黒豚の妖怪・八戒であった。



「ふふふ…これでオラが奴らをやっつけたら…娘達は皆オラに夢中らよ~!鼠妖怪に代わってオラがイチャイチャして貰うら!しかし、どうやるらかな?」



その時である。

突然 空から雨が?


「ん?雨らか?」


雨には鼠親分や子分達も気付いていた。


「おやおや雨ですか?ん?この雨なんか…」


鼠親分は違和感を感じて降ってきた雨を舐めてみると、


「これは!?」


雨だと思ったのは実は酒だったのだ。


「これは?酒?でも、どうして酒が空から降ってきたのですか??」



鼠親分は空を見上げると、建物の屋根上には錫杖を持った三蔵が立っていたのである。

更にその上空から俺様が金斗雲に乗り、酒樽をかち割りながら酒を降らせていたのだ!


酒樽の酒雨が降る中、


「何なんですか?あの者達は何者ですか!?」


「今日は無礼講!出血大サービスだ!好きなだけ飲みまくれぇ~!」


俺様達の登場に八戒も驚いていた。


「何をやってんのら?あいつら!てか、何故ここにいるらよ?」


すると三蔵は知っていたかのように、上空から八戒に向かって叫んだのだ。


「おい!そこで隠れて見ている黒豚妖怪!お前は村人達に結解を張り守るのだ!」


「なっ?何故、オラがいる事を?いや!それより何故オラがお前達の手伝いなんかしなきゃいけないのら!」



三蔵は八戒を見て笑みを浮かべていた。


「任せたぞ!」


三蔵はそう言うと、印を結びながら真言を唱える。

その炎は降っている酒に点火し、空中から炎の雨が降り始めたのだ!


『印酒雲天・炎雨!』


※インシュウンテン・エンウ!


「きゃあああ!」


空から降り始めた炎の雨に、村人達は悲鳴をあげていた。


「まったく、無茶な事をするら!仕方ないらな!」


八戒はすかさず印を結び、捕まっている人間達に向かって駆け寄る。

すると八戒の周りに水の泡が噴き出してきて、次第に水の壁を作り出したのだ!



『水泡結解・防御壁!』


八戒の水泡結解が村人達を包み込んでいき、降ってきた炎から身を守る。


「ふっ…これで心置きなくやれるなぁ…」


「心置きなくって…もう、無茶苦茶やってるだろうが!」



酒に引火した炎で、上空は炎の塊と化していた。



「さぁ…お仕置きの時間だなぁ…ニヤッ」



三蔵は空中に浮かぶ巨大な炎の塊を、鼠親分と子分達目掛けて落としたのだ!


「うぎゃあ~!!」



炎に包まれる鼠親分と子分達。

村は炎に包み込まれていく。

てか、やり過ぎだよな?これ?


炎が消えてから暫くすると、村人達はマル焦げになった鼠親分とその子分達を丸太に縛り吊るしていた。

村人達に囲まれ青ざめている鼠親分は恐怖にお漏らししていた。


「放しなさい!私をどうするつもりですか?」

「うるせー!」


三蔵が鼠親分を見下ろしている。



その顔は鬼の形相だった。

おっかなかった。


「ひぃ!ごめんなさい!ごめんなさい!」


怯えて三蔵に懇願する姿を見ると、他人事に思えないのは何故なのだろう?


「まぁよ?命を奪わなかっただけ有り難く思えよ?」



俺様は鼠親分を蹴り飛ばしたのである。


「いやぁ~!」


泣き叫ぶ鼠親分の顔を見ていると、ムズムズする。


なんか俺様も虐めるのが楽しいかも…


俺様の中で新たな世界が目覚めていく。


いや、そんな事より!



『きゃあああああ』


突然、村の娘達の悲鳴が聞こえて来たのだ。


俺様は呆れた顔でその方向を見た。


「いやぁ~きゃあ~!」


「だれかぁ~オラの嫁っ娘にならねぇらか~?」



逃げる娘達を追いかけまわすのは、豚妖怪の八戒であった。

まったく何が楽しくてやっているんだか?


三蔵は鼠親分の胸元を持ち上げると話し始める。



「おい、尋ねるが霊感大王の居所を知っているか?」


「えっ?霊感大王ですか?」



鼠親分は少し考えた後、


「全くご存知ありません!」


「さて、殺すか?」


「すみません!すみません!言います!言います!ご存知です!」



鼠親分は霊感大王についての情報をベラベラと喋り始めたのだ。



「なるほど…西の森にある館か…うむ」


三蔵は鼠親分から知る限りの情報を得ると、村の人間達に鼠親分の処分を任して受け渡したのだった。



うむむ…

鼠親分が村人達にボコられているのが見える。

無理もあるまい。



じ…自業自得だ!

うん。



それよりも…


「だれかぁ~オラの嫁!嫁!嫁っ娘になってくれらぁ~!」

「おい!豚よ?」


三蔵は持っていた錫杖で、娘達を追いかけまわす八戒の頭を殴ったのだ。


「いて~ら?…あっ!」


八戒は三蔵に睨まれている事に気付き慌てふためく。

まさに三蔵に睨まれた豚だな。


「あっ…なんら?そんな怖い顔しても無駄らよ!オラはお前なんかの仲間にはならねぇらよ!」


三蔵は八戒を見ているだけである。

三蔵?何か良い考えがあるのか?


「それに、オラの旅にはやらなくてはならない大事な目的があるらよ!」


「目的?それは何だ?」


「聞いて驚くなよ?オラの目的!それは!」



『世界中の美味い物を求め、食べ歩く事ら!』



《ゴチン!》



三蔵に殴られ目を回す八戒。



アハハ…

あの豚野郎、面白い奴だ!


「イテテ…何て暴力的な人間ら!オラにはもう一つ叶えたい大事な目的があるのらよ!」


「それは何だ?」


八戒は真面目な顔で答えた。


「世界中のベッピン娘さんと、イチャイチャな…」


《バコン!》


再び殴られて目を回す八戒。

あそこまでやると見上げたもんだ。


「なんらよ?オラの事なんかどうだって良いらよ!オラは一人が好きなんらよ!」



八戒は三蔵を振り払い走り去ろうとした。


「待てぇ!動くな!」


三蔵は逃げようとする八戒の肩を掴むと…

ん?


「オラの事は放っておくらよ!えっ?」


三蔵は八戒の肩を掴んだまま…

そのまま崩れ落ちるように倒れたのだった?


「何だ?どうした三蔵!」

「なっ?なっ?」


何がどうなったのか解らないで立ち尽くす八戒を退かせ、俺様は倒れた三蔵を抱き起こした。


「これは!!」


見ると三蔵の腕に毒針が刺さっていたのだ!

その時、崩れ落ちた建物の影から、


(チィ!だが、まあ…良い…あの三蔵が倒せたなら万々歳か? ふふふ…)



物陰から人影が飛んで行く姿が見えたのである!

俺様はその姿を見逃さなかった。


「あいつかぁ!」


俺様は倒れた三蔵を村の人間達に頼むと、飛び去った者の後を追った。


「なっ?この毒針…確かにオラに向かって飛んで来たら…まさかオラを庇ったらか?何故ら?何故オラを庇ったら?解らないらよ…」


八戒は戸惑いつつ、その場から逃げるように走り去って行った。



続く…


次回予告


孫悟空「俺様の見ている前で、まさか三蔵が・・・


くそ!一体誰が三蔵に毒針を?


とにかく絶対に捕まえてやるぜ!」

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